家電トレンドチェッカー

元プロレーサーに聞いた!! 初心者のためのe-bikeの選び方

 昨年から様々なモデルが登場し、ますます注目が高まっているe-bike。e-bike部でもロケをしていると、以前に比べて「これは電動スポーツのモデル?」「操作は難しくないの?」「どうやって選んだらいい?」と一般の方から声をかけられることも増えている。マウンテンバイク、クロスバイク、ミニベロタイプのe-bikeも充実してきたが、ドライブユニットが同じならどのe-bikeもそんなに変わらないんじゃないの? という読者も少なくないだろう。

こちらはトレックの最新e-bike「Dual Sports+」。すでに品薄状態になるほどの人気だという

 そこで、ヨーロッパで活躍していた元プロレーサーであり、現在はTREK Bicycle 横浜店の店長を務める鈴木 太地さんに、これからe-bike生活を始めたい人に向けて、購入する際のポイントや都内近郊のおすすめサイクリングコースなど、e-bikeに関する話をいろいろと伺ったのでご紹介しよう。

店内にはe-bikeをはじめ、様々なスポーツバイクや豊富なアクセサリーがズラリと揃う
■TREK Bicycle 横浜店
住所:神奈川県横浜市中区本牧宮原1-5 サンタハウス本牧
URL:https://www.trekstore.jp/shop/yokohama
TREK Bicycle 横浜店・店長の鈴木 太地さん。ヨーロッパで活躍していた元プロレーサーであり、トレックプレシジョンフィット公認フィッターの資格を持つ。愛車は「Madone SLR DISC」(ロード)、「Crockett」(シクロクロス)、「Stache9.7」(MTB)

人気急上昇中のe-bikeの魅力とは?

――ますますe-bikeへの注目度が高まっていますが、e-bikeの魅力についてお聞かせください。また来店される方々の目的にはどんなものがありますか。

 従来の電動アシスト自転車と同様に、自宅の近所や通勤ルートに坂道がある方をはじめ、スポーツバイクが趣味の友人や家族と一緒にサイクリングを楽しみたい方や、これまで行けなかった場所の探索、汗をかかない快適な自転車通勤など、e-bikeでは楽しみ方のシチュエーションの幅が広くなっていると思います。

 そのため、20代の通勤用自転車をお探しの方から、ご夫婦でサイクリングを楽しみたい50~60代のお客様まで、幅広い年代の方がいらっしゃっています。

――「まずは実物のe-bikeが見たい」といった目的での来店でも大丈夫ですか?

 「スポーツ自転車のプロショップ」と聞くと少し敷居が高く感じてしまうかもしれませんが、トレックに限らずそんなことは一切ありません。いつでもフレンドリーで自転車が大好きなスタッフが歓迎しますので、まずは自転車を見たり、カタログをもらうといった購入検討中の段階でも、ぜひ気軽に店舗へ足を運んでみてください。

e-bikeをはじめ、様々な最新スポーツ自転車へ試乗可能

――Verve+とDual Sports+の試乗はできますか?

 店舗ではe-bikeの「Verve+」や「Dual Sports+」をはじめ、人気のロードバイクから女性用モデルまで、様々な最新スポーツ自転車をいつでも予約なしでご試乗いただけます。

トレックの店舗ではe-bikeはもちろん、様々な最新スポーツ自転車が予約なしで試乗可能

・TREK Bicycle店舗ごとの試乗車リストはこちら

 実際に試乗される際、我々がお客様の体格に合わせたサイズを選び、製品の説明もしますし、そのほかにも自転車を乗る正しい姿勢、ブレーキや変速の使い方、交通ルールなどもしっかりレクチャーいたします。わからないことがあれば何でもスタッフに聞いていただければと思います。

 また、トレックの各店舗で試乗される場合には、顔写真付きの公的な身分証明書が必要となりますので、身分証明書を忘れずにお持ちいただき、スニーカーなど自転車に乗りやすい服装でご来店ください。

試乗の際にはスタッフが自転車の乗り方などを丁寧にレクチャーしてくれる

――これから初めてe-bikeに試乗する人が意識するとよいポイントは何でしょうか?

 まずはe-bikeの最大の魅力である“走る楽しみ”をぜひ試乗して体感してください。嘘みたいな話ですが、本当に“乗ればわかる!!”というのがe-bikeです。

 特に”電動アシストの感覚”やスポーツ自転車向けフレームデザイン、自転車部品の違いによる総合的な“乗り味の違い”はカタログスペックでは伝わらないため、納得いくまで乗り比べていただくことをおすすめします。

 実際に同じボッシュ製のドライブユニットを搭載したトレックの「Verve+」と「Dual Sports+」でも、フレームデザインなどの違いにより乗り味も異なります。

ボッシュ製ドライブユニット「Active Line Plus」。トレックをはじめ、国内では5つのブランドが採用している
Verve+は「PowerPack 300」のバッテリーを搭載
Dual Sports+はインチューブタイプのバッテリー「PowerTube 500」を搭載

 また、パワフルな「Turbo」モードだけでなく、キビキビ走る「Sports」モード、スムースな「Tour」モード、バッテリー節約の「Eco」モードなど、走行モードを変更しながら乗り味を比較していただくのもおすすめです。

ボッシュ製のサイクルコンピューター。Turbo/Sports/Tour/Eco/Offの5つの走行モードや、それぞれの航続距離などを表示する。走行中にUSBポートで外部デバイスのを充電でき、取り外しも可能

e-bike選びのポイントとは? 最初に揃えたいアクセサリー類は?

――最近はe-bikeのラインナップも充実してきました。どれを選べばいいだろう? という読者も少なくないと思います。e-bike選びのポイントについてお聞かせください。

 マウンテンバイク、クロスバイク、ミニベロなど、e-bikeには様々なモデルがあります。そのため、お客様がどのように自転車を使いたいかが重要です。店舗では、我々が詳しくお伺いしながら、最適な車両を一緒に探していきます。

 スピードを出しやすく車重もあるe-bikeの場合は、高い制動力を軽い力で安定して得られるディスクブレーキを搭載するモデルがおすすめです。ちなみにトレックのe-bikeにはバッテリー給電の前後ライト、駐輪用キックスタンド、速度や走行距離等を測定するディスプレイ、ベルなどが標準装備となっています。

 さらに「Verve+」の場合は、泥や雨水から洋服を守るフェンダーまで標準装備されていますので、購入後にすぐにお使いただけます。また、お客様の目的に合わせてカラーパーツへの交換や、サイクルバック用リアキャリア取り付け等のカスタムも可能です。

サイクルバック用リアキャリアを取り付けた「Verve+」

 e-bikeに限った話ではないですが、スポーツ自転車は快適・安全に乗っていただくために、体格に合わせた自転車のフィッティングや定期的な点検・調整が大切になってきます。お客様の自転車ライフを安心して任せていただけるように、スポーツ自転車の経験に長けた店舗のスタッフがアドバイスします。何か気になることがあれば、いつでもご相談いただければと思います。

自転車の点検・調整も含めて様々な相談に乗ってくれる

――初めてe-bikeを購入する際に、一緒に揃えておきたいアクセサリーなどについてもお聞かせください。

 まずは、万が一の事故に備えるためですがヘルメットですね。頭部への衝撃は命に関わってきますから、できるだけ安全性能が高いヘルメットをおすすめします。そして、駐輪時の盗難防止・防犯用のロックが必要となります。また、空気入れがあればご自宅で空気圧管理が可能となり、パンク予防にもなります。店舗でも空気入れの貸出は行なっておりますが、ご自宅に1つあると便利ですね。

e-bikeやスポーツ自転車で必須のヘルメット。頭部を守るためにも安全性能が高いヘルメットがおすすめ。写真はボントレガー XXX WaveCel アジアフィットロードヘルメット。バージニア工科大学のヘルメットラボが実施した試験で最高評価を獲得。ボントレガー独自のまったく新しい頭部保護技術を採用し、標準的なフォームヘルメット比で48倍もの脳震盪防止効果を持つという。価格は31,481円(税抜)
大切なe-bikeを盗難から守るロック
空気入れ
店舗では自転車を始める人に向けたボントレガーのSTARTER PACKも用意されている

 また、これからの季節は汗を吸収してくれるサイクリングウェア、滑りを防ぐグローブ、日差しを遮ってくれるキャップ、水分補給用のボトルなどもあると便利です。冬場に関しては、バラクラバやジャケットなど、気温に応じたウェア、万が一に備えたパンク修理キットや簡易工具も用意しておくと安心です。

e-bikeで何をしよう? どこへ行こう?

――e-bikeに乗るたびに行動範囲が広がることを実感しています。個人的には通勤にも便利だと思いますが、e-bikeの楽しみ方についてもお聞かせください。

 私も普段から自転車通勤しているのですが、朝から少し体を動かすだけでも朝から頭が冴えて、その日の気分が乗ってくるだけでなく仕事もはかどります。

 通勤途中に急坂があってもアシストのおかげで汗もかかずに上れますし、e-bikeでの通勤は非常に快適だと思います。自転車で通勤する際は、まずお勤め先の規定を確認してください。そして、交通量が多い箇所や視界が悪い箇所を事前に確認し、交通ルールを守って安全運転を心がけてください。さらに前後のライトは、暗くなってからだけでなく、昼夜問わず点灯し、自分の存在をドライバーにアピールしましょう。また、勤務先からご自宅への安全なルートの選定などもご相談にのります。

安全のためにも前後のライトは日中も点灯することが大事だという

――そんなルートの選定まで相談できるんですか!! ちなみに都内でおすすめのサイクリングコースはありますか?

 e-bikeであれば様々な場所へ気軽に行けるので、基本的には自転車が通れる場所はほぼおすすめとなってしまいます(笑)。ですが、せっかくのe-bikeですので、多少上りがあるコースを個人的にはおすすめしたいです。

 例えば渋谷→青山通り→皇居→東京タワー→渋谷というコースは、道幅が広くて適度にアップダウンがあるうえに、東京の名所巡りもできるので最適なコースだと思います。また、もう少し長距離コースでしたら、榎本牧場を目指した荒川サイクリングロードも楽しいですよ。細かなアップダウンがありますが、e-bikeが適時アシストしてくれるので、気づいたら普段以上に長い距離を走れてしまいます。

――e-bikeは、旅や観光との相性も抜群ですよね。個人的に行ってみたいスポットなどはありますか?

 e-bikeであればキャリアに荷物を積んでも、重さを気にせず快適に走行ができるので、いつかはヨーロッパやニュージランドの大自然をゆっくり巡ってみたいです。

 ただし、途中でバッテリーが切れてしまうと、バッテリーが単なる約3kgの“重り”となってしまうため、ペダルを漕ぐ抵抗は一切増えませんが、100kmを超えるようなロングライドの場合は事前に充電場所を考慮したコース作りが必須になります。それを考えるのもe-bikeならではの楽しさかもしれません。

 私も初めてe-bikeに乗った時、これならあゆる坂道も楽々に上れるし、これまで行けなかったような場所へも行ける、とe-bikeの可能性にワクワクしました。新しい趣味を探していたり、日常では味わえない気分転換を求めている方には、ぜひe-bikeをおすすめしたいです。まずはe-bikeに試乗して、その魅力を体験していただければと思います。

e-bike部