老師オグチの家電カンフー

なぜか玄米が美味しく炊けるバルミューダの炊飯器

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 皆さん、玄米って食べてます?

 玄米なんて意識の高い健康オタクの食べ物、そんなイメージがあるかもしれません。まあ、実際こだわりや主張が多くめんどくさい人もいるのですが、私が玄米を食べている理由は単純かつ意識低いです。暴飲暴食するため。最近は歳のせいか、豚骨ラーメンなんか食べるとお腹をやられるんですが、昼間に玄米を食べておくと腸が整うのか、夜酒を飲みまくろうとラーメンを食べようと平気なんですよ。もちろん、個人の感想です。

 昔から玄米は圧力鍋で炊いていたイメージが強く、圧力IHの炊飯器を使っていたのですが、家電に詳しい人たちから「バルミューダの炊飯器は玄米がめちゃくちゃ美味く炊けるよ」と聞き、試してみることにしました。

バルミューダ「BALMUDA The Gohan」

 圧力もかからないしIHでもない、どちらかというと非力なイメージの「BALMUDA The Gohan」で玄米がちゃんと炊けるんかいな? 半信半疑だったんですが、いや参った。玄米に関しては、これまで使った炊飯器で一番美味いですね。やわらかさがありながら、玄米らしいプチプチした食感が残っている。玄米ふりかけをかけた白米っぽくもあるので、玄米が苦手な人でも食べやすいんじゃないかな。

 12時間ほど浸水させておいた玄米でも、浸水時間なしの玄米でも大丈夫。「玄米=白米より固い」ので、圧力でやわらかくすべきってのは思い込みだったんですかね。理屈はわかりませんが、水蒸気の熱を送り込む方式が良いように作用したんでしょうか?

 「BALMUDA The Gohan」には、炊飯の前に、外釜に200mlの水を入れる手間がありますが、それも玄米を食べているような層には問題にならなさそうです。意識高い人は手間を面倒くさいとは思わないですから。

玄米の水位は2合まで
炊飯時間は90分

 いやもう、これ玄米専用の炊飯器として売り出したらどうですかね。どうせなら、発芽玄米にするモードも搭載しましょう。玄米を水に浸けて1日~2日放置すると、より食べやすく栄養価が高まる発芽玄米になります。水温を上げることで短時間で発芽玄米になるので、これに炊飯器の保温機能を使っている人もいるようです。ただ、普通の保温だと温度が高すぎるので、専用にするなら30℃前後に調整する必要はありますが。たぶん技術的には難しくないんじゃないでしょうか。

 製品名は、同社のルール(?)だと「BALMUDA The Genmai」になるでしょうか。いや、いっそ社長の名前を冠して、「BALMUDA The Gohan 寺尾玄(米)モデル」でどうでしょう。

炊き上がり。白米は好みの分かれるところですが、玄米は(玄米を食べている人なら)大多数が美味しいと感じるはず
炊いた玄米の大部分は冷凍して食べる度に解凍するのですが、問題なし

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>