家電製品レビュー

睡眠の質まで高めてくれる!? フィリップスの「SmartSleep」ヘッドバンドを試してみた

 自分の睡眠状態を可視化する製品はさまざまあるが、フィリップスから登場した「SmartSleep」ディープスリープヘッドバンドは、可視化だけでなく睡眠の質まで高めてくれるというもの。睡眠機器には珍しいヘッドバンド型で、深い睡眠に入ると、耳元のスピーカーから深い睡眠が持続できるようにオーディオトーンが出力されるのが特徴だ、本日26日の発売に先駆けて使用したので、その使い心地から睡眠計測の精度までレポートしよう。

フィリップス「SmartSleep」ディープスリープヘッドバンド。睡眠計測だけでなく、睡眠の質まで高めてくれるという
メーカー名フィリップス
製品名SmartSleep ディープスリープヘッドバンド
実売価格46,610円(税込)

 SmartSleepは脳波を計測しており、耳の後ろと額のセンサーで計測。右の耳裏に貼るSmartSleepセンサーが30個付属しており、これを1つ耳裏に貼ったうえでバンドを装着する。SmartSleepセンサーは消耗品で、1個につき最大3回まで使用可能。

 本体は充電式で、一晩使用するごとに充電する。バッテリーはリチウムイオン電池で、充電所要時間は2~3時間。計測データはスマホアプリ「SleepMapper」から確認するため、あらかじめアプリをインストールしておく。ペアリングはBluetooth経由で行なう。

パッケージ
本体のヘッドバンドのほか、充電用USBケーブルとアダプタ、SmartSleepセンサー(30個)が付属する
アプリをインストールし、Bluetooth接続でペアリングする

 ベルトの対応頭囲は51~60cmで、背面のスライダーで長さを調整して使う。装着の際はSmartSleepセンサーを耳に貼り、バンドについているセンサーコネクタと接続。細長いバンドには額センサーが備えられており、バンドが額に当たるようにする。

ヘッドバンド。背面のスライダーでサイズを調整できる
右の耳裏に貼るSmartSleepセンサー。1袋10個入で、3袋付属。使い捨て部品で、1個につき最大3回まで使用可能
バンドの右側にあるSmartSleepセンサーコネクタ。耳裏に貼ったSmartSleepセンサーと接続する
中央が額センサーバンド。このセンサーが額の中央に当たるように装着する
説明書のほかクイックスタートガイドも付属

装着はヘアバンドの要領で

 ちなみにバンドは、ただかぶるだけだといまいちフィットしない。髪が長いのもあり、耳裏のセンサーが貼りづらく、これで装着方法は合っているのだろうか……と正直不安になった。説明書をしっかり読んでみると、「髪が長い場合はヘアバンドをつけるように、一度バンドを首元まで下ろす」と書いてあったので、そのようにしてみたらこれが正解。バンド背面の位置が下がり、装着バランスが良くなった。

 なお、耳裏にセンサーを貼った状態でバンドを首元まで下ろすとセンサーがよく剥がれたので注意。説明書には「センサー貼り付け→バンド装着」の順で書かれているが、個人的には「バンド装着→センサー貼り付け」の方がやりやすかった。ヘアバンドの要領でバンドを装着すると髪もまとまるので、耳裏のセンサーも貼りやすくなるのだ。最後に、バンドについているセンサーコネクタを耳裏のセンサーにパチンとはめ込んで装着完了だ。

 正直なところ、装着ルールは色々あり最初は戸惑う。髪の長さによっても装着のしやすさは異なるが、一度覚えてしまえばスムースに装着できた。

上からかぶっただけの場合。背面のバンドが後頭部にあるとフィットしづらい(※写真ではバンド位置をわかりやすくするため髪を結んでいます)
ヘアバンドをつける要領で、バンドを一度首まで下げる
バンド前面のみを額まで上げたら、バランスが良くなりフィットした。背面のバンド位置は首の付け根あたりにくるようにするとちょうど良い。この後は耳が圧迫されないようバンドを引き上げて調整する
実際に寝るときは髪を下ろした状態で使った
SmartSleepセンサーを右耳の後ろ、骨のあたりに貼る
SmartSleepセンサーコネクタを、センサーにパチンとはめ込む

 なおバンド前面は、そこまで意識しなくても額センサーが額に当たる位置にくるので微調整でOK。中央の電源ボタンを押すとランプが緑色に点灯し、使用準備が完了したことを知らせてくれる。Sleepセンサーが耳に貼られていないとランプは点灯せず、耳元のスピーカーからエラー音が鳴り続けるのもわかりやすい。

 準備完了の状態でアプリを起動すると、睡眠計測の準備が整っていると表示されるので後は寝るだけだ。緑色のランプは1分で消灯するため、就寝時も問題ない。ちなみにバンドの重量は約110gで、素材には柔らかい布が使われているため、寝ている間に違和感を覚えることはなかった。普段睡眠時にアイマスクやマスクをすると、無意識に外してしまい起床時にはどこにいったかわからないなんてことも多々ある。しかしこのバンドはそういったことがなく、目覚めるまできちんと装着し続けられた。

額センサーが額に当たるように調整する。就寝前に中央の電源ボタンを押すとランプが緑色に点灯し、準備が完了したことを知らせてくれる
緑色のランプは1分で消灯するが、本体はしっかり作動している。寝ているときはバンドの存在は気にならなかった

気になる睡眠データは!?

 起床後、さっそく計測データをアプリに同期してみた。同期するには、本体をUSBケーブルでつないで充電する必要がある。USBケーブルに繋がれていないと、バッテリー残量があっても同期されないのだ。ぶっちゃけ面倒だが、一晩使うごとに充電しなくてはいけないので、充電し忘れを防いでくれると思えばありがたい仕様。

 SmartSleepの特徴は、アプリで確認できる睡眠の質の項目に、「レム睡眠」「浅い睡眠」「深い睡眠」に加えて「睡眠ブースト」があること。これは「深い睡眠」よりさらに深い状態に入っていることで、身体の回復により適しているという。

 計測データは、まず睡眠スコア(100点満点)が表示され、詳細データとして「就寝時刻」「起床時刻」「眠りに落ちるまでに要する時間」「深い睡眠時間」「睡眠ブースト時間」などを確認できる。睡眠スコアの判定は、これらの計測値から総合的に評価される仕組みだ。減点項目もあり、深い睡眠時間が同世代の平均よりも短いときなどにスコアが減点されていた。

 筆者の睡眠スコアは、初日、2日目ともに100点。もともと寝付きが良く睡眠時間も長いが、100点と判定されるとは思わなかった。モチベーション維持にもつながり、毎日しっかり睡眠を取ろうと思えた。

起床後。データをスマホアプリに同期するには、本体を充電する必要がある。USBケーブルに繋がれていないと、バッテリー残量があっても同期されない。面倒に感じるが、充電し忘れを防いでくれる
初日、2日目ともにスコアは100点だった。こちらは2日目のスコア画面
詳細データ。深い睡眠時間が同世代の平均よりも短く減点されていたが、睡眠ブースト時間が長く、100点という結果になった

 睡眠グラフを見てみると、リズム良くレム睡眠~深い睡眠を繰り返していた。この日は7時頃に一度起きて猫にご飯をあげて二度寝したのだが、それもしっかり記録されている。

 なお睡眠ブースト中は、耳元のスピーカーから深い睡眠が持続できるようにオーディオトーンが出力される。オーディオトーンの音量やタイミングは、睡眠状態に合わせて自動で調整され、睡眠を妨げることはないという。

 グラフを見ると睡眠ブーストは何回か持続しているが、夜中に音が鳴って目が覚めるということはなかった。質の良い睡眠が取れているかはわからないが、寝起きはスッキリしていたのでよく眠れていたようだ。

同日の睡眠グラフ。リズム良くレム睡眠~深い睡眠を繰り返していた

熟睡できなかった日のスコアは49点

 面白かったのは別日のデータ。その日は20時くらいにうたた寝をしてしまい、夜中の2時近くまで寝れず熟睡ができなかった。

 データを見てみると、スコアは49点。グラフはレム睡眠~浅い睡眠がほとんどで、深い睡眠時間はかなり短い。よく眠れなかったという体感が、そのまま数字で表されていた。

熟睡できなかった日のスコアは49点
グラフはレム睡眠~浅い睡眠がほとんど
詳細データ。深い睡眠時間が短かったのでかなり減点されている

 また他の日ではバンドの装着を雑にしてしまったためか、フィット感が得られず睡眠中にバンドを外してしまった。いつ外したのかはまったく覚えていないが、データでは3時56分起床となっているのでこの時間に外したようだ。睡眠時間が3時間未満の場合はスコア判定されないので気をつけよう。

睡眠中にバンドを外してしまった日。睡眠時間が3時間未満のためスコア判定されなかった
3時56分起床となっているのでこの時間に外したようだ

 使い始めるまでは、ヘッドバンド型の睡眠機器はちょっと面倒くさそう……と思っていたが慣れれば簡単。リストバンド型や寝具に置く睡眠機器と違って寝る前にちょっとした作業が必要だが、これも睡眠スイッチの切り替えになって良い感じ。電源を入れたら早く寝ようと思えるので、就寝前にスマホを使う時間も減ってきた。

 また、こういったウェアラブルデバイスに興味がない夫は、そんなの付けてたら絶対寝れない! と言っていたのだが、私の睡眠データを見てからは自分もやってみたいと言い始めた(笑)。

 データが可視化されるのは面白く、さらにその数字が自分の行動とリンクしていると信憑性が増してくる。スコアが高い日は体が軽く、よく寝れなかった日はスコアも低い。毎日良い点を出そうと思うと日常生活にも変化が現れたので、このまま高スコアをキープしていきたいところだ。

西村 夢音