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パナソニックとミルボン、髪の根元からのダメージをケアする新技術を共同開発

ミルボンとパナソニックが髪のダメージ軽減技術において共同開発(写真は新技術と直接関係のないイメージです)

美容室向けヘア化粧品メーカーのミルボンとパナソニックは、山陽小野田市立山口東京理科大学と共同で「根元から毛先まで均一に噴霧することで、毛髪のミクロ構造のダメージをケアする成分を配合したヘアケア技術の開発」を発表した。

トリートメントでケアしにくい根元付近のダメージ初期症状を解明し、トレハロースとポリエチレングリコールの組み合わせによって、毛髪強度が向上することを確認。研究の成果は、日本化学会の第103春季年会で発表された。

毛髪は、ヘアカラーやヘアアイロンなどの美容施術、また紫外線によってダメージを受け、手触りや見た目が悪くなっていくとされる。特にその変化(悪化)は、毛先にかけて顕著になる。そこで、ダメージ現象が進行する前の初期段階からケアすることができれば高いヘアケア効果が得られると考え、根元付近から始まるダメージ初期症状の解明研究に取り組んできたという。その結果、根元付近から毛髪内部のミクロ構造が変化し始め、毛先部分ではさらにその現象が進行し、毛髪のしなやかさが失われていくことが分かったとする。

この既発表の研究結果を受け、ダメージの初期症状が始まっている根元付近の毛髪を継続的にケアできる技術の開発に取り組んできた。

課題として、髪の根元付近は、手触りや見た目ではダメージを感じにくいため、トリートメントでケアする習慣が一般的ではなく、さらに毛髪が密集しているためトリートメントを均一に塗布しづらい点があった。

そこで、根元付近から始まるダメージ現象をケアする成分を見出しつつ、その成分を根元付近から均一に行き渡らせる技術の確立を目標に、研究を進めた。

今回発表されたニュースリリースでは、研究の成果の1つとして「効果成分をミスト状に噴霧することで、しなやかさの指標となる毛髪強度が向上することを確認できた」とする。

成分を毛髪全体に均一に噴霧できる専用の機器を用いて検証を行なった結果、「トレハロースとポリエチレングリコールの組み合わせによって毛髪強度が高まる」ことが判明している。

効果成分を毛髪に噴霧すると、毛髪強度が高まることが判明

研究の成果の2つめとして「効果成分をミスト状に噴霧することで、毛髪の内部構造が整う」ことも確認できたことも明らかにしている。

毛髪強度には毛髪組織のミクロフィブリルが関与することが知られているという。そこで、毛髪のミクロフィブリルの状態を調べたところ、ミクロフィブリルのダメージの改善を確認。

同時に、ミクロフィブリルを構成するタンパク質(α-ヘリックス)の状態を調べたところ、同効果成分を作用させた毛髪は、ダメージによって生じるタンパク質構造の崩れが改善していたという。

毛髪強度には毛髪組織のミクロフィブリルが関与している
効果成分を噴霧した後は、ミクロフィブリルのダメージの改善が確認された
タンパク質構造の崩れも改善

ミルボンとパナソニックは、本研究成果をもとに、根元付近から始まるダメージを根本的にケアできる「新たなヘアケア習慣」を提案していくとする。

なお両社はこれまでも協力関係にあり、1月にはヘアケア成分を髪に補給しながら乾かせる美容液噴霧機能付ヘアードライヤー「ELMISTA(エルミスタ)」を、共同開発したことを発表している。同製品は、パナソニックが本体を製造し、ミルボンから4月11日に発売される。価格は55,000円。

美容液噴霧機能付ヘアードライヤー「ELMISTA(エルミスタ)」