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パナソニックとミルボン共同開発のドライヤーを体験。ブリーチ毛もツヤサラに

ミルボンとパナソニックが共同開発したドライヤー「ELMISTA(エルミスタ)」

美容室向けヘア化粧品メーカーのミルボンとパナソニックが共同開発した、美容液を吹きかけながら髪を乾かすドライヤー「ELMISTA(エルミスタ)」。4月11日の発売に先駆けて、製品を体験してきたのでその様子を紹介したい。

エルミスタは、目に見えないほど微細化した美容液を噴霧する「エアリーミスト技術」を搭載したヘアドライヤー。パナソニックが本体を製造し、ミルボンが美容液の製造と販売を行なう。美容室専売品で、価格は55,000円。

美容液の入ったカートリッジ「エアコンク」を本体に装着して使用する。エアコンクは髪の悩みや仕上がりに合わせて、ミルボンの「Aujua」ブランドから3種類、「milbon」ブランドから2種類をラインナップする。価格は各3,300円で、1回2分の使用で約60回分。

ドライヤーの風量は3段階で、温風/冷風の切替スイッチを備える。ミスト噴霧は温冷風両対応でオン/オフでき、噴霧時間は1分/2分/3分に設定可能。噴霧時間の目安はショートヘアが1分、ミディアムやボブが2分、ロングが3分。乾いた髪にも使用でき、弱冷風とミスト噴霧によりパサつきが抑えられ、ツヤが出るという。

オン/オフスイッチは取っ手の後ろ側に
美容液のカートリッジは取り外して交換可能
パウチ状のエアコンクを取り付ける
エアコンクは「Aujua」3種類、「milbon」2種類
悩みや仕上がりに合わせて選べる

髪のケアと速乾性を両立する新技術

パナソニックが開発した本体には、髪1本1本に美容液を届ける「エアリーミスト技術」と、乾かすだけで髪がまとまる「エアコーム技術」が搭載されている。

一般的な霧吹きの粒子の約1/10のサイズで、均一にミストを噴霧できるというエアリーミスト技術。均一なミスト噴霧のためには、微量の美容液を正確に供給し続ける必要がある。しかし美容液は水とは異なりドロッとしているため、安定して噴霧させるのが難しいという。

これを解決するため同社は新たに「マイクロチューブポンプ」を開発。医療現場の透析などで血液を循環させるようなポンプを小さくしたもので、粘度のある美容液を均一に送り込めるようにした。

微細な粒子を噴霧するエアリーミスト技術
霧吹きと同様の噴霧方式(ベンチュリ―方式)でも細かなミストが実現できるのは、粘度のある美容液を均一に送り込むマイクロチューブポンプを搭載しているから

またミストだけでなく「風」にもこだわった。一般的なドライヤーの風は、目には見えないが渦のように旋回して出てくる。これが髪に当たることで髪がねじれ、絡まる原因となるそうだ。エアコーム技術はこの風の渦を抑制するもので、風に風をぶつけることで直進風を生み出す。髪の乱れを防ぎながら乾かせるうえ、ミストも均一に噴霧されるという。

しかし風同士をぶつけると、風量が弱くなってしまう。この弱点を乗り越えるため、一般的なモーターの約10倍ほどの回転数の超高回転ブラシレスモーターを搭載。キレイに乾かすことと速乾性を両立した。なお既存のパナソニックのドライヤーには、ブラシレスモーターは搭載されておらず、エルミスタ独自のものとなる。

従来のドライヤーの風は旋回しており、髪が絡まる原因に
風同士をぶつけて直進風を生み出すことで、乾かすだけで髪がまとまるエアコーム技術を実現している

ミルボンが開発したエアコンクにも、新技術が詰まっている。

美容液の開発時に、オイル系の美容液は効果が高い反面、水系とは異なり濡れた髪に馴染みにくいという問題があった。髪への効果と馴染みやすさを両立するために、水溶性のベースに微細化したオイルを濃縮配合する技術を独自に開発。1回の使用につき100億個超のオイル粒子が含まれるようにした。水溶性のベースが髪の水分と馴染むため美容液が髪1本1本に行き渡り、オイルがそれぞれをコートするため髪が自然にまとまるという。

オイル処方の美容液は効果が高い反面、濡れた髪になじみにくいという弱点が
オイル粒子を微細化して濃縮配合する技術により、髪に馴染みやすく効果の高い美容液に仕上がった
水溶性のベースが髪に馴染み、オイルが1本1本をコーティングする

また髪のダメージというと枝毛やパサつきなど、毛先に関するものが思い浮かぶが、ミルボンとパナソニックの共同研究では、髪のダメージが根元から始まっていることがわかったという。研究では根元付近のダメージをケアできる毛髪補修成分「IF-TP」も開発され、同成分は5種類のエアコンクすべてに採用されている。

髪のダメージは毛先だけでなく根元から始まっている。エルミスタは根元をケアできる成分をすべてのエアコンクに配合

ごわついたブリーチ毛もなめらかに

おすすめの使い方は、まず温風/風量「強」で根元を乾かしたあと、風量「中」または「弱」設定でミストをオンにし、中間から毛先を乾かす。最後に冷風で形付けやツヤ出しを行なう。このとき、「追いミスト」をするとまとまりがアップするという。根元にミストを噴霧しないのは、根元がぺちゃんこになるのを防ぐため。ミストなしの温風で根元を立ち上げたあとに使うのがいいそうだ。

髪とドライヤーの距離は10cmが基本としている。よりしっとり感がほしい場合や毛先、ハネやすい部分には5cm、軟毛の人や軽めの仕上がりにしたい場合は20cm、と言う風に距離を変えることで、さまざまな髪の悩みに対応しやすいという。ミストの噴霧量は変更できず、噴霧時間で調節する。

使い方のコツ。当てる距離で悩みに柔軟に対応できる

噴霧口に手を当ててみたが、粒子がかなり細かいためかほとんどミストを感じず、なんとなく風がしっとりしているように感じる程度。1カ所に数十秒間当て続けて、ようやく濡れているのが見えたほどだ。

今回は乾いた髪に使用。冷風/風量「弱」で1分ほど当ててみた。筆者の髪はブリーチにカラーリングを重ね、ダメージが蓄積しているため、スタイリング剤などを塗っていないとパサつきが目立ち、触るとごわっとしている。

髪の左半分に風を当ててみると、ものの数秒でスッとなめらかになり、指通りがよくなった。質感もパサパサ、ゴワゴワしていたのがしっとりして、潤いを感じられる。霧吹きタイプのスタイリング剤とは異なり、髪が濡れることもない。美容液で手がベタつくといったこともなく、使用後に手を洗わなくても気にならなかった。美容液は微量で微細なため、周りが汚れる心配もないという。

左側のみエルミスタ使用。なにもしていない右側と比べて髪にまとまりがあり、ぴょんぴょんと飛びてている短い毛もおさまっている印象
こちらも左側のみエルミスタを使用したモデル写真。使用した方がなめらかで整っているように見える

濡れた髪を乾かすだけでなく、このように乾いた髪のパサつきが気になるときに1~3分の短時間でツヤを出せるのが手軽で魅力的だ。なお、エアコンクを交換する際は、古い液を排出して新しい液を充填する「クリーンモード」を利用する。

ミストを噴霧しながら乾かすということで、「乾くのが遅くなるんじゃないの?」と思っていたが、実際に使用した美容師から乾くのが遅いといった声は聞かれなかったそうだ。ミルボンは、ミストの効果で髪の絡まりがほぐれ、指通りがよくなることで乾かしやすくなると解説している。

乾かすだけでアホ毛を抑えられる。継続利用の効果も

ミルボンは、ドライヤーによるミスト噴霧とアウトバス(洗い流さない)トリートメントとの違いについて、アウトバスは狙ったところにつけやすく、毛先などの集中的なダメージケアができ、ミスト噴霧は全体に薄くムラなく塗布できるため、根元から毛先まで均一なケアが可能とする。

洗い流さないトリートメントとは異なり、髪全体をケアしやすいのが特徴

またミスト噴霧は髪が乾く瞬間に塗布するため、水素結合に影響を与える。これが髪のフォルムに大きく関わり、ブローしたような整った仕上がりになるほか、俗に言う「アホ毛」が抑えられるという。

ミルボン 開発本部 研究開発部 研究開発G1の井口亮さんは、パナソニックと共同開発するなかで「ヘアケア剤を作るのではなく、髪をケアする新しい風を作る」という考えを大切にしてきたと語る。たくさんのミストが一度に出てくると、それは風ではなく美容液という感覚になってしまうことから、あくまでも風であることを実現するために、微細で微量なミストを噴霧できるエアリーミスト技術の開発につながった。

エルミスタの使用で、髪を乾かしたときにフォルムが決まる「瞬間価値」と、上述した補修成分「IF-TP」により根元をケアすることで未来の毛先を美しくする「継続価値」が実現できるとしている。

ミルボン 開発本部 研究開発部 研究開発G1の井口亮さん
ドライヤーを使ったときに髪が整う「瞬間価値」と、根元(=未来の毛先)を毎日ケアできる「継続価値」を実現する