2018年3月26日 06:00
電動アシストMTB凄い! 自分にプレゼントしたいっ!
新年度を迎えるにあたって、なんかこ~自分を少し変えたい! とか思ってアレコレ考えていましたら、あ~イマドキのスポーツ自転車が欲しいかも~、と。筆者が最後に買った自転車は、2011年のフルサスペンションMTB(マウンテンバイク;山道も走れる自転車)。それから7年経ち、イマドキのスポーツ自転車を調べてみたら、イロイロと進化してました。
そんななかでも超注目しちゃったのが、電動アシスト機能を搭載した本格スポーツ自転車。日本ではまだ数えるほどしかありませんが、海外では「e-Bike」と呼ばれて大流行中のようです。ともあれ、スポーツ自転車の走行ポテンシャルを持ちつつ、ペダルを踏む力を電力でアシストしてパワーアップしてくれるんですから、な~んか期待しちゃいます!
というわけで、現在絶賛発売中でかなり売れちゃってる国産電動アシスト・スポーツ自転車こと、パナソニック・サイクルテックの「XM1」に試乗してみました!
試乗と言っても、30分くらい乗って云々じゃぁアレですしナンです。今回はメーカーに無理を言ってやや長期間お借りしました。それでも天候の都合などあって実際に試乗できたのは3日間。そんなわけで以降、3日間ジックリとXM1で走ってみての印象をレポートしてみたいと思います。
とか言いつつ、まずはイキナリ、XM1に対する印象を言ってしまうと、電動アシストスポーツ自転車、すっご~い! XM1サイコー! もーコレ超絶欲しい! 自分にプレゼントしちゃおうかなマジで! という感じです。
予想では「剛性が十分高くてスポーツ走行に向くMTBで、電動アシストで山道もけっこう上れるんだろうな~」という感じでしたが、いやいやいやいや! もっともっと凄かった! これまで無理レベルの激坂をアッサリ上るわ、長距離走るのも楽しいわ、なんかこう、バーッと明るい展望が開けて、「XM1でもっともっと走りたい!」というポジティブな衝動が生まれまくり! ある種の感動さえある良さですっ!
まあ、ともあれ、落ち着け>筆者。そして冷静にXM1試乗レポを。今回は3日間、フル充電したXM1でシチュエーションが異なるコースを走りましたので、それぞれについて書いてみます♪
DAY01 運動不足の体でサイクリングロードを25km走行
まずは初日。じつは筆者、ここ1年以上自転車に乗っておりま……いや、2年近く乗ってないんでした。自転車ハイシーズンに多量のヤボ用を抱えたり、オートバイやクルマに浮気したりで……って、まあ言い訳は置いといて、自転車関連の筋肉とかそーゆーのがない、運動不足状態。XM1の試乗にあたって、一応は自転車借りる4日前くらいからスクワットしたりしましたが、まあともあれ試乗開始。
あ、XM1のパーツ構成やジオメトリなど仕様については、ココではほぼ触れませんので、メーカー公式ページをご覧ください。また、実車に触れてみたい乗ってみたいという方は、試乗会情報やXM1販売店情報をチェックしてみてください。
さて、初日は、平坦なサイクリングロードを走ることにしました。急に山道走るとか遠出するとかして足痙ったりするのもヤだし。平坦なサイクリングロードとはいえ、河川敷と堤防を行き来する道なので、所々アップダウンがあります。
XM1で走った感触ですが、ママチャリ系の電動アシスト自転車とはまったく別モノという印象です。また、ママチャリ系から派生したスポーツ寄りの電動アシスト自転車ともかなり違う。
違いは、まず車体の剛性です。ママチャリ系のアシスト自転車だと、ペダルをガンガン踏むとすぐに「車体のフニャフニャさ」が感じられますが、XM1にはそういうのが全然ない。ガッチリしていて頼りがいがあります。一昔前のスポーツ系電動アシスト自転車の乗り味を思い出しても、XM1のようなガッチリ感シッカリ感はなかったように思います。
また、重量バランスにも不自然さがない感じ。車体を持ち上げれば重いんですが、走行中に「このあたりが妙に重い」という感じがしない。まんべんなく重い、というとヘンかもしれませんが、「ここが特に重いから、こういう動きに違和感がある」みたいなのがないように思いました。
あとXM1、フロントサスペンションのロックアウト機構があって、手元のレバーでサスのオンオフを切り換えられて、これがとても実用的。たとえばサイクリングロードのような平坦な道を走るときはサスを固定したほうがラクですが、段差が多い道やキレイでない下り坂なんかを走るときはサスを使ったほうが快適・安全に走れます。それを手元で切り換えらえるのはとてもイイ。今のMTBのサスペンションはロックアウト機構を持つものが少なくありませんが、手元で切り換えられるタイプが搭載されているあたり、さすが高級自転車です。
走ったときの「ラクさ」ですが、走り出しと登坂がとてもラクです。XM1は10段シフトでギア比には比較的に幅がありますので、「いきなり始まる激坂」みたいなところでも力強く上り始めることができます。スピードの乗りもよく、やや高いギア比で走り出すと、ペダルを4~5回踏むと「もう20km/h以上になっている」という感じ。
ただし、ほかの日本国内用電動アシスト自転車と同様に、アシストが効くのは24km/hまで。また、10km/hまでは人力の2倍のアシスト力が働きますが、それ以降はアシスト力が減っていきます。
スポーツ自転車でサイクリングロードを走行すると、20km/h以上で走ることが多く、30km/h前後で巡航することも少なくないと思います。XM1でそういう速度域で走るのも現実的ですが、24km/hを超えるとノーアシスト。XM1の完成車質量は21.8kgもあり、スポーツ自転車的な速度域で走り続けようとすると「重い自転車をガンガン前のめりで漕ぐ」みたいな感覚に。
電動アシストのスポーツ自転車は、確かにラクに走れる部分もあるんですが、スピードを出そうとすると重さが仇となって、体力的にキツいです。逆に言えば、電動アシストのスポーツ自転車は、ゆっくりめで走るとラクではあるものの、速く走ろうとすると「ライダーがかなり鍛えられちゃう自転車」だとも言えましょう。XM1の場合、スピードを出しやすいギア比というわけでもありませんので、速く走るために乗るのは違うかな、と。
てなコトを感じながら、この日の試走は終わりに近づき、最後のちょっとした激坂を上がることに。スポーツ自転車ならギアを軽くすれば上がれる坂ですが、ママチャリだと立ちこぎしないと厳しい感じの坂です。XM1ではどうかといえば、もう平然とスイスイ上れちゃいました!
あら楽しい! ということで、ツイデに別の激坂も。ここはたいていの人が自転車を押して上がる長くキツい坂。スポーツ自転車のライダーの場合、脚に自信のある人は上りますが、そうでない人は避けて通る坂。XM1の場合は……ここもラクに上れちゃいました! まあ少しはハアハアと息が早くなりますが、グイグイとアシストしてくれて完走。
ちなみに、XM1の電動アシスト・モードは「HIGH」「AUTO」「ECO」「NO ASSIST」の4つがあります。それぞれのモードで働くアシスト力は以下のとおりです。
モードをHIGHやAUTOにし、上り坂や上り激坂にて10km/h以下で上っている場合、たいてい最大のアシスト力が働きます。このとき、低めのギア比でグイグイとペダルを踏むと、も~の凄くアシストしてくれる感じになり、笑っちゃうほどラクに登坂。でも調子に乗ってもっと漕いで速度を上げたりすると10km/h超えてアシスト力が落ち、上るのが苦しくなったり。そのあたりのギア・速度調節は電動アシストのスポーツ自転車独特のものがあるように思います。
さておき、初日の試走は終了。走行距離は約25kmで、電池は80%以上残っていました。走行後、体は全然疲れていない感じ! と思いましたが、足腰にキてる雰囲気。XM1があまりにもよく走るので、調子コイちゃいました♪
DAY02 前は無理だったトレイルが全部ラク!
初日のXM1の印象は、とにかく坂道をラクに上れるということでした。電動アシスト自転車での登坂試乗は何度も行いましたが、XM1は「かつてないほどラク」という印象。ということで、試乗2日目は近所のトレイルに行ってみることに。山道です。
トレイルは2コースあります。1本目は、わりと楽しんで走れる系のラクなトレイルですが、そこに着くまでに車道の急坂と、トレイル直前まで行くかなり急な歩道があります。トレイル自体より、そこに着くまでの道がツライという感じです。
さて、その1本目トレイル、XM1ではどうなのか? 結果、車道の急坂も、トレイル直前までの急な歩道も、平然と走破。筆者的には「マジか~!」と驚ける結果です。同時に「えっ、こんな短い坂道だったっけ?」という錯覚も生じました。
続いて、ユルめのトレイル。全然問題なく走れます。アップダウンというか凸凹が多く、木の根も多く出ているダートを走りましたが、さほど頑張らなくてもどんどん突破していけるという感じでした。
ユルめのトレイルと言っても、MTBじゃないと無理なダートがあるところ。人力だけだと速度調節や凸凹乗り越えに体力をかなり使う感じですが、電動アシストだとグイグイ突破していけて、とてもラク。車重が重いからか、凸凹道を走るときの安定性も高く感じられます。
筆者の場合、凸凹乗り越えなどは低速で行いますが、そういう速度域だと十分なアシスト力が発揮されて疲れないようです。MTBと電動アシストって、なんか相性が非常にいいのかもしれません。
さておき、次の山。けっこうアップダウンがあるトレイルで、そこに到着するまでも坂道多め。やや急な車道を上り、さらに急な舗装林道を上ってトレイル入口に。トレイルは、なだらかな箇所もありますが、計画的に速度コントロールをしていかないと坂に阻まれて自転車を押すハメになりがち。
じつは筆者、このトレイルに何度も挑戦していますが、いつもどこかで玉砕してきました。最初の舗装林道がキツめなので、たいていどこかで自転車を押して上る。トレイルに入っても、木の根が多くて坂もキツいエリアだと、体力と自転車のコントロールがうまくマッチせずに足を着き、結局自転車を押したりして。
そんなトレイルにXM1でリベンジというわけですが、最初の車道上りも舗装林道上りも驚くほどスムーズに登り切れちゃいました。低速で上る感じですが、まあ何しろXM1が力強く進む。この時点で「もうXM1買ってココを毎日楽しく上っちゃおうかな!」という愉快な気持ちになりました。……それまでは「挑んでいた坂」なのに、です。
トレイルに入ると、やっぱりそう甘くないキツめアップダウンがあるわけですが、XM1だと「頑張るとやや余裕を残して突破できるレベル」です。また、普通のMTBで走っていたときは、気を抜くとフロントが浮いて滑って「わっヤバっ」みたいなコトが多めでしたが、XM1だとフロントが浮きにくい気がしました。車重が重いから?
かなり夢中になって走ったので写真が少なくてすみませんが、いや~楽しい! XM1だと「これまで無理」だった山道が、「こうすれば行ける!」に変わる。たびたび変わる。変わりまくる。もう近所の丘陵が全部ターゲットに見えてきましたよ♪
さて、この日はその2つのトレイルを走って帰宅。走行距離は短めで約16km。電池は80%以上残っていました。電動アシストとは言え、とりわけ2本目のトレイル走行中にはそれなりの急登坂が多々あり、そこでは最も軽いギアで漕ぎまくり。息が上がりました。「無理だったトレイルが自分にも走れるトレイルになった」のは確かですが、体力はそれなりに奪われました。
はぁ疲れた! でも超楽しい♪ やっぱ電動アシスト・スポーツ自転車を買うしか!
DAY03 XM1を都内まで返却に~約43kmを走る
最終日となる試走3日目。試走しつつXM1を返却ということで、拙宅から都内までXM1で走って行くことにしました。その距離約43km。けっこー遠いです。
結果、わりとスムーズに都内まで行けて、XM1を返却することができました。平坦基調で所々が下りなので、高低差的にはラクなんですが、途中に信号が多々あります。普通の自転車だとストップ&ゴーが多いのでそのぶん疲れると思いますが、XM1の場合は走り出しに力強い電動アシストが働きますので、わりと軽快に走れちゃいました♪
ともあれ、その様子を写真で。ダイジェスト的に。
ダイジェスト写真、イマイチおもしろくなかったですね。すみません。
ともあれ、都内って案外急なアップダウンがあり、上り坂ではXM1のアシストが非常にありがたく機能してくれました。また、状況に応じてフロントサスをロックアウトできるのも便利。27.5インチというタイヤサイズもいいですね~タイヤを取られにくいし段差を軽く上がれるし。あとXM1、ブレーキもガッツリ効いて安心感があります。
余談ですが、43kmという距離は、ある程度スポーツ自転車に乗っている人にとっては、2~3時間くらいの距離」で「足慣らし感覚で走れる距離」だとは思います。今回XM1を返却しに都内まで走るにおいて、じつはバックパックにXM1用充電器と予備サドル+シートポストと工具とチューブなどを入れ、ショルダーストラップにはカメラを装着していましたので、バックパックの重さは10kgくらい。XM1の完成車質量は21.8kgあり、長距離走行においては「ヤケに重い荷物と自転車質量」です。
そしてライダーの筆者の体重は100kgオーバー。全体的にかなり重いのに加えて、2年ぶりくらいの長距離ライド。でも「あー楽しかった!」みたいな気分で快適に走り切れたんですから、やっぱりXM1の電動アシストって凄いな~と思います。43km走った直後に「やっぱりそのままXM1に乗って帰ってネ」と言われたら、一休みして引き返せたと思います。そのくらい、XM1は巧くアシストしてくれました。
XM1で電動アシスト自転車に対する考えが少し変わりました。ラクに走れるのは確かなんですが、それはそれとして、「もっと先まで行ける」というリアルな可能性を与えてくれる。到達できなかった場所へ行ける、行けなかった高さまで上れる、「無理だ」が「できるかも!」に変わる。素晴らしい。やっぱりこの自転車マジで超欲しいです!
というわけで、ウワサ以上の走行性能と楽しさを発揮してくれたXM1。興味があればぜひ試乗してみてください。ホントにキてますからコレ。