家電製品ミニレビュー

お米の保存問題を解決! 保冷米びつ「ライスクール」を試してみた

 お米を美味しく保存するために、保冷ストッカーを導入した。エムケー精工の保冷米びつ「RICECOOL(ライスクール)」だ。

エムケー精工「ライスクール HRC-10SR」

 3人の子供がいる我が家では、毎月10kg以上のお米を購入しているが、保存方法にいつも困っていた。

 これまでは食器棚の中に置くのが通例で、購入した米袋のまま保存していた。この方法がもちろん正しくないことは知っている。というのも、米袋には空気孔があるため、お米の乾燥が進んでしまう。また、夏場は調理の熱などで、食器棚の温度は30℃を超えることもある。本来なら冷暗所に保管するべきお米の保存環境として、決して良くない状態だった。

 対策として、冷蔵庫の野菜室に保管したり、ペットボトルに入れて密封したりと、様々な方法を試したことはある。だが結局のところ、毎日の忙しさに追われて、袋のまま食器棚に保管していた。保冷米びつなら、簡単に美味しく保存できると思い気になっていたところ、10kgタイプを試す機会を得たのでレポートしよう。

メーカー名エムケー精工
製品名ライスクール
品番HRC-10SR
実売価格28,933円(編集部調べ)

赤いボディでノッポなお米専用保冷庫

 ライスクールは、お米を冷やしながら保存できる冷蔵ストッカー。ラインナップは「5kg(玄米)/6kg(精米)」用と「10kg(玄米)/11kg(精米)」用の2種類ある。月に10kgのお米を消費するので、もちろん10kg/11kgタイプを選んだ。

 届いた製品は、想像よりも大きかった。精米11kgが保冷できるよう、断熱構造になっているからだろう。本体サイズは215×450mm(幅×奥行)で、高さはなんと725mmもある。なお5kgの小型モデルは、幅と奥行は同じで、高さは535mmと約19cm低い。

 お米の投入口は本体上部。お米を入れるときは、安全のためにフタを取りはずして行なう。フタの取り付けは簡単で、さらに米びつ内部の結露や性能低下を回避するよう、しっかりロックできるようになっていた。精米は11kgまで保存できるので、この時点で10kgのお米1袋分をまるまる入れられた。

キッチンに置いておく家電としては大きめ。カラーはレッドのほかホワイトもある
お米を入れる本体上部の投入口。本体がスリムなので投入口はさほど広くない

 操作は簡単で、ケーブルをコンセントに接続すれば電源がオンになる。お米を入れて、しばらくしてから内部の温度を計測してみた。室温30℃の環境で、お米の温度は15℃をキープ。メーカーによると、室温35℃でも15℃をキープできるという。

庫内のお米の温度を計測してみたところ15℃をキープしていた

 お米の計量は、前面の扉を開いて行なう。レバーを1度押すと、1合分のお米がお米受けに落ちる仕組みだ。

 ただし、2合、3合のレバーはなく、必要な合数分レバーを押さなければならない。また、米受けは3合までなので、1度に5合炊く場合が多い我が家では、数回に分けた計量が必要になりめんどうに感じてしまった。10kgタイプなら、2合レバーがあってもいいようにも思う。

本体前面の扉を開いたところ。計量部が露出する
お米を計量するには計量部のレバーを押す。1回に1合ずつ排出できる。
お米受けに貯まったお米。3合まで貯められる。

 冷却方法は「ペルチェ素子」による電子冷却を利用しているという。本体背面には大型の排熱口や、吸気口が配置されており付近が熱くなる。したがって、背面や排気口の周りには、食材や熱に弱い備品は置かないようにしたい。

 また本体正面には「残量お知らせランプ」がついており、お米の残量が900g以下になるとランプが点灯する。

本体背面の冷却装置と排熱口、吸気口など。背面は約40℃まで熱くなっていた

米びつで正確に計量できるか、誤差を調べてみた

 レバーを押せば計量できる米びつは便利だが、その量が正確かどうかは重要だ。そこで、米トレイに入った米の量を複数回計測してみた。

 1合の米の質量は150gが基準だが、最も多かったのが156g、逆に最も少なかったのが143gで、誤差は±13gという結果になった。しかし、10回の計測中、7回がほぼ誤差と言える147~150gという結果となっており、「HRC-10SR」の計測精度はかなり高いと言える。

 ただし、炊飯器に付属する計量カップはメーカーによって微妙にサイズが異なるため、最初に計量カップとの差を調べておくといいだろう。

やや前後はあったが、1回で排出できるお米は約150gだった
パナソニックの炊飯器に付属する計量カップに移したところぴったり。これなら毎回の計量は不要だ

 「HRC-10SR」から取り出した米はひんやりしていて、やや湿度も感じられた。テストしたのが気温も下がってきた秋口と言うこともあり、保温精度によるごはんの食味の違いまでは体感できなかったが、メーカーによる保冷米と常温米の比較試験によると、水分のキープ率は冷却米が1.6倍高く、しっかりと粘りのあるご飯が炊けるそうだ。保存による劣化を防ぎ、お米本来のおいしさをキープできるのはありがたい。

課題は置き場所と冷却のためのランニングコスト

 常備するお米を冷却するということで、電気代も気になったが、消費電力は68Wで、ワットチェッカーで調べたところ、1日あたりの電気代は約44円(1kWh=26円で試算)だった。1カ月のランニングコストは約1,200円。お米の美味しさをキープするためのコストとしては判断の分かれる額だ。

 そして「HRC-10SR」のもう1つの課題は設置場所。お米を保存する以上キッチンの近くに置くことになる。大きさはネックになるが、ごはんの美味しさにこだわりたい人には、設置場所を確保してでもぜひ導入してほしいアイテムだ。

計量部は取り外しが可能。計量装置を含めてすべて水洗いできる

コヤマタカヒロ

フリーランスライター。1973年生まれ。学生時代より雑誌ライターとして活動を開始。PC、IT関連から家電製品全般までに造詣が深く、製品やビジネスを専門的ではなく一般の方がわかるように解説するスタンスで執筆活動を展開している。近年は、デジタルとアナログ、IT機器と家電が交差、融合するエリアを中心に取材活動を行なっている。雑誌やWebに連載多数。企業のアドバイザー活動なども行なっている。 Twitter:@takh0120