神原サリーの家電 HOT TOPICS

コンロキャンセル界隈にもうれしい? 2025年上半期、注目の調理家電5選

レコルト「ハイスチームエアーオーブン RAO-3」を使えば、ほったらかしで肉汁を閉じ込めてパンパンに膨らんだ絶品ハンバーグ(チーズ入り)が作れる

毎日の料理作りや温め直しに活躍する調理家電が、今年は大豊作の兆しです。2025年7月までに発売された調理家電の中から、ガスコンロを使わないでなるべくほったらかしで食生活を送りたい人にもぴったりの注目の5アイテムをピックアップしてお届けします。

絶品トーストから温め、解凍、リベイクまで。普段使いに万能!

日本エー・アイ・シー「アラジン グラファイト オーブンレンジ AEM-G14A」。価格はオープンで、市場想定価格は67,100円前後。カラーはグリーンとホワイトの2色展開

わずか0.2秒で発熱する速暖性と快適性にすぐれた電気暖房で高い評価を得ていた技術を調理家電に応用し、予熱不要で極上のトーストを焼き上げる一台として名を上げたのは2015年のこと。その後、構想から7年かかって実現できたのが、アラジンの「グラファイトオーブンレンジ」です。

独自技術の「グラファイトヒータ」によるヒーター加熱とマイクロ波によるレンジ加熱で、外カリ中モチのトースト、ひっくり返さずおまかせで仕上がるジューシーハンバーグ、サクッカリッのお惣菜の温め、ムラのない解凍――と、日常使いにぴったりの機能が満載。それを可能にしているのは、レンジ加熱で発熱するヒートトレイと、レンジ加熱でも使えるマジックラックという2つの“魔法の道具”です。

1枚焼きならレンジ業界最速の約3分40秒で焼き上げるトースト機能。2枚でも約4分だった

ヒートトレイは、マイクロ波によるレンジ加熱で発熱するため、トレイの下から食材を加熱し、上面はグラファイトヒータで加熱するため、ひっくり返すことなく、しかも短時間でトーストが焼き上がったり、ジューシーなハンバーグが焼けたりするのですね。一方、マジックラックではレンジによって直接食材を加熱しながら、同時にグラファイトヒータでも加熱できるため、揚げ物などのお惣菜を短時間で中心部から温めつつカリッと焼き上げて揚げたてのようにしてくれるというわけです。

高性能赤外線センサーで食品の温度を検知するので、冷凍ごはんも常温のごはんも「あたため」メニューを選んでスタートするだけでOKという便利さだけでなく、その仕上がりのよさにもびっくり。そのほか、冷凍ひき肉の解凍もグラファイトヒータで表面の氷を素早く溶かすことでマイクロ波の吸収力を高め、効率的に解凍するという、ほかにはないやり方を採用。実際に試してみても、約200gのひき肉が5分半ほどでほぐしやすい硬さに上手に解凍できて、「低出力のマイクロ波を制御することでムラを抑えた解凍ができる」という同社の説明のとおりだと納得しています。

高性能赤外線センサー搭載で食品の温度を検知するので、冷凍ごはんも常温のごはんも「あたため」メニューを選んでスタートするだけでOK
冷凍ごはんが惚れ惚れするくらい絶妙な塩梅に温められて感動!
冷凍のひき肉の解凍は自動メニューの「解凍」を選び、重量を設定して行なう
解凍開始から20~30秒だけ、グラファイトヒータによるヒーター加熱が行なわれ、表面の氷を溶かしてレンジ機能が働きやすくさせる
180gのひき肉が約5分30秒でちょうどよく解凍できた

コンパクトなのにプロの火入れが可能な“ラクして本格”の一台

「ハイスチームエアーオーブン RAO-3」。価格は29,700円。カラーはナチュラルブラックとクリームホワイトの2色展開。約100ページの専用レシピブックも付属している

2019年に発売されたレコルトのエアーオーブンは、コンパクトで使いやすく、1万円を切る価格なのにノンフライ調理がおいしくできると人気のキッチン家電でしたが、今回発売された「ハイスチームエアーオーブン」は水タンクが付いている点が異なります。500mlとたっぷりの水をボイラーで沸かし、バスケットに入れた食材に“うるおい熱風”を送り込むことができるので、熱風だけでは乾燥してしまいがちな食材の水分を保ちながら、表面はカリッと香ばしく焼き上げることができるのです。

スチーム量や温度を調節することで、蒸し料理や低温調理もできるほか、今まで通りのノンフライ調理も可能。さらにはハイスチームとエアーオーブンを自動で切り替えて調理するモードも備えているので、鯛めしやパエリアのようなごはんものやグラタンなども、これ一台で作れます。

ハイスチームモード「160℃/30分」でしっかりとした焦げめがつく本格チャーシューのほか、肉汁がパンパンのハンバーグ、材料を次々に入れるだけで茹でる→焼くまでノンストップで仕上げるパスタグラタンなど、わが家の定番メニューになったものも多く、使いやすい一台です。

ハンバーグもバスケットに入れたら、ハイスチームモード「180℃/18分」でOK
付属のインナーポットに水を入れたら、パスタを半分に折って入れ、市販のミートソース、ナス、スライスしたモッツァレラチーズの順に入れるだけで準備完了
30分後には見事な仕上がりの「なすのボロネーゼ・パスタグラタン」が出来上がった

圧力調理+かき混ぜ機能が叶える理想的なほったらかし家電

「ラクラ・クッカー プロ 自動調理鍋 CY3811J0」。直販価格は38,000円

クックフォーミーやラクラ・クッカーなどの電気圧力鍋シリーズを展開してきたティファールから、その進化版となる「自動調理鍋」として7月に発売されたばかりなのが「ラクラ・クッカー プロ」。自動で鍋底から食材を返しながらかき混ぜてくれる「かきまぜパドル」が搭載され、圧力調理機能との合わせ技でできる調理モードはなんと13種類。しかも4万円を切るというお手頃価格が素晴らしいではないですか。

内鍋に鍋底から自動でかき混ぜる「かきまぜパドル」が付けられる。持ちやすい大きな取っ手があるのもうれしい

フタを開けたままで調理できる「炒め」モードでは、1~2分の予熱時間は必要なものの、焼きそばやチャーハン、チキンライスといったお馴染みのメニューが調理時間10分でほったらかしで仕上がります。フライパンで作る場合、つきっきりでかき混ぜないといけないことを考えると、本当にラクで失敗なく作れます。しかも途中で味見をして好みの味付けにするのも簡単です。

「炒め」モード10分で、ほったらかしで2人前の焼きそばがおいしく出来上がった
ベーコン・長ネギなどの具材を炒めてから、卵を混ぜ込んだご飯を入れるという手順が必要だが、10分でパラパラのチャーハンが作れる

豚の角煮に活躍する「圧力調理」のほか、肉まんやシュウマイなどにうれしい「蒸す」、ラタトゥイユを作りたくなる「無水調理」、ポテトサラダやマッシュポテトが簡単に作れる「つぶす」、「ごはん」や「カレー」「肉じゃが」など圧力調理モードが7種。さらには「炒め」「煮る」「ベイク」「おみそ汁」「麺類」に加えて「煮つめ仕上げ」まで、通常調理モードも充実しています。全13種類のうち8種類はかき混ぜ調理に対応。柔らかくなるものの、味の染み込みが今一つと言われる圧力調理も、かき混ぜ機能との合わせ技でビーフシチューや煮物も納得のおいしさです。

圧力調理とかき混ぜ機能を組みあわせて作るキーマカレーは「カレー」モードで
フタを開けてみて、水分が多ければ「煮つめ仕上げ」モードで水分を飛ばして好みに応じた味や仕上がり具合にできる

圧力調理後の蒸気の排出が1ボタンで済むことや、かき混ぜながら好みの味にできる「煮つめ仕上げ」の便利さなど、今のところ2025年ナンバー1になりそうな勢いのアイテムです。

切らずに丸ごと&お手入れ簡単なコールドプレスジューサー

ヒューロム「コールドプレスジューサー H70FT」。直販価格は65,780円

2024年に使い始めて、仕事場であるアトリエと自宅の2台持ちで愛用しているヒューロムの「コールドプレスジューサーH70ST」は、大きな投入口と大容量のカップに下ごしらえのためのオートカッティング機能がついたメガホッパー搭載で、小さめのリンゴなら丸ごと、ニンジンやキャベツなどの野菜もざく切りでOKという、手軽さが魅力。それでいて、なめらかで酵素やビタミンたっぷりのおいしいコールドプレスジュースができるのですから、美容と健康のためになくてはならないアイテムになっています。

130mmの大きな投入口&1.8Lの大容量メガホッパー搭載でりんごやニンジンも切らずに丸ごと投入できる

そんな「H70ST」の姉妹版として今年5月に登場したのが「H70FT」です。見た目がそっくりなこちらのコールドプレスジューサーの特徴は、前者が細かい網目のストレーナーを採用しているのに対して、スクリューと複数のフィルターが一体化した新構造マルチスクリューを採用していること。そのため、使用後のお手入れが格段にラクになっただけでなく、果実味の残る舌ざわりと味わいになっていて、フローズンなどもアタッチメントを使うことなくそのまま作ることができます。

昨年発売された「H70ST」との違いはストレーナーで濾すのではなく、スクリューと複数のフィルターが一体化した新構造マルチスクリューを採用していること

とことんなめらかなシルキーな舌触りのジュースがお好みの方なら「H70ST」を、ラクにジュース生活をしたいなら「H70FT」をというように選択肢が広がったのはうれしいことだと思います。

ストレーナーで濾していない分、果実味の残る舌ざわりと味わいになる

温めもお惣菜のリベイクも得意なトースターレンジ

「2 in 1 トースターレンジ MRT-F100」。価格はオープン。市場想定価格は50,000円前後

日立グローバルライフソリューションズから発売された「2 in1 トースターレンジ」は、2台置きしなくても、1台でトースターとしても、単機能レンジとしても便利に使えるものを……という発想で生まれた“スぺパ(=スペースパフォーマンス)家電”。見た目はコンパクトなレンジなのに、「トースト」「アレンジトースト」「パンのリベイク」「ピザ」と4種類のパン専用モードを搭載していて、パンに合わせた火加減でおいしく加熱してくれます。

裏返さなくてもトースト1枚が約4分でこんがり焼けるのは、庫内上部についている赤外線を放射する「管ヒーター」で食材(パン)の上面を、マイクロ波で発熱する「グリルプレート」で食材裏面を加熱するためです。

付属のグリルプレートにのせて焼けば、「トーストモード」でひっくり返さずに約4分でこんがりおいしくトーストできる

ユニークなのは、独自のセットメニュー提案をしていて、グリルプレートにパン以外の食材も一緒にのせて焼くだけでカフェのようなメニューができる点でしょう。例えば、バンズとバーガー用のパティをアレンジトーストモードで6~7分焼いて、野菜と一緒にはさめば本格バーガーの出来上がり。食パン、卵、ウィンナーをトーストモードで4~5分焼けば、手間なしでワンプレートの朝ごはんが出来上がります。

「アレンジトーストモード」を使うとバンズ&ミートを同時調理してハンバーガーを作ることも可能。調理時間は約6~7分

グリルモードもあり、グリル弱なら焼き芋やスコーンづくりに、グリル強ではグラタンに焦げ目をつけたり、揚げ物のお惣菜の温め直しにも。レンジは1,000W/600W/500W/200Wと用意されていて、出力や時間設定をダイヤルで操作する仕組み。これで一発温めの「オートモード」が付いていたらバッチリなんですけれどね。でも、これは慣れの問題かもしれません。

モード切替もレンジ出力切替も、時間設定もすべて直感的に操作できるダイヤル式。細部まで行き届いたデザインが美しい
神原サリー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立。現在は家電+ライフスタイルプロデューサーとして、家電分野のほか、住まいや暮らしなどライフスタイル全般の執筆やコンサルティングの仕事をしている。モノから入り、コトへとつなげる提案が得意。企画・開発担当者や技術担当者への取材も積極的に行い、メーカーの現場の声を聞くことを大切にしている。 テレビ・ラジオ、イベント出演も多数。