老師オグチの家電カンフー
機能、性能、コスパではない「さしすせそ」からの家電選び
2022年7月20日 07:30
この連載で「ドヤ家電」を提唱してから6年が過ぎました。いまでも雑誌などでコメントを求められることがありまして、実にありがたいことです。たまにされるのが「ドヤ家電をどう選べばいいですか?」という質問です。ドヤ家電は自慢のための家電なので、心のおもむくままに選んだらいいじゃんと思うのですが、せっかくなので多少ロジカルに考えてみました。
自慢のベースにあるのは、「自分を良く見せたい」です。そこで参考になるのが、褒め言葉の「さしすせそ」。女性が男性を気持ちよくさせるテクニックとしてよく知られている言葉です。
さ:さすがですね
し:知らなかったです
す:すごいですね
せ:センスありますね
そ:そうなんですね
こんな簡単な言葉で気持ちよくなるなんて、男はバカだと思ってしまいますが、まあ気持ちよくなった者勝ちかもしれません。この「さしすせそ」をベースに、買って気持ちよくなれる家電の選び方を解説していきましょう。
さ:さすがですね家電
「さすがですね」は曖昧な褒め言葉ですが、分析すると、「さすが〇〇さん」と、その人らしさや個性を評価する言葉です。家電選びに当てはめると、自分らしさがアピールできるかが基準となります。機能や性能、値段は関係ありません。分かりやすいのは職業や趣味のための家電。その人らしさがそのまま伝わります。また、一般的でない家電ほど強く個性をアピールできます。例えば、二層式洗濯機を使っていれば、おのずと普通ではない信念や独自性を人に感じさせます。
し:知らなかったです家電
新たな知識や情報を提供できる家電です。ウンチクを語れる家電と言い換えてもいいでしょう。美味しいコーヒーを淹れられるコーヒーメーカーを買えば、なぜ美味しく淹れられるのか、そもそもコーヒーの美味しさとは? など、自らの知見を述べることができます。ただし、ウンチクに興味のない人間にとっては煩わしいのが普通。「早くこの話終わらないかな〜」と思われる諸刃の剣。あと、女性の「そうなんだ」、「知らなかったです」は条件反射的に発せられているだけで、興味は薄く、後から同じ話をしても同じ反応だったりします(うちの妻で実証済み)。
す:すごいですね家電
「すごいですね」は「パワーがある」と同義です。大きいからすごい、強いからすごい、お金持ちですごい、みたいな。これらは原始時代からの価値です。大きさは強さに直結し、強さは生存に直結していたので、女性がこれらに惹かれるのは当然のことです。現在では、強さは持っている富に比例しますから、お金を持っている事を証明できる高級家電は魅力的に映り、当然ドヤ度が高まるわけです。
せ:センスありますね家電
パワーとは別の軸の褒め言葉が「センスありますね」です。デザイン性が高い家電がこれに相当します。しかし、センスと自慢は相反する概念です。ドヤ顔すること自体がセンスないと思われる。言葉で語ってはいけません。ただそこにおしゃれな家電が置かれていることが、その人の評価を高めます。
そ:そうなんですね家電
「そうなんですね」は、何かを納得したときに発せられる言葉です。新しい価値観や基準を感じさせる家電、今っぽい言葉で言えばニュースタンダードな家電。昭和の時代、家電にマイコンが搭載されていったように、平成で白熱電球がLED電球に置き換わっていったように、今後世の中を大きく変えていきそうな技術やコンセプトを持つ家電がここに入ります。
以上をまとめると、こうなります。
さ:さすがですね→人とは違う、個性的な家電
し:知らなかったです→ウンチクを語れる家電
す:すごいですね→高性能、高級な家電
せ:センスありますね→デザイン性が高い家電
そ:そうなんですね→ニュースタンダードな家電
ドヤ家電選びの新機軸を打ち出してみましたが、皆さんはこの記事を「さしすせそ」のどれで褒めてくれるでしょうか。