家電レビュー

見た目は昭和、機能は令和。タイガーのレトロ柄家電がとにかくエモい!

懐かしく新しいタイガーのレトロ柄な復刻家電を使ってみました

若者にも「逆に新しい」と人気の昭和レトロ。1970年代生まれの私としては「うわぁ! 懐かしい」となるのだけれど、この懐かしくも純粋に素敵な現代のレトロブームを見ながら「エモい! これがエモいという感情か?」と、現代のスラングを使いこなそうとしている昭和生まれ昭和育ち(笑)。

純喫茶にメロンソーダ、使い捨てカメラやレコードなど、アナログで温かみがあり、不便さまで含めて受け入れられている昭和レトロブーム。そんなブームが続く今、タイガー魔法瓶から創立100周年記念で「レトロ柄復刻シリーズ」が登場した。

昭和レトロな花柄やストライプ柄が新たなアイテムで特別復刻
このスイッチ! 完全復刻!

レトロ柄復刻シリーズの中から今回懐かしさと新しさに触れたのは、花柄(ポピー)の「ジャー炊飯器 炊きたて JNP-T055」と「ホットプレート ダイニングプレート CRL-T100」。箱から開封した瞬間に思わず「懐かしいー!」と声が出て、そこから夫と昭和の思い出話に数時間花が咲いてしまった。

あえて食卓に出しておきたいレトロでかわいい炊飯器

炊飯器はスイッチも内なべもコンセントも「これこれ!」と懐かしくなる復刻スタイル。スイッチは1つでしかもアナログ。下にガチャっと押すと炊飯が開始されて、炊き上がるとスイッチが上がって保温モードになる。炊飯と保温の2つしかないシンプルな設計だ。

内なべはフッ素コーティングを施したアルミ素材。高級炊飯器が多い昨今、「あぁ、炊飯器の内釜ってこんなんだったねー!」とシンプルな薄いなべにも妙に感動する。クッと引っ張ってロック解除すると巻き取られるコードリールには「懐かしい! 掃除機とか炊飯器とかこれだよこれ!」と思ったけれど、今もこのコードリールは現役かも!? などと、だんだん昭和と令和で記憶が交錯してよく分からなくなってくる。

昔は今よりも大家族が多かったので、炊飯器も5合炊きか1升炊きがほとんどだった気がするけれど、そこは現代に合わせて3合炊きというところが、懐かしくも新しい復刻版ならではの工夫だと思う。

コードリールも懐かしい
以前は内なべもこういう感じだった! 懐かしい!

普段5合炊きの炊飯器を置いている我が家のキッチン収納の中にもすっぽり収まりはするのだけれど、置いているだけでかわいいので、これはもうキッチンカウンターなどで見せる感じで置いた方がいい気がする。本体は軽いし、炊けたらテーブルの上に出してよそいながら食べるのもよさそう。

小ぶりなサイズとかわいさで「あぁ、初めての一人暮らしをするときには、この炊飯器買いたい!」と、10代の頃に初めて一人暮らしをした時に気持ちだけタイムリープしてしまった。小さなワンルームでこの炊飯器はめちゃくちゃアガる! いや、エモい!

キッチン収納にもすっぽり入る
我が家のキッチンカウンターとも意外と合う

いざご飯を炊いてみると、「炊飯器ってこれくらいシンプルでも全然いいのかもしれない」と思ってしまった。美味しいお米はシンプルに炊いてもシンプルに美味しい。我が家へ遊びに来ていた友人も「ご飯が美味しい! これご飯だけでいくらでも食べられるわー」と、もりもり食べていた。炊いたお米は「つや姫」。山形県で開発されたつや姫は2010年に誕生したお米だ。昭和にはなかった美味しいお米。レトロな炊飯器もつや姫は知らなかっただろう。

私好みのちょっと硬めに仕上がる気がする

焼肉からカレーやプリンまで作れる万能ホットプレート

ホットプレートは、デザインこそ昭和レトロの懐かしい花柄だけれど、製品自体は完全に現代版のコンパクトなホットプレートだ。コンセントもスイッチ兼温度調整のスライドも、取り替え可能なプレートも完全に現代の使いやすいホットプレート。でも赤いポピー柄が懐かしさを誘うし、食卓を華やかに演出してくれる。

付属のプレートは46mmとちょっと深めの鍋になっていて、煮たり蒸したりもできる。ちょっと懐かしくなって、昔ながらの硬いプリンを作ってみた。

カラメルソースとプリン液を入れて蓋をして、ホットプレートで沸騰させたお湯の中に入れる。火力を弱にして10分、スイッチを止めて蓋をしたまま10分置いて出来上がり。レトロ柄の器に出して、生クリームとさくらんぼを乗せて完成! これはエモい! さくらんぼも缶詰のあのピンクなシロップ漬けが昭和っぽいけれど、旬のさくらんぼを乗せて、懐かしさの中にちょっと新しさを。

プリンも作れる深鍋
レトロなパフェグラスと旬のさくらんぼ。プリンがエモい!

そしてホットプレートを使った懐かしのお菓子といえばホットケーキ! ずっしりと丸いホットケーキにバターとメイプルシロップをたっぷりかけて食べるのが昭和っぽいけれど、ここは懐かしさと新しさの融合で、食べてみたかったフワッフワのメレンゲのパンケーキを。

しっかり卵の白身を泡立てて、ふわふわの生地をホットプレートに流し込む。昭和にこんなパンケーキはなかった! ホットプレートは小さめのパンケーキが2枚同時に焼けるくらいのサイズ。ただ、1枚ずつ焼く方が無難だ。プレートに深さがあるので、フライ返しを水平に入れるのが難しく、ひっくり返すのに失敗してしまった!

でも、メタリック フッ素コーティング加工が施された令和の最新ホットプレートは、焦げつきもなく耐久性もある優れもの。キッチンペーパーでさっと失敗した部分を拭き取ればそのまま次を焼ける。ふわふわのパンケーキは、私が子供の頃にはなかったので、懐かしいのに新しい。何だかとってもエモい! ふわふわのパンケーキは昭和の思い出のようにシュワっと口の中で消えていった。

フワッフワなパンケーキを焼いてみる
返すのを失敗して、周りが軽く惨事
うわぁーって思ったけど、キッチンペーパーでサラッと取れる
昭和にはなかったふわふわのパンケーキ。ブラックベリーも今どき(笑)

私にとって昭和のご馳走といえば「すき焼き」。もちろん今でもご馳走ではあるのだけれど、家族で囲むすき焼きは、特別なご馳走だった。レトロ柄の懐かしさに誘われて、すき焼きでご馳走お夕飯。あの時代に深鍋がついたホットプレートはなかった気がするので、ホットプレートですき焼きをするのは、実は懐かしいようで新しい気がする。

そして私がトマトすき焼きが美味しいと知ったのは令和に入ってから。トマトの他に夏野菜もたっぷり入れて夏すき焼き。容量2.6Lの鍋は4人じゃ少し物足りないけれど、2人暮らしの我が家には余るくらいお腹いっぱいになる量。牛肉と夏野菜に濃いめのタレ。ご飯が進む、懐かしくも新しいご馳走。最高の料理というよりも最高の食卓だ。いつもより何だか思い出話に花が咲いてとにかくエモかった(笑)。

ご馳走といえば年に数回あるかないかのすき焼きでしょう!
こんなすき焼きはあの頃なかった

また、同じく昭和のご馳走である「焼肉」も外せない。一度に焼ける量がかなり少ないので、2人が限度かなという感じ。とはいえ食べ盛りなお年頃でもないし、最大火力250℃の強力なホットプレートはお肉が焼けるのも早いから、ゆっくりお喋りしながら食べるのであれば3〜4人でもなんとかなりそう。

コンパクトでテーブルの場所を取らないので、食材がたくさん並べられるし、少しくらい人数が増えても楽しく快適。「ご飯はご自由に」と、豪快に炊飯器を置くドカ飯スタイルも、この花柄のおかげで妙に女子会っぽくなるのが不思議で面白い(笑)。

焼肉にはちょっと小さなサイズ
レトロ柄のおかげで体育会系な食卓もなぜか女子会っぽくなる

深鍋なので、カレーだってホットプレート1つで作ることができる。昭和のあの頃、「スパイスカレー」なぁんて言葉なかった! スパイスを炒めて野菜を炒めて煮込んで、ホットプレート1つで簡単に今っぽいスパイスカレーを作れる。あの頃の炊飯器はターメリックライスなんて知らなかっただろうなぁなんて思いながら、カレーと同時にターメリックライスも炊いちゃう。

夏野菜をさっと素揚げして、一緒に盛り付けると、懐かしくて新しい夏カレーの出来上がり! エモい! 懐かしのレトロ柄家電で作る新しいカレーはとにかくエモい!

スパイスを炒めるなんて、昭和の私は知らなかった
材料をどんどん入れながらカレーを作っていく
「ターメリックライスなんて知ってたか?」と炊飯器に問いかける
昭和と令和の融合! スパイスカレーの出来上がり

とにかく懐かしく、なぜか新しい。そんなレトロ柄の家電たちは、そこにあるだけで世代を超えてちょっとお喋りになって食卓が華やぐ、そんな素敵な家電。経済成長期に少しずつ豊かで便利になって家電が普及して、家事を担う若い女性にウケるとあしらわれた花柄の家電たち。それが時を超えて、このちょっと停滞して閉塞感とストレスを抱える現代を生きる若者たちにも届く。

言葉はいらない希望のようなこのグッとくるエモーショナルな存在。昭和レトロは数十年経った今も変わらずエールをくれる優しく強い存在なのかもしれないと思ったのであります。とにかく「エモい!」と感動しまくった昭和レトロの大本命。タイガー魔法瓶の100年という歴史に感動した体験でもありました。

昭和レトロは世代を超えてみんなにエールを送ってくれる存在
徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。