家電ラボの徹底「本音」レビュー

「無風感冷房」は心地良い涼しさ! 東芝ライフスタイルのエアコン「大清快」DXシリーズを使ってみた

家電プロレビュアー・石井和美が、レビューハウス「家電ラボ」で徹底的に試した「本音」の製品レビューコーナーです。

 家電のテストを行なっている「家電ラボ」で、メインの部屋のエアコンがいまひとつ効きが悪く、ずっと不満に思っていました。入居前からエアコンが設置されていたのですが、木造の1階の間取りはリビング12畳+キッチン5畳の17畳なのに、設置されていたエアコンは100Vの10畳タイプだったことが判明したのです。

 部屋の広さに合っていないため、部屋全体を涼しく(または温かく)できず、さらにフルパワーで常に稼働しているので音もうるさい状態でした。

 そこで、以前取材して気になっていた東芝ライフスタイル「大清快」(RAS-F562DX)を使ってみることにしました。「無風感冷房」を搭載した快適機能が充実したモデルです。

東芝ライフスタイル「大清快シリーズ RAS-F562DX」
メーカー名東芝ライフスタイル
製品名大清快シリーズ「RAS-F562DX」
畳数の目安冷房:15~23畳、暖房:15~18畳
実売価格180,000円前後(税抜)

コンパクトで見た目スッキリ

 家電ラボでは、ちょうどエアコンの吹き出し口からまっすぐ当たる場所で仕事をすることが多いのですが、来客のお客様にもちょうど風が当たってしまう場所でもあるので、慌ててエアコンの温度を変えることが少なくありませんでした。

 今回選んだ「RAS-F562DX(DXシリーズ)」は、空気清浄機能「プラズマ空清」を搭載している「大清快」の新シリーズです。特徴的なのは、新たに搭載された「風カットルーバー」による「無風感冷房」で、快適性を追求したエアコンです。エアコンをつけっぱなしにすることが多いことと、価格も控えめで高機能という点にも惹かれました。

圧迫感のないデザインです

 設置する場所にあったコンセントは100Vだったので、設置の際は200Vに変更する工事を行なってから取り付けました。サイズは高さ25cm、幅79.8cm、奥行35.2cm。省エネ性が高いエアコンは熱交換器が分厚くなり、奥行きが大きくなるのでそれなりにせり出していることが多いのですが、本機はコンパクトでスッキリした印象です。高さが25cmしかないため、圧迫感もありません。

工事業者によると、東芝のエアコンは取り付けしやすいとのこと。短時間で設置は終了しました
室外機は大きめ。外気温度43℃でも冷房運転可能です

無風ではないものの、風がなめらかで心地良い「無風感冷房」!!

 さっそく「無風感冷房」を試すため、「冷房」運転を始めてから「風ケア冷房」ボタンを押しました。設定温度は23℃、室内の気温は26.1℃でスタートしたところ、運転開始と同時に上下風向きルーバーは下向きに。パワフルな風で一気に部屋を冷やしていきます。

 暑かったので「早く冷えてほしい」と思っていたのですが、以前のエアコンとは比べものにならないほど、どんどん温度が下がって汗が引いていきました。約18畳の部屋ですが、対角線上の隅に置いた温度計は、約20分で23.6℃になりました。

上下風向きルーバーは2枚とも下向きになり、一気に部屋を冷やします
エアコンから遠い場所に置いた温度計。20分ほどで設定温度の23℃に近付きました。強い風が出ており、部屋が冷えるスピードが早いと感じました

 最初はビュービューと勢いよく風が出ていましたが、設定温度に近付くと、センサーによりいったん風が弱まります。そして、吹き出し口の内側に格納されている「風カットルーバー」が開きました。上の吹き出し口を塞ぐような形になり、同時に2枚の上下風向ルーバーが同時に上向きになります。

 風カットルーバーは小さな穴がたくさん空いた板で、上下風向きルーバーの上部分の吹き出し口を塞ぐように降りてきます。この穴の空いたルーバーで強い風を堰き止めながら、やわらかな風に変えてくれるのです。

風カットルーバーの仕組み
設定温度に近付くと、ゆっくりと風カットルーバーが降りてきました
風カットルーバーのアップ。小さな穴がたくさん開いています

 用意した風車でテストしてみたところ、冷房運転を始めたばかりの時の風と、風カットルーバーが降りてからの風は明らかに変わっていました。勢いよく回っていた風車は少し揺れる程度です。

この距離で風車を置いてみました
冷房時は風車がクルクルと回っていましたが、風ケア運転時は少し揺れる程度でした

 下の吹き出し口には風カットルーバーがないので風はそのまま出ています。吹き出し口の両方に風カットルーバーをつけてしまうと遠くまで冷気を運ぶことができなくなるため、上だけに搭載されているようです。

 ただ、風ケア運転時は上下風向きルーバーが2枚とも少し上向きになるため、無風というわけではありませんが、近くにいる人には風が当たりにくくなっていました。ふわっとした風の動きを感じますが、以前よりも肌への当たりは気にならなくなりました。

風ケア運転をする場合は、最初に冷房運転を推してからカバーを開け、風のイラストマークがあるボタンを押します。ちょっと押しにくい場所にあるのが残念

 設定温度に到達すると風カットルーバーは閉じ、上下風向きルーバーは天井方向に向きます。状況に応じて段階的に風の強さと上下風向きルーバー、風カットルーバーを使い分けてくれるので、設定温度になるまでの間はとても快適でした。

風ケア運転時には表示部にランプが点灯します

快適運転(全自動運転)は、さらに「冷房が苦手」という方にぴったり

 「風ケア冷房運転」時は、室温と湿度の2つのセンサーのほか、温冷熱センサーで人の体感温度も検知します。さらに湿度分布データから室温、湿度、風量などの情報も加えて、快適度を判断しています。その結果「寒いと感じている」と判断されない場合、風カットルーバーが下りません。何度も試しましたが、風カットルーバーは開いたり、開かなかったり、状況によってまちまちでした。

「快適運転」では温冷感センサーで人の体感温度を検知します

 冷房の「風ケア冷房運転」は温度を設定できますが、「快適運転」はすべておまかせ。そのため、しっかりと冷やしたい暑がりの方には少し冷え方が物足りないかもしれません。逆に冷房の底冷えするような寒さが苦手な方には、ちょうどいい涼しさをキープしてくれるので助かります。一日中つけっぱなしでも、風向きや強弱などをあれこれ自分で調節しなくてすむのでラクでした。

 なお、風カットルーバーの開閉は自動となっており、「風ケア冷房運転」「快適運転」ではリモコンなどでON/OFFはできません。

無線LANに簡単接続、スマートフォンで外出先からも操作できる

 専用スマートフォンアプリ「IoLIFEアプリ」をダウンロードすれば、アプリをエアコンのリモコンとして使うことができます。設定はカンタンで、すぐにつなげることができました。エアコンとスマートフォンの接続に成功すると、本体の無線LANランプが光るようになります。

 スマートフォンで、室温や湿度、タイマーの発動時間など、リモコンには表示されない情報も確認できます。また室内は離れた場所からでも、ON/OFFをはじめ、さまざまな管理ができるようになり、ダストボックスのお手入れ時期やお手入れ方法までアプリに通知が届きます。エアコンに異常が発生した場合にもアプリに通知が届くようになります。付属のリモコンよりも直感的に操作できるので、スマートフォンに慣れている方なら、アプリで操作したほうが使いやすいかもしれません。

登録時の最初の画面。現在、無線LANにつながる東芝ライフスタイルの家電は、冷蔵庫とエアコンです

 無線LANに接続してスマートフォンで操作できるようになると、外出先からも設定できるようになります。例えば暑い夏の日、外出先で冷房の運転開始を指示できるため、帰宅時には部屋が冷えた状態に。また、切り忘れて外出しても、状況を確認してその場でOFFにすることも可能です。予想外に気温が上がってしまい、家にいるペットのことが心配になる時もありますが、これなら外出先からすぐに運転を始めることができます。

エアコンの情報を登録する。本体にQRコードがあるので、それを読み取って登録
リモコンで操作できることは一通りできる
直感的に操作できるのでリモコンより簡単
タイマー設定なども操作しやすい

 ただ、過去の運転状況や電気代の目安など、蓄積した運転データを見たり、そこから推計したデータを見られないのは残念なところ。せっかくスマートフォンで管理できるのに、リモコンとしての機能だけではもったいないと感じました。ファームウェアのアップデートで、そういった機能が追加されることを期待しています。

お手入れ方法がユニークで便利!

 また、エアフィルターについたホコリは自動でお掃除されるので、普段はダストボックスに溜まったホコリを捨てるだけ。この掃除方法がとてもユニーク!

 同エアコンには「お掃除ノズル」が付属しており、それを手持ちの掃除機につけてとりつけます。エアコンの左側にお掃除ノズル挿入口があるので、そこに掃除機の延長管に取り付けたお掃除ノズルの先を下からズボッと差し込み、掃除機で吸引するだけ。

 自動お掃除機能が付いていても、通常なら脚立などを出し、腕を伸ばしてカバーを開け、ダストボックスを取り外して捨てる……といったことが必要ですが、それらの作業をしなくてすむので、すぐに終わります。

 また片手でできるので、これならシニア世帯でも安全に掃除できそう。ただ、一部の掃除機ではお掃除ノズルが合わないものもあります。ダイソンのスティッククリーナーは使うことはできませんでした。

お掃除ノズル。手持ちの掃除機に取り付けて使用する
エアコンの左側にお掃除ノズル挿入口がある
ズボッと差し込んでダストボックスのホコリを吸引できる

 掃除のめやすは1年に1回程度。エアコン本体の「お掃除マーク」が点滅したときがお手入れのタイミングです。本体におそうじランプが点灯したら掃除をします。

 もしフィルターに油汚れなどが付着しており、汚れ残りが気になる場合は、エアフィルターを取り外して水洗いします。ダストボックスのレバーを解除して外してから、エアフィルターを取り外します。ダストボックスにはロック確認用の窓があり、解除すると「青」から「だいだい」(オレンジ色)に変わります。エアフィルターは簡単に外すことができ、取り付ける際もスッと入れることができました。

ダストボックスはロック確認用の窓があり、すぐに状態がわかる
フィルアーはスルッと外すことができました

 熱交換器も汚れやすいものですが、本機は熱交換器表面を特殊樹脂コーティングしてあり、冷房・除湿時に発生した水・結露水で油などを洗い流してくれます。ただ、これは冷房・除湿時だけで、暖房時には行なわれません。暖房シーズン中に集められた汚れは、冷房シーズンにまとめて洗い流すとのことなので、気になるようなら暖房シーズンに除湿運転を数回しておくと安心です。

パワフルに部屋全体を冷やすものの、風がマイルドで肌当たりがやさしいエアコン

 本機は「無風感冷房」が大きな特徴ですが、パワフルにしっかり部屋全体を冷やしてくれるのも頼もしさがあります。暑い日も、あっという間に部屋を冷やしてくれるので驚きました。部屋を冷やした後は、センサーなどで部屋の状況を判断して細かく調整してくれるので、ストレスを感じることもありませんでした。

 また「明るさ」サーチセンサーを搭載しており、「eco」モードにすれば夏は夕方になると冷房のパワーを弱め、冬は日差しがあると暖房のパワーを弱めて自動運転してくれます。ムダに冷やしたり、暖めたりすることがないので節電効果も期待できます。

 さらに「大清快」という名前の通り、空気清浄にも力を入れています。プラズマ空清でPM2.5を99%除去。冷房、暖房を使わなくてもリモコンの「空清」ボタンを押せば空気清浄機として使用することもできます。

 これだけ多機能で、ハイエンドのエアコンと遜色ないのにも関わらず、手が届きやすい価格も魅力のひとつ。快適に過ごせるので、エアコンを検討中の方はぜひチェックしてみてください。

まとめ

○ここがスゴイ!風が直接肌に当たりにくいので、冷房が苦手な方におすすめ
・ダストボックスのお手入れが独創的でカンタン
Wi-Fi対応でスマートフォンから直感的に操作できる
△もうひといき!・風カットルーバーのON/OFFが手動でできない
・アプリはリモコン感覚で使用できるが、使用状況や電気代なども知りたい

石井 和美

家電プロレビュアー。白物家電や日用品のお役立ちグッズなどを中心に製品レビューを得意とする。テストスペースとして守谷市に一戸建てタイプの「家電ラボ」開設し、冷蔵庫や洗濯機など、大型家電のレビューも行なっている。レビュー歴10年以上。

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