家電製品レビュー
銀インクで温めるヒーティングマットは予想以上に温かかった
2021年3月1日 08:00
このごろ自室にいると、とにかく隙間風が気になる。部屋の換気口や窓の隙間などから冷たい風が入り込み、暖房の温度を上げても手先や足が冷える。特に困るのが、仕事をしているデスクの目の前にある小窓からの隙間風だ。パソコンで仕事をしている手に冷気が当たると手が動きにくくなり、なかなか仕事が進まなくなってしまう。
机の上に置く小型ヒーターをよく見るので、それで対応しようかとも考えたのだが、机の上には書類などが置いてあり、カーテンもすぐそばにあるので、火事の危険があると思いなかなか手が出なかった。
そこで見つけたのが「INKO」のヒーティングマットだ。製品サイトやニュースリリースの写真に、パソコンのマウスの下にマットを敷いている画像を見つけ、これなら手を温められるのではと期待を持った。電熱線ではなくインクでシートを温めるので、周りに燃えやすいものが多い筆者の机でも使いやすそうだ。価格は9,790円。結果から言うと、机の上で使うよりも、ブランケットや布団の中で使うときに温かさを発揮した。「銀インクって温かいの?」と思っていたが、普通の電気毛布のような温かさだ。
シートに印刷されたインクで温めるヒーター
シートには電熱線がなく、代わりにTPUフィルムに銀ナノインクが印刷されている。このシートに満遍なく印刷されたインクを温めることで、電熱線ヒーターを使うよりもムラなく広い面積に熱を伝えられるという仕組みだ。温度は約40~50℃の範囲で4段階で調節できる。
今回使用した「INKO Heating Mat Sleep+」の薄さは1.5mmと薄く、丸めて付属の袋に収納することができる。丸めれば直径4cmほどの筒状になるため、オフシーズンに片付ける際に便利。INKOの製品にはモバイルバッテリーなどにUSB接続して使用する小さなサイズのヒーターもあるが、この製品はコンセントに接続して使用する。そのため、持ち歩く場所は限られそうだが、オフィスなどコンセントのある場所へ持ち運ぶときにも丸めて収納できそう。
消費電力は30Wと高くないので、長時間の利用でもそこまで電気代を気にせずに済みそうだ。朝などちょっと寒いと感じた時も、エアコンの温度を上げなくても直接、暖をとりやすい。
机の上で使うには、少しぬるい
まずは、机の上に直接敷いて使ってみた。ネットで調べ物をするときなどマウスを使うことが少なくないので、マウスを使っているときに手を温められることを期待して敷いている。
敷いて電源をつけてみたところ、シートとコードの接続部分こそ熱くなるが、マット全体はなかなか温まらない。説明書をよく読んでみたところ、「フローリングに直接敷いて使用すると、フローリング側から熱が逃げてしまいます」とある。机も床と同様に冷たく、温かさが逃げていきそうなので、マットと机の間に布をかませてみた。適したサイズの布がなかなか見つからなかったので、タオルを敷いている。
タオルを敷いてみたところ、敷く前に比べれば温かさを感じるようになった。マウスを使うときの手のひらや、キーボードを打つときの手首など、マットに触れている部分からなんとなく温かさを感じるといった具合だ。窓からの冷気がマットの温かさを奪ってしまっているのかもしれないが、とてもやさしい温まり方だった。
布などで挟んだ時に本領を発揮! 合皮のソファに敷いても温かい
机の上で使ってみたときには「銀イオンヒーターの温まり方は結構ゆるやかなのか」と思っていたが、ひざ掛けと一緒に使ってみて考えはすぐに変わった。ブランケットと足の間に敷いたのだが、一番温かい温度では「熱い」と感じることもあるほど温かくなったのだ。
また、マットを椅子の上に敷いて座ってみても温かさを感じた。筆者宅のデスクチェアやソファは布張りではなく合皮製なので、温かさが逃げてしまうのではと心配していたが、そのようなことはなく温まった。例えるなら、冬に電車に乗ったときに、座席下のヒーターの熱が座面にまで伝わっているときのような感覚だろうか。
ブランケットとともに使った場合も、椅子に敷いた場合も、どちらも布などの熱を逃さない素材と体でマットを挟んでいる。「デスクの上に敷く」といった、手の一部しかマットに触れない使い方よりも、身体のより広い面がマットに接する使い方をしたほうが効率的に温まることができた。
掛布団と毛布の間に入れると充分に温かい
ひざ掛けとともに使ったときに温かさを実感したので、布団の中でも使用してみた。ちなみに、筆者の部屋は寒く、寝るときに暖房を切ってしまうと寒さで眠れない日もあるほどだ。暖房をつけながら寝てしまうと部屋が乾燥するので、冬の夜の空調には困っていた。
そのような寒い部屋で使ってみても効果はバッチリ。足元が特に冷えるので、足側のベッドマットの上に敷いてみたら、じんわりと温まり、すぐに眠たくなってきた。寝る寸前に電源を消したが、冷えることなく快適に眠ることができた。マットからリモコン部までの長さは120cmと、足元に敷いていても手元で電源を操作するのに充分な長さだ。
また、掛布団の上ではなく、敷布団と毛布の間に入れたときには、熱が逃げないためかより温かく感じた。ベッドの上に敷いているときは温度設定で一番温かい温度で使用していることが多かったが、敷布団と毛布の間に入れたときでは一番ぬるい温度で充分に温かかった。
ちなみに、タイマー機能は搭載していないので「眠りについてから自然と電源がオフになるようにする」といった使い方はできない。一方で、12時間で自然に電源がオフになる「スリープモード」を搭載している。電源を入れたまま放置してしまっても、12時間でオフになるのは安心だ。また、マットとコードの接続部分には過熱防止センサーを搭載しており、70℃以上になると電源が自動でオフになるようだ。布団の中などで長時間利用していると、接続部分の温度が、触ると少し熱いと感じる程度に上がっていることが気になっていたので、うれしい機能だ。
丸洗いは不可。汚れを気にしてしまうかも
このマットの生地だが、スエード製で手触りもよく温かい。一方で、丸洗いはできず、汚れた場合は水拭きなどで本体を拭いて手入れする。不意に汚れてしまったときは仕方がないにしても、丸洗いが必要な用途に使うのは少し気が引けてしまう。例えば、布団の中に入れて使用する場合、掛布団と毛布の間に入れるなど直接体に触れない使い方ならいいが、下に敷いてしまうと体がマットに直接触れるので寝汗等が気になる。
筆者は丸洗いができないことを考慮して、使う際は体と本体の間に一枚布をかませて使うようにしていた。ブランケット等と併用することで熱がこもり温かく使うことができているので、結果的には丸洗いできないことがそこまで問題にもならなかった。
机の上で使うより、ひざ掛けなどと一緒に使ったほうが温かい
「インクで温める」ということもあり、電熱線を使う物などよりもあまり温かくはないのではと少し懐疑的だったが、ひざ掛けと併用したり寝るときに使用したりしたことでイメージは一転。4段階で温度調節をできるが、ほとんどの場合は中間の温度で使用していた。電磁波が気になるという人にも安心とのことだ。
一番使いたかった机の上では、冷たい机から熱が逃げてしまったためかぬるく感じた。それでも、ブランケットの中に仕込んでおき、手が冷たくなったら都度温めれば、ブランケットのみの場合に比べて温かいので、想定していた結果とは少し異なるが手先の冷えの問題は解消した。
また、電気代の節約にも繋がった。INKOのサイトによれば、1日8時間利用した場合の1カ月の電気料金は200円程度。一日中暖房をつけっぱなしにしていたところを、就寝前や部屋に日光の入る昼間はヒーターのみで過ごすようになっていたので、電気代をいくらか抑えられたのも嬉しいポイントだった。そのほか、長時間のエアコンで部屋の乾燥が気になるという人なども、検討してみるといいだろう。