ぼくらの自由研究室

初心者が超練習しやすい時代になっていたから、40年ぶりにギターを再開してみた!

40年ぶりにギターを再開して驚く

1970年代の日本はフォークソング・ブームで、身近にもフォークギターを弾く人が多々いました。1970年代後半の筆者は中学生で、友だちと一緒にフォークギターなんかを弾いたりしていました。

それから約40年。ギターで奏でられた美しい曲を数曲、立て続けに聴いたのをきっかけに、久々にギターを弾いてみたくなりました。でも……中学生のころもたいして弾けなかったし、もはや若者的集中力もナイし、コードもろくに覚えていないし、と、少々ネガティブな気分に。

でもまあ、とりあえず、今時的ギター事情について調べてみよう! 今は40年前と違ってネットがあるしネ♪ というわけで、そのキレイな曲やら、今時のギターの値段やら(←買う気アリ)、あるいはコードとか譜面とか、そんなことについてザッと調べて、アラびっくり!

凄いことになっていました。時代が変わっていた。ギターを再開するには都合が良すぎる時代に♪ これなら速攻でギター買って練習し始めるしかナイ!!!! と思ってギター買っちゃいました。

現在が、ギターを始めるにおいて「学習環境整いまくりの好都合時代」になっているのを知り、さっそく買ったギターがこれです。ヤマハの「サイレントギター」シリーズの「SLG200N」。弦の響きを電気的に増幅するタイプのアコースティックギター(エレアコ)です
カラーは3色。不思議な形の中空ギターで、生音はエレキギターの生音より少し大きい程度で静か(なので夜間練習も可能)。アンプやヘッドホンを経由して出る音は、かな~りアコースティックでいい音です。このギターについては筆者の別連載記事に書きました

このヤマハのエレアコがですね……って、今回はモノの話ではありません。ギターを習得するにおいての、環境の話。

ここ10年くらいでギターを練習し始めた方や鋭意プレイ中の方ならご存じのとおりですが、ギター入門をとりまく環境が「昔とはまったく違う」んです。非常にいい意味で違っていて、いわば「ギターを習いやすい環境」が整いまくっています。筆者の体感では、40年前の100倍くらい「習う側に都合良く」なっているような気がします。

まあ、昔と比べて100倍速くギターが上達するわけではなく、当然ながら練習の積み重ねは必須です。けど、いや~まぁホントに、練習のための情報がたっぷりあり、選びやすく、集めやすい。なるほど~、だから最近ではギターを始める・再開するって人が増えたのかも? とも思います。

ギターTAB譜がいっぱい!

何かの曲をギターで弾こうとした場合、近道のひとつは、曲を聴きながらTAB譜を見て練習する方法だと思います。TAB譜(タブふ;タブラチュア)は、楽器の演奏方法(運指など)を図示したような譜面で、ギター用TAB譜の場合は「どの弦の何フレット目を指で押さえて、どの弦をどのタイミングで弾くか」が明記されています。たとえば下のようなものです。

ドイツ民謡「小鳥は来たよ」のギター用TAB譜(Wikipediaより抜粋)。下側がギター用TAB譜で、6つの線は上から1弦・2弦……5弦・6弦を示します。最初の「2」「0」を例にすると、数字が乗っている線が押さえる弦を示し、数字が押さえるフレットを示します。この「2」「0」は、3弦2フレット目と5弦0フレット目を押さえ、それら弦を同時に鳴らすことを意味します(便宜上0フレット目と書きましたが5弦は押さえず鳴らすだけという意味です)

TAB譜を見れば、どこに指を置いてどの弦を鳴らせばいいのか、手っ取り早くわかるというわけです。TAB譜だけで弾こうとする場合、上の楽譜の拍子記号なども多少読めないと音を鳴らすタイミングや長さがわかりません。でも、曲を流しつつTAB譜を見れば、楽譜が読めなくても弾けちゃったりします。

昔と比べ、こういうTAB譜が、じつに手軽に入手できるようにりました。40年くらい前にギター用TAB譜と言えば、楽器店や書店やレコード店で楽譜本として売られていた感じ。その本に目的の曲のTAB譜が含まれていればいいんですが……そういうTAB譜って有名な曲だけだったりします。目的の曲のTAB譜を手に入れるのは、昔はなかなか難しかったのでした。

ところが現在ではネットでTAB譜を入手可能。有名な曲はもちろん、ややマイナーな曲のものも多くあります。探し方は「ギターTAB譜」で検索する程度。TAB譜掲載サイトが多々ヒットしますし、無料のTAB譜も多々。有料のものも多々ありますが、1曲100円前後で買えたりします。

また、近年のビンテージ・エレキギターブームもあってか、紙のTAB譜掲載本もとても増えたような気がします。そういったTAB譜掲載本には、TAB譜どおりの演奏を収録した音楽CDが付属していたりしますが、演奏のサウンドをダウンロードする形式のものもありますネ。紙のTAB譜を買い、演奏をスマホにダウンロードし、それらを見聞きしてギター練習。これも今の時代ならではです。

TAB譜TAB譜って我ながらウルサイですが、TAB譜は趣味でギターを弾き始めるのにとても重要な存在だと思います。何しろ楽譜がほとんど読めなくても弾けますし、運指が手っ取り早く習得できます。「とりあえずこの曲弾きたい!」という人の強い味方。「ひとりで、いつでも」という感じで習っていけるのも良いところですね。

そんな好都合ツールことTAB譜が、ネット時代の現在、家に居ながらにして、昼だろうが夜だろうが、入手し放題。素晴らしい時代です。

ノウハウもあるし、レッスン動画もある!

40年前は、ギターを弾き始めるとき、教本の類を読んだり、ギターができる友人知人に習ったりしていました。本気度の高い人は教室に通ったりもしていました。

しかし現在は、習い始めもネットを利用できます。たとえば「ギター入門」で検索すれば、ギターに始めて触れる人などへ向けた知識やレッスン方法を掲載したサイトが多々ヒットします。また、そういったサイトで知らない単語があったり、楽譜の読み方がわからない場合でも、さらにそれらについてネットで調べていけます。昔と違って「ひとりで習い始めても壁にぶつかりにくい」という気がします。

もちろん、本格的にギターを学ぶなら、間違った知識やおかしな癖がつく前に、「ギター教室」で検索すると多々ヒットするヤマハとかのギター教室に通うのがいいかもしれません。しかし、現在ではYouTubeなど動画配信サイトで、プロだったりプロ並みだったりする人がギターの弾き方をレクチャーしていたりも。

YouTubeで「ギター入門」をキーワードにして検索してみました。ギターの弾き方を詳しく教えてくれる動画が多々ヒットします。ギター教室講師や現役プロの方々も。動画なので視覚・聴覚も動員してギターの弾き方を理解していけます
こちらは、YouTubeで「ギター 名曲 TAB譜」で検索したところ。ギターで弾いた名曲が多々ヒットし、どれもギターTAB譜付き。「曲名」部分にギターで弾きたい曲名を入れれば、これまた凄い数のTAB譜入りギター演奏動画が! 物凄い手っ取り早さで「弾きたいあの曲をコピー」できる環境です

もしギターで弾いてみたい曲があれば、検索してみてください。「おっ、こう弾くのか……これならできそうかも!」と思うかもしれません。いや筆者はそう思っちゃったので速攻でギターを買っちゃったんですけどネ! 現在ネット動画を見て練習中です♪

しかしまあ、ホントに凄い時代です。ネット動画でTAB譜付きギター演奏って言ってますが、これ、全世界からの動画です。好みの弾き方だけつまみ食いしても、有り余る量のレッスン動画やノウハウ動画がありまくります。

いつでも、どこでも、何どきでも、TAB譜や指の動きを見ながら世界の先輩ギタープレイヤーから学べますし、飽きたら途中でプイッとやめちゃってOK。何とまあユーザー本位な感じ。ともあれ好都合なので、鋭意前のめりで利用したいですネ!

豊富な音楽が身近にある

個人が趣味でギターを弾く。ギターでなくとも、音楽を演奏したり歌を歌ったりするのは、なぜか? とか書き始めるとなんか哲学的な雰囲気ですけど、単純に「いい音楽」を聴いて心が動いたから、自分でもその曲を奏でたくなることが大半だと思います。筆者がギターを弾きたくなったのは、素敵なギター演奏を聴いて「あ~いいなあ自分でも弾けたらな……弾いてみたいなあ」と思ったからです。

要は「楽器演奏したい欲」を高めるのが「いい音楽」という感じですが、そういうモチベーションの源泉があちこちから潤沢に湧き出しているのも、いまこの現在です。何しろ、音楽がとても身近に、タ~ップリある。また、そんな音楽がネット上で音以外の情報ともつながっています。

たとえば音楽ストリーミングサービス。無料感覚で聴き放題ってイメージですが、新しく「いい音楽」に触れるにも適したサービスです。「こんなアーティストがいたのか~! ほかの曲も聴いてみよう」とか。使うネットメディアによっては無料だったりしますし、「ほかの曲」へもすぐアクセスできる現在です。

動画から音楽へ、というルートも。何となく無料動画を見ていたら「おっこのサウンド、いい!」みたいなことがあります。そしてちょっと検索すると、アーティスト名や曲名が判明。既にその曲がネットで買えるということも多々。曲の最初から終わりまでを公式PVで聴けることも多いです。

あるいは、40年前の曲を当時のミュージック・ビデオで聴けたり、大物アーティストの発売前新曲を聴けたり、未知のアーティストが知らない言語で歌う謎の曲を偶然聴いちゃって妙な気分になれるのも、現在のネットならでは。昔はこうはいきませんでした。

40年前、中学生のころに、新しい音楽に触れるのって……テレビ・ラジオ放送とか、友人知人が持っていたレコードとかテープとか、あと街角でたまたま知った曲くらい? そういえば中学1年のころ、学校でブロンド色白ヤンキーの日本人不良少女が、持ち込み禁止のラジカセで音楽流してて、その曲が非常に良かったので勇気を出して「そ、その曲ってナニ?」と話しかけたら「あン? ブロンディだよ」とハの字眉で答えてくれつつも、ソレが「Heart Of Glass」だと教えてくれたり「いい曲だね」と話が進んだりしたコワタノシイ体験を思い出しましたが、そんなような限られた接触でしか、いい音楽と新たに巡りあえなかった40年前なんでした。

話が脱線しましたが、40年前と今とでは、音楽に触れられる機会がまるで異なります。いや、ネットで豊富な音楽と触れるという観点ですと、15年くらい前と現在では全然違う。現在は人類史上最も音楽にアクセスしやすい時代だと思いますが、いい音楽に触れやすいという意味で「人類史上最も演奏したい欲が高まる時代」だとも思う筆者なのでした。

これはいい音楽だ! 奏でたい! 歌いたい! じゃあネットで検索! ふむふむ、うひっ、こうやればいいのか~♪ と、そんな滞りない流れができている環境。現在は、楽器演奏入門には最適な時代のような気がしますので、ご興味あらばぜひ!

スタパ齋藤