家電レビュー
引っ掛けるだけでドアカメラを後付け! 家の防犯力をアップ
2023年8月4日 08:05
度重なる強盗事件などのニュースをテレビなどで目にすると、うちの家は大丈夫なのか? と不安になることがある。
法務省の「犯罪白書」によれば、強盗や傷害、住居侵入など、刑法犯についての報告や通報を受けた認知件数は、年々減っているようだ。ただそうは言っても、犯罪がゼロになったわけでも、自分がターゲットにならないわけでもないので、防犯意識は常に持っておきたい。特に一人暮らしの女性や高齢者、子供が留守番している時間の多い家庭では、不安も多いはずだ。
そこで自宅の防犯を強化するため、パナソニックのモニター付きドアカメラ「VS-HC400」を設置してみた。実売価格は27,280円。
同品は、筆者が知っている限りでは、玄関ドアに最も簡単に設置できる、防犯専用のカメラとモニターだ。カメラ部とモニター部とで構成され、カメラ部に乾電池をセットし、モニター部を専用充電台で充電すれば、ほぼ準備は完了する。あとは、カメラ部を玄関ドアに引っ掛けるように設置し、モニターの電源を入れてみる。カメラとモニターは、出荷時にあらかじめ接続された状態のため、特別な設定は不要。電源を入れるだけで、玄関前の様子がモニター画面に映し出される。
設置したところで、実際に使ってみた。
玄関前が気になったら、モニターユニットの「モニター」ボタンを押す。すると玄関前の様子が映し出され、もし玄関前をうろうろしている人がいれば様子をうかがえる。この時、同時に録画が始まり、カメラ内蔵のマイクが拾った外の音が、モニターユニットのスピーカーから聞こえてくる。モニターの「通話」ボタンを押せば、玄関前の訪問者と会話できる。
筆者は都内マンションに住んでいる。マンションのエントランスには、共用の扉がある。来訪者は、訪問先の部屋番号を押して、住人が扉を開けば入れるという、よくある仕組みだ。ただし我が家のマンションは、各部屋の玄関には、モニターなどがない。
時々、その部屋の玄関のチャイムが鳴らされることがある。つまり1階にある共用エントランスを、するっと抜けて入ってくる人がいるのだ。
こちらは一瞬「誰だ!?」と思うわけだが、これまでは玄関まで行って、ドアの覗き穴を見ながら「どなたですか?」と、玄関前にいる人に問い合わせる以外に方法がなかった。
まぁうちの場合は、たいていが小学生の息子か、もしくはその友達であることが多い。
我が家の状況説明が長くなったが、そうした「誰だ!?」とドキッとした時に、モニター付きドアカメラ「VS-HC400」は役立つ。
慌てずにモニターの「モニター」ボタンを押せば、「あぁ息子の友達か……」となることがほとんどであり、モニターを見ても分からない場合には「通話」ボタンを押して「どなたですか?」と問えばよい。
とはいえ、モニターに映る訪問者が、見ず知らずの強面だったとしら、「誰ですか?」と声を出すのも難しいかもしれない。そんな時のためには、ライソンの音声ボタン「応答くん」などを併用すると良さそうだと思った。
「チャイムリンク」機能は、めげずに設定してほしい
前述のとおりモニターの「モニター」ボタンを押すなどすると、玄関前を10秒間録画する。録音はされないが、映像だけ残せる機能だ。最大50件まで本体に記録される。
「モニター」ボタンを押す以外には、「チャイムリンク」機能を使っている場合にも録画が自動でスタートする。同機能は、自宅のチャイム音が鳴ると自動でモニターがオンになり、玄関前の様子が映し出されると同時に録画が始まる機能。
つまり留守中であっても、訪問者がチャイムを鳴らせば、録画しておいてくれる機能だ。ぜひ設定して使いたいところだが、この設定がなかなか難しかった。
まず家の中でチャイムがよく聞こえる場所を特定する。我が家の場合は、マンションの共用エントランスとのやり取りに使うモニターが、家の中では最もチャイムが聞こえる場所。その場所に充電台に載せた本機を設置し、「チャイムリンク」機能の設定を行なう。なお筆者宅の場合は、設定後も同じ場所に設置しておかないと、同機能が作動しなかったので、注意が必要だ。
まず充電台に載せた本機の「メニュー」ボタンを押す。「アンテナ・電池」と「各種設定」という2つの選択肢が出てくるので、「各種設定」を決定(モニターボタン)する。次に「最初の設定」→「チャイムリンク」→「チャイム録音」へと進む。この「チャイム録音」を選ぶと「周囲音測定中」という表示が出た後に「『モニター(ボタン)』を押し、本機をチャイムの近くに置いて玄関に移動してください」と表示される。指示通りに「モニター」ボタンを押したら玄関へ行く。
すると玄関ドアに設置したカメラユニットから「しばらくそのままお待ちください」と、何度か音声が流れた後に「ピーッという音の後に、チャイムを1回鳴らし、しばらくそのままお待ち下さい……ピーッ〜」と鳴るので、玄関前のチャイムボタンを1回押す。「ぴ〜んぽ〜ん」とチャイムが鳴って、数秒後に「もう一度、チャイムを鳴らしてください」といったような音声が流れるので、もう一度チャイムを鳴らす。そうして「録音が完了しました」といったような音声が流れたら、「チャイムリンク」機能の設定は完了だ。
逆に指示通りにチャイムを鳴らして何十秒も待っても、何も次の指示がなかった場合には、設定できていないということ。家の中に戻って、設置場所を変えて、最初から設定をやり直そう。
「録音できませんでした」とエラー表示が出た場合には、次の点を確認すると良い。
まずは設置場所。エラーが出た設置場所では、チャイムが認識できなかったということ。よりチャイムの発生源の近くに、モニターユニットを設置する。または、「チャイム感度」を高めると認識率が上がる可能性がある。モニターユニットのメニューボタンを押して、「各種設定」→「最初の設定」→「チャイムリンク」と進み「チャイム感度」を上げてから、設定をやり直してみよう。
「チャイムリンク」機能は、設定完了すればとても便利な機能。ただし筆者宅の環境では、設定に手こずったのも事実。環境によっては、同様に手こずるかもしれないが、がんばって設定完了してほしい。
バッテリーの管理に注意。モニターはなるべく定位置に
本機を使っていて気になったのが、バッテリーについて。
特に手元で使うモニターユニットは、満充電にした場合の待機時間が約5時間と、スマートフォンなどと比べると短い。また電源スタンドから本機が少しズレている(充電されていない)のに気が付かないと、すぐに使えなくなってしまう。充電がゼロになってしまった場合は、満充電までの時間が約12時間で、使用可能な充電量に至るまでに数時間はかかる。
そのため特にモニターユニットに関しては、必ずリビングなどに専用の場所を用意した方がよさそうだ。一時的に持ち運んだ場合も後で元の場所に戻して、常に充電しておくようにしたい。
またドアカメラユニットについては、単三形乾電池4本が必要。仕様表によれば「ドアカメラ電池セーブ」を「する(日中+夜間)」、夜間時間帯「23:00〜7:00」に設定し、1日3回、1回につき約20秒間、映像を表示した場合に、約6カ月もつとしている。筆者の場合は、記事を書くため、1日に何度もモニターを使用した。そのためもあるだろうが、約2カ月ほどで電池の残量がなくなってしまった。
おそらく誰もが初めのうちは、色々と試すため、筆者ほどではないかもしれないが、使用頻度が高まることが予想される。いずれにしても乾電池がなくなると使い物にならなくなるため、必ず予備の乾電池を用意しておこう。
ちなみにドアカメラ側の電池は、推奨電池を同社の「エネループ ハイエンドモデル」とし、その他に充電式ニッケル水素電池、アルカリ乾電池、リチウム乾電池としている。少なくとも半年に乾電池4本を消費すると考えると、充電式の乾電池を8本用意しておきたいところだ。
おそらく設置しただけで防犯力は高まる!
冒頭で記した通り、警察庁によれば刑法犯についての報告や通報を受けた認知件数は減少傾向にある。同様にストーカー事案の相談等件数も平成24年(2012年)以降は減少傾向のようだ。そうは言っても、いずれも激減したわけではなく、微減といった感じだ。
やみくもに警戒すべきとは思わないが、特に心配するようなことがある場合には、モニター付きドアカメラ「VS-HC400」のような防犯カメラを取り付けることをおすすめしたい。
どれだけ効果があるかはすぐ実感できるものでもないが、カメラが設置されているだけで、「この家の人は防犯意識が高い」と訪問者に知らしめられる。それだけでも置く意味は大きいだろう。
なお録画した映像は、本機単体では取り出せない。映像を第三者に見せる必要がある場合には、本機と充電台をセットで警察などへ持ち込むか、モニターユニットで再生した映像をスマートフォンなどで録画しておくと良いだろう。
前述の「チャイムリンク」機能の設定の難しさについては、今後の改良を期待したいところ。そうした点があるにしても、同機は現状で最も簡単に設置できる、防犯効果の高いカメラの1つだと感じた。