家電レビュー

Amazonのドアホン「Ring」使ってみました。スマホで来客や置き配が見える

門柱に設置されたRing Battery Doorbell Plus

玄関に後付けで設置できる「Ring Battery Doorbell Plus」は、Amazon傘下でスマートセキュリティ製品を展開するRingによる“スマートドアベル”だ。

カメラが付いたいわゆるビデオインターホンだが専用の子機はなく、スマートフォンやタブレットと接続することで映像が見られる。ドアベルが押されればスマホに通知が入り、そのままカメラの映像を見たり通話したりできる。インターネット接続さえあれば、自宅にいなくても通知を受けたり応対したりできるのが利点だ。

このドアベルを実際に使うと、普通のカメラ付きインターホンとは何が違って、どんな時に役立つのか、自宅に設置して試用したので紹介したい。なお、筆者は1月から前モデルの「Ring Video Doorbell 4」を愛用しており、今回の新製品Ring Battery Doorbell Plusが、使い勝手などでどう違うかもお伝えする。

従来モデルのDoorbell 4は、本日12日の23時59分まで開催している「プライムデー」でなんと半額で販売されているため(記事掲載時点)、合わせてチェックしておくといいだろう。

配線いらずで設置。有線で電源を取るならちょい高難易度

Ring Battery Doorbell Plusはドアベルなので、玄関先に固定設置する必要がある。これはカンタンというほどではないが、なるべくカンタンに置けるように工夫されている。

価格は24,980円。Amazonで買えるし、EchoなどAmazonのスマート製品とも連携する。アクセサリやEchoとのおトクなセット販売もされていて、Amazonのセールで安くなるタイミングも多い。

我が家では門柱に穴を開け、電源も配線し、ネジで直に固定している。電源の穴が汚いけど、ドアベルで隠れるのでOK

設置方法は、標準では壁面に穴を開けてボルトで留める方法と粘着テープで貼り付ける方法の2種類から選べる。別売のプレートを使うと、日本のインターホンで一般的な「JIS 1個用スイッチボックス」に取り付けることもできる。家に設置できるかどうかは最も大事なので、実際にどうやって取り付けるかは事前によく確認しておきたい。

バッテリーを内蔵するため、Wi-Fi圏内であれば配線不要のワイヤレスで運用できる。バッテリーは数週間おきに取り外して充電する必要があり、充電中はドアベルが使えないので、バッテリーで運用するなら予備バッテリーセットを買うのがオススメだ。

別売の電源アダプター(2,980円)を使えば、有線で電源供給もできる。筆者は自宅を新築したのと同時にRing Video Doorbellを導入したので、外構工事と同時に配線してもらっていた。フレキ管が通っているならDIYで配線することも不可能ではないと思うが、作業に不慣れなら業者に頼んだ方が良いだろう。

スマホやタブレットで来客が分かる

Ringのアプリ。複数のドアベルやカメラを管理できる

初期設定はRingのアプリ上で行なう。アカウント登録も必要だが、それほど面倒なことはない。設定と接続ができていれば、同じアカウントでRingアプリにサインインしているスマホやタブレット、すべてに通知が届くようになる。

筆者は自宅内ではスマホよりiPadを持ち歩くことが多いので、RingもiPadで使うことが多い。iPadだと映像やUIが大きく表示されるので、なかなか使いやすい。

AmazonのスマートディスプレイEcho Showシリーズにも対応していて、「アレクサ、玄関を見せて」などと声をかけるだけで、ハンズフリーでも映像を表示させられる。筆者の場合は、いつでも手元にiPadがあるので、あまりEcho Showは使っていない。

反応はやや遅いけど、どこでも応対できるのがメリット

iPadアプリはカメラ映像もUIも大きく表示されて使いやすい

筆者は5カ月ほど従来モデルのRing Video Doorbell 4を使ってきたが、ボタンが押されてから応答できるまで、ちょっと時間がかかるかな、という印象を受けている。

ボタンを押してからスマホに通知が行くまで3秒くらいかかっていた。さらにアプリを起動して映像を表示、となると、合計で10秒近く。たいした時間ではないが、もうちょっと早くなって欲しい、とも思っていた。

とはいえ、普通のインターホンに劣るわけではない。普通のインターホンだと子機のある場所まで行く必要があるので、家の間取りなどにもよるが、応対するまで10秒以上くらいかかることも珍しくないだろう。

それに対してRing Video Doorbellは、手元にスマホかタブレットがあれば、どこでも応対できる。筆者は寝床やトイレから応対したことがある。家の中を歩きながら応対できるので、玄関ホールに移動しながら「少々お待ちください」と応対することがほとんどだ。

また、在宅していなくてもモバイル回線経由での応対も可能だ。外出していても留守ではないフリもできるのは、セキュリティ上、そこそこ意義が大きい。

けっこう重要なモーション検知

自宅敷地のみをモーション検知範囲としている。左側のフェンスは隣家だけど

Ring Video Doorbellシリーズには、ボタンが押されたときだけでなく、カメラの画角内で動きがあったときにも通知するモーション検知機能がある。筆者宅ではけっこう重要な機能だ。

筆者宅ではRing Video Doorbellは敷地内の駐車場の奥、玄関ポーチの手前の機能門柱に、接道面に向けて設置している。筆者の土地は旗竿地に近く、接道幅が狭いので、道路から入ってくるモノは必ずRing Video Doorbellのカメラに映る。

感度やスケジュールなど、モーション関連はある程度細かく設定できる

そのため、ドアベルのボタンが押されるときは、必ずその数秒前にモーション検知の通知が入る。ボタンが押される前に身構えることができるので、応対までの時間短縮になる。また、不法侵入者も何度か検知しているので、防犯カメラとしても役立っている。

モーションを検知して通知するエリアは指定可能で、筆者は自分の敷地のみを指定している。そのおかげで、敷地に誰か・何かが入ってきたときしか、モーション検知は反応しない。

しかしコレができるのは、Ring Video Doorbellを自分の敷地の地面が見えるように配置しているからだ。公道に面した位置にRing Video Doorbellを設置する場合、目の前の道路を何かが通過するたびに反応してしまうので、このモーション検知はオフにせざるを得ないだろう。

録画が残るのもグッド。有料プランで機能向上

ドアベルのボタンが押されたとき、モーション検知されたとき、アプリから手動でライブ映像を確認したときは、いずれの場合もビデオが録画されてクラウドに保存される。怪しい訪問販売の記録が残るのは地味に便利だ。

標準でもこのビデオの保存期間は60日と長く、ほぼ困ることはない。むしろ目的のビデオを探すのが困難なくらい長い。

有料の「Ringプロテクトプラン」に加入すると、このビデオ保存期間が180日になり、ダウンロード可能になるが、そのほかにもいろいろな機能が強化される。

通知にはサムネイルが付属する。Apple Watchにもサムネイル表示されるのが便利

まずモーション検知機能は、人間だけに反応するようになる。モーション検知などでアプリに通知するとき、サムネイルが表示されるようになる。ビデオも一括でダウンロードできるようになる。あとは約1時間ごとに静止画(スナップショット)も記録してくれる。

有料プランの価格は、1台ごとに運用するBasicプランで月額350円もしくは年額3,500円、1つの住所で複数台のDoorbellやRingシリーズのカメラを使うPlusプランで月額1,180円もしくは年額11,800円となる。

ただ、実は筆者はRingプロテクトプランなしの状態を知らない。現時点でRing Video Doorbellは2023年9月末まで無料体験版が付いているからだ。

月額350円の価値があるかは、Ringプロテクトプランが終わって、どれだけ不便になるかで考えたいところだが、ビデオのダウンロード、サムネ通知あたりは便利なので、そのあたりがプロテクトプランなしでまったく使えないなら、契約しても良いかな、と考えている。

「Plus」は置き配や足元のネコも見える広角なカメラに

6月に発売されたばかりの「Ring Battery Doorbell」は、2022年4月発売の「Ring Video Doorbell 4」を置き換える後継モデルではないようだ。現在は両モデルが併売されていて、Doorbell Plusが24,980円に対しDoorbell 4が23,980円と、価格差も小さい。デザインなども共通で、一部スペックが異なるだけだ。

なお、記事掲載時点では7月12日(水)23時59分まで開催中の「プライムデー」で、従来のRing Video Doorbell 4が約50%オフの11,990円で販売されている。

Doorbell 4の映像は横長で直上や直下は見えず、暗いとモノクロになる。けど、不法侵入したニャンコもモーション検知してくれた

両機種の大きな違いはカメラのスペックだ。従来のDoorbell 4のビデオが1,920×1,080ピクセル(画角160度×84度)だったのに対し、新しいDoorbell Plusでは1,536×1,536ピクセル(150度×150度)と縦横が同じ画素数になっている。Doorbell Plusは画角が広く、設置場所の真下近くまで映るため、Doorbellの真下にAmazonなどで「置き配」してもらっても分かるという使い方が想定されている。

また、いずれのモデルも夜間撮影に対応するが、Doorbell Plusはカラー撮影できるようになっている。

一方、Doorbell 4が搭載している「Pre-Rollビデオプレビュー」という機能は、Doorbell Plusにはないようだ。これはモーション検知してビデオを記録する際、通常より数秒前から記録してくれる機能だ。

Pre-Roll部分だけ低解像度で、ほんの3秒ほどだが、モーション検知からビデオ開始まで3秒くらいラグがあったので、本当にエリア内に入ってきた瞬間から記録したい場合は、地味に重要な機能でもある。

Doorbell Plusなら直下のポスト、直上の軒まで映るが、我が家ではあまり意味がない

筆者は1月からRing Video Doorbell 4を使っているが「買い換えの必要はないかな」と感じている。というのも、筆者宅では機能門柱の後ろのポーチに置き配されることがほとんどで、置き配監視のために画角が上下に広くある必要がないからだ。一方でモーション検知は活用しやすいので、Pre-Roll機能は役に立っている。

このように、使う環境によってDoorbell PlusとDoorbell 4のどちらが良いかは変わってくる。購入を検討している方は、両モデルのどちらが自分の環境に合っているかを確認して選ぼう。

白根 雅彦