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本気でe-bikeが欲しい! でも不安だらけの初心者がプロショップで選び方を聞いた
2022年7月13日 08:05
ここ数年のコロナ禍で自転車人気が高まっています。ようやく行動制限のない日々に戻りつつありますが、「電動アシスト自転車やe-bikeで通勤したい」「密を避けたアクティビティでe-bikeに興味がある」「e-bikeって初心者でも問題なく乗れるの?」といった相談をされるケースも増えてきました。我々もこれまでスポーツバイクとは無縁だった人たちがe-bikeに非常に興味を持っているのを実感しています。
今回は同じような気持ちを抱いている埼玉県在住の伊藤さんの事例をご紹介します。これまでは特にこだわりもなく、1万円台のシティサイクルを愛用しているそうです。もちろん、スポーツバイク経験もありませんが、密かに目を引かれているのがe-bike。この数年でe-bike市場が盛り上がっているので、単純に興味を持ったのがきっかけだそうです。一般的な電動アシスト自転車と比較しても、本格的なスポーツバイクの機能と専用のドライブユニットを搭載するために価格も高い。でも、調べれば調べるほどe-bikeへの興味と欲求が高まっていったそうです。
とはいえ、「初心者でもe-bikeに乗れるのか?」「何を基準に選んだらいいのか?」「どんなお店で購入したらいいのか?」など不安も付きまといます。当然です。そこで、後悔しないためのe-bikeや購入時のショップ選びなどのポイントを知るべく、勇気を出して初めてプロショップを訪問した体験談をお届けします。
そもそもスポーツバイクはママチャリと何が違う?
伊藤さんが訪れたのは「バイクプラス所沢店」。購入後の防犯対策なども含めて初心者が気になる疑問のすべてを店長の宮﨑 早香さんに伺うことに。ちなみに、関東で6店舗を展開するバイクプラスは、初めてスポーツバイクを購入する初心者でも気軽に入りやすい雰囲気の自転車専門店。関東圏に6店舗を展開しており、学生から60代以上の方まで、幅広い年齢層のお客さんが訪れています。伊藤さんもあまり緊張しなかったとのこと。
「20~30代のお客様で“スポーツバイクに憧れて”という方は多いですし、子育てが落ち着いて、久々に昔乗っていたスポーツバイクに乗ってみようという年配の方にもe-bikeは人気ですね。外出の機会が減ったコロナ禍では、移動手段や運動不足解消として注目され、ジム通いや電車通勤をやめて自転車に切り替えた方も多い印象です」と宮崎さん。
伊藤さんは最初にe-bikeのデザインに惹かれたそうです。e-bikeをはじめスポーツバイクの“カッコ良さ”はわかりやすい魅力ですが、もちろん性能や機能面でも大きな違いがあります。
「スポーツバイクの特徴は車体が軽く、乗車の姿勢が前傾になっており、ペダルを漕ぐ力を効率良く伝える設計になっていることです。自分でペダルを漕いだ分だけ、加速するような感覚でスピードが出やすいですし、長距離の移動しやすさ、乗り心地にも優れています。シティサイクルで移動するには大変に感じる距離もあっという間に移動できるので、行動範囲が格段に広がります」と宮崎さんも実感しているそうです。
スポーツバイクには「マウンテンバイク」「ロードバイク」「クロスバイク」の大きく3タイプに分かれており、それぞれの車種によっても特徴が大きく異なります。
「マウンテンバイクは名前のとおり山道を走ることに特化した自転車です。岩場などもある登山道やオフロードのコースを走るなど、レジャー的な楽しみ方ができます。ロードバイクは舗装路をとにかく速く、長距離走ることを追求した自転車です。スポーツ競技としても人気なのでロードバイクに乗りたくて、街乗り用の自転車として買われる方もいます。ロードバイクとマウンテンバイクの特徴を併せ持つクロスバイクは、シティサイクルの延長線上に一番近い車種と言えるかもしれません。最近は学生の通学用としても憧れの自転車で、シティサイクルよりもずっと速く走れるので、フィットネス的な楽しさも味わえます」
クルマでもSUVを街で活用する人がいるのと同様に、街乗り用途なら見た目の好みやこだわりなどを優先しても問題ないでしょうし、車種に迷っている場合はこうした特徴を参考にしてみては。楽しいのが一番ですから。伊藤さんも納得されていました。
本格体な走行を楽しめる! e-bikeのドライブユニットは何が違うのか?
子乗せモデルで人気の電動アシスト自転車とe-bikeは何が違うの? これまでにもe-bike Watchでも紹介してきましたが、あらためて宮崎さんにも伺ってみました。
「お子さんや重い荷物を乗せることを想定しているシティサイクルは、転倒の不安をなくすため、安定感を重視した設計になっています。10km/hほどの遅めのスピードでも安定感を出すために、前後のタイヤの距離は長め。ハンドルも安定しやすい形状で、低速で漕ぎ出した時でもパワフルにアシストしてくれます」
長距離も快適に走りやすく、しっかりペダルを漕いで運動ができるスポーツとしての楽しさも考えて設計されているe-bikeのドライブユニットでは、どのような特徴が挙げられるでしょうか? と伊藤さんも真剣でした。
「e-MTBは基本的に荒れた山道もゴリゴリ上っていくことを想定しているため、速度域は15km/hほどとスポーツバイクでは少し遅めですが、しっかりパワーが出るモーターが採用されています。重量は少し重たい代わりにバッテリー容量は大きいです」。e-MTBを体験した方は実感できるでしょう。
ロードバイクタイプのe-ロードはスポーツ嗜好がより強い車種ということもあり、まだ展開するメーカーは少ないです。ヤマハやスペシャライズド、キャノンデール、BESVなどが展開していますが、バッテリー容量やドライブユニットの重量に各メーカーがこだわって開発・選択しています。伊藤さんはこの日初めて、ドライブユニットメーカーによっても特色があることを知ったそうです。
「例えばe-MTBでも最高峰に位置するトレックの人気モデルRail 9.7ですが、ボッシュ製のドライブユニットは、スポーツバイクに乗る楽しさを邪魔せず、アシストしてくれます。ペダルを踏むとスムーズにアシストが効いて進み、ペダルを踏むのを止めるとすぐアシストもしなくなるという、自転車の基本にあくまでも忠実で、ペダリングの直感的な感覚にアシストがぴったりとついてきてくれる。e-bikeに初めて乗る方や長年の自転車愛好者からも高く支持されていますね」と宮崎さんもお気に入りのようです。
さて、宮崎さんにもアドバイスをいただきましたが、e-bikeは試乗で体感して理解できる乗り物です。我々も日々記事を作成していますが、文章よりも体験がもっとも効果的と実感しています。
「e-bikeに限らず、スポーツバイクはメーカーによって乗り心地が違うので、お店で購入前に試乗して、違いを体感することをオススメします。フレームの素材が違うもので乗り比べたい、クロスバイクとマウンテンバイクなど車種ごとの感覚の違いを掴みたいという方も多いですね」
実際に近所で試乗可能なショップがあるなら、ぜひ試乗をオススメします。イベントでのフラットな短いコースでの試乗とは異なり、実際に街である程度の距離を走るだけでも得られる感覚はあります。停車時からの発信、身近な急坂、信号もなく人混みの少ないサイクリングロードなどなど、さまざまな路面やシチュエーションでアシストを切り替えて走ってみてください。
最近ではクラウドファンディングでのe-bikeも話題になりますが、アフターメンテナンスも考慮しておく必要があります。伊藤さんはオンラインではなく店舗での購入のメリットも気にしていました。
「乗れば乗るほどチェーンは摩耗しますし、タイヤも時間とともに劣化していきます。走行距離や使い方にもよりますが、タイヤは1~2年で交換することが多いです。自転車を買ってからお店との関わりが始まると言ってもいいかもしれません」
自転車として“次元が違う”e-bikeの魅力とは?
スポーツ走行の楽しさを追求し、最適化されているスポーツバイクはギアの枚数も多く、シティサイクルと比較するとチェーンが細いことを学んだ伊藤さん。特にe-bikeはチェーンに大きな力が掛かりやすいため、チェーンやギアの摩耗などは普通の自転車より少し早い傾向にあることは理解しておきましょう。
自身でメンテナンスができない人は、使い方次第ですが理想は3カ月ごとのペースで、最低でも年1回は点検を行ないましょう。おそらく多くのオーナーさんが購入した店舗でお世話になっているでしょう。もし引っ越しなどの場合は、信頼できるショップを早々に見つけておきたいですね。
「新車のクルマを購入時に1カ月後に初回点検があるのと同様に、購入後、約1カ月を目安に初期点検をお願いしています。初めて自転車に力や衝撃が加わり、変速のためのワイヤーの緩みが急に出てしまう可能性もあるので。そういう場合はきちんとギアが切り替わるよう、ワイヤーの張り具合を微調整します。定期的に点検・メンテナンスすることで、結果的にパーツも長持ちもしやすくなりますよ」
さらに、バイクプラスでは初心者講習会なども充実させていますが、積極的にイベントを開催するショップもあり、スポーツバイクを通じて仲間の輪が広がっていくこともあります。これからe-bike生活を検討中の伊藤さんも興味津々でした。
電動アシスト自転車はスポーツバイク専門店なくてもネット通販や店舗でも購入できます。その一方で、スポーツ自転車やe-bikeを購入する際には「バイクプラス」のような専門店は最初の1台を選ぶ上で非常に頼もしい存在です。実際にe-MTBを愛用する宮﨑さんにe-bikeの魅力をあらためて伺いました。
「“最高です”の一言に尽きます。自転車の弱点である上り坂の快適さを一度体感すると、e-bike以外は乗れませんね。普通のバイクで息を切らせて上っていく人たちを尻目に、普通に会話しながら上れてしまうので。“今日も楽しかった”という感じで毎回ライドを終えられる一方で、自転車に乗って運動している感覚もしっかり味わえます。街中を走っていると本当にクルージングしている感覚というか。シティサイクルや普通のスポーツバイクで頑張って漕ぐ感覚とはちょっと次元が違う体験ができます」と笑顔。
初歩的なことが中心でしたが、次回はあらためて実際に伊藤さんがe-MTB「Rail 9.7」でのスポーツバイクデビュー、購入後のメンテナンスや関連アイテムなどの続編をお届けします。