家電レビュー
食パンにもうバターいらない!? 1枚焼きでおいしい新感覚abienトースター
2024年6月14日 08:05
朝食パン派の筆者は、毎朝ハンドドリップで淹れたブラックコーヒーを飲みながら、トーストを食べるのが定番です。
食パンを焼くときは、ダイヤルを回して加熱時間を設定するタイプのトースターを使用。時間設定を誤り、うっかり焦がしてしまうこともありますが、朝の忙しい時間帯にトースターの前に張り付いているわけにもいかず、焦げようが焼き足らなかろうが、仕方なくそのまま食べています。
そんななかで新たに発売されたのが、1枚焼きトースターの「abien BREAD GRILL(アビエン ブレッド・グリル)」です(直販価格27,500円)。食パンの厚さ、冷凍の有無に合わせてモードを選び、スイッチを押せば、ほったらかしでおいしいトーストが焼き上がるといいます。そんな同機を、さっそく借りることができたので、実力を試してみました。
挟んで焼くから食パンが“カリふわ”に仕上がる
abienといえば、調理や後片付けがしやすい極薄のホットプレート「abien MAGIC GRILL(アビエン マジックグリル)」がよく知られています。
今回使った「abien BREAD GRILL」は、食パンをおいしくトーストすることに特化して開発された、プレスグリル方式の1枚焼きトースターです。上下に配置されたグリルプレートでピタッと食パン1枚を挟み、適度に圧を加えながら両面を焼き上げる仕組み。見た目は大きめのホットサンドメーカーのようです。
実際に市販の食パンを焼いてみると、表面がムラなく焼き上がっているうえ、サクサクと香ばしいです。しかも耳の部分はカリッとクリスピー。これまでのトーストでは味わったことのない耳の食感と、軽くプレスされた滑らかかつサックリした表面が新感覚で、何ともいえず美味でした。
パン内部はふんわりしていて、焼き立てのようなもっちりとした食感。バターやジャムなどをつけなくても、そのままでおいしかったので、食べ慣れたはずのトーストがグレードアップしたように感じられました。
パンを挟んで焼くだけで、なぜこんなにおいしいトーストが焼き上がるか不思議でした。
その秘密は独自のサーキットヒーター内蔵プレートを使用した、プレスグリル焼きにあるそうです。グリルプレート内部には、温度コントロールに優れた同社のホットプレート「abien MAGIC GRILL(アビエン マジックグリル)」と同じサーキットヒーターを搭載。素早く正確に温度を制御できるので、じかに理想的な火入れができます。
この直火(伝導熱)に加えて、遠火効果のある輻射熱(ふくしゃねつ)、庫内で温まった空気の対流熱の3つの熱源により、パンの表面を香ばしく焼き上げながら、中までしっかり加熱。小さな庫内は熱効率が高く、パンの中に水分を閉じ込めながら焼けるため、外はカリッと香ばしく、中はもっちり&ふわっとしたトーストに仕上がります。
これに対して一般的なオーブントースターは、電熱管の輻射熱と対流熱でパンに火を入れる仕組み。熱源が遠く、庫内が大きいので調理に時間がかかり、加熱中にパンに含まれる水分や香りが飛んでしまうなどのデメリットがあります。
そのデメリットを解消したのが、食パンを挟んで両面をグリル焼きするという発想です。
熱効率が良いから素早く焼ける! 冷凍食パンもおいしいトーストに
「abien BREAD GRILL」は薄切り(6~8枚切り)、厚切り(4~5枚切り)のトーストに対応しています。調理モードは「薄切りパントースト」、「厚切りパントースト」、「薄切り冷凍パントースト」、「厚切り冷凍パントースト」の4種類。食パンの厚さと冷凍の有無に合わせてモードを選び、ダイヤルを回してセットするだけで、おいしいトーストが焼き上がります。
操作はいたってシンプルです。電源プラグをコンセントに差し、本体右側のモード選択ダイヤルを回して調理モードを選ぶと「ピッ」と音が鳴り、選択したモードのLEDランプが点滅して予熱が始まります(予熱時間:約100秒)。
「ピピッ、ピピッ、ピピッ」と音が鳴り、選択したモードのランプが点滅から点灯に変わったら予熱終了の合図。本体上部に付いている手前の開閉ハンドルを軽く持ち上げてロックを解除し、下部のプレートの中央に食パンを置いて蓋を閉めて再びロックしたら、モードダイヤル中央に配置されたスタートボタンを押します。ちなみに、スタートボタンを押す前に、調理モードを変更することも可能。
スタートボタンを押すと「ピーッ」と音が鳴って、焼き上げ始めます。6枚切りの食パンであれば60秒ほどで焼き上がるので、忙しい朝は助かります。
なお、厚切りパンは約90秒、薄切り冷凍パンは約110秒、厚切り冷凍パンは約150秒が焼き上がりの目安です。焼き上がると「ピーッ、ピーッ、ピーッ」と音が鳴り、スタートボタンの上部がオレンジ色に全灯します(焼き上げ中はゆっくり点滅)。
焼き上げが完了すると自動で電源がOFFになるので過剰に加熱されることはありませんが、パンが乾燥したり、焼き色がつきすぎることも懸念されるため、早めに取り出して、ベストな状態で食べるのがおすすめです。
同機はサーキットヒーターとプレスグリル方式の組み合わせにより、熱効率が高く、このようにスピーディーにトーストが焼き上がります。メーカーによるとパンの内部を短時間で約95℃まで温められるとのこと。ちなみに、95℃はパン内部の水分がギリギリ蒸発しない温度とされています。だから、もっちりとした食感で仕上がるのですね。
厚切りの冷凍食パンでも試してみたところ、外が焦げることはなく、中までしっかり火が通って、カリッとモチッとしたトーストが楽しめました。
食パンを1枚ずつしか焼けないのは不便なのでは? と思いましたが、このトースターは連続使用ができるので、家族が多くても大丈夫です。連続で焼く場合は予熱不要で、続けてパンを挟み、モードを選んでスタートボタンを押せばOK。2枚続けて食パンを焼いたところ、2枚目も焦げることもなく、1枚目と同じ焼き目がついて驚きました。また、素早く焼けるので、何かとせわしい朝でもストレスを感じにくいです。
挟んで焼いてもパンがつぶれない! 焼き上がりも均一
同機はさまざまな厚さの食パンを挟んで焼けるのですが、どんな厚さでもつぶれることはありません。薄切りでも厚切りでも、表面は焦げずにカリッと中はふんわり感が残ったトーストに焼き上がります。
これは、メーカーが独自に開発したプレス構造が関係しています。着脱可能な上下のグリルプレートは、それぞれバネで支える構造。上下のプレートをしっかり取り付けても、どちらも本体から少し浮いたような感じで、遊びの部分があるのがわかります。
このように庫内が半密閉状態となる構造により、食パンに含まれる水分を閉じ込めつつ、厚さに応じた力加減でプレスされるので、カリッとふわっとしたトーストが焼き上がるのです。食パン同士を圧着させるホットサンドメーカーとは異なり、つぶれる心配もありません。
また、上下のプレートがパンの表面にピタッと密着するため、焼き上がりも均一。両面がムラなく焼けて、見た目からおいしそうに仕上がるのも同機の魅力です。
食パンだけじゃない! 肉まん、餃子、おもちも焼けて便利
同機はトーストに特化した調理家電ですが、ほかの食材を調理することも可能です。
まず、食パン以外のパンを焼いたらどうなるのかと思い、メロンパン、あんぱんをそれぞれ厚切りパントーストモードで焼きました。どちらも厚切り食パンより厚みがあるため、上下がつぶれてはしまったのですが、表面がカリッと香ばしく、いつものメロンパンやあんぱんとは異なる見た目と食感に仕上がりました。
同機で焼いたメロンパンは、パンケーキのようなルックスに。
あんぱんは小ぶりなサイズを使ったためか、焼いたおまんじゅうのような見た目と味になり、和菓子感覚で食べられました。すっかり様変わりしたメロンパンとあんぱんでしたが、筆者の子供たちは「おいしい!」と言ってパクパク食べていました。
次に試したのが冷凍の肉まんです。こちらも厚みがあり、冷凍のままでは硬すぎて蓋が閉まらなかったため、電子レンジで少し温めて柔らかくしてから焼きました。
先ほどと同様に、焼きあがったものはつぶれておやきのような形になりましたが、今まで食べたことのない新食感の肉まんが完成。いつもの肉まんをアレンジして食べたいときにおすすめです。
同機の特徴である両面挟み焼きにぴったりだと思ったのが、チルドの餃子とシュウマイ。予想どおり、表面がカリッ、パリッとしたものになりました。
香ばしいのは良かったのですが、プレートに水を入れて調理できないので、やはりこれらの点心はフライパンで蒸し焼きにする方がおいしく食べられるように思います。ただ、同機を使うと短時間で調理できるため、ササッと一品作りたいときに便利だと感じました。
なお、肉まん、餃子、シュウマイを調理した際、表面は熱々だったものの、1度焼いただけでは芯に近い部分が少しぬるいように感じました。食材に厚みがあると、中まで火が通りにくいのかもしれません。こうした食材を焼くときは、あらかじめ電子レンジで温めてから焼く、追加で加熱するなどの工夫が必要だと思いました。
加えて、プレートと本体ががっちり固定されていないので、食材を端に配置するとバランスが崩れてグラつくのが注意点です。1個の場合は中央にセットすればよいのですが、餃子やシュウマイなどを複数個並べるときは、置く順番や位置に気をつける必要があります。
同機を使うと、おもちもあっという間に焼けます。上下からプレスされるため、プクッとふくらむことはなく、平べったく仕上がるのはちょっと残念な気がしましたが、プレートからスルッとはがせるので、焼き網にくっついてしまう、おもちあるあるのストレスに悩まなくて済むのはうれしい限り。
調理モードはトーストの焼き上げ具合に合わせてあるので、ほかの食材で使いこなすためには研究が必要ですが、食パン以外にも活用できるのは便利です。
お手入れ簡単! プレートは丸洗いOK
同機のプレートには独自のコーティングが施されていて、油を使わなくても食材がくっついたり、焦げついたりしにくくなっています。スライスチーズや卵もスルッとはがれるのだとか。焼いたおもちを、スムーズにはがせることにも納得しました。
汚れも落ちやすく、ラクに後片づけできるのも魅力。キッチンペーパーなどでサッと拭くだけでもきれいになりました。上下のプレートはIPX5/IPX7相当の防水仕様になっていて丸洗いが可能。浸け置き洗い、食洗機などには対応していないので、もし汚れが気になった場合のお手入れは食器用洗剤を使って手洗いしましょう。
なお、プレートは2枚とも同じ形状なので、上下どちらにも装着できます。
取り付けるときは本体とプレートの接合部を合わせて押し込むだけ。下側のプレートはまっすぐ引き上げれば取り外せます。上側のプレートは、2カ所あるストッパーをそれぞれスライドさせると外れるなど、着脱しやすい設計も便利だと思いました。
トースターとは思えないフォルムも斬新です。ボディがコンパクトなため、省スペースで設置できるのもうれしいポイント。大きめのマグカップとほぼ同じ高さなので、キッチンに置いても圧迫感がありません。
ちなみに同機は、応援購入サイト「Makuake(マクアケ)」で先行販売されていた製品です。使用者の声やフィードバックなどを反映し、改良を加えたモデルが満を持して2024年5月から一般販売となりました。バターやジャムなしで食べられる新感覚のトーストに興味がある人は、ぜひお試しを。