家電ラボの徹底「本音」レビュー
1カ月半冷凍しても鮮度が落ちない! アクアの冷蔵庫はまとめ買い派におすすめ
2023年8月17日 08:05
アクアの冷蔵庫はデザインが美しいだけでなく、使い勝手のよさにもこだわっているため機能面でも注目されています。ちょっとユニークなデザインの「TZ」シリーズも個人的にお気に入り。
そんなアクアの冷蔵庫から今回レビューするのは、フラッグシップモデルとなる「TX」シリーズです。使いやすそうな機能と、「鮮度保持」に力を入れている同シリーズは、発表会からずっと気になっていました。実売価格は275,000円前後です。
奥行きが浅いので出し入れしやすく、見栄えもよい
TXシリーズは、プレミアムモデルの「AQR-TXA50N」とスタンダードモデルの「AQR-TX51N」の2モデルがあり、どちらも本体サイズは700×667×1,850mm(幅×奥行き×高さ)。内容積はプレミアムモデルが501L、スタンダードモデルが507Lで、今回お借りしたのはプレミアムモデルの「AQR-TXA50N」です。
大容量サイズの冷蔵庫は奥行きが深く、棚の奥まで手が届きにくいタイプも多いのですが、500Lを超える容量でも同モデルは奥行きが浅め。筆者は身長162cmですが、奥の食材まで手が届きます。
またキッチンなどに置くと気になる「冷蔵庫の出っ張り」が抑えられるので、見た目もスッキリ。その代わり、最近の600L前後の冷蔵庫は幅685mmのものが多いのですが、こちらは幅700mm。たった15mmの差とはいえ、日本の家屋では数ミリの差でも入らなくなる可能性もあります。購入を検討する際は、念入りにサイズを確認する必要がありそうです。
本体の表面はマットなフロストガラスを採用。指紋がつきにくく、高級感があります。そしてAQR-TXA50Nは「LEDステータスバー」を搭載。これは近付くと腰のあたりで光って冷蔵庫の状況を知らせてくれる通知機能で、デザイン的にも美しいです。
通常は青ですが、半ドアだとオレンジに光ります。製氷機の給水タンクが空になると黄色になるなど、全7色で通知。一般的な冷蔵庫はエラーなどを音で知らせてくれますが、これなら視覚的にも冷蔵庫の状態を確認できるので、一目でわかって便利です。なお、音で気づけるアラームも付いていて、ドアを閉め忘れると1分後に鳴り始めます。
冷蔵庫全体の構成は上から冷蔵室、野菜室、冷凍室の順。冷蔵室を開けて驚くのは、天面と背面がパネル照明になっていてとても明るいことです。一般的には天面や側面の一部にLED照明が付いているタイプが多いのですが、このように全体が明るい冷蔵庫は初めて見ました。食品を置くとショーケースのような美しさがあります。ただ、逆光になってしまうため、部屋を暗くすると後ろが明るすぎて、手前が見にくいと感じることがありました。
高級感を感じるのは、このパネル照明だけではありません。冷蔵庫といえば庫内の色は白がほとんどですが、照明以外はグレー。落ち着いた印象で、汚れも目立ちにくそうです。
アクアが以前発売した「Delie」シリーズに搭載していた「見える野菜室」を採用。冷蔵室を開けて視線を下に落とすと、強化処理ガラス越しに野菜をチェックできます。いちいち野菜室を開けなくても、ざっと中身を確認することができるので、野菜室の開閉を減らして電気代節約にもなります。
また冷蔵室を開けるたびに自然に野菜の状況が目に入るので、「この野菜は古いからそろそろ使わないと」といった気付きにもつながります。これは「Delie」シリーズ発売のときから注目していた機能ですが、実際に使ってみてもわかりやすく、とても便利でした。
冷凍した食品がこんなに長持ち! 新鮮に保存できて感動
今回使ってみて感激したのが、冷凍室の保存性能です。我が家はコストコなどで大量に購入し、いつもたくさんの食品を冷凍しているので、以前からアクアの「おいシールド冷凍」という機能に興味がありました。ただ、正直言うと「冷凍室で保存した食品の鮮度は、それほど変わらないのではないか」と、あまり期待はしていませんでした。
「おいシールド冷凍」は、冷凍室の温度変化を極力抑えて食品に霜などがつきにくくなっています。
一般的な冷凍室は霜取り運転をするためにヒーターを使います。具体的には霜を取るために運転前に温度を一時的に上げるのですが、そのときに冷凍室の温度が上昇してしまいます。一方、アクアの「おいシールド冷凍」では、霜取り運転時にファンにカバーをかけ、冷凍室の温度変化を抑えるような仕組みにしているのです。
実際に豚肉をパックのまま冷凍してみます。アクアの冷凍庫と、一般的な冷蔵庫の冷凍室に1カ月半ほど入れておきました。
取り出してみると、明らかに見た目で違いがわかります。一般的な冷蔵庫で冷凍した肉はラップの部分にも霜がついて真っ白に。アクアの冷凍庫で保存した肉はラップも透明のままです。
アクアのほうは肉にみずみずしさがあるのですが、別の冷蔵庫は霜がつき、白っぽく変色しています。これだけ差があったことに驚きました。食品を大量に買い込んで冷凍することが多い我が家にとってはとても魅力的で、この冷凍性能の結果だけでも欲しくなります。
野菜も高湿度でうるおい長持ち
野菜はなるべく鮮度のいい状態で使いたいですが、丸ごとの野菜や大量の野菜を買ってくると日に日に水分が失われて元気がなくなってしまいます。AQR-TXA50Nはアルミ板による間接冷却で低温・高湿度に保つ「うるおいエリア」を備えており、野菜を長持ちさせることが可能です。
野菜室は上下2段で、下の段は手前と奥の2つのエリアに分かれています。奥側のエリアが半密閉構造の「うるおいエリア」。乾燥しやすい葉物などの野菜はこの「うるおいエリア」に入れておくと長持ちします。サイズはレタスやキャベツが丸ごと1個ちょうど収まる奥行きです。
実際に別の冷蔵庫と比較を行ないました。1週間ほど保存した小松菜は、「うるおいエリア」に入れていたほうがピンとしています。別の冷蔵庫に入れておいた小松菜は全体的にしんなり。風を当てず、高湿度を保つことで、これだけの差がつくことがわかりました。
冷蔵室に入れておいたサラダもラップなしでうるおいを保つ
買ってきたサラダを冷蔵室に入れておきました。ラップをしないで丸一日そのまま保存していたのですが、表面が少し乾燥している程度で、ほぼ変わりません。
他社の冷蔵庫では、数時間で乾燥してしまいます。丸一日、ラップなしでサラダを保存することはないかもしれませんが、これだけ鮮度保持が優秀であれば安心して保存しておくことができます。数時間であれば、問題なくそのまま食べられそうです。
製氷室も個性的! 冷凍室としても使える
個人的に惹かれたポイントとして挙げたいのは、製氷室です。
上段冷凍室の左側スペースに氷用のトレイ「ワイドアイストレイ」があり、ここに氷が落ちます。見たこともないような大きなサイズで、氷をたっぷり収納可能。市販のロックアイスもそのまま全部入れることができます。夏場は子供達の水筒に入れたり、アイスコーヒーを作ったり、氷をたくさん使うので、これだけ作っておけるのはとても助かります。
またワイドアイストレイを外せば、上段もすべて冷凍室として使えます。例えば冬場に氷を使わないという場合は、トレイを外して冷凍室としてフル活用することも。状況や好みに合わせて簡単に変えられるので無駄がありません。
鮮度保持が抜群、使い勝手もよい冷蔵庫
現在、我が家は幅685mmで奥行きが745mm、定格内容積が600Lの冷蔵庫を使っています。身長155cmの娘は冷蔵室の上段、奥のほうは手が届きませんが、アクアの冷蔵庫であれば、背伸びをすれば食品を取ることができます。
容量がどれだけ大きくても、奥のほうが使いにくければ、食品ロスにつながることもあります。中身の隅々に目が届き、整理整頓がしやすい冷蔵庫の選択肢もアリだなと実感しました。
ただ、4人家族でまとめ買いをする我が家では、野菜室と冷凍室の容量に関しては物足りなさを感じました。こまめに買うのであれば何の問題もありませんが、まとめ買いをすると600Lでも足りないときがあるので、やはりもう少し広いほうが使いやすそうです。
個人的にはもう少し奥行きが大きく、出っ張っていても構わないので、容量があったほうがありがたいと感じました。性能はとても気に入ったので、このスタイルで大容量サイズも発売してほしいところです。
またスマートフォンに接続できない点も少し残念。氷ができたら教えてくれる、エラーをスマホで確認できる、冷蔵庫の省エネ状況を確認できる、といったIoT機能は実際に使うととても便利です。最新の冷蔵庫はそういったIoT機能を搭載しているものが多く、我が家もその便利さに慣れてしまっているので、フラッグシップモデルなのに使えないというのはちょっと物足りなさを感じました。
とはいえ、なんといっても惹かれたのは冷凍の鮮度保持性能です。冷凍は長持ちすればいいと思っていたのですが、一般的な冷蔵庫とは冷凍した食品のみずみずしさが全く異なります。乾燥を防ぎつつ冷凍保存ができるのは魅力的。
いつもコストコで肉や魚をたくさん買い込んで小分け冷凍していますが、「おいシールド冷凍」があれば美味しい状態のまま保存できそうで、心底欲しくなりました。冷蔵庫選びで特に鮮度保持を重視している方におすすめです。