ぷーこの家電日記

第574回

大人でも心が躍る芋掘り遠足

私は、小さな家庭菜園を楽しんでいる。夏野菜たちも次々に花が咲いて、あと1カ月もするとどんどん実が採れそうな状態になってきた。そんな夏野菜よりもひと足先に雑草の方が本気を出してきて、毎週末畑いじりというよりも草むしりの作業だけをしに畑に向かう感じ。

例年は、冬野菜が終わった後に一斉に夏野菜を準備する。そのため、毎年この時期に採れる野菜がほとんどないのだけど、今年はたくさんのジャガイモを植えていた。果菜類を育てる方が楽しいと思う私は、狭い畑のスペースをうまくやりくりするため、いつもだったらあまりジャガイモを育てない。でも、今年は借りている畑が広い。今年の春から新しい畑を借りているのだが、今まで借りていた畑の契約が8月まで残っている。

とはいえ、普通の夏野菜の栽培期間を考えると、8月末までに収穫し撤収できる野菜は限られているので、ジャガイモがピッタリだったのだ。

そして理由はもう一つ。まだ寒い2月中旬に「めちゃくちゃ美味しいよ」と友人に教えてもらったジャガイモを嬉々として買ったは良いのだけど、日持ちしない野菜に追われて、ジャガイモを食べないまま置いておいたら、見事にすべての芋が発芽してしまった。

東京の集合住宅住まいの我が家に涼しい保管場所なんてものは存在しない。折角のジャガイモがもったいないので、芽が生えた段ボールいっぱいのジャガイモを全て畑に植えておいたのだ。

芽が生えたジャガイモを土に埋めて数カ月。忙しさにかまけて、芽かきなどのお手入れも全くせず放置栽培。放置されたジャガイモはそれでもスクスクと成長し、きれいな花を咲かせて収穫の時期が楽しみだった。友人姉妹に声をかけると「芋掘りしたい!」とすごく乗り気で、一緒に芋掘り遠足に行くことにした。

友人は仕事の関係で土日は休みが取れないので、平日で日程を調整することに。私も予定が入っていた日があったので、その日に有給を取得し、午前中に用事を済ませ、午後から芋掘りに行くことになった。

日程が決まってから2週間前、毎日週間天気予報と睨めっこしながら祈る日々。そろそろ梅雨入りしてもおかしくないという季節だったので、日々変わる天気予報に一喜一憂。そして天気予報通り当日は1日中小雨がパラつき、降ったり止んだりが続く日だった。

これくらいの雨なら決行だ! と、汚れても良い格好で畑に行き、早速芋掘り開始。私が順番に土の表面を覆っていたマルチシートを剥がしながら、「まずはここまで掘って!」と2人に掘ってもらうことにした。掘り始めた途端、「ヤバい! かゆい!」と1人が突如言い出した。蚊だ。肌が出ない格好をしているのに、ちょっとした隙間や服の上からまで刺されてボッコボコに虫刺されの跡ができている。

土のついた手袋をしたままでは掻くこともできず、芋掘りどころじゃなくてひたすらに蚊との戦いになる友人。自慢じゃないけど、私は他の人と一緒にいると蚊に刺されることがほぼない。よっぽど血が不味いんだろう(笑)。もう1人の友人も同じくほぼ蚊に刺されることはないらしい。

結果、私がマルチを剥がしたり畑のくずを片付け、1人が芋を掘り、そして1人が蚊取り線香役……みたいな芋掘りになった(笑)。「いやぁ、いい仕事してくれたわぁ。おかげで快適に芋掘りできました」なぁんて、蚊を一手に引き受けてくれた友人を爆笑しながらねぎらったのだった。

あと2週間後くらいがちょうど良い収穫時期だったんだろうけど、日程の都合と梅雨を考慮してちょっと早めに掘り上げたもんだから、ほとんどが小さなジャガイモばっかりだった。でも数だけはたっぷり採れた! 芋掘りが終わった後、そのまま我が家に移動して、仕事が終わった夫とも合流して芋パーティー。

小さな芋はそのまま揚げて、塩を付けて食べるだけでホックホクで美味しい。ポテトサラダにじゃがバターに煮っ転がしやコロッケ、白身魚とミルフィーユなんかも作って、ひたすらジャガイモを食べた。「美味しいけど、芋ってお腹にたまるよね(笑)」なぁんて今更感ある感想を言いながら、ジャガイモ尽くしの芋パーティーをしてめちゃくちゃ楽しかった!

帰りに「たくさん持って帰ってー!」と言ったけど、遠慮してるからなのか、はたまた「そんなにジャガイモばかり食べないよ」なのか分からないけれど、少しずつ持って帰り、我が家には大量のジャガイモと心地よい疲労感と楽しかった思い出が残ったのであります。

1人で粛々と楽しむ家庭菜園もいいけれど、やっぱりみんなで芋掘りって楽しいなぁ。来年も芋掘り用にちょっと多めのジャガイモを植えちゃおうかなぁ。なんてすでにやる気が出ている。

芋堀りからの芋パーティーで大満足の1日が明けて翌日。昼前に実家の母からLINEが来た。「今日ジャガイモ送ります」と(笑)。そう、父も家庭菜園をしていて、毎年美味しいジャガイモを送ってくれるのだ。私がジャガイモを育てない理由は、狭い畑のスペースを果菜類に使いたいという理由もあるけれど、ジャガイモは父任せだから植えないんだったー! と思い出す。

毎日食べても追いつかないくらいのジャガイモにさらに追いジャガイモ到着(笑)。それならば、私が掘ったジャガイモは友人や同僚に配り、父のジャガイモを美味しくいただこうと考えた。

だがしかし、私が作ったジャガイモは小さいものばかりで人様にあげる程立派なものじゃない。実家から届いたジャガイモは見事なジャガイモばかりで、売っている新ジャガとなんら遜色ない。非常に悩ましい。ということで、「実家からたくさん届いたので」と、父のジャガイモと一緒に、違う品種の私の小芋を添えて抱き合わせ戦法で少しずつお裾分けして、この大量のジャガイモをチーム戦で美味しいうちに食べ切りたいと思っているのであります。今夜は新じゃがのカレー炒めでも食べるぞー!

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。