e-bike試乗レビュー
e-bikeで廃トラックを目指して山へ!! バイクパッキングはキャンプや自転車好きにオススメ
2021年9月22日 07:00
近年、世界中の自転車ファン、そしてアウトドアを楽しむ人たちの間で人気を集めているのが“バイクパッキング”と呼ばれるスタイル。スポーツバイクの運動性能を犠牲にしない専用バッグを装着し、最小限の装備でキャンプを楽しむスタイルです。このバイクパッキングはe-bikeとの相性が良いのでは? とずっと思っていたので、実際に7月末に試してみました。
同行してもらったのは、最近e-bike部に加わったカシワギユウタロウ氏。メリダ「eONE-SIXTY 9000」を入手して以来、すっかりe-MTBにハマり、休日ごとに山を走り回っているe-bikeフリークです。
山梨県のとある山の中に向かいました。ここには朽ち果てかけた古いボンネットトラック(ダッヂ製らしい)があり、2人とも大昔に訪れたことがあるので、現在どんな姿になっているのかを見に行くことにしました。
全行程をe-bikeで行くと、予備バッテリーが2つくらい必要になるので、今回は途中まではトランスポーターにe-MTBを積んでアクセス。山中の“おいしいところ”だけをe-MTBで楽しむスタイルです。
フルサスe-MTBにもキャンプグッズを積める
トランポしてスタート時点に到着したら、さっそく車体にバッグを取り付けます。自転車×キャンプといえば、リアキャリアの左右に大きなバッグを取り付けるスタイルを思い浮かべる人が多いでしょう。でも、その方法だとフルサスのe-MTBではキャリアが装着できるモデルは皆無に近いので難しい現実があります。
バイクパッキングはシートポストやハンドル、フレームなどにバッグを装着するスタイルなので、だいたいどんなモデルでも装着が可能。キャリアなどが必要なく、ベルクロなどで装着できるので脱着も簡単です。
今回はブラックバーンのバイクパッキング向け「アウトポストハンドルバーロール&ドライバッグ」とシートポストに装着する「アウトポストシートパック&ドライバッグ」を使用しました。フルサスe-MTBの場合、バッテリーとサスペンションがあるので、フレームバッグの装着は難しそうです。
テントはモンベルのソロ用「ムーンライトテント1」を持って行きました。かなりコンパクトになるので、フロントバッグに収納できます。寝袋やクッカーはシートポストバッグに収まり、基本的なキャンプグッズはすべて車体に装着できました。食材や水、撮影に必要なカメラなどを持つためにバックパックも背負いましたが、キャンプ場付近で食材を調達できるなら必要ないので、かなり軽快にサイクリングとキャンプを楽しめますね。
e-MTBだからこそ味わえる爽快感
荷物を準備したらさっそく出発します。実は渋滞に巻き込まれて出発地点に到着するまでに結構時間がかかってしまったので、時間はすでに夕方。急がないと山の中なので、あっという間に暗くなってしまいます。
まずは舗装路を上りますが、キャンプグッズを積んで食材を背負っても、e-MTBはアシストがあるので快適。普通のMTBだと苦行にしかならない舗装路も、2人で喋りながら上っていけました。
そして、路面がだんだんトレイルっぽくなるとともに、険しさも増してきます。しかし、それが楽しい!! 2人ともテンションが高くなってきました。普通のMTBでは絶対上りたくないような坂道ですが、これだけの荷物を持ってもスイスイ上って行けます。ややテクニカルな部分もあって、体力的にはラクだけどチャレンジングな場面があるのが、なお楽しい。ひとけのない山の中におっさん2人の笑い声がこだまします。
ただ、だいぶ暗くなってきて崖から落ちてしまいそうで危険なので、この日は目的の廃トラックまで行くのは諦めて、キャンプができそうな場所を探すことに。やや開けていて、キャンプの跡もある場所を見つけて、この日はそこで泊まることにしました。
すでに暗くなっている中でのテント張りでしたが、モンベル「ムーンライトテント1」は直感的に張ることができました。コンパクトに収納できるし、重量はペグなどまで含めても1.71kg。バイクパッキングに持って行くのには最適ですね。
持って行った食材はラーメンに各種缶詰、ソーセージなど、コンビニで調達できるものばかりでしたが、山の中でキャンプしながら食べると、どれも最高の味わい。適度に運動して体も疲れていたので、e-bikeだからこその楽しみ方で大変満足度が高かったです。この日はそのまま気持ち良く眠りについてしまいました。
念願の廃トラックにも遭遇!! そして幻と言われた2台目にも
次の日は日の出とともに目覚めて……と思っていたのですが、モンベルの寝袋の寝心地が良くて予想以上に長く寝てしまいました。目覚めると、日は完全に昇っています。気持ち良い木漏れ日を浴びながらお湯を沸かしてコーヒーを飲むと、それだけで「来てよかった」と思えますが、まだ目的の廃トラックには出会えていません。
2人の記憶とスマホのマップを頼りに目的地の廃トラックを目指します。途中、おもしろそうなトレイルを見つけては寄り道をしながら走って行くと、ゲートに突き当たりました。この奥に廃トラックはあるようなのですが、ここからは徒歩で行く必要があるみたい……。
そして、ついに念願の廃トラックに巡り合えました!! たぶん、以前に来たのは10数年前ですが、変わらない姿でそこにありました。まるで映画やアニメの中に出てきそうな雰囲気。
しばし、感傷に浸りながら写真を撮ったり、廃トラックの周りで過ごしますが、置きっぱなしも心配なのでe-MTBのところに戻ります。目的も果たしたので、あとはせっかく来たので周囲のトレイルを走り回りましょう。この周辺はスマホも圏外なので、ルートは当てずっぽうですが、とりあえず楽しそうなほうに行ってみました。
実は廃トラックがもう1台あるらしいという話は耳にしていましたが、ここで出会えるとは……。1台目の廃トラックと車種は違うようですが、ボンネットがある構造や木製の荷台などの構造は同じ。どれくらいの年数、ここに放置されているのか、よくわかりませんが思わぬ出会いに2人ともテンションが上がります。
予定外の出会いもありましたが、こんな場所まで上って来られたのもe-MTBのアシストがあったから。正直、自分の脚だけでここまで登坂できた気がしません。バイクは入れない場所ですし、徒歩でたどり着ける気もしないのでe-bikeだからこその出会いだったと思います。その後は、道に迷ったりもしましたが、なんとか下れそうなルートを見つけて舗装路まで戻ることができました。
舗装路をひたすら上っていると、バッテリー残量が不安になってきたので、2人ともECOモードで走ります。前日からの走行距離は40km程度ですが、獲得標高は1,000mくらいあって、バッテリーをかなり消費していたようです。かなりハードな上りで、2人とも後半はHIGHモードに入れっぱなしだったので……。それまでにアシストモードを使い分けていたので、ここまでバッテリーが持ったともいえます。
最後のバッテリー切れで体力も使い果たしましたが、なんとかクルマのところまで戻れました。2人ともビショ濡れですが、ドライバッグに入れてあったテントや寝袋はまったく濡れていなかったので、図らずも防水性能を試すことができてしまいました。
最後の最後でハードな旅になりましたが、帰りのクルマの中は「また来よう!!」「e-bike最高!!」という会話ばかり。キャンプグッズを積んでも運動性能をスポイルしないバイクパッキングスタイルと、e-bikeの相性の良さを体感することができました。
普通のMTBだと我々の体力だとあんなところまで上れないし、廃トラックまで行くことも難しかったでしょう。しかも、行き帰りの結構荒れたルートも、フルサスe-MTBなら楽しみながら走破できます。MTBとキャンプの楽しさ、どちらも満喫できたのはこの組み合わせだからこそ。キャンプも走りも、どちらも楽しみたいという人には、このコンビは最高だとオススメしておきます。