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熊本地震でプチ避難所に。停電時に3日3晩電気が使えたパナソニックの蓄電システムとは
2017年2月21日 12:07
パナソニック エコソリューションズは、太陽光で発電した電気を蓄電池に蓄えて停電時などに利用する、ハイブリッド型リチウムイオン蓄電システムの新モデル「【住宅用】創蓄連携システム パワーステーションS」の受注を4月5日より開始する。価格は169万円(税抜・工事費別)。
太陽光発電システムと蓄電システムを連携させ、日常時も停電時も電力を安定供給する住宅用の創蓄連携システム。2,000Wの高出力に対応し、停電時でも冷蔵庫や照明などの機器を使いながら、IHジャー炊飯器による炊飯などができる点が特徴。蓄電容量は5.6kWh。
新モデルでは、リフォーム時にも導入しやすいよう、コンパクトサイズを実現。2015年発売の従来モデル(本体:LJP25522K+ベース:LJP522K1)と比較して、約1/3のサイズになった。壁掛け型を採用しており、さまざまな場所に短時間で施工できるという。
リフォーム需要に対応する製品の開発には、余剰電力を売るFIT期間が終了する家庭が増えることや、蓄電システムが震災時に活躍したことが背景にある。これまでは新築家庭において、太陽光発電システムを設置し、余剰電力を売るという流れがあったが、今後は蓄電システムと連携させて、蓄えた電気を使い切る時代になるとしている。
熊本地震で活躍。パワーステーションを設置していた家庭がプチ避難所に
実際に、2016年4月に起きた熊本地震では、パワーステーションが倒れたという報告は1つもなく、停電時に活躍したという。
熊本市のある家庭では、パワーステーションを設置していたことにより、周りが停電している中その家庭だけ明かりが点いており、3日3晩、電気を使うことができた。生まれたばかりの赤ちゃんのミルクを温めたり、備蓄していたお米と水でご飯が炊けたりと、問題なく生活ができたという。被災した近所の人にもお湯や電気を分けられ、プチ避難所のようになったという報告があった。
パナソニック エコソリューションズ社 エナジーシステム事業部 新事業推進センター 企画開発部 部長 松本 亮氏は、パワーステーションの活用について次のように語った。
「パナソニックでは、ハイブリッド型リチウムイオン蓄電システムを2012年より展開し、今回で4代目となります。震災でも耐えられる設置や、太陽光の電気を蓄えて使うことなどをコンセプトにしています。実際に熊本地震でも活用できたという報告を受け、私たちの商品作りは間違っていなかったんだなと思えました。この5年で市場は大きく変化しました。今後は余剰電力を売るという考え方から、太陽光発電システムを設置してから10年後のFIT期間終了後は、電気を使い切るという需要が生まれると思います。その際に蓄電池を追加で設置するとなると、リフォーム需要に応える製品が必要になり、今回のコンパクトサイズを製品化しました」(松本氏)
基礎工事なし。作業時間も短縮で人が住む家でもスムーズに設置
リフォーム時の設置は、人が住む家での作業が想定されるため、時間を掛けないように工夫が施されている。
新モデルでは、壁掛けタイプのコンパクトサイズにしたことで、設置工事が1日で済むという。これまでは基礎工事のために何度も訪問する必要があり、工事日程が組みづらいという不満があったが、壁掛けタイプでは基礎工事は不要になった。接続に使う電力線なども加工が不要になり、作業時間を短縮している。
また、設置する部材も機能を統合することにより、部材点数を削減。設置スペースを確保しやすくなった。リモコンは無線LANを新搭載し、LAN配線なしでHEMSへ接続できるため、リフォーム時の導入も容易としている。
システムの販売価格は169万円(税抜・工事費別)。内訳は「パワーステーションS LJPB21(5.5kW)」が65万円、「リチウムイオン蓄電池ユニット LJB1156(5.6kW)」が104万円となる。
パワーステーションSの本体サイズは、549×195×776mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約39.5kg。設置場所は建物屋側壁面。保護等級は、電装部がIP55、配線部がIP44。
リチウムイオン蓄電池ユニットのサイズは、480×230×610mm(同)、重量は約68kg。設置場所は屋内。蓄電容量は5.6kWh。