家電レビュー
茶葉やフルーツを直接投入! ティファールの最新電気ケトルが楽しい
2022年1月7日 07:05
今回は、香り高い紅茶に緑茶をケトル内で直接抽出、さらに煮出して作るハーブティーやフルーツティーなど、バリエーション豊富なメニューを手軽に楽しめる、ティファールの「テイエール 1.5L」を紹介しよう。
テイエールは茶こしを付属し、煮出し機能なども搭載した、ティファール初のティーポットとしても楽しめる電気ケトルだ。
テイエールは、最大カップ約10杯分にも及ぶ大容量1.5Lの電気ケトル。本体は割れにくく、中がよく見える耐熱強化ガラス製。取り外しのできるステンレス製の茶こしに、ロック式のふたを付属している。
テイエールの特徴的な機能は2つ挙げられる。1つは温度設定だ。「60・70・80・85・90・95・100℃」の7段階から選べるだけでなく、設定温度毎に、5~60分を5分単位で設定できる保温機能も備える。もう1つは煮出し機能。お茶の種類や煮出す食材に合わせた7段階の温度設定が利用でき、1~10分を1分単位で設定できる。
全ての操作はタッチパネル式のフラットな電源プレートから軽快にできる。視認性が高く見やすいディスプレイが搭載されている。
大きいゆえの安定感
本体サイズは実寸で約190×230×270mm(幅×奥行き×高さ)で、全体の質量は約1.85kg。1L前後の電気ケトルよりも大ぶりには違いないが、A4サイズよりも小さいB5サイズほどのスペースがあれば設置できる。
1.5Lのガラス製のケトルとなると、それだけで重さは946gもあり、かなりずっしりとした感はある。だが取っ手は大きくしっかり握れるので安定して持てる印象で、握った指はガラスに直接触れないデザインが施されている。それでも最大量の水を入れると2.5kg弱になるわけだが、その使用感については後に触れる。
電源プレートには約1.3mの電源コードがついている。コードを必要な長さに底に巻き取って使えるので、コードの長さを気にせずにスッキリと置ける。底に滑り止めが付いた電源プレートの重さは約904gで、ケトルを着脱しても簡単にはズレにくい安心感がある。
ふた、茶こしについても触れておこう。茶こしをセットできるふたは、「茶こしホルダー」と「ふた」の2つのパーツで構成されている。茶こしホルダーはシリコン製のパッキンがついており、最大量の水を入れて傾けてもはずれないほどしっかり装着できる。ホルダーのふたを外せば、注水や茶こしのセット、食材等を投入できる口径約77mmの孔があらわれる。ふたは回転させてLOCK(固定)・OPEN(取り外し)ができる。
茶こしホルダーを取り除いた、ガラス本体上部の径は約120mm。手が楽に入るほど広い。フチの口径よりも一回り大きい茶こしホルダーを装着しておけば、ガラス製ケトルのフチを不慮の衝撃から保護してくれる。
ステンレス製の茶こしは深さが約130mm。底を抜き取れるので手入れしやすい設計が嬉しい。
ガスコンロ並に、あっという間に沸騰。温度設定モードも正確、保温もできる
いよいよ肝心の電気ケトルとしての実力をみていこう。
使い方はとても簡単だ。注水したケトルを電源プレートに置くと、「ピッピッ」とブザーが鳴り、水温が表示されてスタンバイ状態になる。加熱は、温度計マークの「温度設定ボタン」に触れるたびに、7段階の温度が設定できる。
設定温度が決まり指を離すと、電源ボタンが5秒点滅し、約5秒後に加熱が始まる。設定し終えた直後に電源ボタンに触れれば、待たずにすぐに加熱がスタートする仕組みもある。
沸騰は早かった。水温20℃、0.5Lを100℃に設定して沸かしてみたところ、100℃に到達するまで2分47秒だった。そこから約10秒沸騰が続き、3分直前に「ピッピッ」と鳴り、自動的に停止した。
同じ水温と水量を、手持ちのステンレス製ケトルとガスコンロで沸かしてみたが、沸騰まで2分35秒と大差なかった。刻々と温度が上昇する様子もわかるのも良い。
定格消費電力は電気ケトルの中でも高い1,250Wだけあって、テイエールはガスコンロ並みにお湯が早く沸くと言って過言ではない。しかも、設定温度に達したら自動的に加熱が止まるのはやはり便利。
同じように最大水量の1.5Lでも試したがこちらも早い。水温23℃でスタートして、7分47秒で沸騰してから自動停止した。たっぷり湯が沸かせるので料理にも活用できそうだ。ガスコンロで沸かすのと違い、室温への影響も少ない。
温度設定モードも試してみたが、設定通りの温度で停止した。60~95℃設定時の沸かし方は100℃設定時とは異なり、沸騰はさせない。
例えば80℃に設定した場合だと75℃を過ぎた頃に加熱は止まり、あとはケトル底部のヒーターの余熱で80℃に達し、自動的に停止する、といった具合だ。ヒーターが停止した75℃から80℃に達するまでの時間は、0.5Lならばわずか数秒だった。
温度設定モードで沸かす時間は、100℃に設定した際に撮影した、温度上昇と時間経過の様子とほとんど変わらなかった。
60℃は約1分半、70℃は約1分50秒、80℃は約2分、84℃は約2分20秒、90℃は約2分半、95℃は約2分40秒だった。設定温度に達する手前で余熱による加熱に切り替わっても、沸き上がる時間はほぼ変わらなかった。
さらに、沸いた湯の温度は設定温度に対し正確だった。
各設定温度で湯を沸かし、停止したところで湯をかき混ぜながら手持ちの温度計で計測すると、60℃設定時は60℃、70℃設定時は69℃、80℃設定時は81℃、85℃設定時は83℃、90℃設定時は90℃、95℃設定時は94℃だった。取扱説明書に「実際の水温は最大で±3℃」と記載されていたが、まさにそのとおりだった。
保温は加熱後に手動でできる。湯が沸いて自動停止したら「保温ボタン」に触れ、希望する時間を設定する。設定は5分単位で、可能範囲は5~60分だ。60~95℃の温度設定時は、その設定温度をキープするが、100℃に温度設定した場合だけ例外的に95℃で保温される。
保温中にケトルを持ち上げた後に保温を続けるなら、ケトルを10分以内に電源プレートに戻し、10秒以内に保温ボタンに触れれば保温は再開される。
お湯を沸かす速さ、正確な温度、便利な保温の機能がわかったところで、次の項では実際に色々なお茶を作りながら、「煮出し」機能について述べていこう。
なお、加熱、保温、煮出しを停止したい場合は「電源ボタン」に触れれば停止する。電源ボタンに長く触れ続ければ、電源ボタン以外の表示がオフになる、スタンバイモードに入る。
また、操作パネルに触れずに10分経つと、同じくスタンバイモードに自動で切り替わる。電源、温度設定、保温、煮出しボタンのいずれかに触れれば、表示はオンになる。
設定温度に準じて煮出す時間が設定できる
煮出し機能は、温度を設定して加熱が自動停止してから実行できる。「煮出しボタン」のタッチを繰り返して、抽出時間となる設定時間を1~10分で、1分単位でセットできる。簡単だ。煮出した後も、設定温度に準じた温度で保温もできる。
麦茶
最初に作ったのは麦茶だ。個人的に粒のままの大麦を煮出した濃厚な麦茶が好きなので、普段は手持ちのヤカンを使って1.5~2Lの量を作っていた。大麦を煮出した麦茶は美味しいが、煮出した後、ヤカンを洗っても大麦が中に残り易く、始末を面倒に感じていた。だが、テイエールを利用すると、よりラクに作れるのを実感した。
作り方はとても簡単だ。1.5Lの水を100℃で沸騰させて加熱が終わったら、約30gの大麦の入った茶こしをセット。次に「煮出しボタン」を5分に設定して時間が来るのを待つだけだ。
保温の時と違い(100℃設定でも保温は95℃)、煮出し機能時は100℃をキープしてくれる。設定時間が来ると自動的に「ピッピッ」と鳴って煮出し機能が停止する。煮出しが終わったら茶こしを取り出してできあがりだ。
煮出した麦茶は濃厚で美味しい。作っている間もガラス製のケトルなので、濃さがはっきりと分かりやすい。中身の見えにくいヤカンよりも濃さの調整は簡単だ。
また煮出した大麦は全て茶こしの中に収まっているので、その後の始末も圧倒的にラクだった。
レモネードやフルーツティー、煮出しレシピに挑戦
次はテイエールに付属されるレシピから、煮出し機能を使う4種を作ってみた。
ホットレモネード
レモン2個、はちみつ大さじ4、水650mlで作るホットレモネードだ。レシピどおりに材料を揃え、温度80℃にして湯を沸かす。湯が沸いたらレモンだけを入れ、80℃で2分煮出す。
たった2分煮出すだけで、レモンの爽やかな香りがより一層際立つ。ミントを入れておいた食器にできたてのホットレモネードを注ぎ入れ、はちみつを入れて甘さを好みに調整する。
レモンの酸味、香りにはちみつの甘さが溶け合い、ミントの香りがアクセントのホットレモネードは、なんともホッとする美味しさだ。80℃で2分の煮出しによって、レモンの酸味は抑えられ、皮は適度にやわらかくなっているのでまるごと食べられた。
ローズヒップベリーティー
いちごとブルーベリーをローズヒップティーで煮出して作るのがローズヒップベリーティー。茶こしは使わずにケトルに直接ローズヒップ10gと水650mlを入れ、温度を100℃に設定。沸いたらいちごとブルーベリーを投入し、茶葉と一緒に10分煮出したらできあがりだ。
できあがったら器に注ぎ、甘さをはちみつで調整する。ローズヒップティーだけでももちろん美味しいが、そこにさらにビタミンたっぷりのいちごとブルーベリーが加わり、とても美味しい。くっきりとしたベリーの香りと酸味、甘さのある、口当たりの良いお茶だ。調理中もベリーの甘い香りが立ち、どこか贅沢な気分さえ味わえる。
甘みを少し強めにして冷やしても抜群に美味しい。何度も作ってみたくなるほど、気に入ってしまった。
今回は、近所でどうしてもリーフタイプの茶葉が見つからず、ティーバッグのものを使った。煮出したところ濃い目に抽出されてしまったが、とても美味しかった。
茶葉は本体底に沈むのに対し、ベリーは浮いたままできあがるので分離はラク。煮出し終わったベリーはすくってはちみつを絡め、ヨーグルトにトッピングしてきっちり美味しくいただいた。
フルーツティー
ベルガモットの芳香をもつフレーバーティーとして代表的な、アールグレイで作る贅沢なフルーツティーも作ってみた。使用するフルーツは、りんごとオレンジを半個ずつ、パイナップルを100g、キウイを1個で、合わせて約500g。アールグレイは8gだ。
作り方は、まずアールグレイを入れた茶こしを90℃に沸かしたお湯に入れ、2分抽出。抽出が終わった茶葉は取り出し、レシピどおりにカットしたフルーツを投入し、煮出し機能を10分に設定してできあがりを待つ。煮出して7分をすぎる頃にはフルーツの香りが部屋いっぱいに広がる。
できあがったら、フルーツごとお茶を器に注ぎいただく。ベルガモットの芳香がアクセントになったデザート感覚のあるお茶だ。りんごやパイナップルの食感は残り、オレンジやキウイは柔らかいながらハリのある歯ごたえがあり美味しい。フルーツのほんのりとした甘さも加わりとても美味しくいただいた。
枸杞棗(クコ・なつめ)ジャスミン茶
自分にとってはあまり馴染みの少ない、枸杞(クコ)と棗(なつめ)を使ったお茶にもチャレンジした。先にクコとなつめを90℃で20分煮出した後、そこへジャスミンティーを投入し、3分蒸らして仕上げるお茶だ。
煮出し機能は1度の設定で10分までなので、沸かす→煮出し・10分設定を2回繰り返すのが、他と違うところだ。
投入前は固く乾燥してシワシワだったクコとなつめが、20分煮出すとふっくらと戻る。そこにジャスミンティーを入れた茶こしを入れ、3分蒸らしたら茶こしを取り出しできあがり。果実も一緒に器へ注ぐ。90℃で煮出すためか、お茶は透き通ったままで見た目もきれい。
いただいてみると、ジャスミンティーにクコとなつめの優しい甘さがほんのりと加わった、とても飲みやすいスッキリとしたお茶だった。
煮出すことでなつめのシャリッとした食感が戻り、ジャスミンの花の香りも華やか。お茶として楽しむのはもちろん、ほんのり感じる甘さは食事にも良く合う印象だ。就寝前の温かな滋味深いお茶としても魅力的だ。
緑茶の美味しさにこだわってみる
ここまで煮出し機能を使ったさまざまなお茶を紹介してきたが、煮出し機能は使わずに、美味しいお茶を一度にたっぷり作れるのもテイエールの大きな魅力の一つだ。
緑茶を美味しく作るには、それなりの過程が必要といわれている。一般的には、沸騰したお湯を人数分の湯のみにつぎ、人数分の茶葉をいれた急須に湯のみで冷ましたお湯をゆっくり注ぎ、1分静かに待つ。
葉が開いたのを確認したら、好みの濃さに合わせて急須を回して軽く撹拌し、湯のみに均等に数回に分けながら注ぎまわす。そして急須に残らないように、最後の一滴まで絞るように注ぎきる……といったように、案外工程は多く気もつかう。
不粋かもしれないが、テイエールで作れば湯冷ましも、急須で何度にも分けて煎じる手間も無く、合理的に1度にたっぷり作ることができる。
作り方は至って簡単だ。お茶の種類に合わせて80~90℃の温度設定で湯を沸かし、設定温度に達して自動停止したら、茶葉を入れた茶こしをセット。好みの濃さになるまで蒸らし、茶こしを上下させて濃度を調整し、茶こしを取り出す。その際にお茶のしずくをしっかり切る。
最大1.5Lのお茶を一度に作れ、もちろん保温も可能。テーブルの上で家族分のお茶をたっぷり用意しておけば、おかわりも簡単。キャリータンブラーなどに入れて持ち出せば、ペットボトルのお茶を購入するよりもずっと経済的に活用できる。
本体は丸洗いはできないものの、手入れは簡単
このレビューを書くにあたり、複数種のフルーツティーやお茶をテイエールで繰り返し作ったが、その都度の手入れは簡単だった。
本体底には電熱部があるので丸洗いはできないものの、通常はケトルを水でよくすすぎ、しっかり拭いておけばOK。開口部が広く、隅々までしっかり手が届くので億劫になりにくい。ふたと茶こしホルダーは水で流して乾燥させる。
茶こしは底が外れ、筒の上下からスポンジを入れてしっかり洗える。茶こしのみ、食器洗浄乾燥機に対応している。
たっぷりのお湯、たっぷりのお茶を楽しめる電気ケトル
テイエールはお湯がガスコンロ並に早く沸き、操作も簡単。さまざまなお茶もケトルで作れ、茶葉の後始末もラクなので、レビューに関係なく毎日気に入って使い続けている。沸騰する様子がガラス越しに見えるのも使っていて視覚的に楽しい。
使う前にいくつか気になる点はあった。
1つは、満水にすると2.5kg近くになる重さだ。だが、適度な太さの取っ手はしっかりと握りやすく、お湯を沸騰させた後でもプラスチック製のケトルの底辺部は温かくなる程度で、手を添えることもできるので、毎日使っていて重さはさほど気にならなかった。
したがってハンドドリップのコーヒーにも毎日活用した。コーヒー抽出に適した温度のお湯も素早く準備ができ、ケトル底辺部に手を添えれば、コントロールも簡単に細く湯を注ぐ事もできた。
もう1つ、最低水量が0.5Lは自分には多すぎるかなと最初は気になった。だが自分の生活パターンを改めて振り返ると、起きがけは温かい水でうがいをしてからコップ1杯を飲み、マグカップ1~2杯のコーヒーを淹れて飲んでいる。つまり、自分にとって0.5Lという量は一人だけでもあっという間に消費できるとわかった。
テイエールを使い始めてから変わったことは、ヤカン、ティーポット、急須を使っていた頃よりも始末がラクになったので、麦茶やたっぷりのお茶を積極的に作るようになった。洗うのもぐっとラク。また、口数の限られたガスコンロを占有せずに1.5Lのお湯をテイエールに任せるようになったので、料理の効率も上がった。
お茶や料理が好きならば、一人暮らしでも家族と暮らしていても、テイエールが1台あると重宝するだろう。生活の中心になりうる電気ケトルとして、テイエールは大いにオススメだ。