コヤマタカヒロの男の料理道具!



串刺し肉が自動でまわる! 大人のサシ飲み向けの卓上BBQコンロ

三ツ谷電機の自動回転式卓上BBQコンロ「バーベキュー村クルクル」

 春になってだんだんと温かい日が増えてきた。ぽかぽかした陽気で楽しみたいことといえば、そう! バーベキューだ。太陽の下、串に刺さった肉をかっ食らいながら、ビールを流し込む。ああ、なんて至福の時間なんだろう。なんて、妄想をしていたら、編集部から、自動回転式卓上BBQコンロ「バーベキュー村クルクル」が送られてきた。大陽の元でバーベキューなんて夢見てないで自宅でやれということだろうか。

 3人娘の子育てと仕事で時間のない自分には確かにこっちの方が向いていそうだ。ということで、卓上で手軽にバーベキューや焼き鳥ができるという三ツ谷電機の「バーベキュー村クルクル」を試してみた。

メーカー名三ツ谷電機
製品名自動回転式卓上BBQコンロ バーベキュー村クルクル BBQ-889
希望小売価格10,000円(税抜)
購入場所Amazon.co.jp
購入価格7,884円

卓上利用もできるコンパクトサイズで串が自動でクルクル

 本体サイズは388×170×126mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2kgとコンパクト。専用のBBQ用金串が10本付属しており、このほか焼肉用の網と、油受けトレイが付属する。

本体を正面から見たところ。金属製ボディなので手に取ると見た目よりも重たい
左側面からみたところ。奥行きはそれほどないため、狭いスペースでも使いやすい
右側面には回転スイッチ、電源スイッチと電源ケーブルが付いている

 電源スイッチは本体の右側面に配置しており、加熱用の電源スイッチと串を回転させるためのスイッチが上下に並んでいる。温度調整などはできず、温度は一定。ON/OFFのみで制御する仕組みとなっていた。

 付属している10本のBBQ用金串は本体の穴にしっかりとはめて、回転スイッチを入れると、穴の動力によって金串が回転する。

右から焼肉用網、BBQ用金串、そして油受けトレイ
金串を受ける奧の穴は四角形になっており、金串と角が噛むことで回転する

 では早速肉を焼いてみよう。最初に用意したのは、厚みのあるステーキ肉だ。これをカットして串に刺していく。このとき大切なのが、肉の大きさだ。付属の取扱説明書には「ヒーターとの距離を考慮したサイズでお願いします」と書いてあるだけで、具体的なサイズは記載されていなかった。そこで実際に計測してみると、串の中央部から、ヒーター表面までの距離は約25mm。なら50mm以内に食材をカットすればいいのかというと、そうでもないようだ。というのが、隣の串までの距離が約35mmしかないのだ。ぶつからないように隙間を作るとなると、食材のサイズは30mm以下にするのが良さそうだ。

 カットした肉を串に刺していき、加熱した本体にセットしていく。串をすべてセットした状態で、回転スイッチをオンにすると、ゆっくりと串が回り出した。じーっと見ていると、ゆっくりと、角の部分から肉に火がはいっていくのがわかる。

串に刺しやすい厚みのあるステーキ肉を用意した
3cmほどの幅に切りそろえて串に刺していく
油受けトレイに水を張っておく。これをしないと脂汚れがトレイにこびり付く
肉を挿した金串を本体にセット
しばらく回転するとだんだん色が変わっていく。塩を振りまくろう
串刺しの肉が焼けた。普通のサイコロステーキより美味しそうに見えるのは串のおかげ。

 ステーキ肉の表面がしっかりと焼けるまでにはそれなりの時間が掛かった。そのことからも決して火力は高くないことがわかる。一気に焼きあげるのではなく、串を回しながら、ゆっくりと中まで火を入れるとイメージだろうか。

 こまめに串を回したり、食材を裏返したりする必要がないため、焼け上がるまでビールでも飲みながらゆっくりと待つのが良さそうだ。できあがったステーキ串はいい香りがして、非常に美味しそう。観光地なら、一串500円はしそうな出来映えとなった。

 また、ステーキ以外にホタテや椎茸なども串に刺して焼いてみた。火力が強すぎないため、表面が焦げてしまうといったBBQにありがちなミスはほぼ発生しない。しかし、食材によっては中まで火を通している間に、表面がかわいてしまうこともあった。また、串が太いため、椎茸などは刺しているときに裂けてしまうこともあり、このあたりは慣れる必要がありそうだ。

続いてベビーホタテと椎茸も串に刺して焼いていく。串は10本あるので2回転できる
ゆっくりとホタテに火が入っていく。ほとんど焦げ目が付かないので焼きすぎないように注意
焼き上がったホタテ串と椎茸串。醤油味だけでも香ばしくて美味しい

焼肉用網を使ってラム肉や牛ステーキ、そして魚を焼きまくる

 続いて付属の焼肉網を使った焼き物に挑戦。串を使った調理の段階で、火力がそれほど強くないことがわかっていたので、ここでは、薄切りのラム肉を用意。それを「ヨシダのグルメソース」で味付けしたものを焼くことにした。

 薄切りのタレ付き肉ということで、網に置いていくたびに香ばしい「ジュ~」という音が響く。肉から垂れたソースががヒーターで焦げるとさらに美味しそうな香りが広がる。薄切り肉だけあってさすがに焼けるのは速い。夫婦2人でゆっくりと飲みながらなら食べるのとそれほど変わらないペースで焼くことができた。

薄切りのラムをヨシダのグルメソースに漬ける
網の上にラム肉を置いていく。網目は大きめなので肉片が小さいと落ちそう
薄い肉はすぐに色が変わる。ラムなのでしっかり目に焼いていく
一緒に椎茸も。網焼きなら串と違って裂けることもない
焼けたラム肉と椎茸。ラムはつやつやと美味しそうと焼けたが、椎茸は若干乾燥気味になった

 では焼肉用網を使って魚は焼けるのか? という疑問がわいたので、後日スーパーで売っていたバジルソース漬けタラの切り身と、鮭のハラスを用意。網の上に置いて焼いてみた。どちらももちろん焼けるのだが、脂がしっかりとのったハラスは適度に焦げ目も付くのに対して、淡泊な鱈は色は変わるものの、焦げ目が付くまでには達しなかった。

バジルソースを纏ったタラを網の上に置いていく。淡泊ながらホクホクと美味しい
しばらくしたら裏面の色が変わったので裏返す。焦げ目はなかなか付かない様子
しばらく焼いていたが、皮面にも焦げ目が付かなかったので引き上げ。味は間違いない
後日焼いた鮭のハラス。こちらは脂がのっていたためか、焦げ目も付いた。

 その後、ステーキ肉をそのまま焼肉網で焼いてみたが、こちらはそれなりに焦げ目もついて、美味しそうに仕上がった。

 椎茸などの野菜を焼いたときも焦げ目が付く前に乾燥が進んでしまったので、肉類や脂の多い魚など以外では、焦げ目を付けるのは厳しいようだ。

安いステーキ肉も網の上にドーン。薄く串には刺しにくそうだったので網で焼くことに
フライパンのように蓋をしたりといった小細工はナシ。裏返してみたら、美味しそうな焼き色もついていた
わさびを醤油でいただく。時間は掛かるが美味しそうに焼けた

焼き鳥もクルクル回るが、市販の串は長さに注意!

 製品名はバーベキューだが、僕らにとって串に刺したメニューとして最も身近なのは焼き鳥! 近所のスーパーで串に刺さった状態で売っていることを思い出し、それ買ってきた。ねぎま、モモ肉、豚バラの3種類だ。

 スイッチを入れて、温度を上げ、さあ焼き鳥を焼くぞと、串を刺そうとして愕然とした。串が短すぎて置けないのだ。いや、厳密には、ギリギリ置ける。しかし、それは指先とつま先で引っかけているだけといった感じで、ちょっとずれた瞬間、串はヒーターの上に落ちてしまう。当然、串を回すこともできない。

スーパーで購入したねぎまと豚バラなど。串の頭が出ていなかったのでちょっとだけ肉を移動
本体にセットしてみたところ、ギリギリ乗るが、回せないレベルの短さだと判明した!
付属の金串と自宅にあった市販の竹串、そしてスーパーの焼き鳥で使われていた短い串。この約3cmの差が問題となった

 取扱説明書によると串を穴に通して、さらに回せる余裕を持つためには、約165mmの串の長さが必要なのだ。市販の焼き鳥の串は150mm以下だったので、回転できなかったのだ。

そこで仕方なく、鶏肉などを串から抜き、付属の金串にサシ直して焼いてみる。これなら自動的に串を回しながら焼くことができた。

 食器棚を探してみると約180mmと長めの竹串を見つけたので、試しにこの串にも焼き鳥を挿し直して焼いてみた。この長さなら問題なく焼き台に置けるのだが、刺し方が悪いのか手で串を回しても、その位置で安定せず、重たい方を下にしてくるっと回ってしまうのだ。これでは反対側がいつまでたっても焼けない。

 困ったなと思い、串の先をぐっと奥まで差し込んでみた。すると、竹串が回り始めた。金串用の四角い穴に竹串がしっかりと噛むことで、回転できたようだ。もちろん、すべての竹串が回るわけではないと思うが、付属の金串以外も回るとなると、より使いやすくなるだろう。

結局、付属の金串に刺し直すことで焼けた。はやり、回るのがこの製品の魅力だ
18cmの竹串も穴の奥までしっかりと差し込むことで回転することができた

 「バーベキュー村クルクル」が手元にある間、多くの食材を串に刺し、また、網で焼いた。率直な感想としては、火力の弱さが若干気になるが、楽しく焼けるといったところだ。ステーキ肉を一口大に切って串に刺して焼くと、なんだか普通にフライパンなどで焼くよりも美味しく感じる。また、脂が落とせるため、口当たりが軽くなるのもメリットだ。

 火力が弱めなので、しっかりと焦がして食べたいといったニーズには向かず、また、焼けるペースも大人ひとりかふたりが限界だろう。ゆっくりと肉を焼きながら、お酒を飲むといったニーズなら十分に楽しめそうだ。筆者は料理のときは奉行になるタイプなので、普通の焼き台だと、串を返すのに夢中になり、あまり食べられなかったり、飲めないことが多い。しかし、「バーベキュー村クルクル」なら、回す必要がないため、焼け具合を見ながら塩を振る程度で、ゆっくりと飲むことができた。

 そろそろいいかな? なんて思いながら、串を横向き構えて肉に食らいつく。BBQの楽しさを手軽に味わえることは間違いない。


コヤマタカヒロ

1973年生まれ。大学生の頃にライターデビューをして現在17年目。パソコンからAV機器、デジタルガジェット、白物家電などの電気が流れる製品と、その関連サービスを中心に執筆活動を展開する雑食系のデジタルライター。一般商品者目線で、最新テクノロジーを伝え、完成品はできる限り自分で試して記事にすることを信条にしている。