家電製品レビュー

吹き抜けがあるリビング・ダイニングもしっかり加湿、手入れも簡単なダイニチの加湿器「LXシリーズ」

 今年は暑さと台風が過ぎ去ったと思ったら、秋を通り越して一気に冬が来てしまったような気候が訪れた。急激な気温の変化のせいか、まわりでも風邪を引いた、インフルエンザになった、そんな声が聞こえている。特にインフルエンザは、例年より1カ月から数週間早く流行の兆しを見せているのだとか。そうなると気になってくるのが空気の乾燥だろう。ということで、ダイニチ工業の加湿器「LXシリーズ(HD-LX1219)」のレビューをお届けしたい。

ダイニチ工業の加湿器「LXシリーズ(HD-LX1219)」をレビュー
メーカー名ダイニチ工業
製品名ハイブリッド式加湿器 HD-LX1219
価格(編集部調べ)38,156円

 これまでも加湿器は持っていたが、それはスチームタイプ。いわゆる電気ポットのようなタイプで、コトコトと言いながら湯気がモクモクと上がり、じつにわかりやすい加湿器だ。しかし明らかに電気代も高く、日頃から常につけっぱなしにするような使い方はしていなかった。どちらかというと風邪を引いてから慌てて引っ張り出してくる、そんな使い方をしていた。

 無頓着といえばそれまでだが、独り身の時はそれで十分だった。しかし結婚して奥さんができると、普段から空気の乾燥を気にするようになるし、さらに先日我が家にも待望の赤ちゃんが生まれ、初めての冬を迎える。いよいよちゃんと空気の乾燥を気をつけなければなぁと思うようになっていた。そんな中でのLXシリーズだ。

見た目やサイズは、容量相当

 我が家はリビング・ダイニング・キッチンを合わせて18畳程度。吹き抜けがあったり、リビング階段で2階につながっていることもあって、実質的な空間としてはもっと広い。そんな空間では、LXシリーズの中でも加湿量1,200ml/時、木造和室20畳まで対応するというHD-LX1219の適用畳数は魅力的だ。実際に現物を見てみると、サイズは390×245×405mm(幅×奥行き×高さ)と、それなりの存在感はある。ただし7Lという巨大な水タンクが付いていることを思えば、納得のできる大きさだと思う。

正面。シンプルでリビングに溶け込む上品なデザイン
背面。吸気口や湿度センサーの穴が見える
側面
こちらは水タンク側
天面。空気の吹き出し口とスイッチ類、ハンドルなどがある
黒い半透明の部分は水タンク

 見た目はスクエア形状で、色はやや暖色系のオフホワイトとブラックの組み合わせ。デザイン的にもきれいにまとめてあって、リビングに置いたときに違和感がない。もともと使っていた加湿器は円柱状の、いかにもポットのような見た目で加湿器としての主張が強かったが、LXシリーズのデザインならばリビングに置きっぱなしにしてもしっくりくる。

お手入れはクエン酸、使い捨てトレイカバーも便利

 加湿器といえば、メンテナンスをしないと逆に菌をまき散らしてしまうと聞く。その点、これまで使っていたスチーム式は加熱した蒸気なので、メンテナンスの部分についてはときどきクエン酸で洗浄してあげるだけでよかった。LXシリーズはというと温風気化と気化のハイブリッド式。そのため今までよりメンテナンスに気を遣わなければいけない。

 ただこの点についても、トレイの部分に使い捨てのカバーがセットされているため、実際には1シーズンごとにこのカバーを交換するだけでよい。それとトレイ自体がフラットで掃除しやすい形状なので、洗って使うのもそれほど苦ではない気がする。ちょっと面倒くさそうなのは抗菌気化フィルターのほうだろう。1カ月に1回クエン酸につけ置きする必要がある。といってもつけ置きして水で流すだけなので、赤ちゃんの健康のためなら全然頑張れると思う。構造もとても簡単で、洗浄するたびに説明書を広げないとわからないようなものでもないので、機械の苦手な奥さんでも簡単にできるだろう。

水タンクを外し、下のトレイ部分を引き出せば分解は完了
引き出したトレイ部。青い部分が気化フィルター
気化フィルターなどを外したところ。白っぽい部分が使い捨てのカバーだ
トレイ部を分解したところ。ネジなどもなく簡単に分解できる
吸気部分にもフィルターがあるので定期的に掃除が必要だろう

 少し懸念していたのは、7Lという大容量の水タンクだ。男性の筆者は問題ないとして、奥さんにはちょっと重いかなと思っていた。ただこれも杞憂で、ハンドルが2カ所にあって両手で持てるので、もちろん軽いとは言わないが持ちやすい。今、我が家の生後3カ月の赤ちゃんが5.5kg。あと数カ月もすれば7kgは超えるので、そう思えば女性でも持てない重さではない。

シンクでタンクに水を入れる。タンクが大きくてそのままでは若干蛇口に干渉してしまう。これは蛇口の形状にもよるだろう
今時のシンクの蛇口はシャワーノズルになっているので問題はない
水タンクの蓋にはAg+抗菌アタッチメントが付いていて、タンク内の水を除菌してくれる
満タンにした水タンク。軽いとは言えないが、取っ手が2カ所にあるので持ち運びやすい

風量は強め、設定次第で静かにも

 タンクをセットし、スイッチを入れる。すると風量が結構強いことに驚かされる。これまで使っていたスチーム式はファンで風を起こすのではなく、ただ湯気が上がってくる形だったので、ちょっとこれは意外だった。ただ、出てくる風はスチーム式のようにいかにも湯気といった感じではなく、また熱くもない。スチーム式の場合、その周辺の湿度が極端に上がるイメージで、窓際に置くと結露するし、壁の近くでも壁紙にダメージがありそうで気になっていたが、LXシリーズではそういった心配はなさそうだ。また、今はまだ平気だが、子供が歩くようになるころには、吹き出し口を触ってやけどする心配もないので安心して使うことができる。

 音量については、風量があるのでそれなりにはする。ちょうど扇風機の弱か中ぐらいのイメージだろうか。なので、静かな環境で聞くとそれなりに存在感はあるが、実際の生活の中で使ってみると、リビング・ダイニング・キッチンでは、テレビや換気扇などさまざまな生活音があるので、ほとんど気にはならない。それでも気になるのなら「静音」モードにすればぐっと静かになる。静音モードでもそれなりに風量はあるのだが、近くに行かなければほとんど音がうるさいと感じることはない。

 ちなみにLXシリーズの容量だとあまり寝室で使うことは考えにくいと思うが、おやすみ加湿というモードがあって、これだとさらに風量が減って静かになる。その上、表示のランプ類も消灯するなど、夜中の寝室で利用することがよく考えられている。一方でターボモードもあるので、一気に加湿したいときも安心だ。

加湿パワーに大満足

 湿度設定を50/60/70%の3段階でできるのもうれしい。我が家は木造家屋なので、加湿のしすぎは窓際の結露や、壁の中の結露の原因にもなるので避けたいところ。結露が起こるのは湿度70%以上とのことなので、60%あたりで設定しておけば心配はなさそうだ。ちなみに推奨の湿度は50~70%程度。このくらい湿度を上げておくと、風邪のウイルスなどが飛散しにくくなるのだそうだ。

スイッチを入れると予想以上に風量があった。試しにティッシュペーパーを当ててみるとバタバタとなびくほど
静音モードにするとぐっと静かになるが、さらにおやすみ加湿にすれば、静かな上に表示も消える親切設計
設定湿度も50/60/70%から選ぶことができる
入タイマー、切タイマーは2/4/6/8時間から選べる
操作パネル

 加湿のパワーについては、やはりスチーム式と比べるとやや劣る印象だ。湿度計を見ていると部屋の出入りがあるだけでも湿度はすぐに下がるが、そういった変化に対しても即座に反応するというよりは、緩やかに設定湿度に向かって加湿をし続けるといった印象。湿度50%は比較的簡単に到達するが、60%は届きそうで届かないところでうろうろしているようなイメージだった。ただ、約10畳ほどの寝室で使ってみたところあっという間に60%になったので、空間の広さや人の出入りの多い少ないといった部分にもよるのだろう。

 ということで、リビングで普段から動かしておく加湿器としてLXシリーズはなかなか満足できる製品だった。ただ、1つだけ要望したいのがその置き場所だ。LXシリーズは背面に吸気口があることもあって、壁際には設置できない。だが現実問題として、これだけのサイズがありコンセントにもつながなければならない加湿器を、すべての壁から離したところに設置するというのはなかなかハードルが高い。我が家でも奥さんに「え、そんなところに置くの!?」と言われつつ、背面の吸気口を塞がず、それでいて邪魔にならない場所を探すのに苦労した。デザイン性もよく、基本的には部屋に出しっぱなしにすることを考えると、吸気口を側面にするなど、壁際にも置けるタイプをぜひ作ってもらえるといいなと思った。

我が家での置き場所。背面の吸気口を塞がず、コンセントも近くて邪魔にならない場所というところでここに落ち着いた

瀬戸 学