スマートスピーカー使いこなし術

低価格でGoogle Home/Amazon Echoの両方に対応するスマートリモコン「LS mini」

 Google HomeやAmazon Echoといったスマートスピーカーの普及に伴い、スマートスピーカーと連携して家電の操作ができる、さまざまなスマートリモコンも登場している。その中から注目した新たな製品が、LiveSmartのスマートリモコン「LS mini」だ。

LS mini
メーカー名LiveSmart
製品名LS mini
価格(Amazon.co)6,980円

 税込6,980円という低価格ながら、Google HomeとAmazon Echoのスマートスピーカー両方に対応し、エアコンの温度を自動的に調整する「AI」機能も搭載している。スマートフォンのOSは、iOSとAndroidの両方に対応と、幅広い利用環境をサポートしている。すでに初回と第2回の販売は終了しており、次回はAmazonで10月に販売を予定している。

手のひらサイズの本体。スマートフォンはiOS/Android両対応

 本体サイズは85×85×22mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は71g。片手に乗る大きさはスマートリモコンとして平均的なサイズ感だ。

 無線LANは、2.4GHzのIEEE 802.11b/g/nのみの対応で、5GHzは非対応としている。本体に温度センサーと照度センサーを内蔵する。

 電源供給用の電源アダプタとUSBケーブルの両方を付属している。電源アダプタを付属しないスマートリモコンが多い中、低価格でも電源アダプタも揃えているのは嬉しい。

本体上部
本体底面
本体背面に電源供給用のMicro USBポート
Micro USBポートとUSB ACアダプタを付属する

 最初にLS miniへ自宅の無線LANアクセスポイントを設定する。本体を電源に接続したら、対応アプリ「Live Smart」からユーザー登録を行ない、自宅の無線LANアクセスポイントをLS miniへ設定する。

 この時、スマートフォン側をLS miniで接続する「2.4GHz」のアクセスポイントに接続しておく必要がある。5GHzに接続したままでは、LS miniへ接続できないからだ。なお、スマートフォンのOSは、Android 4.2以降とiOS 10.0以降に対応する。

メールアドレスを登録
届いたメールに記載されたリンク先をクリック
ユーザー名とパスワードなどを設定
利用するデバイスを選択する
LS miniのネットワークにスマホを接続する
無線LANのパスワードを2回入力する

 次に、操作したい家電を登録する。画面下部の「デバイス」から「手動でデバイスを追加する」を選択し、登録したい家電のカテゴリを選択。エアコンの場合はLS miniへ向かってリモコンの電源ボタンを押すかメーカーを選択し、画面に表示されるボタンで動作を確認する。テレビの場合はメーカーを選んでから、同様に画面のボタンで動作を確認していく。

登録完了後のアプリ画面
「手動でデバイスを追加する」で登録したい家電を追加
登録できる家電のカテゴリ一覧

テレビリモコンの動作はやや不安定

 テレビの操作は設定が完了しても、テレビリモコンにあるすべてのボタンが反映されるわけではない。チャンネルやHDMI入力の切り替えなどは、別途登録が必要だ。アプリの編集画面から設定したいボタンを選び、「ペア」をタッチしてからリモコンの該当ボタンを押すことで反映される。一例として、8チャンネルを登録したいなら、アプリの編集画面の「8」をタッチし、続いて画面に表示される「ペア」を押した直後に、リモコンの8を押して認識させる、といった手順だ。

テレビはカテゴリから選択
LS miniにリモコンを向けて信号を登録
いくつかのボタンで動作を確認
登録されていないボタンは手動で設定を追加する
ボタンの追加方法

 設定反応がやや不安定で、3回に1回くらいの頻度で、指示通りに操作してもエラーが起きて登録できないことがあった。ペア操作時に、本体内部に点灯する赤いLEDに向けてリモコンを向けると認識されやすい。とはいうものの、成功率100%というわけにはいかず、何度も認識作業を繰り返す必要があった。

 しかも、アプリの表示では設定が正しく完了しているにもかかわらず、実際に操作すると動作しないという現象も多々発生した。最終的にはすべてのボタンが動作するようになったが、動作しないボタンは繰り返して設定をやり直す必要があった。ボタンの認識については全体的に不安定な印象だ。

エアコンを自動で制御できる独自の「AIモード」

 エアコンは、電源のON/OFFや温度変更、モード変更といった操作が手動で可能なほか、「AIモード」操作がエアコンのみ可能だ。

 このAIモードは、人工知能の「Artificial Intelligence」の略ではなく、「Adaptive(適応) Intelligence」の略。利用者のシチュエーションにより、最適な環境を自動的にコントロールしてくれるという。

 AIモードは、自分の服装や、「座っている/立っている」といったアクティビティのほか、体型、起床時間、就寝時間、体質、といったさまざまなデータを入力して動作する。動作する時間は30分~120分間隔で設定できる。AIモード設定後は電源や動作モード、温度などは自動でコントロールされ、手動で操作するとAIモードがオフになる。ただし、服装とアクティビティは常に変更可能だ。

環境にあわせてエアコンを自動で制御できるAIモード
AIモードの設定項目

 AIモード設定中、服装やアクティビティを変えるとLS miniが連動しエアコンに信号を送られ、「ピッ」と鳴ってエアコンが反応した。だが、服装やアクティビティを大幅に変更しても、温度や運転モードはほとんど変わらなかった。本体は温度センサーを搭載しており、周囲の温度も踏まえながら変更するのだろう。服装やアクティビティの変更だけでは、大きく変わらないのかもしれない。

アクティビティの設定
体型や起床時間、体質なども設定可能
居住空間の情報も設定できる

 実際にAIモードを使ってみたが、我が家は夏の期間はエアコンを入れっぱなしで運転していることもあって、動作の違いには気がつくことはできなかった。

 また、服装やアクティビティはアプリを手動で変更しなければならない。服装は大幅に変わらなくても、「立っている」「座っている」「寝ている」などは、1日のうちに何度も変わるため、せめて設定画面をアプリから変更しやすいデザインにするか、時間に合わせてアクティビティを自動で変更する機能も欲しいところだ。

スマートスピーカー対応はGoogle Homeがやや不安定

 スマートスピーカーは、Google HomeとAmazon Echoの両方に対応。また、Google Homeは「Direct Atcions」と「Conversation Actions」、Amazon Echoは「Smart Home Skill」と「Custom Skill」をサポートしている。

対応するスマートスピーカー

 細かい仕様は異なるものの、Google HomeのDicect ActionsとAmazon EchoのSmart Home Skillは「テレビをつけて」「エアコンを消して」といった、シンプルなフレーズで家電を操作できる。

 一方で、Conversation Actionsは「リブスマートを使ってテレビのチャンネルを上げて」、Custom Skillは「リブスマートを開いてエアコンの温度を3度上げて/下げて」といったように、どちらもデバイス名をつけて発声する必要はあるものの、チャンネルや温度変更といった細かい操作も可能な点が違いだ。

 Direct AtcionsとConversation Actions、Smart Home SkillとCustom Skillは共存が可能なため、連携するスマートスピーカーに合わせて全部設定しておくといい。設定方法はLiveSmartのWebサイトに詳しいが、Amazon EchoはすべてAlexaアプリの「スキル」から、Google HomeのDirect ActionsはGoogle Homeアプリから、Conversations ActionsはGoogle アシスタントアプリから設定できる。

Amazon Echoはアプリからスキルを登録
登録済みのアカウントでログインして認証
Conversation ActionsはGoogle アシスタントから登録
Direct ActionsはGoogle Homeアプリから登録

 Custom SkillとConversation Actionsは発声するフレーズがどうしても長くなってしまうが、Custom SkillはAlexaアプリの「定型アクション」、Conversation ActionsはGoogle Homeアプリの「ショートカット」から、好きなフレーズに設定できる。よく利用する機能なら設定しておくと便利だろう。

 動作はGoogle HomeのConversations Skillがやや不安定だった。LS miniのテレビ音量は基本的に5つがデフォルトになっているようで、「大きくして」「小さくして」で必ず5つ上下するのだが、Webに説明がある通りに「2つ大きくして」「2つ小さくして」でも必ず5つ上下してしまう。さらに「音量を上げて」の場合は必ず「下げて」と認識されてしまい、音量が下がってしまう。「大きくして」「小さくして」と言わなければいけない。

 一方Alexaは、テレビの音量変更がデフォルトで5になっているのは変わらないものの、「リブスマートを開いてテレビの音量を2つ上げて/下げて」と音量指定すると、正しく2つで反応する。また、音量操作は、Web上の操作説明のGoogle Homeは、音量操作を「大きくして/小さくして」に対し、Alexaは「上げて/下げて」と違いがある。実際には「大きくして/小さくして」でもAlexaは動作したが、前述の通りGoogle Homeは「上げて/下げて」で誤認識があるなど、動作としてはGoogle Homeにやや不安定さを感じる結果となった。

複数家電をまとめて操作できる「ルール」。スマートスピーカー連携も

 複数の家電をまとめてコントロールしたり、指定した条件によって自動でコントロールするのが「ルール」機能、複数の家電を手動でコントロールするのが「クイックルール」、指定した条件で自動コントロールするのが「トリガールール」だ。トリガールールも複数家電のコントロールは可能なため、クイックルールとトリガールールの違いは「手動」か「指定条件による自動」かの違いとなる。

複数の家電をまとめてコントロールできる「ルール」

 設定方法は、条件となる「トリガー」と、操作したい家電「デバイス」を組み合わせて設定する。トリガーには「日付と時刻」「ロケーション」「クイックルール」「デバイス」の4つから選択。このうち「クイックルール」でクイックルールの設定ができる。

ルールの設定メニュー

 クイックルールは好きな名前を登録でき、登録した名前を使ってスマートスピーカーから音声で操作することも可能。Amazon Echoは「スマートホーム」で新たにデバイスを追加すると、自動的にクイックルールが登録される。

 一方、Google Homeの場合は一度設定したDirect Actionsのリンクを解除し、再度リンクして設定できた。また、フレーズにも工夫がいるようで、テレビとエアコンの電源オフを「いってきます」というルールで作成したところ、Amazon Echoは「いってきますをつけて」で起動したものの、Google Homeは「いってきます」という挨拶に認識されてしまい、クイックルールが起動できなかった。別の名前に設定したところ無事に動作したので、Google Homeが認識しそうな普通のフレーズを避けて登録する必要がある。

トリガーを「クイックルール」にするとクイックルールの設定ができる
スマートホームにデバイスを追加すると、作成したクイックルールが登録される
Direct Actionsのリンクを再設定するとクイックルールが登録された
電源オフに「ラナルータ」という別名を設定したところ無事に音声で操作できた

 トリガールールで設定する場合、「日付と時刻」では曜日ごと指定するほか「平日」「週末」といった設定も可能。ロケーションはアプリがインストールされたスマートフォンが指定したエリアに入るか出るか、を設定できる。「デバイス」は、別のLS miniと連携するほか、ネットワークカメラと連動して、「人が帰ってきたら家電を作動する」という連携も可能だという。今回は試せなかったが、FAQによれば「Beseye」のWebカメラが対応しているようだ。

トリガーの「日付と時刻」設定
トリガーの「デバイス」設定
トリガーの「ロケーション」設定
トリガーに合致したときの家電の動作を設定

【LS mini】デバイスの追加(Beseyeカメラ編) LiveSmart (リブスマート)

 8月中に公開予定とされていたIFTTTについては、Googleカレンダーと連携して作成したルールを起動するというアプレットが用意されている。Googleカレンダーに特定のキーワードを含む予定を登録すると、作成済みのルールが起動する、という連携が可能。少なくとも現状の仕様では、好きなフレーズで話しかけてLS miniを動作する、はできない点に注意が必要だ。

 変わった機能としてSNSとの連携もサポート。現在はLINEのアカウントと連携することで、LS miniの動作をLINEに通知できるだけでなく、LINEからLS miniのリモコンを起動してチャット感覚で操作することも可能だ。SNS連携は今後Facebookの対応も予定しているという。

低価格ながら多機能が魅力。不安定な動作の改善にも期待

 6,980円という価格帯でGoogle HomeとAmazon Echoに対応し、iOSでもAndroidでも利用できるという点で低価格ながら利用環境が充実している点が魅力のLS mini。SNS連携やAIモードなど、もう少し使いやすくして欲しいと感じるところはあるものの面白い機能も多数搭載している。

 一方でリモコンが正しく反応しない、音声認識が思った通りに動作しないなど、現状では不具合も多々目につく。このあたりはアップデートで改善できる点でもあるので、10月の販売再開に向けて、現状の不具合が改善されることを期待したい。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。ライター以外にも家電ベンチャー「Shiftall」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝