家電レビュー

冷凍カレーパンが焦げず熱々なトースター クロワッサンも美味しく焼けて秀逸でした

ツインバード「匠ブランジェトースター TS-D486B」

「冷凍したカレーパンをリベイク(温め直し)すると表面は焦げてしまうのに中は冷たいまま」「トーストに好みの焼き色をつけるのが難しい」といったトースターのお悩みは、あるあるですよね。そんな問題を解決してくれたのが、ツインバードの「匠ブランジェトースター」。

凍ったカレーパンも、冷たくなったクロワッサンも、簡単操作で焼き立ての美味しさを再現するという製品です。食パンは好みの焼き色を選んでボタンを押せば、外はカリッ、中がモチッとしたトーストが自動で焼き上がるのが特徴です。

実際に、本機を借りてさまざまなパンを焼いたところ、常温・冷凍に関わらず、どれも美味しく焼けました。コンパクトな見た目とは裏腹に、その実力の高さは想像以上。以下でその魅力をたっぷりお伝えします。

冷めたカレーパンも凍ったカレーパンも焼き立ての味わいに

カレーパンの中に入っているカレーをしっかり温めようと電子レンジで加熱したら、カレーパンのカリッ、ザクッという香ばしい生地の食感が失われてしまった……。なんて経験をしたことがある人も多いと思います。

筆者自身も、一般的なトースターでカレーパンをリベイクする前は、都度電子レンジで中まで火を通すというひと手間を加えています。しかし本機ではその必要がありません。簡単操作、ほったらかし調理で冷たいカレーパンが中まで熱々、だけど焦がさず美味しく焼き上げることができるのです。

「匠ブランジェトースター」でリベイクすると、外側はサクッと香ばしく、中はとろりとした熱々のカレーパンに仕上がる

しかも、常温でも冷凍でも同じように美味しく焼き上がるのには驚きました。市販のカレーパンを冷凍保存し、解凍せずにリベイクしたところ、外側の生地はサックリ香ばしく、中のカレーにはしっかり火が通っていて、冷凍したとは思えないほど美味しく焼き上がりました。もちろん外側が焦げることもありませんでした。

冷凍保存した市販のカレーパン
冷凍カレーパンでも外側の生地はサックリ香ばしく、中のカレーにはしっかり火が通る

さらに驚くべきは、この加熱調理をオートモードで実行できること。本機のモードダイヤルを「カレーパン」に合わせてから、冷凍の有無(ON/OFF)を選択・決定し、スタートボタンを押すだけなので操作もシンプルです。

モードダイヤルを「カレーパン」に合わせる
冷凍ON/OFFを選択・決定して、スタートボタンを押す

なお、冷凍ON/OFFの選択は、正面向かって右側にあるセレクトダイヤル(スタートボタンと一体)を回して切り替え、一度スタートボタンを押すと設定できます。再度スタートボタンを押すと加熱開始です。

正面向かって右側のセレクトダイヤルを回すと冷凍ON/OFFを切り替えられる

ちなみに、各設定を取り消す場合はセレクトダイヤル隣りの「キャンセル(CANCEL)」ボタンを使います。

設定の取り消しは「キャンセル(CANCEL)」ボタンを使う

カレーパンモードでオート調理できるのは、1回に1~2個(1個あたり約100gが目安)。1個の場合は焼き網の中央に、2個の場合は均等に並べるのがポイントです。

カレーパンを同時に2個焼く場合は、焼き網の上に均等に並べる

ただし、このオートモードに対応しているのは調理済みのパンのみ。生のパン生地からは焼けないので注意が必要です。

オートモードに対応しているのは調理済みパンのみ

世界一のパン職人の技を再現する「匠BRAIN」を搭載

前述のように、冷めたカレーパンや凍らせたカレーパンをオート調理で美味しくリベイクできるのは、「匠BRAIN」のおかげです。

本機は、千葉県成田市にあるベーカリー「トモニパン」のオーナーシェフで、iba cup(ドイツで開かれるパン職人の世界大会)2015年大会で総合優勝を果たし、世界一のパン職人と認められた浅井一浩(あさいかずひろ)さんが監修しています。

その浅井さんがパン作りを通じて培ってきた知識、言語化が難しい絶妙な温度管理の技術などを搭載したのが「匠BRAIN」。この「匠BRAIN」の働きにより、センサーが秒単位で庫内の温度を計測。遠赤外線カーボンヒーター(上部)と近赤外線ハロゲンヒーター(下部)の独立した2種類のヒーターを制御し、パンの種類に合う最適な焼き方に自動調節して、美味しく焼き上げてくれる仕組みです。

センサーが秒単位で庫内の温度を計測し、上下2種類のヒーターを制御して、パンの種類に合う最適な焼き方に自動調節する

カレーパンのリベイクでは、表面をパリッと加熱する遠赤外線カーボンヒーター(上火)は弱くして焦げるのを防ぎつつ、パン内部までしっかり温める近赤外線ハロゲンヒーター(下火)は強く出力するように自動制御されるため、簡単なボタン操作で揚げたてのような美味しさを味わうことができます。

焦げるのを防ぎつつ表面をパリッと加熱する遠赤外線カーボンヒーター(上火)
パン内部までしっかり温める近赤外線ハロゲンヒーター(下火)

本機のオートモードはカレーパンのほか、クロワッサン、フランスパン(バゲット)、トースト(焼き色「普通」を選択した場合)に対応。加熱温度、調理時間が自動で設定されるので、ボタンを押して待つだけで、焼き立てのような美味しいパンを食べることができます。

オートモードはカレーパン、クロワッサン、フランスパン(バゲット)、トースト(焼き色「普通」を選択した場合)に対応

従来のトースターでは、パンをリベイクする時に焦げないかが気になり、ついつい見張ってしまいがちでしたが、本機だとその心配がないのが便利だと思いました。

クロワッサンもバゲットも焦がさずリベイクできる

クロワッサンもリベイク時に焦がしやすいパンの代表ですが、匠監修のオートモードで焼くと、表面が焦げないのはもちろん、焼き立てのようなクリスピーな食感に仕上がります。

また、下側の近赤外線ハロゲンヒーターが、パン内部をバターの香りが際立つ温度まで加熱するため、冷凍の有無、サイズの大小に関わらず、風味豊かでサクッと香ばしいクロワッサンを楽しむことができます。

表面が焦げることなく、バターの風味豊かでサクッと香ばしいクロワッサンが焼き上がる

オートモードで一度に調理できるクロワッサンの個数の目安は、大(約70g)1個、小(約25g)2~3個。

モードダイヤルを「クロワッサン」に合わせて、冷凍ON/OFFを選択し、スタートボタンを押せば、あとはおまかせ調理でOKなので楽チンです。

モードダイヤルを「クロワッサン」に合わせる
冷凍ON/OFFを選択してスタートボタンを押す

ちなみに、クロワッサンモードを含む4種類のオートモードの調理中は、匠監修モードであることを示す「匠アイコン」がディスプレイに表示されます。世界一のパン職人がパンの焼き具合を見守ってくれているようで安心できますね。

オートモードで調理中のクロワッサン
オートモードの調理中は、「匠アイコン」がディスプレイに表示される

本機を使うと、フランスパン(バゲット)もオートモードで美味しくリベイクできます。

バゲットを一般的なトースターで温め直すと、水分が失われてラスクのようにカリカリになりがちですが、本機のオート調理では、高温で一気に表面を加熱することにより、外はバリッと香ばしく、中はもっちりした食感に焼き上がります。

モードダイヤルの「フランスパン」モード

美味しく焼き上げるには、加熱前にバゲットに霧吹きで軽く水を吹きかけ、皮目がヒーター側になるように並べて焼くのもポイントです。

加熱前にバゲットに霧吹きで軽く水を吹きかける
皮目がヒーター側になるように並べて焼く

いつものトーストがワンランクアップ

トーストのクオリティも負けません! 普段、トーストにバターやジャムを塗って食べることが多い筆者ですが、本機で焼いたトーストは、何もつけなくてもそのままで美味しいと感じるほどでした。パンを噛みしめると、外側はサックリ香ばしく、中はもっちりふんわりとしている上、ほのかな甘みを感じられます。

何もつけなくても美味しいワンランク上のトーストが焼ける

トーストモードのオート調理では、上火を強く出力することで表面に焼き目をつけて内部に水分を閉じ込め、小麦の風味豊かに焼き上げるそうです。

トーストを焼くときは「トースト」モードに合わせてから、1回に焼く枚数(1~2枚)、焼き色(薄い/普通/濃い)、冷凍ON/OFFをそれぞれ選択・設定してからスタートボタンを押します。

モードダイヤルを「トースト」モードに合わせてから、1回に焼く枚数(1~2枚)を選択
焼き色(薄い/普通/濃い)、冷凍ON/OFFをそれぞれ選択・設定してからスタートボタンを押す

ちなみに、匠監修のモードが適用されるのは焼き色「普通」を選択した場合のみのため、ほかの焼き色(薄い/濃い)を選ぶと匠アイコンは表示されません。

匠監修のモードが適用されるのは焼き色「普通」を選択した場合のみ
焼き色「薄い」に設定した際の表示(匠アイコンは表示されない)
焼き色「濃い」に設定した際の表示(匠アイコンは表示されない)

とはいえ、匠モードでなくてもオート調理には変わりなく、操作方法も同じ。焼き加減が変わるだけで十分美味しく食べられるので、好みの焼き色を選びましょう。

焼き色「薄い」で焼いたトースト(左)と「濃い」で焼いたトースト(右)はどちらも美味しく食べられる

「トーストモード」で食パン1枚を焼くときは焼き網の中央に、2枚の場合は網の上に均等になるように、山型食パンは山部分が左右のどちらかを向くように配置すると焼きムラを防いでより美味しく焼けます。

食パン2枚を焼く場合は網の上に均等になるように配置する

一般的なトースターの多くは、食パン2枚を焼く際に横に並べますが、本機は縦並びに置くのが特徴的。というのも、本機は幅が狭く、奥行きが長いデザインであり、扉も小さく設計されているのです。

このフォルムは「窯(かま)」にヒントを得たもので、扉を小さく、奥行きを長くすることにより、トースター庫内に熱を閉じ込めて安定した火力コントロールを実現できたといいます。

窯にヒントを得たデザイン

間口が狭く、奥に長いスリムな形状は見た目がすっきりしている上、省スペースで設置できるのもうれしいポイントです。

見た目がすっきりしている上、省スペースで設置できる

なお、ピザトーストやチーズトーストなどのように、食パンに具材を乗せて調理する場合は、「アレンジトースト」モードの使用がおすすめ(匠監修モードなし)。こちらも自動で温度と時間が設定されるので、ほったらかし調理で美味しいアレンジトーストが楽しめます。

「アレンジトースト」モード
食パンに具材を乗せて調理する場合は「アレンジトースト」モードを使用する

ちょい焦がしに便利な「バーナーモード」搭載

本機には、食材の表面に焼き目をつけられる「バーナーモード」も搭載されています。

バーナーモードは上側ヒーターのみで加熱する調理モードで、表面に焦げ目をつけたい、焼き足りなかったので上面だけもう少し熱を加えたいといったときにも便利です。

バーナーモードは、トースト、アレンジトースト、クロワッサン、フランスパン、カレーパンの各モードで調理が終了した後、1分以内にスタートボタンを約2秒長押しすると設定可能。

各モードの調理終了後、1分以内にスタートボタンを約2秒長押しすると「バーナーモード」を使用できる

バーナーモードは初期値が30秒に設定されていますが、10~60秒の範囲において10秒単位で好みの時間に変更することも可能です。30秒でよければ、そのままスタートボタンを押して加熱開始、もしくは任意の時間に変更・設定した後でスタートボタンを押して加熱します。

10~60秒の範囲において10秒単位で好みの時間に設定できる(初期値30秒)

このバーナーモードは、たとえば、トーストの焼き色を「薄い」に設定したけれど、やっぱりもう少し焼き目をつけたいといったときにも重宝します。

なお、各モードの調理終了後から1分以上経過してしまった場合は、モードダイヤルを「マニュアル」に合わせれば、同様にバーナーモードを設定できるので心配ありません。

バーナーモードは「マニュアル」モードでも設定できる

マニュアルモードはパン以外のメニューにも対応

「マニュアル」モードは、パン以外のメニューの調理にも対応。本機にはピザ(チルド・冷凍)、グラタン、ホイル焼き、調理済み揚げ物の温めなどの際に便利な天板も付属します。

付属の天板

マニュアルモードの使い方もシンプルで、操作が簡単です。

モードダイヤルを「マニュアル」に合わせて、温度(120~260℃:20℃単位)と時間(0~1分:10秒単位/1~10分:30秒単位/10~30分:1分単位)をセレクトダイヤルで選択・設定して、スタートボタンを押せば加熱が始まります。

モードダイヤルを「マニュアル」に合わせる
加熱温度(120~260℃:20℃単位)をセレクトダイヤルで選択・設定
加熱時間(0~1分:10秒単位/1~10分:30秒単位/10~30分:1分単位)をセレクトダイヤルで選択・設定

試しにマニュアルモードでサツマイモをホイル焼きにしたところ、ホクホクした焼いもが完成しました。

ホクホクした美味しい焼いもが作れる

冷めた揚げ物を天板に乗せて温め直したところ、中までしっかり火が通り、衣がサクサクしていて美味しかったです。フライを温め直すときは、片面ずつ上下を返して加熱するとより美味しく食べられると思いました。

揚げ物の温め直しもお手の物

なお、切り餅を焼くときは天板を使用せず、そのまま焼き網にのせて加熱します。加熱温度と時間の目安(1個あたり約50gの切り餅を1~4個焼く場合)は、260℃で3~5分です。

切り餅を焼くときは焼き網に乗せて加熱する

マニュアルモードはオートモードと異なり、温度と時間を設定しなければならず、慣れるのにコツが必要ですが、パン以外のメニューも手軽に調理できるのが良いと思いました。

また、本機はお手入れしやすいのも嬉しいポイント。庫内の焼き網は着脱式になっており、簡単に取り外せる上、食器用中性洗剤と水で丸洗いできます(食器洗い乾燥機は不可)。加えて、焼き網を取り外すことで、庫内の掃除もしやすいです。

着脱式の焼き網は取り外しが簡単にできる

さらに、本体下部には引き出し式のくず受け(水洗い不可)が装備されているので、庫内の底に溜まったパンくずや食品カスなどをサッと捨てられるのも便利。

本体下部に装備された引き出し式のくず受け

「匠ブランジェトースター」は直販価格が25,800円と、相場と比較すると決して安くはありませんが、機能性や使いやすさに加え、何よりも美味しいパンが食べられる点で「欲しい!!」と思わせてくれる秀逸なトースターだと思いました。

「匠ブランジェトースター」は機能性、使いやすさ、パンの美味しさのどれをとっても秀逸
野本 美樹