家電レビュー

ダイソン新ドライヤーは軽くてラク! 小さいのにすぐ乾いた

今までにないデザインが目を惹くダイソンの「Dyson Supersonic r ヘアドライヤー」。写真はセラミックピンクモデル

筆者は毛量が多いうえに剛毛なため、ドライヤーに時間がかかるのが悩みの種。このため、2016年に発売されたダイソンのドライヤー「Dyson Supersonic ヘアドライヤー」(以下、Supersonic)は、そのパワフルな風量による速乾力で筆者の生活をラクにしてくれた救世主となりました。

そんなダイソンが今年は「r」の形をしたドライヤー、その名も「Dyson Supersonic r ヘアドライヤー」(以下、Supersonic r)を発売。新製品の特徴は325gという本体の軽さにありますが、気になるパワーや使い勝手はどうなのでしょうか?

筆者所有のDyson Supersonic ヘアドライヤー(写真左)と新Dyson Supersonic r ヘアドライヤー(写真右)を並べたところ。大きさの違いは歴然! 重さも約2割軽量になりました

ドライヤーに見えないデザインは持ちやすさもバッチリ

Supersonic rで目を惹くのは、いままでにないパイプを曲げたようなデザイン。本体サイズは108×55×285mm(幅×奥行き×高さ)。従来のSupersonicと比較すると約3割コンパクトになっています。また、本体重量は325gと、700g近くあったSupersonicと比較してかなり軽量になりました。

実際に使用してみると、この「軽さ」はドライヤーにとって大きな魅力。髪の毛は根元から毛先に向けてウロコ状のキューティクルが連なっているため、髪を傷めないように乾かすには「根元から毛先に向けて送風する」必要があります。このため、髪を傷めたくないなら、乾かす時間の多くはドライヤーを高く持ち上げている必要があるのです。Supersonic rはこの「ドライヤーを持ち上げる」負担を大きく減らしてくれました。

頭頂部から毛先に向けて風を送って髪を乾かします。筆者は毛量が多いので、一般的なドライヤーだと後半は腕が痛くなることも
一般的なドライヤーだとノズル部に配置されるモーターを、Supersonic rはハンドル部に配置。手元に重心があるので、実際の重量よりもさらに軽く感じます

ただし、本体重量は325gではあるものの、Supersonic rはアタッチメント(速乾ツール)やケーブル、プラグすべてを合わせた重量は755gあります。じつは、Supersonic rは電源アダプター機能をプラグ部に配置することで本体重量の一部を軽量化。その分、電源プラグはかなり大きめなのです。

アダプター部だけで約4×66.5×13.5cm(幅×奥行き×高さ、実測値)と電気ヒゲ剃りくらいの大きさがあります。ドライヤーに使うコンセントの位置によっては、アダプターが邪魔になることもあるでしょう。Supersonic r購入前はドライヤーに利用するコンセントの状況もチェックすることをオススメします。

かなり大きい電源アダプター。目隠し用などで奥まった場所に配置してあるコンセントには挿しこめない可能性も……

実際の使用感と速乾力はどうなのか?

Supersonic rは本体後ろにあるボタンで風速と温度を切り替え、本体前面のコールドショットボタンで温風から送風へ切り替えるという、シンプルな操作インターフェイスを採用しています。

現在の風温および風速は、それぞれ3つのランプでチェックできます。ヒーターを切った状態では風温ランプが赤から青に変化
手元で送風に切り替えられるコールドショットボタン

また、Supersonic rは3つのアタッチメントを付属。このアタッチメントにはRFID(Radio Frequency Identification)タグが内蔵されており、アタッチメントを装着するとドライヤー本体がアタッチメントの種類を自動認識して、風速と風温を最適なものに切り替えます。もちろん、アタッチメントごとに自分好みの設定に変更することも可能です。

左から速乾ツール、低温ツール、なめらかツール
アタッチメントはマグネット式なので脱着がワンタッチで簡単です。アタッチメントを装着していない状態ではSupersonic rを利用することはできません

一番よく利用するだろうアタッチメントは、高速の風を生む「速乾ツール」。これは、髪をすばやく乾かすのに向いた付属アタッチメントです。ダイソンのドライヤーといえば「風の勢いが強く、とにかく速乾性が高い」といわれますが、Supersonic rの勢いもなかなかのもの。

従来のSupersonicがノズル先約5cmの位置で最大風速が21m/秒だったのに対し、新Supersonic r(速乾ツール)は、このコンパクトさにかかわらず20m/秒もの風速がありました。実際に使用してみると、毛量の多い筆者でもパワフルな風が髪をかき分けるように吹き付け、風が直接地肌に当たります。

我が家で計測したところ、速乾ツール使用時の最大風量で20m/秒以上の風速がありました。コンパクトな本体ながらパワフルな風を実現しているのがわかります

ただし、速乾ツールは風の範囲を絞ることで風速を確保しているため、風が当たる範囲は従来のSupersonicよりやや狭めに感じます。このため、従来モデルよりノズルをこまめに移動させながら髪を乾かすことになりますが、その分狙ったポイントに風を当てやすいというメリットもありました。「一気に広い範囲を乾かしたいか」あるいは「狙った場所をしっかり乾かしたいか」など、このあたりは好みが分かれそうです。

筆者所有のSupersonic(写真左)と新Supersonic r(写真右)の最大風量、最高温度設定で風を当てた場所のサーモグラフィー。同じように約15cm離れた位置から30秒風を当てていますが、Supersonicのほうが風が広がる水色部分の範囲がかなり広いのがわかります

スタイリングにも嬉しい3つの付属アタッチメント

速乾ツール以外の「低温ツール」と「なめらかツール」は、乾燥よりもスタイリングに向いたアタッチメントでした。「低温ツール」は風を均一に拡散させ、髪に柔らかく優しい風を当てます。髪を散らさずにスタイリングしたい場合などに向いています。

ストレートヘアの筆者が個人的に気に入ったのが「なめらかツール」。Supersonic rは静電気を抑制するマイナスイオン機能を搭載しているのですが、なめらかツールではより多くのイオンを届けることができるそう。また、なめらかツールは波型のヘラのような形をしており、髪をひっぱりながらヘラ部分を当てることでヘアアイロンのように髪のうねりや広がりを抑えてくれます。

筆者は全体的にうねりと広がりのある剛毛なので、髪をおろす時はヘアアイロンを利用することも多いのですが、丁寧になめらかツールを使えばアイロンに近い仕上がりになります。ただし、なめらかツールの構造上、頭頂部の浮き毛対策などには不向き。頭頂部までドライヤーでストレートにしたい場合は、従来タイプのSupersonicに対応する「ツヤ出しツール」のほうが使いやすいかもしれません。

少量の髪の毛を片手で引っ張りながら、反対の手で「なめらかツール」の先を毛先に向かって滑らせます。引っ張って真っ直ぐになった髪を熱風で固定するという仕組み。なめらかツールをゆっくり滑らせるとヘアアイロンをしている時のようなニオイもします
右側が自然乾燥、左側がなめらかツールを使用した髪。なめらかツールを使用した髪は広がりが収まり、うねりも軽減しています
従来タイプのSupersonicに対応するツヤ出しツール

ちなみに、Supersonic rはマイナスイオンだけではなく、1秒間に最大30回の温度測定で熱によるダメージを防ぐ「インテリジェント・ヒートコントロール」の搭載により髪ダメージも低減できるそう。マイナスイオンやヒートコントロールは目に見えるものではないので、どれくらい効いているかはわかりませんでしたが、なめらかツール使用後の髪はたしかにツヤツヤと輝いているように感じます。

少量の毛束ずつ、しっかり全体になめらかツールを使えばここまでツヤツヤさらさらに

重視したいメリットにあわせて製品を選ぶと良いかも

今回、Supersonic rを2カ月近く使用しましたが、実感したのは「軽くて取り回ししやすいドライヤーは使っていて楽!」ということ。髪をきちんと乾かそうとすると、頭の顔側から後頭部までさまざまな角度でドライヤーを当てる必要がありますが、Supersonic rならどんな姿勢で髪を乾かしても腕に負担を感じません。正直、シャワー後のドライヤーの面倒くささがかなり軽減されました。

軽量ドライヤーはパワーがない製品が多いなか、Supersonic rなら一般的なドライヤーより圧倒的にパワフルで速乾性もある点も評価できます。「毎日のドライヤーが面倒に感じる」という人にこそオススメしたい製品です。

一方、アダプターのサイズや、大風量時に風が当たるスポットの広さ、ストレート用アタッチメントの優秀さなど、従来タイプのSupersonicに優位性を感じる部分もありました。毎日の負担軽減を取るか、スタイリングのしやすさを取るか……自分が重視したい機能にあわせた製品を選んでほしいと思います。

倉本 春