老師オグチの家電カンフー

探られると痛いHDDを自前で処分してみた

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
かつて使っていたNASのHDD(2TB×2台)。どんなデータが入っているのかは自分でも不明

人生いろいろと面倒くさいことばかり。リストアップすれば1,000個ぐらいありそうですが、そこに入ってくるのが、ハードディスク(HDD)のデータ消去です。

表向きにはデータが消えていても、市販のツールなどを使ってデータを復元することができるため、悪意のある人の手に渡れば、プライバシーデータが漏えいしてしまいます。

HDDを安全に処分するには、いくつかの方法があります。まずは専用ツールを用いて完全にデータを消去する方法。ヤフオク! やメルカリで売却するなら、この方法が確実ですが、ツールの購入や作業時間が必要です。

次に考えられるのは、専門の業者に依頼する方法。ビックカメラなどの量販店では、専用の機械を用いてHDDの記録面を破壊してくれるサービスを実施しています。料金は1台あたり1,000円~1,500円が相場。秋葉原にある「秋葉原最終処分場。」では1台100円と格安ですが、秋葉原までの往復に交通費がかかります。

もっとも安く済むのは、自分でHDDの記録面を直接破壊する方法です。そのまま不燃ゴミに出せば、基本コストはかかりません。うちにも、NASから取り出したHDDが2つほど放置されており、最後の方法で処分することにしました。

こちらも、HDD本体の上からドリルで穴を開ける、もしくはHDDを分解して記録面を直接破壊するなど、いくつかの方法がありますが、ドリルで穴を開けるのは危険が伴うので後者を取ることに。

ただ、ここでも問題があり、HDDに使われているトルクスネジという星型のネジのドライバーを持っていない。購入すると1,000円前後するのですが、なんとダイソーで税込220円で売られているのを発見。とりあえず2台のHDDを処分するので、1台あたり110円で済む計算です。

星型のネジ(トルクスネジ)が使用されている
ダイソーにて購入した「精密ドライバー(30本セット)」220円
トルクスネジに対応するビットは6本、六角ネジ(キャップボルト)は6本、+は10本、-は8本入っている

分解手順は写真をご覧下さい。最初、プラッタ(磁気ディスク)を叩いて割ろうとしましたが、固くて割れないので、カッターナイフで表面に切り傷を付けました。実際これで読み取りはほぼ不可能になるそうですし、ここまでバラされたHDDからデータを復元しようとする人もいないでしょう。個人的な黒歴史は入っているかもしれませんが、国家機密を扱う重要人物でもアイドルでもないですから。

ビットハンドルに装着してネジを外す
金属の蓋を開けて内部にアクセス。鏡面の円盤がデータが記録されているプラッタ(磁気ディスク)
さらにネジを外して取り外したスイングアーム。先端がデータを書き込む磁気ヘッド
ビニール袋に入れてプラッタを破壊しようと試みるも、なかなか割れない
カッターナイフで表面を傷つけた。この方法の方が、飛び散ったガラスでケガをする心配もなく安全

作業にかかった時間は、2台で30分ほど。手間や時間というコストは発生しますが、今回はジャニーズ事務所の会見を横目で見ながらの作業でしたので、実質的な時間コストはほぼゼロ。人生の黒歴史やトラウマも、HDDのデータぐらい簡単に消えてくれたらいいのにね。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>