スマートスピーカー使いこなし術

5つのセンサーやプラグなど、シリーズ連携が魅力なスマートリモコン「eRemote」

 スマートスピーカーの普及に合わせて人気を集めているのが、スマートスピーカーから音声操作で宅内の家電を操作できるスマートリモコン。Amazon EchoやGoogle Homeの国内販売開始以降、さまざまなスマートリモコンが市場に出ているが、その中でもハードウェア面で独自の展開を進めているのがリンクジャパンの「eRemote」だ。

 「eRemote RJ-3」「eRemote mini」「eRemote Pro」というスマートリモコンだけでも3製品をラインアップ。さらに5つのセンサーを搭載した「eSensor」、ネットワークカメラ「eCamera」、スマートプラグ「ePlug」、スマートカーテン「eCurtain」など、eRemoteシリーズと連携する製品も自らラインアップしている。

 今回はこの製品の中から、eRemote mini、eSensor、ePlugの3製品を試用し、機器連携や使用感をレポートする。

左からeRemote mini、eSensor、ePlug
メーカー名リンクジャパン
製品名eRemote minieSensorePlug
実売価格6,980円8,629円2,918円

手のひらサイズの小型筐体。設定は共通アプリ「eHome」から

 今回レビューするeRemote mini、ePlug、eSenserはどれも成人男性の片手に乗る程度の小型サイズ。いずれの製品も無線LANは2.4GHz(IEEE 802.11b/g/n)のみの対応で、5GHz帯には対応していない。

 ePlugはスマートプラグのためコンセントに差し、eRemote miniとeSensorはMicro USBで動作する。

eRemote mini
eRemote miniの背面。Micro USBで動作
ePlug
コンセントに装着するプラグのほか電源ボタンを搭載
eSensor
eSensor背面。Micro USBで動作

 3製品とも設定は専用アプリ「eHome」から行なう。アプリからユーザー登録してログインした後、画面に表示される「デバイスを追加」から該当の機器を選択。

 機器を接続させたい無線LANにスマートフォン側で接続し、無線LANのパスフレーズを入力すれば基本的な設定は完了だ。

初期登録でユーザーアカウントを作成
登録したい機器を選択
接続したい無線LANを設定
機器を利用する部屋を設定

 なお、eRemote miniは他の機器を操作するリモコンのため、eRemote miniから操作したい機器も合わせて設定する。アプリに登録されたeRemote miniを選択し、画面下部の「追加」からeRemote miniで操作できる機器を追加できる。

 対象機器はテレビ、エアコン、照明がデフォルトで用意されているほか、赤外線操作に対応した機器であれば「カスタム」から登録可能だ。

eRemote miniで操作したい機器を選択
メーカー名から該当の機器を選択

 登録できる機器のうち、テレビはメーカーを指定し、その後電源や音量、チャンネルボタンなどのテストを行なうが、エアコンはメーカーを選び、リモコンのオンボタンを登録するだけで利用が可能。照明やカスタムについては対象のリモコンを使って動作確認を行ないながら登録していく。

 我が家のテレビは10年以上前のREGZA「42Z7000」なのだが、電源やチャンネル、音量などのテストを行なった後、チャンネルを直接指定する数字ボタンや入力切り替えなどは追加の手動設定が必要だった。

テレビリモコンのボタンで動作テスト
利用する部屋を選択
未登録のボタンがあることをアラート
未登録ボタンの追加登録画面
割りあてたいボタンを1つずつ設定していく
3製品およびeRemote miniで操作するテレビとエアコンを登録。ePlugのみ専用アイコンがないためカスタムを割りあてている
テレビのリモコン画面
画面中央の「123」ボタンをタップするとチャンネルボタンが表示される
エアコンのリモコン画面

温湿度や部屋の明るさ、音、空気の質を計測できるeSensor

 初期設定が終わったらいよいよ機器間の連携だ。今回試用する3製品のうち、eRemote miniとePlugは指示を受けて動作する受動型の機器であり、eSenserは周囲の状況に合わせて機器へ指示を送る能動型の機器だ。そのため設定はeSensorで測定できる数値に合わせてeRemote miniやePlugの挙動を設定していく。

 eSenserで計測できるのは「温度」「湿度」「光」「音」「空気質」の5種類。温度と湿度は小数点第1位まで、光は「暗い」「薄暗」「普通」「明るい」、音は「静」「普通」「中」「大」、空気室は「優」「良好」「普通」「悪い」とそれぞれ4段階で計測できる。

 自宅のリビングにそのまま設置したところ、光と音は「普通」、空気質は「優」と判定された。光は夜にリビングの照明をすべて点けた状態で「普通」だったため、オフィスなどのより明るい環境であれば「明るい」となるのだろう。また、音は室内のテレビや音楽などを一切止めた状態でも「普通」だった。冷蔵庫のモーター音などが耳を澄ませば聞こえはするため、eSenserで「静」と判定するのは本当に音が一切しない環境なのだろう。

 数字で結果が出る温度と湿度については、eSenserの隣に温湿度計をおいて数値を比較。温度については小数点第1位程度のずれでほぼ同じ数字だったが、湿度に関してはeSenserが40%以上と表示している一方、温湿度計は30%で乾燥している状態と表示された。体感としても室内の湿度は温湿度計のほうが近く、eSenserはかなり数値が高い印象だ。

 湿度センサーを備えた他のスマートリモコンでは、測定した数字に対して実際の数字との差分を調整することで実際の数値を表示する機能があるのだが、eSenserには同様の機能が存在しないため、測定のズレがそのまま結果として表われる。「実際よりも高めに結果が出る」と覚えておけば使えることは使えるが、測定値が多少ずれていた時のための調整機能も欲しいところだ。

eSensorの測定結果を軸に連携機器をコントロール

 機器連携の設定は画面の右上に表示される歯車のアイコンをタップして「連動」を選択、続けて画面右上の十字アイコンから設定する。eSenserで測定できる5つの計測結果のうち1つに加えて動作する時間や曜日の設定が可能。その条件に合致した時にeRemote miniやePlugを動作する、という流れだ。

eSensorの操作画面右上から「連動」を選択

 光と音、空気質は前述の4段階から、温度は1度、湿度も1%単位で調整が可能。これを組み合わせることで「夜寒くなったら暖房をつける」「部屋が暗くなったらテレビを消す」といった連携が可能になる。

環境、時間、実行を割りあてる
環境は「温度」「湿度」「照度」「音」「空気質」の5種類を割りあて
動作時間や曜日も設定できる

 筆者の場合、冬に入って朝方が寒くて困ることがあるため、温度が一定に下がった時に暖房をオンにする設定を導入してみた。ただし、実際に設定しようとすると「朝寒くて困るのは一体何℃なのか」がわからないので温度設定が適当になってしまう。eSenserはリアルタイムでの計測結果しか表示されないが、アプリ側で定期的に計測結果を記録してくれれば「昨晩のこの時間に寒いと感じた温度になったら暖房を入れる」という連携ができそうだ。

 また、湿度については「上下したら加湿器をオンオフしたい」というのが必然的な流れと思われるが、実際にはこれが難しい。というのもeSenserでは直接加湿器を操作できないため、操作したい加湿器の電源をePlug経由でオンオフすることになるのだが、ePlugの電源オンオフはコンセントの抜き差しと同じ挙動でしかない。

 一方、我が家の加湿器はコンセントを挿しても電源はオンにならず、別途電源ボタンを押して作動させる仕様になっているため、ePlugのオンオフだけでは空気清浄機が動作しないのだ。

 スマートプラグと呼ばれる電源コントロールはここが課題で、多くの場合は照明のようなコンセントを挿すだけで電源が入る機器のコントロールに留まってしまう。ePlugをより活用するためには、「コンセントを挿しただけで動作する」という家電との組み合わせが重要だろう。

 また、eSensorで設定できる内容は非常に多岐にわたるため、実際に設定しようとするとどんな設定をすればいいのか悩んでしまう。このあたりはアプリ内にサンプルの連携を入れておくといったサポートも欲しいと感じた。

スマートスピーカー連携や複数設定の連続実行機能も搭載

 eRemote miniはスマートスピーカーにも対応しており、Google HomeシリーズとAmazon Echoシリーズのどちらでも利用可能。Google Homeの場合はGoogle Homeアプリのデバイス追加設定から、Amazon Echoはスキルから「LinkJapan eHome」を検索し、作成済みのアカウントでログインして連携する。

Google Home
デバイスの追加設定で「LinkJapan eHome」を検索
作成済みのアカウントでログイン
連携済みの機器が一覧に表示される
Amazon Echo
スキル設定から「LinkJapan eHome」を検索
作成済みのアカウントでログイン
同一ネットワークの対応機器を検索

 なお、Google HomeとAmazon Echoでは操作できる家電が異なる。Google Homeの場合、エアコンは温度指定できるが、それ以外は基本的に電源のオンオフのみ。また、現状Google Home経由でテレビを操作することはできない。

 一方、Amazon Echoの場合はエアコンの温度指定はできないが、代わりに照明の明るさやテレビ操作が可能。テレビは電源オンオフだけでなくチャンネルや音量の変更、再生/一時停止や早送り/早戻しといった操作も可能だ。スマートスピーカーから利用できる操作はリンクジャパンのヘルプにまとまっているのでそちらも参照してほしい。

 eHomeで管理している複数機器を連続して操作できるシーン機能も搭載。例えばHDMI入力切り替えを3つつなげることで、テレビを見ている状態から外部入力3へ切り替える、という連携が利用できる。このシーン機能とスマートスピーカーを組み合わせれば、家を出るときに「言ってきます」と言うとテレビとエアコン、ePlugに接続した照明をまとめてオフにする、という使い方も可能だ。

 今回紹介したePlugは2つのモデルがラインアップされており、「ePlug B1」は電流センサーを搭載、接続した機器の消費電力を計測できる。普段電気代がどのくらいかかっているか調べるのにもいいだろう。

シンプルな使いやすさとシリーズ間の機器連携が魅力

 機器間の連携を中心にeRemote miniやeSensor、ePlugの機能を見てきたが、いずれも操作は非常にシンプルでわかりやすく使いやすい。今回は試用していないが、ネットワークカメラやカーテンなどの連携にも対応しており、幅広い環境で利用できるだろう。

 機能面ではIFTTTに対応していないなどカスタマイズしていくには物足りない面もあるが、自宅内の家電をスマートフォンやスマートスピーカーからコントロールするという点では十分。価格帯も他のスマートリモコンに比べると安価に設定されており手に取りやすいというのも魅力だ。

 一方、eSensorについてはカスタマイズすることが基本となる製品のため、もう少しカスタマイズに柔軟性が欲しいと感じた。前述の通り温度や湿度の調整機能に加えて、おすすめの設定を提案する機能など今後の機能拡充にも期待したい。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。ライター以外にも家電ベンチャー「Shiftall」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝