家電レビュー

タニタのハイスペック体組成計を使ってみた! 筋質点数がモチベを上げてくれる

「乗るピタ」機能により、特にボタンを押さなくても乗るだけで計測がスタート

2年で体重が10kg以上増えました。20代後半に突入したからか、はたまた諸々のストレスによるものなのか、今まではどう頑張ってもこのラインは超えない、という体重の上限値があったのに、気づけばそれをゆうに超えており……。

さらに前々から高めの傾向にあったコレステロール値と中性脂肪も限界突破。一度医者に診てもらったほうが良いと言われたあたりでやっと危機感を持ち始め、健康のためにダイエットを頑張ることを決意しました。

上記の内容を編集会議で話したところ、「私も運動習慣を付けたいと思っていた」「少しだけ太ってきたから絞りたい」と、目的・レベルは違えど、筆者以外の編集部員もダイエットをしたいと思っていたことが判明。

一人で頑張っても誰の目もないとサボってしまったりするし、モチベーションアップのためにも自分のダイエットの頑張りを報告する場を作ろう! ということで、この度「ダイエット部」を発足することとなりました。今後、部員達がさまざまな方法でダイエットに取り組む企画も進めていく予定です。

こんな感じで、それぞれの頑張りを報告し合っています。筆者は主に体重の増減や食事、運動内容などを報告

さてダイエットにもいろいろ方法はありますが、筆者は「筋トレ」重視のダイエットを選択しました。YouTubeでいろいろなダイエット動画を漁った結果、まずは筋肉を付けて脂肪が燃えやすい身体づくりをすることが先決と考えたためです。

それからスポーツジムで筋トレに励み、帰宅後に自宅の体組成計で「筋肉量」を計測することしばらく。なかなか思うように筋肉量が増えてくれず、自分の頑張りに比例しない成果にモチベーションが下がってしまっていました。

そんな時に、タニタに“筋肉の質”まで計測できる体組成計があると知り、興味が湧いたのでお借りしてみることに。使用したのは「体組成計 インナースキャンデュアル RD-930L」。オンラインストアでの販売価格は38,280円です。

体組成計 インナースキャンデュアル RD-930L

乗るだけで自動測定がスタート。アプリへのデータ転送も自動で楽

本体はシンプルでスタイリッシュなデザイン。電源ボタンはなく、「乗るピタ」機能により、乗ると自動的に計測を開始します。測定者は4人まで登録できるのですが、乗るだけで誰なのかを体組成計側できちんと認識するのが賢いです。

操作部はシンプル
裏面にはRESETボタン

測定できるデータは「体重/体脂肪率/BMI/推定骨量/筋肉量/筋質点数/内臓脂肪レベル/基礎代謝量/体型判定/体内年齢/体水分率/脈拍数」の12種類で、測定後にすべてのデータが本体に表示されます。前回データとの比較は矢印で、各項目の判定は「少ない/標準/多い」などの文字で表してくれるため、自分の身体がどう変化したのか、どんな評価なのかを測定してすぐに知ることができます。

ただ測定時間がやや長めなのが気になります。乗ってから降りてよいと許可が出るまでの時間を計ってみると約20秒強。その間じっと動かずに待機していなければいけないため、せっかちな人には不向きと思いました。測定項目が多いからでしょうかね。

測定できるデータは12項目。測定後にすべてのデータが本体に表示されます

USB充電式を採用しているため、電池交換が不要。家に電池がないから買いに行かなきゃなんてことが起きないので便利だと思います。数日置きの計測で、約1カ月は使用できました。充電時間は約5時間です。

充電用のUSBポート
充電用USBケーブルは付属しますが、アダプタは手持ちのものを使用します
充電中の様子。充電ランプが点灯します

さらに専用アプリ「Health Planet」に会員登録して無線LAN設定をすると、測定後に自動でデータがアプリに転送されるようになります。

測定後に自動転送している様子

「Health Planet」では今までの測定データが一覧で見られるほか、グラフで体重などの増減が可視化できます。好きな時にスマホで測定データを振り返ることができるのは便利ですね。

トップページ(左)。測定データの一覧ページ(右)
グラフが確認できるページ。劇的に体重が減っているわけではないものの、スタート時の体重は超えずにゆるく減らせています。グラフには他の項目を表示することも可能です

4CTechnologyで高性能な計測が可能に! 計測のタイミングにも気を付けるべし

同製品は、身体を脂肪/ミネラル/タンパク質/水分の4つの成分で分析する「4C法」を活用した「TANITA 4C Technology」で高精度計測するのが特徴とされています。

一般的な家庭用の体組成計の測定には「生体電気インピーダンス法」という分析方法が応用されています。体組成計の足元にあるプレートから身体に微弱な電気を流すことで、電気抵抗値を計測。その電気抵抗値と、身長や年齢、性別、体重などの情報をアルゴリズムで解析することで、体組成を算出しています。

電極が4つあります。ここにつま先とかかとを乗せて計測します

筋肉はたくさん水分を含んでいるため電気を通しやすい一方で、脂肪は電気を通しにくいという特性の違いがあります。つまりアルゴリズムの性能が、計測結果の精度のカギとなるのです。

そこで、医療・研究機関で体組成計測のゴールドスタンダードとされている「4C法」で収集した生体データを基準に、新たなアルゴリズムを開発。これにより、身体の厚みや体積などの、体格の個人差の影響を低減し、より正確な計測値を出すことを可能にしたということです。

これまで筆者もいろいろな体組成計を使ってきましたが、体組成計って乗ったり降りたりしていると、測定値がかなり変わることがあるんですよね。それで低い数値が出るまで粘って「大丈夫。まだ慌てる体重じゃない」と現実逃避したりしていたのですが、「インナースキャンデュアル RD-930L」は計測値ブレが少ないため、そんな姑息な真似は通じません。

また体組成計の測定では微弱な電気を流しているため、体内の水分状態によって計測結果に影響が出てきてしまいます。運動や食事、入浴、時間帯によって、体温や体内の水分の状態などは変化するので、運動や食事、入浴の後を避けた同じ時間帯の測定を推奨しているそうです。

計測のタイミングは、運動や食事、入浴の後を避けた同じ時間帯がベスト

今までは起床後、何も飲み食いしない状態でお手洗いに行ってから計測するのが、最も身体に余分なものが入っていない状態で正しい数値が出るものだと思っていましたが、起床後はずっと横たわって寝ていた分、水分が全身にまんべんなくいきわたっている状態になるため、筋肉量が過小評価されてしまうとのこと。

これを知ってからは、なるべく昼食前に測定することを心掛けました。一番重要なことは、計測のタイミングを揃えること。たまに寝坊して計測時間の2時間以上前に起きることができない日もありますが、そんな時は潔く計測を諦めるようにしています。

2つの周波数によって測れる“筋肉の質”。変化が表れやすくモチベがアップ

前述の通り、計測時には身体に微弱な電気が流れますが、交流の電気のため周波数があります。一般的な家庭用の体組成計は1つの周波数で電気抵抗値を算出していましたが、「TANITA 4C Technology」を取り入れたインナースキャンデュアルでは2つの周波数(デュアル周波数)で測定することで、安定した測定を実現するほか、細胞レベルの分析が可能となり、「筋肉の質」を評価する「筋質点数」を表示できるようになったそうです。

そもそも「筋肉の質」とは何か。筋肉は「筋線維」と「筋線維をとりまく組織(水分や脂肪、結合組織)」の集合体で出来ています。筋線維の数自体に個人差はありませんが、太さに違いがあります。筋線維が太く密になっているほど筋質が高く、筋線維が細くスカスカな状態ほど筋質が低いという評価になります。

牛肉で例えると、赤身が多いお肉は筋質が高く、サシが多いお肉は筋質が低い状態です。

筋線維が太く密になっているほど筋質が高く、細くスカスカな状態ほど筋質が低い

この状態をスコア化したものが「筋質点数」になります。スコアは0~100点で評価され、世代によってスコアの見方が変わってきます。

筋質点数判定表

筋トレを頑張っても筋肉量はすぐに増えてくれませんでしたが、筋質点数は変化が表れやすかったため、モチベーションの維持にとても役立ちました。基本的には標準値の間でアップダウンを繰り返していましたが、一度だけ92点を出したときには大興奮でした!

ちなみに筋トレを頑張りすぎるとスコアが落ちます。筋肉痛になると、筋線維に傷ができた状態になるため、その分スコアが下がるのです。

筋力のアップには、筋肉痛になるくらいの追い込みが必要不可欠ですが、筋質点数が下がっている(筋線維が傷ついている)時にはトレーニングをやめて休養し、超回復を目指すように心掛けると、筋肥大へと繋がるようです。

筋質点数が下がっている時はトレーニングを休むという指標にもなるので、筋トレを頑張りたい筆者にとってはとても参考になりました。

iPhoneユーザーは「ヘルスケア」を通して他アプリにも測定結果が記録できる

専用アプリ「Health Planet」で測定データを確認できることについては前のほうで触れましたが、実は筆者はあまりこの機能を活用しませんでした。

というのも、長年食事記録を付けるアプリの「あすけん」を使っており、そこで体重や体脂肪率の増減を管理してきたからです。できれば今まで通り、使い慣れたアプリで記録を管理していきたいなと思っていたところ、外部のアプリにも関わらず体重と体脂肪のデータが自動で登録されていることに気が付きました。

筆者が使用している食事記録アプリ「あすけん」。今まで入力は手動でしたが、自動で体重と体脂肪率のデータが登録されるようになり、かなり楽になりました

どうやらiPhoneに搭載されている「ヘルスケア」を経由して、測定データが共有されていたようです。iPhoneユーザーで、かつヘルスケア連携ができるアプリを使用している場合のみにはなりますが、普段自分が使っているアプリにもデータが反映されるというのはかなり嬉しいポイントでした。

「Health Planet」は、ヘルスケアと測定データ(体重・体脂肪率)を共有できる

自分と向き合い続けることが大切

約3カ月間使ってみて、劇的に痩せた! とはなりませんでしたが、少なくとも増量しすぎることなくキープし続けることはできました。これはかなり大きなことです。

振り返ってみると、筆者が2年で10kg以上太った背景には、現実逃避で長いこと体組成計に乗らなかったという愚行がありました。目を逸らさずに、自身の変化と日々向き合っていれば、体重がここまで増えることはなかったかもしれません。

改めて、体組成計に乗ることの大切さを思い出した3カ月間でした。

また筋質点数も、期待通りモチベーションアップに役立ちました。筋肉量を増やすには長い時間が必要になりますが、筋肉の質はすぐに変化が出てくるので、計測する度にワクワクできます。

筋トレを頑張っている人や、ダイエットのモチベーションをアップしたい人におすすめです。

松川 叶実