趣味の節電道入門

第34回:手動のスロージューサーで節電とコスト圧縮!

クル~ル「COKO VITA」(販売元はヨコヤマコーポレーション)。税込み3,000円ほどで購入。基本パーツはプラスチックなどの樹脂製

 このような連載を持たせてもらっているので、日々節電ネタを探している。食いつきがちなキーワードのひとつが「手動」だ。家事でもなんでも、もともとは手動だった作業が電化され、それが当たり前になるとエコ志向を背景に、逆に手動を謳う製品が目立つようになったわけだ。

 今回、入手したのはクル~ルの手動ジューサー「COKO VITA(ココヴィータ)」。最近流行りのスロージューサーは、従来の電動ジューサーのように刃を高速回転させるのではなく、スクリューを低速回転しながら圧縮するため、ビタミンCの酸化や分解が起こりにくいとされる。電動の製品は3万円以上するのだが、手動ジューサーならその10分の1の値段で買える。

 基本的な仕組みは電動ジューサーと同じで、果物や野菜を投入してハンドルを回転させると、果汁と搾りかすが自動的に分離される。手動なので当然のことながら「スロー」ジューサーである。

回して果汁と搾りかすを分離! 手搾りジュースに満足

 使い方は見ただけで想像がつくと思うが、上部のカップに切った果物や野菜を入れ、上から棒(プッシャー)で押しながらハンドルを回転させると、ジュース(果汁)と搾りかす(繊維)が分離して出てくる。回すだけで分離していく様子は見ていて面白く、ちょっと不思議だ。ダイソンのサイクロン掃除機を最初に見たときの印象にも近い。

 本体の底には吸盤が付いており、テーブルなどに固定できる。ただ、木製のテーブルでは途中でずれてしまうことがあった。この点は電動に比べて面倒な所で、しっかりと本体を押さえながら作業する必要がある。リンゴやニンジンなど、ある程度硬いものは事前に細かくカットしておくと、ハンドルにかける力が少なく済むだろう。

ハンドルを回転させると、スクリューが果実を潰しながら画面右側に送っていくのが見える
ジュースと繊維が分離されて出てくる。小学生男子は「ウ○チ、ウ○チ!」と大騒ぎ

 味は、もちろん材料に左右されるだろうが、文句なく美味しい。ミカンとイチゴ、ミカンとリンゴなどの組み合わせで搾ってみたが、なめらかで果実感のあるリッチな味で、紙パックの“手絞り風”ジュースとは段違いだ。

 しかも経済的で、駅のジューススタンドでは1杯300円ぐらいのジュースが3分の1ぐらいの材料費で済む。ジュースにしてしまうので、小さいものや熟れすぎなど、見た目があまり良くない安い果物で十分だろう。

 これは家族や大人数で使うと楽しいアイテム。イベント的に楽しいし、果物をカットする人、搾る人と役割が分担できる。また、最後にスクリューの所に絞りきれなかった果実が残ってしまうのだが、大量に作るほどこの無駄が相対的に小さくなる。反対に、一人暮らしの男性が、これを毎朝くるくる回している姿は寂しい気がしないでもない。大きなお世話だが。

作業自体は簡単で、取り扱いに注意すべき金属パーツもないので、子どもにも安心して使わせることができる
手搾りだと少ない量でもなぜか満足感が大きい

 そして、絞った後の繊維もぜひ活用したい。甘みは十分に残っているし食物繊維も豊富なので、捨てるのはもったいない。果物のみならジャム、野菜が入っているならカレーやハンバーグに混ぜ込むのが簡単だろうか。パンを焼く家庭なら、生地に混ぜ込んでもおいしそうだ。

 繊維は冷蔵庫や冷凍庫で保存して後で使ってもいいが、ジュースを作るときに繊維の活用先も考えておくと良いだろう。

この絞りかすをどうするか? 果実の繊維なので、そのまま食べてもおいしいが……
ミカンとイチゴの繊維を水と砂糖で煮詰めてジャムに加工。味はマーマレードっぽくなった

小口 覺