コヤマタカヒロの男の料理道具!



毎日美味しいジュースが飲めるお買い得スロージューサー

オークセール「siroca スロージューサー SSJ-110」

 日々の健康を考えて、毎朝野菜ジュースを飲む習慣を持つ方は少なくない。そのままでは摂りづらい生野菜もフルーツとともにジュースにすることで手軽に摂取できるようになる。

 家庭で作るフレッシュジュースで最近注目を集めているのが、低速で回転するスクリュー(臼)で食材を圧搾しつつ、栄養を豊富に残せる「コールドプレスジュース」。今回取り上げるオークセールの「siroca スロージューサー SSJ-110」もスクリューとフィルターを使って食材を細かく潰しながら水分を搾り出してジュースが作れる。さっそく、いろいろな食材をジュースにすべく試してみた。

メーカー名オークセール
製品名siroca スロージューサー
型番SSJ-110
購入場所Amazon.co.jp
購入価格12,553円

 まずは外観から見ていこう。本体サイズは240×160×430mm(幅×奥行き×高さ)。本体下部にモーターを内蔵し、その上に食材を搾るドラムを搭載している。このほか、果汁が出てくる穴のサイズが異なる2種類のフィルターと、果汁や果肉を受け取るジュースカップ、豆腐を作るための型、食材を押し込むためのプッシャーなどが付属する。

左手前からスクリュー、ドラムクリーナー、そして2種のフィルター
ドラムにドラムクリーナー、フィルター、そしてスクリューの順番に装着していく
豆腐を作るための型と布も付属する
フィルターはメッシュ穴の大きさで2種類を用意
ドラムカバー上部にある投入口に食材を投入する
スイッチの右側にハンドルを配置しているのが便利

 特徴的なのが本体下部にハンドル(取っ手)を配置していること。多くのメーカーが、縦型のスロージューサーを製品化しているが、設置するのが面倒だった。なぜなら低速高トルクのモーターを内蔵しているため、本体が非常に重い。さらに上部のドラム部が簡単に外れるようになっているため、持ち上げるときは両手で抱える必要があるのだ。

 しかし、このモデルはハンドルを持つことでラクに本体を動かすことができた。多くの場合、狭いキッチンスペースにスロージューサーを常設するのは難しく、使った後の片付けを考えると、非常に好感の持てる要素だ。

 まずは、ジュースを搾るスクリューをフィルターの中にセットする。さらにその外周にパッキン付きのドラムクリーナーを配置し、それらがドラムとフィルターの間に入るかたちとなっている。他メーカーの縦型スロージューサーではこのドラムクリーナーが省略されているものが多く、使用するパーツは多めだ。

ドラム内へのセットはすぐに慣れた

 ドラムに内蔵するパーツはそれぞれに白い丸マークが付いており、その場所に合わせることでセットできるようになっている。また、ズレていると、ドラムキャップが閉まらないようになっていてわかりやすい。

 使い方は非常に簡単。細かくカットした野菜やフルーツをドラムキャップ上の投入口から放り込むだけ。量が多い場合は付属のプッシャーでドラム奧まで押し込んであげる。スイッチを入れると、投入した食材をスクリューがすりつぶし、ドラム下部の抽出口からジュースと搾りカスに分離させて排出される。

固いニンジンもさらっとした口当たりのジュースにできる

 圧搾式のスロージューサーは、固い食材でもさらっとしたジュースを抽出できるのが魅力。完成したジュースがどろどろしてしまう高速回転のブレードで食材を切り刻むジューサーと比較すると、口当たりのよいニンジンジュースができた。

野菜ジュースで使用頻度の高いニンジンを用意。一口サイズにカットしておく。皮はむかなくてもOK
スイッチを入れると、ジュースと搾りカスに分かれて出てくる

 圧搾式の「SSJ-110」で搾ったジュースは、非常にさらっとした口当たりで、繊維質をしっかりと漉せている。また、低速回転で搾るため、ジュースに空気が含まれにくく酸化しにくい、などのメリットもあるようだ。

搾りカスの排出口にはカスが残る。搾りカスを料理などに使う場合は箸などで取り出せる
100gのニンジンを搾った場合の量。ジュースは43g、搾りカスが52gとなった。残りはドラム内に残ったと思われる

 とはいえニンジン100%のジュースはさすがに飲みにくい。そこでフルーツを組み合わせてみる。基本となるのがリンゴだ。芯ををくりぬいたリンゴを搾ったジュースは、さらっとしていて甘みがあり、非常に飲みやすい。これをニンジンジュースと混ぜると飲みやすくなる。ニンジンジュースには後味にえぐさがあるため、7:3ぐらいの比率で、リンゴを多めに配合するといい。慣れてくると、比率5:5でもごくごくと飲めるようになる。

ニンジンジュースを飲みやすくするにはリンゴを混ぜるといい

 今回ブレンド用にいろいろなフルーツ、野菜を搾ってみた。結論からいうと野菜ジュースを飲みやすくするためのパートナーとしておすすめなのがリンゴとパイナップル。特にパイナップルは甘みが強く、葉物野菜の青臭さやえぐみを、いい感じでごまかしてくれる。次点となるのがメロン。かつて同じようなブレンドテストでは評価が高かったのだが、今回は甘みが足りず、リンゴやパイナップルには及ばなかった。このあたりはメロンの品種や季節などの影響が大きそうだ。

オレンジやグレープフルーツなどは外皮だけを剥いたあと、小さく切っていれていく。薄皮は剥く必要はなかった。オレンジジュースは想像通りの味だが、グレープフルーツジュースは市販のものより、酸味が強かった
メロンは外側の固い部分だけを取り除いて入れる。中の種を取り除く必要もない。甘みがあり飲みやすい
トマトは一口大にして投入。いわゆるトマトジュースとは違い、さらっとしていながらも粘りけのある口触りのジュースとなった。味は酸味が強めだった

 逆に個性が強くブレンドする相手を選んだのが柑橘系だ。オレンジやグレープフルーツを試したところ非常にインパクトが強く、組み合わせが難しかった。好印象だったのは、苦みのあるレタスや青臭さが強い小松菜との組み合わせ。その個性の強さを活かして、飲める味にしてくれた。

 今回フルーツや野菜など、いろいろな食材を搾ってみた。その結果、ニンジンやレタスなど、さらっとしたジュースになるイメージの薄い食材も、問題なくジュースにすることがわかった。

レシピを参考にレタスを搾ってみた。3〜4枚を投入することで、ジュースを搾れた。味は青臭い水、といった印象。レシピ通りグレープフルーツジュースと混ぜていただいた

ジンジャーエールも作れる!

 面白かったのが、付属レシピに作り方が載っていたジンジャーエール。生姜の量やガムシロップなどは「適量」とだけ記載されていた。そこで、30gほどの固まりを小さく切り刻んで投入。すると14gほどの生姜汁が搾り取れた。

 そして取れた生姜汁の半分をコップに注ぎ、炭酸で割ってみたが、なかなかに辛い。そこでガムシロップを1つ、2つと投入していく。生姜汁の量が多すぎたため、ガムシロップ3つでようやく、カナダドライジンジャエールのドライよりもちょっと飲みやすいというレベルの辛さに調整できた。炭酸と生姜、ガムシロップだけで、簡単にジンジャエールが作れるのは面白かった。この生姜汁を凍らしておくと、いろいろと料理に活用できそうだ。

約30gの生姜を用意。細かく刻んで投入すると約14gの生姜汁が搾り取れた
ガムシロップで味を調整しながら炭酸水で割ることでジンジャーエールになる

ニンジンの搾りカスはポテトサラダに

 「SSJ-110」でジュースを作ると、ジュースカップやドラム内には、搾った後の果肉や繊維質が残る。ジュースを搾っただけなので、残った部分がもったいないと思う。そこで搾りカスを使った料理に挑戦してみた。

 おすすめは、ニンジンの搾りカスだ。ニンジンのえぐみはジュースの方に出ているので搾ったあとのニンジンは味が強くなく、他の食材に混ぜてもそれほど違和感がない。

 たとえばポテトサラダ。蒸かしたジャガイモを潰すときにニンジンの搾りカスをぱらぱらっと入れる。あとは普段通りにマヨネーズや塩胡椒で味を調整するだけ。ニンジンによる赤味がプラスされて見た目もいい。

料理に使うため、ニンジンの搾りカスを溜めておく。ただし、毎日ニンジンジュースを飲むと、大量に出るため、すべてを使うのは厳しそうだ
蒸かしたジャガイモにニンジンの搾りカスを投入。甘みはあるがクセは抜けているので、ポテトサラダの中に入れても違和感なく食べられた

果物の搾りカスはカレーに入れよう

 さらにニンジンのほか、フルーツの搾りカスがある場合はカレーに入れるとよい。付属レシピには、ニンジンやパイナップル、リンゴの搾りカスを使うと記載されていたので、さっそく入れてみた。

 手持ちのバーミキュラ鍋に手羽元を入れて炒め、タマネギを追加し再びちょっと炒める。そして、先の搾りカスを投入する。通常、バーミキュラでカレーを作るときは野菜から出る水分だけの無水カレーを作るのだが、今回はタマネギ以外の野菜の水分はすべて搾り取られているため、1Lほどの水を投入した。

タマネギと肉を炒め、水を入れた後で搾りカスを投入する
通常のレシピで作ったカレーよりはモッタリとした食感になるが、甘みが強く出て美味しい。ただし中辛ぐらいだと辛みがないことに注意

 蓋をしてしばらく煮込み、鶏肉が柔らかくなったところでルーを投入してカレーが完成。搾りカスを多めに入れたため、野菜の存在感がわずかに残るだけの、どろっとした食感に。ニンジンの搾りカスが多かったため、中辛ルーをいれたのに全く辛くないカレーになった。子どもたちは大喜び。大人は別途スパイスを振って食べた。ニンジンは搾りカスでも、甘みがしっかりと出ることがわかった。

トマトの搾りカスはトマトソースに使える。みじん切りのタマネギを用意
オリーブオイルでタマネギを炒めたところにトマトの搾りカスを投入する。普通のレシピでトマトソースを作るときのような煮詰める工程が省ける
塩味を効かせてハンバーグの上にかけた。水分は少なめなのでケチャップなどを足すとよさそうだ

 ただし、搾りカスを料理に使う場合は、ニンジンやリンゴなどは皮をむいたり、減農薬の商品を買うなどの配慮はしておきたい。

 また、ジュースだけが目的の場合は、ニンジンとリンゴを連続で搾っても問題ないが、搾りカスを別々に使う場合は、2つめの食材を搾る前にドラム内を洗う必要がある。

 とはいえ、シンクのシャワーなどでざっと流すだけで残った搾りカスが取れる。最初は手間に感じたが、慣れの問題だろう。ニンジンなど、使用頻度が高く汎用性が高い搾りカスは使い切れなかったら冷凍しておくと良さそうだ。あとは自家製パンやマフィンなどに混ぜる手もある。

パン作りにハマっているうちの奥さんが、余っていたニンジンの搾りカスをパン生地に投入。あわせてチーズも練り混んでいる
ニンジンとチーズのパンの完成。ニンジンは後味にほんのわずかだけで、チーズが香るため子どもも大喜びだった

他製品との機能差はわずか。お買い得感が非常に高い

 縦型の圧搾式スロージューサーは先にも述べたとおり、多くのメーカーから発売されている。しかし、その多くは2万円以上と決して安くない。その点「SSJ-110」は1万円台前半と競合品と比べて圧倒的に安いのだ。

 他社製品との差は、ドラム内にドラムクリーナーを使うなどちょっと構造が古いこと。また、シャーベット作り機能なども搭載しない。つまり食材をすりつぶしてさらっとした飲み口のジュースを作るという、基本機能に大きな差はないといえる。

 さまざまな食材を試したが、フィルターに搾りカスがこびり付くことも少なく、付属のブラシで磨いて搾りカスをはがすこともほとんどなかった。メンテナンス性が非常に高いのだ。そして最初に触れたとおり、本体部にハンドルが着いているため、可搬性が高く、使いやすかったのも好印象。

 低速回転だから、搾ったジュースが酸化しないため、栄養素を分解することなく飲めるというスロージューサー。SSJ-110は手軽に手に入れられる製品だといえる。


コヤマタカヒロ

1973年生まれ。大学生の頃にライターデビューをして現在17年目。パソコンからAV機器、デジタルガジェット、白物家電などの電気が流れる製品と、その関連サービスを中心に執筆活動を展開する雑食系のデジタルライター。一般商品者目線で、最新テクノロジーを伝え、完成品はできる限り自分で試して記事にすることを信条にしている。