e-bike試乗レビュー
パナソニックの子供向けクロスバイクe-bike、大人と同じような爽快感で走れそう!
2024年6月14日 09:05
パナソニック サイクルテックの「XEALT(ゼオルト)」ブランドから、親子で無理なくサイクリングを楽しめそうなe-bike(電動アシスト自転車)が、6月上旬に発売される。
大人向けのクロスバイクe-bikeは珍しくないが、それがそのまま小さくなった子供向けは珍しい。筆者の子供は小学校の4年生で、身長は同年代では少し高めの143cm前後。今回発表された、子供向けの「XEALT SJF(ゼオルト エスジェイエフ)」の適応身長が135~150cmのため、ちょうど適応範囲内だ。
発売に先立ち、試乗の機会を得たので、子供と一緒にサイクリングへ出かけることを想定して、大人向けと子供向けの2台を、お台場周辺で乗ってみた。
子供向けの「XEALT SJF」も、大人向けの「XEALT S3F」も、フレームの大きさが異なるだけで、基本的な性能は同じ。どちらもモーターには、2軸の「カルパワードライブユニット」を採用し、容量302.4Wh(25.2V/12.0Ah)のバッテリーを搭載する。
大きな違いは、大人向けのアシストモードは「HIGH/AUTO/ECO」から選択できるのに対して、子供向けではAUTOモードのみという点。AUTOモードのみにしたのは、子供の場合は、いろいろと切り替えられると気が散って、走行に集中できないためだという。
まずは大人向けの「XEALT S3F」に乗ってみた。ペダルを踏み込む力に過度に反応することなく、スムーズな走り出し。そのまま踏み込む力を加えて行くと、汗をかくことなく時速24kmまでスピードがスゥ?っと上げられる。停止した状態でペダルを踏み込むと、不自然なほどグンッ! と体が前に持っていかれるようにスタートする、我が家の子乗せの電動アシスト自転車とは大違いの快適さだ。
走り始めてしばらくは、高低差がなく舗装されている道。こうした環境で、時速10km以上のスピードまで上がっていれば、時々ペダルを漕ぐだけで、ほとんど漕がなくても惰性で進んでくれる。
しばらくすると夢の大橋が前を立ちはだかる。東京の湾岸エリアは、一見すると平地がずっと続いているようだが、実はこうした橋が多い。当然アップダウンがあるので、普段は一般的な小径のロードバイクに乗っている筆者は、汗をかくことになる。だが今回は、自転車の本領を試す場所だ。
橋の上り坂を走ってみると……やや大げさに感じるかもしれないが、このくらいの勾配を時速10?20kmくらいで走る程度であれば、平地を走っているときと同じくらいにラク。むしろもっと速度を上げて走りたくなるし、もっと勾配が続いたほうが楽しいのになと思ってしまうほど。
子供が坂道も楽しく走れるe-bike
ここで子供向けの「XEALT SJF」に乗り換えてみた。大人が? と思うかもしれないが、筆者の身長は160cm台の後半と小柄のため、筆者本人はそれほど違和感なく乗れる。もう少しサドルを高く固定できれば、普段使いしても良いような気もする。
ペダルを踏み込んでみると、加速していく感覚は、大人向けのそれと同じだ。先述のとおり搭載するドライブユニットは同じで、大人向けと同じ「XEALTチューニング」なので走行感も変わらない。
また、大人向けも子供向けも、変速ギアが外装7段と同じなのも、地味な点だがうれしい(子供向けは操作性の良いグリップ回転式)。うちの息子だけかもしれないが、緩い勾配でも、ぜぇぜぇ苦しそうに走っていることがある。たいていは、高速走行用の重い段数に設定していたりする。もし今回の「XEALT SJF」と「XEALT S3F」を親子で乗っていれば、「ここは何段くらいにしたほうが良い」など、子供にアドバイスしやすいはずだ。
一点気になったのは、大人向けと比較するとフレームが小さく、前輪と後輪の距離……ホイールベースが狭いため、ややハンドリングが敏感に感じたこと。ただしこれも、e-bikeでなくても同じだ。
一般的に子供と大人の違いは、身長や体重のほかに、脚力と体力が異なること、それに自身のパワーを制御しにくいところだろう。はじめは元気に飛ばして走るが、急にバッテリーが切れたように元気がなくなったりする。そのため1~5kmくらいの平地をサイクリングするのであれば、電動アシストである必要はないかもしれないが、それ以上の距離や、アップダウンのある道のりだと、親も本人もかなり不安になる。
そうした時に「XEALT SJF」があれば、長距離でもアップダウンがあっても、子供がなかなか親のペースについていけなかったり、途中で気持ちが萎えてしまうリスクも少なく、安心して子供とサイクリングに出かけられそうだと感じた。そうしてラクに長距離や坂道を走り切れれば、自転車の楽しさを感じやすいはず。
子供とサイクリングへ行きたくなった!
今回の試乗会では、約8kmの道のりを走ったという。
そのほとんどを大人向けの「XEALT S3F」に乗っていたが、ストレスをまったく感じない加速の仕方なうえに、適切なアシストで坂道でも疲れを感じなかった。試乗会が終わった後に、そこから約10kmの自宅に乗って帰りたいとすら思った。
筆者は以前、片道10km弱の道のりを自転車通勤していたが、e-bikeであれば……今回の「XEALT S3F」であれば……電車通勤よりもラクなのは当然として、筆者の自転車よりも通勤がラクだっただろうなぁと感じた。「XEALT S3F」には……子供向けの「XEALT SJF」にもだが、前後輪にしっかりとしたフェンダー(泥除け)が装着されているため、雨の後で路面が濡れていても走りやすいだろう。また、チェーンカバーが付いているので、ズボンの裾がチェーンに巻き込まれたり汚すリスクも限りなく少ないはずだ。そうした点で、サイクリングだけでなく、通勤用としてもかなりおすすめしたモデルと言える。
子供向けの「XEALT SJF」については、小学校4年生で既に身長が143cm前後ある息子に「買ってあげる」となると、価格面でお父さんとしてはキツイなと正直感じる。適応身長がいちおう150cmまでとなっているので、乗れてあと1年くらいと考えてしまうからだ。
ただし、例えば山間の観光地で、この自転車がレンタサイクルとして貸し出されていたら、借りて息子と一緒にサイクリングを楽しみたいと思った。
初めて自転車に乗れるようになった時に、これでどこでも行けると思ったように、この子供向けの「XEALT SJF」を息子に使わせたら、どれだけキツイ道のりでも、息子と一緒に楽しめるだろう。そんな、ワクワク感を抱いたe-bikeだった。