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卒FIT後に高額売電も、パナとNTTスマイルエナジーが卒FIT世帯向けの新サービス発表
2019年7月3日 12:08
7月2日、パナソニックとNTTスマイルエナジーが共同で記者発表会を開き、2019年11月に家庭用太陽光発電の余剰買取が終了する(卒FIT)世帯に向けたサービスを発表した。ここで発表されたサービスは大きく3種類。パナソニックによる住宅用蓄電池新商品、NTTスマイルエナジーによる卒FIT世帯向けの電力買取サービス、そしてパナソニック製品を購入した卒FITユーザーに対しNTTスマイルエナジーが、より高額で電力を買取るサービスのそれぞれ。
停電時も快適に使える「創蓄連携システムS+」
パナソニック エナジーシステム事業部 PSマーケティングセンター所長・櫻井聡 氏は「今年11月に卒FITとなる世帯が53万件あるといわれていますが、こうした卒FITユーザーに対し、新たなソリューションを提供します」と語り、住宅用の「創蓄連携システムS+」を発表。
これは太陽光発電ユーザーに向けてバッテリーシステムを提供するというもので、業界最多のバリエーションで蓄電池容量が選べるのが大きな特徴。最低で3.5kWhのリチウムイオン蓄電池ユニットから、最大で11.2kWhを3つ接続した33.6kWhまでが選択できるようになっている。
また、まずは小規模から始め、必要に応じて後で増設することもできるのもユニークなポイントだ。電力系統との連系時に効率よい運用ができるだけでなく、停電時にも快適に使えるよう自立出力時に4kVAでの出力を可能にし、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの利用も可能にしてる。
この創蓄連携システムS+はリチウムイオン蓄電池ユニット、蓄電池用コンバータ、そしてパワーコンディショナから構成されるが、すでに太陽光発電システムを導入しているユーザーがパネルだけを残して買い替えることも可能であり、この際他社製のパネルでも利用することが可能であるという。
パナソニック エナジーシステム事業部 パワーエレクトロニクスSBU長・中嶋 慎一郎氏は「当社製品で使えるのはもちろんですが、京セラ製品および三菱製品についても検証しており、多くの製品での連携が可能です。またシャープ製品についても、検証をしていくところですが、パネルの出力特性の違いによって、うまく接続できないものも出てきそうです」と話す。接続ができた場合はパナソニック製品、他社製品を問わず、15年の自然災害補償を有償で付けることも可能だという。
卒FITユーザーからの余剰電力買取サービス「エコめがね卒FIT Plus」
一方、NTTスマイルエナジーは卒FITユーザーからの余剰電力買取サービス、「エコめがね卒FIT Plus」を発表。すでに東京電力や関西電力など各地域電力会社が、余剰電力買取の単価を発表しているが、それらを上回る価格を発表したのだ。
具体的には東日本エリア(北海道電力、東北電力、東京電力管内)で9.3円/kWh(10%での消費税込み)、西日本エリア(中部電力、北陸電力、、関西電力、中国電力、四国電力管内)で8.4円/kWh、九州エリア(九州電力管内)で7.2円/kWhとなっている。ここではNTTグループの新電力会社、エネットを中核に据え、NTTスマイルエナジーが卒FITユーザーを取りまとめる取次事業者として機能することで実現させる形になっている。
1kWhあたり最大16円で売電できる「エネPlus」
これら2つのサービスを組み合わせる形で今回、両社が発表したのが「エネPlus」というサービスだ。これは、「エコめがね卒FIT Plus」の契約者で、「ちくでんエコめがね」やパナソニック製の蓄電池やエコキュートなどを購入したユーザーが、最大で16円/kWhで余剰電力の売電ができるというサービス。
NTTスマイルエナジーの代表取締役社長・小鶴 慎吾氏は「これからは効率的な自家消費が重要になってきます。当社では6月に卒FITユーザーなどに自家消費を促進する『ちくでんエコめがね』を発表したところです。少しでも蓄電池の導入の後押しができれば、という思いからエネPlusのサービスをスタートさせます」と語る。
この16円という価格は東日本エリアのユーザーで、かつ「ちくでんエコめがね」を導入していて、さらにパナソニックの蓄電池、エコキュートを導入していることが条件となる。何を導入しているかによって、買取価格が変わってくる構成になっている。
ただし、このエネPlus買取プランに関しては1年限りのサービスであり、2年目以降は通常の「エコめがね卒FIT Plus」の価格に戻ってしまうとのことなので、ある種両社による販売促進戦略の一つといえそうではある。
これから11月に向けて各社からまた新しいサービスなども発表されていくと思われるが、卒FITユーザーは、何を選択すべきなのか、生活スタイルに合わせてよく検討する必要がでてきそうだ。