老師オグチの家電カンフー

これぞ王道! バルミューダのホットプレートがテッパンすぎて笑う

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
バルミューダ「BALMUDA The Plate Pro」お値段42,900円

先日バルミューダが発表したホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」。これまで様々なジャンルに挑戦してきたバルミューダですが、これはもう王道回帰というか、テッパンで来たなという感じです。そのまんまですが。

まずは目を引くのがそのデザイン。高級ホテルの鉄板焼きを想起させるような色味のプレートが鎮座しております。1cm以上の厚みがあるように見えますが、もちろんプレート自体は厚みはそこまでありません。

とはいえ、一般的なホットプレートが約3mmに対し、6.6mmと約2倍の厚さ。表面はステンレス、内部にアルミニウムを挟み込んだクラッドプレートで、金属製のヘラやナイフをプレート上でそのまま使用できます。これは一般的なテフロン加工のホットプレートとの大きな違いです。

サーロインステーキ。火を通して肉を休ませている間に添えるアスパラを焼く

もともとバルミューダでは、2019年にホットプレートの開発を検討したそうですが、日本国内では1コンセントあたりの最大供給電力が1,500Wに制限されており、その火力の弱さからステーキなどは美味しく焼けないという理由で見送っていたそうです。

それを覆したのは、バルミューダのシェフ(岡嶋伸忠氏)の「電力が足りないなら鉄板を厚くすればいいじゃないの」という言葉。プレートが厚いほど蓄熱性が高く、食材を置いたときに熱が下がらず安定して焼けるという理屈です。実際、21mmの鉄板を使ったところ、むちゃくちゃ美味しく焼けたそうです(そりゃそうでしょう!)。

ライブ・チーズバーガー。高級ハンバーガーの味を自宅で再現できる

ただし、さすがに2cm超えのプレートでは重すぎて家電製品にはできません。そこで採用したのが、2種類の金属を組み合わせたクラッドプレートというわけ。さらに、トースターやコーヒーメーカーで培われた精密な温度制御を搭載し、温度変化を5℃以内に留めることができるといいます。

ウンチク情報はさておき、大事なのは味じゃないですか。新製品発表会での試食および、実機を借りて試用してみました。温度設定のつまみをあれこれ変更する必要なく、安定して焼けることが分かります。とくに厚手の肉や、水分が多い魚介類では差が分かりやすく、表面の香ばしさと中身のジューシーさがくっきりと出ています。

エビのバターソテー。温度が安定しているだけに、水分の多い魚介の調理に向いている
160℃設定にすれば、薄いクレープも焼ける。プレートに温度ムラが少ないので失敗しにくい

これまでありがちだった、切ってから「火の通りが悪いからもう一回焼こう」がなくなるし、ちょっと料理の腕が上がった気になれるのではないでしょうか。そして、製品自体のかっこよさに加えて、プレートの上で金属ヘラやナイフを使うことでシェフのような振る舞いに見えてくる(これぞドヤ家電!))。製品名の「Pro」もそういう意味なのかな?

プレート上で金属のヘラやナイフをそのまま使えるのは、合理的かつカッコよ

プレートはテフロン加工されていないので、汚れを取る手間はありますが、金属のヘラなどでカリカリやる様子もプロっぽく、これも調理の過程の1つとして楽しめそうです。というか、個人的にはコレが良い。

鉄板焼きの店に行くと、新たな焼き物を始める前に、店員さんがカリカリと鉄板を掃除するじゃないですか。あれがやりたくて、富裕層になったら自宅に据え置きの鉄板を置きたいと妄想してるぐらいですからね。この「BALMUDA The Plate Pro」があれば、半分ぐらいその夢が叶ったことになるなと。

ホットプレートのアレといえば、コレですよ!
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>