スマートスピーカー使いこなし術

低価格ながら機能充実! 機器連携の多彩さが魅力の+Style「スマートリモコン」

 ロボット掃除機や照明、カメラなどさまざまなスマート家電を手がける+Styleが、10月31日にスマートリモコン「PS-IRC-W01」を発売した。価格は6,480円(税込)。11月14日までの期間は発売記念セールが実施され、同社のECサイトで15%オフの4,980円で購入可能。

+Styleのスマートリモコン「PS-IRC-W01」
メーカー名+Style
製品名スマートリモコン「PS-IRC-W01」
実売価格6,980円(11月14日まで4,980円)

 これまで+Styleが展開してきたスマート家電は、基本的に自社製品間のみでの連携が可能というものだった。今回スマートリモコンが同社のラインナップに加わったことで、テレビやエアコンといった赤外線リモコンで操作可能な家電を+Styleアプリから操作したり、+Styleの他製品と連携することが可能になる。

 7,000円を切る価格帯ながら温度・湿度・照度センサーを内蔵し、スマートスピーカーはAmazon EchoとGoogle Homeの両方に対応。さらに自社で展開するスマート家電との連携が大きな特徴だ。なお、連携サービスのIFTTTには非対応。

手のひらサイズの小型筐体に各種センサーを搭載

 本体は円形のデザインをしており、本体上部にLEDと照度センサー、本体背面に給電用のMicroUSBポートとリセットボタンを搭載する。本体サイズは60×19.8mm(直径×高さ)、重量は約53gと非常にコンパクトだ。

本体上部のロゴ側に照度センサー、反対側にLED
本体前面
本体背面にMicroUSBポートとリセットボタン
Natureの「Nature Remo mini」とサイズ比較

 赤外線の有効範囲は水平方向が360度、垂直方向は上方180度となっており、部屋の中央に置いておけば部屋中の機器を操作できる。

 同梱品はMicroUSBケーブルのみで、USB ACアダプタは付属しない。利用の際には別途USB ACアダプタを用意する必要がある。

設定は専用アプリから。シンプルでわかりやすい設定方法

 設定は専用アプリ「+Style」から行なう。メールアドレスまたは携帯電話番号でユーザー登録を行なったのち、画面右上の「+」ボタンから「その他」「スマートリモコン」を選択、あとは画面の指示に従って操作していくだけでいい。

+Styleの専用アプリ
メールアドレスまたは携帯電話の番号でユーザー登録
「手動で追加」「その他」から「スマートリモコン」を選択
設定したいスマートリモコンのLED点灯状態を確認

 他社製スマートリモコンの場合、一度スマートリモコンのアクセスポイントに接続してから無線LANの設定をことが多いが、+Styleの場合はそうした手順が必要なく、アプリからスマートリモコンを選択するだけとわかりやすい。

 本製品は2.4GHz帯のIEEE 802.11b/g/nのみに対応しており、5GHz帯では接続できないが、アプリでは設定時にその旨が表示され、Androidの場合はアプリから設定画面にアクセスして無線LANを切り替えることが可能だ。細かい点ながら、スマートリモコンの設定でつまずきやすいポイントが配慮されている。

2.4GHzのみで接続できる旨を表示。アプリから設定へアクセスして無線LANを切り替えることもできる

登録できる機種は多彩。10年前のテレビもプリセット済み

 スマートリモコンの設定が完了したら、今度はスマートリモコンで操作したい家電を登録する。アプリにプリセットされた機種であればメーカー名から選択でき、プリセットされていない場合は手動で登録することも可能だ。

アプリから「スマートマルチリモコン」を選択、「追加」から操作したい機器を登録
操作したい機器の種類を選択
メーカー名または手動学習での登録が可能

 プリセットされている機種は非常に多い。筆者宅のテレビはREGZA「Z7000シリーズ」という10年以上前のモデルなのだが、プリセットから登録することができた。手動登録も可能ではあるものの、プリセットされた機種であればすべてのボタンがきちんと動作することが保証されているという点はありがたい。

メーカー名一覧
対応機種は幅広く10年以上前のモデルもサポート
ボタンの動作テストを行なって設定完了

 登録が完了するとREGZAリモコンのほぼすべてのボタンが反映された。ボタンが多いためすべてのボタン操作には画面を縦にスクロールする必要があるが、アプリ上で使わないボタンは「編集」から削除することも可能だ。

REGZAリモコンすべてのボタンが登録されるため画面は縦に長い。不要なボタンは「編集」から削除できる

 続いてエアコンも登録。筆者宅は賃貸で備え付けのダイキン製エアコンを使っているのだが、ダイキンは型番が非常に特殊で、アプリの一覧からは該当機種がわからず、Webで検索して該当機種を見つけることができた。

エアコンのメーカー名一覧
対応機種一覧

 エアコンの操作は温度やモード、風量などを設定した状態で運転開始か停止を選ぶという流れ。他社モデルでは「暖房」ボタンを押せば暖房モードが起動するものが多かったのだが、こちらのほうが「いまどの状態なのか」が一目瞭然でわかりやすい。ただしこれは機種にもよると思われるが、リモコンの画面が縦に長いため、電源を入れるのに画面をスクロールする必要があるのはやや手間だ。

エアコンのリモコン画面。モードや風量と運転開始・停止が分かれたUI。
画面は縦に長いため運転開始・停止が最初の位置から見切れている

スマートスピーカーはGoogle HomeとAmazon Echoで操作に違い

 スマートスピーカーは前述の通りGoogle HomeとAmazon Echoに対応。Google HomeはGoogle Homeアプリの「追加」「デバイスのセットアップ」、Amazon Echoは「スキル・ゲーム」から「+Style」を検索、登録済みのアカウントでログインすると使用可能になる。

Google Homeはアプリの「追加」「デバイスのセットアップ」から+Styleを検索して登録
Amazon Echoはは「スキル・ゲーム」から+Styleを検索して追加

 音声操作は「○○を消して/つけて」でオン・オフできるほか、Amazon Echoならテレビを「チャンネルを○にして」「チャンネルをあげて/さげて」といったチャンネル変更や「ボリュームをあげて/さげて」「ミュートにして」といった音量変更も可能。

 なお、これはAmazon Echo側の仕様のため、Google Homeの場合はテレビのオン・オフしかコントロールできない。IFTTTにも対応していないため、Google Home利用者は、音声でチャンネルや音量をコントロールできないことになる。

 エアコンについては暖房や冷房、温度のコントロールも可能だが、こちらもスマートスピーカーによって操作が異なり、Amazon Echoの場合「暖房/冷房をつけて/けして」で操作できるが、Google Homeは「エアコンのモードを暖房/冷房にして」とフレーズが長くなる。Google Homeでフレーズを短くしたい場合は、ルーティンを使って好きなフレーズで暖房や冷房をコントロールするといいだろう。

 なお、筆者宅では各部屋にスマートスピーカーとスマートリモコンを設置して部屋のエアコンをコントロールしている。今回のレビューではリビングにGoogle Home miniと+Styleスマートリモコン、寝室にGoogle HomeとNature Remo miniという設置状況だ。

 Google HomeやAmazon Echoは部屋ごとの設定があり、スマートスピーカーと同じ部屋にあるエアコンをコントロールできるはずなのだが、冷暖房の切り替えに関してはリビングで発声しているのに、寝室にある他社製スマートリモコンが動作してしまう、という状況が発生した。

 発声フレーズの冒頭に「リビングの」をつけることで場所を指定できるが、前述の通りフレーズの長いGoogle Homeはますますフレーズが長くなってしまう。スマートリモコンが複数台かつ異なるメーカーを使っているケースはかなりマイナーな例であると自覚しつつ、今後改善を望みたいところだ。

+Styleのスマート家電やセンサーとの機器連携で多彩なカスタマイズが可能

 +Styleならではの特徴が機器連携の幅広さ。すでに+Styleが販売しているさまざまなスマート家電やセンサー機器とスマートリモコンを組み合わせて自分好みの使い方にカスタマイズできる。

 なお、機器連携はスマートリモコン専用の機能ではなく、+Styleの機器同士であればスマートリモコンがなくても連携が可能。冒頭でも紹介した通り、元々Wi-Fi経由で連携機能を備えていた+Style機器群の中に、スマートリモコンを介することで+Style非対応の機器も連携に組み込むことができるようになる。

 設定は+Styleアプリの「スマートモード」から行なう。設定方法は複数の機器を連携できる「シーン」と、特定の条件に応じて機器を動作する「自動設定」の2通り。複数の機器連携をシーンで作成しておき、条件に合わせてシーンを動作させる、という連携も可能だ。

機器連携は「スマートモード」から
複数の機器動作を組み合わせられる

 シーンの連携は機器の動作に加えてタイマーを組み込むこともでき、「寝室の照明が消えた(就寝した)30分後にエアコンをオフにする」といった連携が可能になる。なお、タイマーが設定できるのは59分59秒までで、1時間を超える時間指定はできない。

機器動作とタイマーの組み合わせも可能

 また、テレビでHDMI入力の切り替えなど同じボタンを何度も押す操作を設定する場合、信号のタイミングが早すぎるとうまく動作しない場合もあるが、タイマーを使って「最初のHDMI切り替えから2秒後にHDMI切り替え」とタイマーを挟み込むことで、同じボタンの連続動作も安定して行えるようになる。

HDMI切り替えの例。入力切り替えの間に2秒のタイマーを挟んで設定

 作成したシーンはアプリ起動直後のダッシュボードに表示することも可能。スマートリモコンを使う場合、アプリからスマートリモコンを選択してさらに操作したい家電を選択、という手順が必要だが、ダッシュボードならアプリを起動してすぐに操作できる。

リビングの照明を消した30分後にエアコンをオフにする設定
作成したシーンはアプリのダッシュボードに表示できる

条件に応じて動作する自動設定もアプリのみで設定

 自動設定では、温湿度、天気、日の出・日の入り、風速といった情報に加えて、開始する曜日や時間を設定できるスケジュール、機器の状態などを開始条件として指定できる。設定は複数条件を同時に満たすAND設定、条件のうちどれか1つを満たすOR設定の両方が可能だ。

自動設定。条件をANDかORで設定できる
設定できる条件。「デバイス」からは機器の状態を細かく指定できる

 なお、自動設定で提供されている温度や湿度といった情報は、スマートリモコン搭載のセンサーで取得した情報ではなく、位置情報に基づいた情報を取得する仕組み。室内の情報を取得したければスマートリモコンのセンサー、屋外の情報なら位置情報、という使い分けが可能だ。

天気や温度は位置情報を元に取得
条件にスケジュールを組み合わせられる

 機器の状態を条件に設定する場合は、宅内に設定された+Style機器すべてを条件に設定可能。スマートカメラであればモーションセンサーが反応したとき、掃除機なら掃除モードや吸引レベルなど、機器の持つ動作ほぼすべてを条件に設定できる。

 ただ、現実に使う機能としてはモーションセンサーや温湿度などがあれば十分。「掃除機の吸引レベルが弱になったら……」という条件は、設定できてもあまり使い道がなさそうだ。

+Styleで連携した機器すべてを条件に設定できる
掃除機で設定できる条件
スマートカメラで設定できる条件
スマートシーリングライトで設定できる条件

 あまりに設定できるメニューが多すぎるので何を設定していいか悩むほどだが、例えば天気情報とスケジュールを条件とし「平日の7時に雨だったら照明の色を青にする」といった連携が可能だ。

 他社のスマートリモコンではこうした天気との連携が外部サービスやIFTTT経由で設定する必要があることが多く、+Styleアプリ内で天気情報と連携できるのは嬉しい。また、「朝いつも起きる時間に照明をつける」といったシンプルな設定から、「温度が高くなったらエアコンの冷房をオンにする」といった設定まで幅広くカスタマイズできる。この機器連携の幅広さが+Styleならではの特徴だろう。

複数ユーザーで機器を共有できるグループ機能

 多彩な機器連携、条件設定に加えて複数ユーザーでの利用が想定されているのも+Styleの魅力だ。

 詳細はimpress Watchのレビューでも触れたが、一般的なスマートリモコンのアプリは1アカウントのみで利用するのに対し、+Styleのアプリは複数のアカウントで利用することが可能。1人のユーザーがあらかじめ利用する家電やシーンを設定しておけば、他のユーザーはアプリにログインするだけで機器が利用可能になるほか、ユーザーごと個別に操作できる機器を分けることもできる。家族でスマート家電を共有する際にはとても便利な機能だ。

複数ユーザーで機器を共有。ユーザーごと権限を変えることもできる

多彩な機器・サービス連携が魅力。最初の1台にお勧め

 スマートリモコンは同様の製品がすでに市場に出回っており、価格やスマートリモコンの機能だけで見るのであれば+Styleのスマートリモコンは大きな違いがあるわけではない。

 しかし、他のスマート家電と連携して操作できるという点では、すでに数多くのスマート家電を展開している+Styleのメリットは大きい。+Styleのスマート家電は価格帯的に安価ながら十分な機能を持っている製品が多く、今後スマート家電を購入していく予定があるのなら機器連携が充実している+Styleがお勧めだ。

 実際に使ってみないとなかなかわからない使い勝手の部分も細かな配慮が行き届いており、初期設定や複数ユーザーでの共有も使いやすい。温度や湿度といった外部情報との連携も、他社サービスを組み合わせることなく+Styleで完結しているのが嬉しい。

 IFTTT非対応のためWebサービスと組み合わせて操作したいというユーザーには物足りないかもしれないが、前述の通り温度や湿度といった情報は標準で備えているためそこまで不満はない。ほぼすべての機能を備えた全部入り、かつ使いやすい最初のスマートリモコンとしてお勧めの1台だ。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。ライター以外にも家電ベンチャー「Shiftall」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝