老師オグチの家電カンフー

コロコロ変わるUSB規格問題、おすすめケーブルをプロに聞いた

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 世間が大変だからこそ、足元を見直してみよう。というわけで、スマホなどに用いる充電器やUSBケーブルを一新することにしました。あいつら、しょっちゅう規格が変わるじゃないですか。うちには、使わなくなったケーブル、たとえばType-B(プリンターなどで使われていた)やmini USBなどを入れている箱、名付けて「ケーブル墓場」があるほどです。

 現在、外出時に携帯しているのは以下のアイテムです。

 ・充電器:Anker 24W 2ポート USB急速充電器(A2021)
 ・USBケーブル(Type-A→Type-C):Anker製(型番不明)長さ1m
 ・USBケーブル(Type-A→micro USB & Lightning):cheero 2in1 Retractable USB Cable with Lightning & micro USB
 ・AC電源タップ:パナソニック WHF21033

 充電されるデバイスと使用するケーブルの種類は、スマホ(iPhone)がLightning、カメラやワイヤレスヘッドホン、モバイルバッテリーはmicro USB、パソコン(MacBook)はUSB Type-C(以下:C)。充電器の出力は最大24Wと今となっては弱めなので、MacBookへの充電はかろうじてできる程度。使用しながらだと電池残量は増えず現状維持がせいぜい。新しい規格「PD(Power Delivery)」対応の充電器なら、より高速に充電できるようなので、買い換えを決意したというわけです。

 しかし、PDでは「C→C」のケーブルが必要で、今使っている「A→C」のケーブルから買い替えなくてはなりません。iPhone用のケーブルも、「A→Lightning」から「C→Lightning」にすべきでしょう。しかし、そうなると空港や飛行機内にあるAの端子から充電できなくなる。全部の種類のケーブルを持ち歩くのもうれしくない。考えると思考がこんがらがるので(ケーブルだけに)、プロに相談することにしました。

これまで持ち歩いていた充電器&ケーブル類。これらを岩下の新生姜ポーチに入れて持ち歩いています
2ポートあると便利。しかし、時代はPD。さすがに非力さを感じさせます

 問い合わせたのは、cheeroブランドで充電器やケーブル製品を出している、ティ・アール・エイ株式会社。対応してくれたのは、ヴィクトル・フロンチャクさん。やりとりは、このところのテレワーク普及で一躍名前が知られるようになったビデオ会議システム「Zoom」で行ないました。感染を恐れたからではなく、会社が大阪にあるからですけど。

 まず尋ねたのは、充電器の出力はどの程度必要か。出力が大きいほど、ノートPC含めて充電できるデバイスが多くなりますが、そのぶん大きく重くなります。ヴィクトルさん曰く、「45Wあれば、速度はともかく多くのノートPCを充電できる」とのこと。

 純正の充電器の出力を調べてみると、MacBook Airが31W、MacBook Proが61Wです。Macは比較的柔軟に充電できることが多いものの、Windowsマシンの場合は専用充電器と同じW数がなければ給電を受け付けないこともあるようです。

 高出力と小型化を実現して注目されているのが、GaN(窒化ガリウム)採用の充電器。今後、価格が下がってくればさらに普及が進むものと思われます。ポートについては、AとC両方備えた製品が増えてきて人気だとか。そりゃ、まぁ過渡期ですもんね。

ティ・アール・エイ株式会社で技術を担当するヴィクトル・フロンチャクさん。ポーランド出身だが日本語めっちゃうまい

PD対応のケーブルはぶっとい!

 こちらの条件をお伝えしてヴィクトルさんに選んでもらった製品がこちら。

・充電器:cheero Smart USB Charger 48W
・USBケーブル(Type-C→Lightning):cheero Type-C to Lightning Cable
・USBケーブル(Type-C→Type-C):cheero Type-C to Type-C Cable USB 3.1 G2 with E-Marker

 充電器もパワーアップし、ケーブルもPD対応なので短時間での充電が可能に。「cheero Type-C to Lightning Cable」の場合、iPhone Xなら45分で74%まで充電できるそうです。「C→C」のケーブルはぶっといですね。こちらは「E-Marker」と呼ばれるICチップを内蔵し60Wまで対応するそうです。ケーブルなんて単に電気通す線だと思っていましたが、チップ内蔵とかハイテクです(死語)。

 以上のおすすめされた製品(いただいちゃいました!)に加えて、micro USBで充電するデバイスもまだ多いので、巻き取り式(micro USB & Lightning両対応)のケーブルもこれまで通り持ち歩くとします。空港とかの施設にあるUSBポート(Type-A)も使えるし。

 しかし欲を言えば、すべてのケーブルを巻き取り式にしてもらいたい。PD対応ケーブルで巻き取り式は可能なのか? ヴィクトルさん曰く「可能ですが、サイズはこれまでよりも大きくなってしまいます。さらにUSB-IFの認証を得るのに時間がかかってしまうかも」とのこと。でも出たら売れると思うなぁ。

 ちなみに、日本ではケーブルの長さは1mが人気ですが、アメリカや中東では断然1.8mが売れるそう。家の広さですかね。

PD対応の「cheero Smart USB Charger 48W」。ポートはAとCの両方欲しいよね
しばらくは、この体制でいきます。cheeroの回し者? いえ、巻き取られ者です

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>