家電レビュー
熱風で包むから早く焼けておいしい! 山善オーブントースターが秀逸
2024年7月5日 08:05
オーブンレンジを持っていても、オーブン機能をほとんど使っていない、という人はいませんか? オーブンを使うと料理がおいしく仕上がりますが、うまく使いこなすのはなかなか難しいですよね。操作が複雑で面倒、調理時間が長い、サイズが大きめで場所をとるのも難点です。
こうした悩みを解消してくれるのが、コンパクトなのに多機能、シンプル操作なのに時短でおいしい料理が完成する、山善「熱風オーブントースター YCW-C120」でした。今回、実機を借りることができたので、さっそくレビューをお届けします。
2つのファンでパワフルな熱風! 料理がおいしく仕上がる
山善の「熱風オーブントースター」は、コンベクション機能を搭載した調理家電。コンベクションとは、ヒーターとファンによって熱風を循環させ、食材を包み込むように火を通して均一に焼き上げる機能です。
庫内には上下ヒーターに加え、天面側に2つの「ファン」が搭載されています。オーブン調理では、この2つのファンで上下に2本ずつ配置された「直ヒーター」の熱を対流させることにより、庫内の温度ムラを防ぎつつ、熱風で包み込むように焼き上げる仕組みです。食材に早く火が通り、外はカリッと、中はジューシーに仕上がるといいます。
試しにオーブン料理で定番のマカロニグラタンを調理したところ、表面は均一に焼き色がついて香ばしく、中はトロトロ&アツアツで、とてもおいしく仕上がりました。
料理がおいしく仕上がるのに加え、本機は省手間かつ時短で調理できて、とても便利です。
一般的なオーブン調理では、あらかじめ庫内を温めておく「予熱」の工程がつきもの。設定した温度になるまで10~15分ほど待たなければならず、調理に時間と手間がかかる要因にもなっています。
一方、コンベクション機能を搭載した本機では予熱が不要です。予熱が必須とされるケーキも、材料を混ぜて型に入れ、庫内にセットしてそのまま焼くだけで完成しました。
ちなみに作ったケーキは、付属のレシピブックに掲載されている「甘酒バスクチーズケーキ」です。予熱の必要がなく、短時間で簡単にホールケーキが焼けるのは便利だと思いました。
コンパクトだけど多機能! 4種類の調理モードを搭載
「オーブン」のほかに、「エアフライ」や「あたため」、「トースト」機能が搭載されており、メニューに合わせて4種類の調理モードを選択できます。
なかでも「これは良い!」と思ったのは、「エアフライ」と「あたため」の調理モードです。
「エアフライ」は油を使わずに揚げ物を調理できる機能。庫内天面には直ヒーター2本の間にS字ヒーターも装備されていて、上ヒーター3本と2つのファンでパワフルに加熱し(下ヒーターはOFF)、食材の中までしっかり火を通しながら、外側をカリッと仕上げます。
なお、使用するヒーターと、ファンの使用の有無や強弱の組み合わせは、調理モードによって異なります(自動で設定される)。S字ヒーターを使用し、ファンが強で作動するのはエアフライモードのみです。
エアフライモードでは、付属のメッシュトレイとトレイ(受け皿)を使用します。食材を乗せたメッシュトレイの下にトレイをセット。調理モードを「エアフライ」にして、温度とタイマーを設定すれば、あとはほったらかしでおいしい揚げ物ができあがりました。
冷凍のフライドポテトを調理したところ、外はカリッと香ばしく、中はホクホクに仕上がり、筆者の子供たちに「いつもよりおいしい!」と好評でした。ノンフライのヘルシーな料理を作れる上、調理中の油ハネを心配する必要がなく、後片づけの手間がかからないのも助かります。唐揚げを手作りするときにも重宝しそうです。
調理済みの揚げ物を温め直すときに便利なのが「あたため」機能です。あたためモードでも、エアフライと同様にメッシュトレイとトレイを使用します。あたためモードでは天面の直ヒーター2本とファンが弱で作動(下ヒーターはOFF)。食材に含まれる余分な油が落ちて、焦げることもなくサクッと仕上がります。
食材から落ちる油によるトレイの汚れが気になる場合は、アルミホイルを敷きましょう。
冷めてしまった市販の唐揚げを温め直したところ、外側は香ばしく、中はしっかり火が通っていたのでおいしく食べられました。
揚げ物をトースターで温め直すと、中は冷たいままなのに外側が焦げてしまったり、電子レンジだと中まで素早く加熱できるけれどカリッと感が失われるなど、仕上がりがイマイチ。一方で、本機のあたためモードを使うと、温め直した揚げ物をおいしくヘルシーに食べられるのがうれしいです。
庫内が広い! 厚切りトーストもおいしく焼ける
本機は一般的なオーブントースターに比べると高さがあり、庫内が広々しています。高さは31cmあり、筆者宅に元々あるオーブンレンジと並べてみるとほぼ同じ。ただ、幅が33cmで奥行きが29.5cmなので設置面積は小さく、スペースパフォーマンス(スペパ)が高いのも本機の魅力です。
庫内の高さがある本機では、トーストモードで厚切りの食パンを焼くこともできます。4枚切りはもちろん、喫茶店メニューにあるような分厚いトーストもラクに焼けます。扉に付いている窓も大きいので、調理中に庫内を確認しやすいのも良いなあと思いました。
トーストや切り餅を焼くときは、付属のワイヤーラックを使用します。庫内にはワイヤーラックやトレイなどを差し込める3段(上段・中段・下段)の棚が装備されていて、食材の高さや好みの焼き具合などに適した位置に設定できるのも特徴です。
ワイヤーラックを下段にセットすることで、厚切りの食パン、具材をのせたトーストなども焦がさずに調理できます。分厚い食パンを使った「あんバタートースト」もおいしく作れました。
ちなみにトーストモードで作動するのは、上下2本ずつの直ヒーターのみ。ファンは作動しませんが、外がサクッとしていて、中はふわっとしたおいしいトーストが焼けます。
なお、庫内がかなり熱くなっているので、調理したものを取り出す際には注意が必要です。一般的なトースターは、扉を開けるとラックが前に出て調理物を取り出しやすくなりますが、本機はラックが出てこないため、そのまま手を入れるとやけどをする可能性があります。
ワイヤーラックは、付属のハンドルを利用すると簡単に引き出せる上、持ち運ぶこともできるので、お皿に移すときに便利です。
ハンドルにはフックやステーなどが装備されていて、付属品ごとに引っ掛けるパーツを変えることでフィットするように設計されています。そのため、メッシュトレイやトレイなども同じハンドルを使って取り出せます。
ちょっと気になったのは、開けた扉がフラットにならず、中段・下段にセットしたラックやトレイがやや出しづらい点です。扉が完全に開き切らないため、ラックやトレイを引き出す際に少し斜めに傾ける必要があるので注意しましょう。
直感的に操作できるモードダイヤルがレトロ風でおしゃれ
多機能な調理家電は操作が複雑なイメージがありますが、本機ではたったの3ステップで設定が完了します。
本体上部の操作部に配置された「調理モード選択」「温度調節」「タイマー」の3種類のダイヤルを、左から順に設定していきます。
まず、向かって一番左側にあるモードダイヤルを回して「オーブン」「エアフライ」「あたため」「トースト」の4つの中から調理モードを選択。次に中央の温度調節ダイヤルを使って、選んだ調理モードに適した温度を設定します。温度調節ダイヤルの周囲には、それぞれの調理モードに適した温度帯が表示されていて便利です。
最後に右端のタイマーダイヤルを回して、調理時間を設定すればセット完了。タイマーは最長60分まで、約2分刻み(1目盛は約2分)で設定できます。
なお、調理時間が20分以下の場合、一度ダイヤルを40分以上に回してから戻して合わせます。20分以下に直接ダイヤルを合わせてしまうと、タイマーが誤作動を起こして事故につながる危険があるそう。設定時には注意が必要です。
操作ダイヤルには、わかりやすいガイドが付いているので、直感的に操作できるのもいいなあと思いました。好みの温度帯や調理時間を探すのに試行錯誤が必要かもしれませんが、その研究過程を楽しめるのも本機の魅力でしょう。
また、レトロな雰囲気のデザインもおしゃれでポイントが高いです。ダイヤルを回すという動作もどことなく懐かしい感じがします。
お手入れ簡単! 付属品は取り外して丸洗いできる
本機の付属品(ワイヤーラック、メッシュトレイ、トレイ、ハンドル、パンくずトレイ)は、すべて取り外しが可能です。これらの付属品はすべて水で丸洗いできるので、使用の度にお手入れすれば、常に衛生的に使用できます。
この多機能で便利な「熱風オーブントースター」のお値段は、直販価格で9,980円。デザイン性が高い上、コンベクション機能が付いてこの価格はうれしい限り。オーブントースターを買い替える、あるいは新たに導入するというタイミングの人は、ぜひ候補に入れてみてはいかがでしょうか。