家電レビュー

ニトリの手ごろなホームベーカリーで、もっちりふわふわ「生食パン」焼けました

生食パン ホームベーカリー

焼きたてのパンが手軽に楽しめるホームベーカリーは、1万円以下のモデルから4万円を超える高級モデルまで、いろいろな価格帯で登場しています。そこで、「安いホームベーカリーって本当に美味しいの?」という疑問をチェックすべく、今回は7,990円という手頃な価格帯ながら「生食パン」が焼けるというニトリのホームベーカリーをレビューします。

タイマーや早焼きにも対応

ニトリの「生食パン ホームベーカリー」は1.5斤のパンが焼けるモデル。「生食パン」メニューを含む19のメニューを搭載し、パンのほか、ピザ生地、餅、甘酒なども作ることができます。タイマー機能を備えているため、夜の間に材料をセットしてタイマーを使えば、朝に焼きたてのパンを楽しむことも。また、メニューによっては、ちょっと小さいサイズも焼けます。

本体サイズは21×30×26.5cm(幅×奥行き×高さ)、カラーはホワイトです
パンケースを囲むようにヒーターを備えています
中の様子をチェックできる窓があります
ハンドル付き。コードは収納できません
ボタンの文字が大きくて見やすいです

使い方は、パンケースの中に「羽根」を取り付け、食材を入れて本体にセット。それからスタートして、こね、寝かし、発酵、焼き上げ、保温まで行ないます。この基本的な使い方は高級モデルのホームベーカリーと変わりません。

これがパンケース
羽根をパンケースにセットして材料を入れます

羽根、計量用の容器とスプーン、さらにパンに羽根がくっついてしまったときに使う羽根取り棒が付属します。計量スプーンは大さじと小さじに分かれており、大さじ一杯の容量は約16ml、小さじは約4ml。ドライイーストや砂糖を量る時に使います。大さじの場合、砂糖が約10g、スキムミルクが約8g。小さじの場合、スキムミルクで約2g、塩で約6g、ドライイーストが約3gです。

羽根、計量用のカップとスプーン、羽根取り棒が付属します。計量スプーンは大さじと小さじが1つになっています

このほか、ミトン、1g単位で計量できるはかり、焼き上がったパンを冷ます時に使う網、メニューによってお湯の温度を測る時に使う温度計、パン切りナイフを用意しました。

耳まで柔らか! 生食パンが美味しかった

さっそく「生食パン」を作ってみました。生食パンとは、一般的にふわふわで柔らかい食感が特徴の食パンのこと。高級生食パンをウリにした専門店もありますよね。一般的な食パンとは異なり、生クリームなどを入れて口当たりの良い焼き上がりに仕上げます。

さて、本ホームベーカリーの基本の食パンの材料が、水、塩、砂糖、スキムミルク、無塩バター、強力粉、ドライイーストなのに対し、「生食パン」は、水、塩、砂糖、生クリーム、牛乳、はちみつ、無塩バター、強力粉、ドライイーストを使います。どの材料もスーパーで売っているため手に入れやすいです。

基本の食パンがタイマー調理可能なのに対して、「生食パン」はタイマー調理不可です。調理時間は3時間15分。基本の食パンが3時間なので、時間はそれほど変わりません。

「生食パン」に使用した材料。生クリームや牛乳を使うため、タイマー調理は不可です
液体、油脂類、粉類を入れた後、ドライイーストを最後に入れます。「食材を入れる順番は必ずお守りください」と取扱説明書に記載がありました
調理時間は3時間15分
焼き上がり。焼き色は「薄い、ふつう、濃い」の3段階で調節できます。これは「ふつう」です
ふっくらと焼き上がりました
柔らかいパンができました。パン羽根の形状が残るため、底に穴が開きます
皮も中身もフワフワです

生食パンは、パンの中も皮も柔らかく食べやすいです。一般的にホームベーカリーのパンは皮が厚くなりがちですが、生食パンは口溶けがよく食べやすいと思いました。

この柔らかさなら、小さな子供でも食べやすいです。他のメニューも試しましたが、家族の人気は「生食パン」が1番でした。ちなみに、他社でも生食パン系のメニューを作れるホームベーカリーはありますが、生クリームなどを使うため、ニトリ同様タイマーは不可です。

美味しさには満足したのですが、タイマーが使えないため我が家の場合は平日の朝食用に作るのは難しく、週末の昼食や遅い朝食向きのメニューでした。

また、スイッチを入れたら焼き上がりまでほったらかしでOKというわけではなく、スタートしてから約48分で、無塩バターを入れる工程があります。そのため、バターを入れるまではベーカリーの様子をうかがっている必要があります。

途中で無塩バターを追加します。この工程まではベーカリーの傍にいるようにしました

同ホームベーカリーでは、このほかにも、生クリームの代わりにヨーグルトを使った「低糖質生食パン」メニューも用意しています。

食パンや大小、早焼きなどメニュー多彩

食パンメニューは、3時間で焼ける基本の「食パン」、2時間で焼ける「食パン(高速)」、1時間で焼ける「食パン(超高速)」を用意しています。このうち、食パンと食パン(高速)は、大・小とサイズ違いで焼け、小サイズにすると食パンの焼き時間は2時間55分、「食パン(高速)」の焼き時間は1時間55分です。

「食パン」の大で焼いたパン。レーズン入り
「食パン」の小で焼いたパン。背が低め
大きさ比較。左が「小」、右が「大」。大きさは違いますが、気泡の出方はあまり変わりません。食べた時の食感も違いを感じませんでした。大の方のレーズンをみると偏りなくまざっています

ちなみに、「食パン」「食パン(高速)」「食パン(超高速)」は全てタイマー可能です。また、「食パン」「食パン(高速)」はブザーが鳴ったときにドライフルーツやナッツを入れて焼くことができますが、レーズン、野菜、牛乳、卵を入れた時はタイマー使用不可です。また「食パン(超高速)」で焼ける大きさは大のみです。

どの食パンも、水、塩、砂糖、スキムミルク、無塩バター、強力粉、ドライイーストという材料は共通ですが、量が違います。特に砂糖とドライイーストの量の違いが顕著で、「食パン(大)」の場合、砂糖は20g、ドライイースト3gなのに対して、「食パン(高速/大、超高速)」では、砂糖が45g、ドライイーストは6gです。また「食パン(高速)」「食パン(超高速)」では、40~50℃のお湯を使います。

「食パン」と「食パン(超高速)」で比較すると良く分かりますが、焼き上がり時の高さとフワフワ感が違います。「食パン(超高速)」の場合、高さが低く中身が詰まった重めの焼き上がりになります。また、砂糖が多いため、焼き上がったパンは甘みが強くなります。

「食パン(超高速)」。焼き色はふつうに設定していますが、上の部分がまだ白いです
背が低く焼き上がりました
「食パン(レーズン入り)」と「食パン(超高速)」の比較。どちらも大きさは大です。気泡が小さいのが分かります

「生食パン」と「食パン」を比較してみると、「生食パン」の方が柔らかくフワフワしていると感じました。特に皮の食感は異なり、「食パン」の方がしっかりとした硬めに仕上がる印象です。

ピザ生地づくりに大活躍

今回レビューしたホームベーカリーの19メニューのうち、最も作る回数が多かったのが、実は「ピザ生地」。1時間で生地ができるので、余裕がある平日なら夕食などでも作りやすいメニューです。

材料は水、塩、砂糖、スキムミルク、無塩バター、強力粉、ドライイースト。窓で生地の様子を確認しながら、ピザに乗せる具材の準備ができます。大きさや形、具材などでアレンジを楽しめます。

粉が混ざっていく様子を確認。パン生地って見ていると癒やされます
ピザ生地の調理時間は1時間。生地を2つに分けて伸ばしていきます。我が家の場合、子供2人、大人2人で食べましたが、2枚分で丁度よかったです
適当に生地を伸ばし、ソースや具を乗せるのは子供たちの仕事
ピザが焼き上がりました。このほかにもう1枚焼きました

取扱説明書のレシピはピザ生地の材料だけなので、生地の焼き時間などは、ネット上の他のレシピや焼き具合を参考にしました。この日は230℃のオーブンで15分焼いて丁度良かったです。

クリスピータイプとは異なり、パン生地タイプのピザなのでフワフワとした食感の生地に焼き上がりました。手作りの生地は、小麦の香りがして食感も良く美味しいです。ソースや具をたっぷり乗せてもしっかり受け止めます。

子供たちが食べる量が増え、宅配のピザにするとLサイズで2枚頼むこともあるので、自宅にある材料でいつでも作れるのはとても気が楽です。また、家族と一緒に作れるので、ちょっとしたお楽しみとしても良いですね。

味の好みはあると思いますが、我が家では「生食パン」の人気が高く、次いで「食パン」に具を入れたものと「ピザ生地」をリクエストされることが多かったです。

気軽に挑戦しやすいホームベーカリー。こだわり派には不向きかも?

19のオートメニューの中には、「フランスパン」「全粒粉パン」、コーンミールを使った「コーンパン」、パン用米粉を使った「米粉パン」といった食パン以外のパンメニューのほか、「ヨーグルト」「甘酒の60℃発酵」「おかゆ」「餅」といったメニューもあるため、パン以外のメニューも楽しめます。

とはいえ、高級モデルと比べると、センサーやこね技術の違いなどもあるため、作れるメニューは本機種の方が少ない傾向にあります。例えば、天然酵母を使ったメニューには対応していません。また、イーストや具材の自動投入機能はないので、途中に自分で入れなくてはなりません。マニュアル操作も不可。

このほか、パスタ生地、うどん生地、そば生地、ピザ生地は作れますが、パン生地のみのメニューはないので、自分で成型を楽しみたい人は注意した方がよいでしょう。

本機の場合、付属のレシピは取扱説明書のレシピのみ。材料をチェックすることが主目的なので、前述したようにピザ生地を焼く時のオーブンの設定などは自分で調べる必要があります。掲載されているレシピも19種類なので、料理ブックを参考にしながらいろいろ作りたいというよりは、シンプルなレシピを楽しみ、必要があれば自分でアレンジしたいという人に向いているのではないでしょうか。

本機に向いているのは、下記のようなニーズがある人だと思いました。

  • 手頃な価格でホームベーカリーが欲しい
  • シンプルな機能が良い
  • 生食パンを焼きたい
  • ヨーグルトや甘酒を自分で作ってみたい
  • ピザ、パスタ、うどん、そばを作ってみたい
  • 基本は食パンだけどほかの生地も楽しみたい
  • 具の投入も含めて全部オートで作りたい
  • ちぎりパンを楽しんだり、付属の料理ブックでいろいろ作りたい
  • 天然酵母パンや高加水パンなど、基本の食パン以外で作りたいメニューがある
  • マニュアルで焼き時間や発酵時間などを細かく調整したい

1万円を切る手頃な価格のホームベーカリーは、パン作りのハードルを一気に下げてくれます。できること、できないことを確認して選ぶのがオススメです。

伊森 ちづる