e-bike試乗レビュー
このまま歳をとっていくことが少し気になった人がe-bikeに乗ってみた結果
2026年2月20日 11:05
運動が苦手なまま歳をとると、なんというか「何もしない理由」だけが上手くなる。自分がまさにそれだった。
だけど、現在60歳。もう60歳というけど、この体はあと10年や20年は、これまでと同じように普通に動いてもらわないと困るのだ。こうした考えは60歳になってからではなく、50歳代の頃に少し感じていた。同年代や少し上の人が「最近、肩が上がらなくなってきたよ」「階段が辛くて」などと話しているのを聞いて、「そうそう」と思いながらも、この時期でそこまで衰えるのはやばいんじゃないか、という気持ちもあった。だから、それまでとは「違う何か」が必要なんじゃないかなと思っていた。
だからといって、急に生まれ変わったようにできるわけではない。そこで最初は、ウォーキング → 少し慣れてきたから軽く走る → 全部走る、という段階を考えていた。ここで誤算というか、まあ当たり前なのだけど、体の現状に対して負荷が高すぎて、膝や腰がすぐに痛くなってしまったのだ。そのためウォーキングはクリアできても、「少し走る」で早速つまずく。そして痛みが引くまで中断すると、痛みが消えるのと同時にやる気も消えている、という残念な状況になるのが自分だった。
e-bikeと出会い、「興味」のおかげで運動が持続する
さて、e-bikeの話だけど、ジョギングからいきなりここに来たわけではない。途中には普通の自転車も少し挟んでいる。自転車は自分の足で走ることよりも膝や腰への負担が少なく、それでいて長い時間の有酸素運動がしやすい。これはスポーツ自転車などをインターネットで検索すると、よく出てくるフレーズだ。もちろん自分も、最初はそんなヒントから自転車に乗ってみたのだけど、もともと自転車が好きなわけではないので、ランニングの代わりになる負荷としてしか見ていなかったと思う。
そんな時に乗ったのがe-bike。車種はベスビー「PSF1」。フォールディングタイプの20インチ車だ。これを借りて、片道10キロくらいの山道を登っていくという体験企画をやってみた。
これはまあ、大変だとは思ったけど、あくまでも企画なので「できなかったこともネタ」になる。途中で休むことも前提のひとつだった。ただ、どこかでは走りきってやろう、みたいな気持ちもあった。
結果としては、いい感じで上れてしまった。撮影があるので途中で止まったりはしたけれど、それは休みたいから止まったわけではない。だから自分の中での「止まった感」は薄い。それよりも何よりも、坂道を漕いで上ることができた感覚のほうが大きかったのだ。
これは「頑張りよりも楽しさの比率が高まった」状態だったかもしれない。そして、その感覚は、新たなやる気を生んだ。自分なりに調べていくと、自転車以上・オートバイ未満の乗り物としておもしろい部分があることや、そこに自転車で確立されている楽しみ方が、ちゃんと存在していることがわかった。そんなことからe-bikeに乗るようになったのだ。こうして考え直してみると、最初は体作りや体力低下を理由にしていたものが、最終的には「興味」が一番に来ているものになっていた。
これを踏まえて、ひとつの案としてここに置いておきたいのが、年齢などから体への不安がある状態なら「どうやって鍛えていくか」ではなく、そこで使うものの価値を考え、物への興味を入口にするのもいいのかもしれない、ということ。筆者の場合は、やれないと思っていたことをやれてしまった。e-bikeを、持っている体力の拡張性みたいなものとして捉えたことで、その存在が「避けることを選んできた人間が次のフェーズに行くための道具」として認識できたから始めたんじゃないかな、という分析だ。
そんな体験ができるe-bikeにはどんな種類があるかというと、筆者の中では大きく分けて3つになる。まずは小径車(ミニベロ)。主に街乗りを意識したモデルで、荷物を積みやすい、乗り降りがしやすいなど、実用性も兼ねている。そして価格帯的にも、手が届きやすいところからある。
次にロードバイクタイプ。これはサイクリングやトレーニングのために選ぶようなもので、走る・鍛えるといった役割を持っている分、日常性は削られている。その性質上、普段使いには少し向いていないし、疲れること(身体をしっかり使うこと)を前提に作られている節もある。
そしてマウンテンバイク(MTB)。こちらも役割がはっきりしていて、万人向けではない。悪路を走るためにサスペンションが付いていたり、タイヤが太かったりするので、車体重量も重い。車体が大きく、ハンドル幅も広いため、街中での取り回しは3タイプの中で一番やりにくいかもしれない。ただ、オフロードを走れることやサスペンションなどのメカニズムの魅力は非常に高く、可能性という面で好まれる要素を多く持っているジャンルだ。
こうした特徴を自分に当てはめて、どれが気に入るかを絞り込むのが、e-bikeを選ぶ方法のひとつだろう。だから、ここではどれがオススメとは書かない。
e-bikeで出かけたシーンを想像してみよう! それが続く秘訣かも
e-bikeを体験してきた筆者が感じる魅力といえば、まず「辛いところはアシストがカバーしてくれるので挫折しにくい」という点。負荷を下げてくれる効果は、運動を継続させるうえでかなり重要なポイントだと思っている。やせ我慢の限界を超えにくいのだ。
そして、それなりの努力をしながらA~B地点まで走っていくので、満足度はちゃんと得られる。しかもそれが自転車でやってのけたことになるので、どこか自慢げな気持ちにもなる。「でも乗ってるのはe-bikeじゃないか」という意見もあるだろう。けれど当事者はこう考えている。「辛いところだけカバーしてもらっている」だけで、それ以外は自分で漕いでいる。辛い部分は全体の中では少しなので、気分的には「自分で走ってきた感覚」のほうが、アシストを受けたときの楽さを上回る。そんな感じだ。
では次に、e-bikeを買う段階を想定した話。正直なところ、値段は高いと感じるかもしれない。ミニベロで20万円~、筆者が乗っているベスビー「JGR1.1」は、だいたい40万円だ。これを自転車として見ると、一般的な感覚ではかなり高い。
ただ、スポーツ機材や趣味的な自転車(ペダルバイク)も、一般的な自転車より高額な設定になっている。そもそも自転車の値段は、設計や部品のレベルによって決まる。スポーツ機材や趣味的なものは、そこにお金がかかっているから高額になる、ということだ。
一方、低価格の自転車は、使われている部品が安いという理由だけでなく、フレーム設計そのものを既存のものから流用しているケースも多いらしい。モノづくりにかかるコストを抑えた分、低価格設定が可能になるので、スポーツ機材との価格差は広がっていく。
ここまでで、同じ自転車でも「目的が違う」「想定するユーザーが違う」ことがわかると思う。この感覚を持ったうえで、e-bikeが高いかどうかを自分の感覚で判断し、納得できる価格帯のものを選べばいいんじゃないかと思う。価格帯へのフィルターは経験値によって変わってくるので、例えば最初の1台に20万円クラスのe-bikeを選び、それに乗った結果「お値段以上」と感じられたら、その20万円縛りは自然と外れて、次の価値観に合った価格帯を探すようになるんじゃないだろうか。
今回は「e-bikeでどこかに行ってきました」という話ではなく、e-bikeをどんなふうに見たらいいのか、という話をしてみた。最後にひとつ。少し前に「オススメは書かない」としたけれど、それだとイメージが中ぶらりんになるかもしれないので、参考までに触れておくと、「e-bikeで出かけてみたいシーンを想像する」といいんじゃないかと思う。














