e-bike試乗レビュー

e-bikeでトレーラーを引いてデイキャンプしてみたら相性が最高だった!!

新しいライフスタイルの広がりとともに、人気の高まっているキャンプなどのアウトドアアクティビティ。最近は、モーターサイクルでソロキャンプを楽しむ人も増えていて、ロードバイクやMTBなどにバッグを装着してテントなどを積み込む“バイクパッキング”というスタイルも知られるようになってきました。

e-bikeとの相性も良いのですが、バイクパッキングを楽しむには、軽量・コンパクトなアイテムを揃える必要があったり、専用バッグを選んでパッキングの仕方を試行錯誤したりと、それなりに初期投資と手間がかかります(それが楽しかったりもするのですが)。でも、アシストのあるe-bikeならば、荷物の重さなどはあまり気にせず、もっと手軽にキャンプが楽しめるはず! ということで、今回はサイクルトレーラーに持って行きたいものを適当に積み込み、気軽な河川敷のデイキャンプに出かけてみました。

サイクルトレーラーとe-bikeの相性が良すぎる

声をかけたのは、筆者の友人でもあり、以前に多摩川のグラベルライドを一緒に楽しんだ星さん。その際に、e-bikeに興味を持っていたことと、普段からキャンプを楽しんでいること。そして、自身でも自転車に食材を積み込み、ケータリングなども行なっている料理人で、サイクルトレーラーにも慣れていることから、今回同行してもらうことにしました。

前回のグラベルライドは、e-bikeと普通のグラベルロードでしたが、今回はe-bike2台で行きます

昼前に集合し、星さんの私物であるバーレーのサイクルトレーラーをe-bikeに接続します。トレーラーは2輪タイプの「フラットベッド」というタイプ。積載量が45kgもあるので、キャンプ用品に加えてクーラーボックスや薪など、必要そうな物は何でも積んでしまうスタイルです。バイクパッキングというと、必要な物を精査して絞り込むミニマリストのようなイメージがありますが、今回はe-bikeなので真逆な“何でも持って行く”スタイルで行きます。

使用したe-bikeはKONAの「LIBRE EL(リブル イーエル)」。グラベルロードタイプで、タイヤも太く、安定した走行が可能なので、トレーラーを引くにはもってこい
必要かどうかわからない物もとりあえず積み込む。普通サイズのクーラーボックスが持って行けるのはありがたいですね
バーレーの「フラットベッド」をスルーアクスルで使用するには専用アダプターが必要

適当に荷物を放り込んだトレーラーを引っ張って、河川敷に向けて出発! まずはトレーラーに慣れている星さんに、牽引してもらいますが、のっけから「何これ!? スゲー楽!」という声がこぼれます。普通のロードバイクなどでトレーラーを引くと、発進時が一番負荷がかかるので、できるだけ止まらずに済むようなルートを考えるそうですが、e-bikeは発進時のアシストが強力なので「何も引っ張ってないみたいに発進できる!」とのこと。坂道も荷物の負荷が強くかかるので、傾斜的には大したことない坂でも、トレーラーではしんどく感じるルートです。でも、e-bikeだとそんなことはまったく気にすることなくグイグイ進んで行けます。

トレーラーを引いての走行に慣れている星さんも驚くほどのe-bikeとの相性の良さ
上り坂でもトレーラーを引いているのがウソのようにスイスイ上れてしまいます

筆者も乗ってみましたが、重量7kgのトレーラーに荷物を満載しているにも関わらず、普通にe-bikeで走っているのとほとんど変わらない感覚。うっかりすると、トレーラーを引いていることを忘れてしまいそうなほどです。とはいえ、トレーラーを引いていると平坦な道でもそんなにスピードは出せないので、ほぼアシストが効く24km/h以下の速度で走り続ける感じ。e-bikeのメリットがとても活きる使い方だと感じました。

アシストONでは普通にe-bikeを漕いでいるのと大きな違いは感じませんが、OFFにすると急にトレーラーの重みをずっしりと感じます
下り坂では、後ろからトレーラーに押されるような感覚があるので、油圧式ディスクブレーキは必須の装備といえそう

e-bikeを入手したらぜひ体験してみてほしい

途中で食材を購入するために市場に立ち寄ります。クーラーボックスを積んでいるので、肉や野菜、ドリンクなどもガンガン買い込みます。積めるかどうか心配しなくていいのは素晴らしいですね。まだ暑い時期でしたが、クーラーボックスがあると温度の心配もなく、いろいろ買っておくことができます。

道中にある卸売市場で食材の買い出し。積む場所のことを考えずに調達できるのがうれしい
保冷が必要なドリンクや肉などはクーラーボックスに放り込めばいいのはとてもラク
野菜や調味料などもバッグに入れて積んでしまえばOK

目的地である多摩川の河川敷が近付き、ペダルを踏み込む足にも力が入ります。今回乗ったのはグラベルロードe-bikeなので、河川敷の未舗装路もむしろ楽しめる感じ。意外だったのは、トレーラーもあまり抵抗を感じることなくスイスイ進めたことです。未舗装路を2輪タイプのトレーラーで走ると、結構抵抗が大きいはずなのに苦もなく進めるのはe-bikeのアシストの恩恵でしょう。

河川敷の未舗装路もトレーラーを引きながらガンガン走れてしまうのはe-bikeならでは

【10月11日17:20 更新】
※今回は東京・府中市で撮影を行ないました。サイクリングロード(府中多摩川かぜのみち)やバーベキュー場も公道走行可能な自転車(エンジンを搭載しない乗り物は乗り入れ可)・トレーラー(公道を走れる規格)牽引での走行も可能です。基本的にバーベキュー場までトレーラーで子供や荷物を牽引後は、駐輪場に自転車を駐輪となります。自治体によってルールが異なりますので、事前にご確認のうえお楽しみください。初出時の説明不足をお詫びして補足させて頂きます。

目的地のバーベキューができるスポットに到着して荷を降ろします。今回はハンモックを持って来ていますし、日陰に入りたかったので、木陰になる場所を拠点に。荷物を降ろしてみると、あらためてこれだけのアイテムを持って来ていたことに驚きます。普通の自転車なら重さで音を上げていたことでしょう。

トレーラーに載せているだけなので、荷解きも簡単
クーラーボックス以外にも、テントや焚き火台、アウトドアチェア、フライパンなど。これだけの荷物を積み込めるのはトレーラーの魅力。そして、運んで来れるのがもe-bikeならでは
ドライブユニットはシマノSTEPS「6180シリーズ」。トレーラーにたっぷり荷物を積んでもパワフルなアシストでグイグイ走れました
木の間にハンモックを張り、ベースを作ります。座れるし、寝られるし、夏場のキャンプはこれだけで泊まるという人もいるくらい。焚き火台を使って火も起こします

ハンモックで横になったりして、少しゆっくりしてから、食事の準備に入ります。星さんはプロの料理人なので、メニューから調理までほぼお任せ。今回のメニューは、肉と野菜を焼いて、トルティーヤで包んで食べる、つまりはタコスです。トルティーヤは軽くて持ち運びやすく、軽く炙るだけで食べられるので、キャンプ向きなんだとか。確かに、何でも包んで食べられるし、軽い割にお腹にたまるし、キャンプ飯としてはかなり優秀だと感じました。何より美味しい!!

プロの料理人でキャンプ慣れもしているだけあり、手早く調理を進める星さん。眺めているだけでも美味そう
トルティーヤを焼いて、焼いた肉や野菜を包んでいただきます
手づかみでいけるので、フォークや箸を忘れても食べられる(実は今回忘れていました……)
いただきます!

プロが料理しただけあって、味は最高。食べ始める前は「暑いし、あまり食欲ないかも」と思っていたのが、美味しくて予想以上にたくさん食べてしまいました。今回走ったのは20km弱でしたが、お腹が空くにはちょうどいい距離だったのかもしれません。

味のポイントはこのソース。結構辛いのだけど、これをかけると味がタコスっぽくなって食が進む
お腹がいっぱいになったら、涼しい風の中でひたすらゴロゴロするのが気持ちがいい

お腹が膨れたので、あとはハンモックに揺られながらリラックスタイム。結構暑い日だったのですが、河川敷の木陰は涼しい風が吹き抜けていて、とても快適です。家から自転車でちょっと走った程度の距離感で、こういう体験ができるというのは新たな発見でした。これだけ手軽にアウトドアを感じられるのであれば、また来たいと強く思います。

今回はトレーラーを引いて来ましたが、バッグ1つでコーヒーを淹れて飲むだけでも十分気持ち良さそう。e-bikeを手に入れたら、ぜひ一度体験してもらいたいと思います。いずれは実際に泊まるキャンプをしたいと思っている人も、まずはこうしたデイキャンプから試してみると良いのではないでしょうか。

できるなら、そのまま泊まりたいくらいだったけど、今日のところは荷物をまとめて帰路に。雲行きが怪しくなってきたので、サイクリングロードを使って急ぎますが、結局帰り着く前に雨に追いつかれました……
増谷茂樹

乗り物ライター 1975年生まれ。自転車・オートバイ・クルマなどタイヤが付いている乗り物なら何でも好きだが、自転車はどちらかというと土の上を走るのが好み。e-bikeという言葉が一般的になる前から電動アシスト自転車を取材してきたほか、電気自動車や電動オートバイについても追いかけている。