e-bike日々徒然

1年でe-bike80車種に乗って感じたこと ~安全の重要性と「e-bike」という言葉の浸透

 どーも、e-bike部の清水です。できるだけ多くのe-bikeに試乗しよう! と決めて今年の1月に「御殿場MTBパークFUTAGO」でe-bike部をスタートし(関連記事)、試乗会や発表会にもできるだけ足を運んだり、楽しいスポットを求めていたら、一年間で約80車種のe-bikeに乗っていました(笑)。というか、いつの間にそんなに増えたの? という感じです。すごい!!

 この一年間e-bikeで走った場所も、静岡県8回、東京都内4回、神奈川県3回、長野県3回、大阪府2回、京都府1回、兵庫県1回、群馬県1回。一都二府五県。いつか47都道府県を制覇したい、という野望も芽生えました。撮影中に「それ、e-bike?」と声をかけられる機会もどんどん増えて、後述しますが「e-bike」という言葉が広がってきたのを実感しています。

e-bike部でもさまざまなスポットに行きました

 e-bikeは「今まで行けなかった場所に連れて行ってくれる」乗り物です。いろいろな場所をe-bikeで走りましたが、e-bike部のメンバーも何回乗っても「やっぱりe-bikeは楽しい!! スゲー!!」と口にします。そして上った先には、見たことのない絶景や新たな発見というご褒美が待っています。激坂も上って行けますし、長距離を走ることもできますし、「○○に行ってみよう」「今度は○○を巡ってみよう」と行動範囲が広がるため、趣味の楽しさも拡張してくれます。これは電動アシスト自転車では体験しにくい、e-bikeならではの最大の特徴です。

e-bikeやスポーツサイクルに乗る際はヘルメットを着用しよう

 e-bikeの楽しさを満喫した一年間でしたが、あらためてヘルメットの重要性も実感しました。e-bikeは24km/hまでしかアシストされないし、自然なアシストが気持ち良い17~18km/hくらいならヘルメット必要ないんじゃない? と思うかもしれません。

 そもそも日本には自転車でヘルメットを着用する文化がありません。街中で着用しているのはきちんとしたサイクリストくらいで、通常のスポーツサイクルでもノーヘルで颯爽と走る人をたくさん見かけませんか? その一方で、外国人観光客がレンタルのシェアサイクルに乗る際にヘルメットをきちんと着用している姿も数多く見かけます。

 以前にジャーナリストの難波氏が、e-bikeを快適に楽しむための初心者向けアクセサリーとしてヘルメットの大切さや選び方をご紹介しています(関連記事)。また、e-bikeの安全性についても解説しています(関連記事)。e-bikeの購入や試乗前にぜひご覧になってください。

お揃いのヘルメット。特に人数が多いと目立つので、より安全かも!?

 私たちe-bike部もスタート時からロケ時はもちろん、車体の自走ピックアップ時にも必ずヘルメットを着用するようにしています。e-bike部メンバーが愛用するヘルメットは「LAZER Blade+AF」。日本人の頭にフィットする設計となっており、最先端テクノロジーを搭載しながらコスパも良いのが特徴です。

社内で試乗を希望する人のために予備のヘルメットも。だんだん自転車関連グッズが増えてきました

 そして、一年間いろいろな絶景を求めて坂を上って走り回っていましたが、上っていけば当然下ってくるわけですが、その最中に一度だけ落車を体験しました……。

 それなりの速度が出ている中、「あっ、ヤバい転ぶ」と思った瞬間に体が放り出され、咄嗟に手を突こうとしたからでしょうが、体の左側から地面に落ちて、その後頭にも衝撃が……。しっかりヘルメットを着用していたので衝撃はありましたが、痛みはなく、でも脳が揺れた感覚を覚えています。もう二度と体験したくない気持ち悪い感覚でした。メンバーが駆け寄ってきて、すぐに道の端に寄って落ち着いたところでヘルメットを外してみると、見事に割れていました。手首もねん挫し、体にも擦り傷ができましたが、いちばん大事な頭部は無事でした。ヘルメットは割れることで衝撃を吸収し、頭蓋骨を守ってくれるというのは本当ですね。

 落車の原因は不明。後ろを走っていたメンバーは急に後輪がロックされたように見えた、と話していましたが、急ブレーキをかけたり、何か障害物に乗り上げた記憶もありません。もともと下りは苦手で、いつも安全運転を心掛けていますが、たくさんの距離を走って慣れてきて、少し油断があったのかもしれません。

割れてしまったヘルメット。擦り傷や打撲などはあったものの、頭部はきちんと守られました

 走っていた場所は人力のスポーツサイクルでは走らないような上りで、クルマもまったく通っていない道でしたので、誰かを巻き込むこともなく、他の要素に巻き込まれることがなかったのが幸いでした。自分に操作ミスがなくても、何かに巻き込まれる可能性もありますし、e-bikeやスポーツサイクルに乗る際には、「備えあれば憂いなし」でヘルメットを着用することをオススメします。また、ランチなどでお店に入る際にヘルメットを持っていると、そこがサイクリストに優しいお店だとサービスがあったり、「自転車で来たの?」と会話が生まれるのもメリットです(笑)。

ねん挫と傷が治った後は、予備のヘルメットを着用してe-bikeを満喫

「e-bike」という言葉の広がりと認識の違い

 記事でもよく触れていますが、私たちが使用する「e-bike」という言葉は、スポーツ走行向きに専用開発された電動ドライブユニットを搭載するスポーツタイプの電動アシスト自転車を指します。ですので、約80車種のe-bikeに乗りましたが、ここに電動アシスト自転車はカウントしていません。

 e-bike専用のドライブユニットを開発・展開しているメーカーは、国内ではシマノやボッシュ、ヤマハにパナソニック、バーファン、BESVなどがあり、私たちも軽快車タイプの電動アシスト自転車とは別物と認識しています。

シマノ
ボッシュ
パナソニック
ヤマハ

 例えばパナソニックだと、ハリヤジェッターベロスターなどは電動アシスト自転車のスポーツタイプ。XU1XMシリーズがe-bikeとなります。同様にヤマハだとPASシリーズのスポーティモデルは電動アシスト自転車で、YPJシリーズがe-bikeとなります。先日ブリヂストンが発表した「TB1e」(関連記事)も電動アシスト自転車のスポーツタイプです。ブリヂストンは、ママチャリタイプではないスポーツ寄りの電動アシストモデルを求めるニーズが高いので、そこのラインナップを強化していくそうで、当面はe-bikeの発売予定はないとのことでした。

 日本でe-bikeの存在がしっかり浸透したわけではないですが、国内では2018年が「e-bike元年」と呼ばれ、今年はメーカーからさまざまなモデルが発売されました。それに伴いe-bikeという言葉も少しずつ認知されながら、「e-bike=電動アシスト自転車」という誤解も一緒に広がってしまった気がしています。e-bikeでも電動アシスト自転車でも、結局は電動アシストがあるのだからe-bikeだという意見があるかもしれません。でも、子乗せタイプの電動アシスト自転車をe-bikeと呼ぶ人は少ないのではないでしょうか。

 e-bikeと電動アシスト自転車のどちらに優劣があるわけではありません。それぞれが別の乗り物と認識しています。e-bikeよりもリーズナブルな価格帯で、通常の自転車の苦労をアシストの力でサポートしてくれるのが、電動アシスト自転車。子どもの送迎、通勤や通学、ちょっとした街乗りにはやっぱり便利な乗り物です。

 一方で、e-bikeは電動アシスト自転車のような使い方も可能ですが(子乗せに関してはターンのVektronやHSDのオプションくらいで選択肢は狭いものの)、パワフル&スムースなアシストでスポーティーな走りを楽しめるのが特徴だといえます。今まで行けなかった場所に行けたり、長距離を走ったり、楽しさを求めて、よりアクティブな使い方ができる乗り物です。

今まで行けなかった場所に行けるので、e-bikeでは、走るだけでなく、その先でアクティビティを楽しむガイドツアーも増えてます(関連記事)

 また、e-bike含めて電動アシスト自転車は“ラクな乗り物”というイメージがあるかもしれませんが、e-bikeだと疲れるまで遊ぶことができます。MTBコースを走ってみたら、その楽しさに魅了されて何度も走り回って、車体を下りたら「結構足にきてるなー」みたいなケースもあります。この一年間いろいろな車種に乗ってみて、「疲れなかった」「ラクで快適」みたいなことを感じたのも事実ですが、それよりも真っ先に「楽しかった!!」という感情を抱いたのがe-bikeでした。

楽しさや感動を与えてくれるe-bike

 e-bikeや電動アシスト自転車を選ぶ際は、「何がしたいか」という点が大事だと思います。平坦基調で路面状態も良好な道で通勤のみで使うなら、MTBタイプはオーバースペックになるでしょうし、休日もロングライドなどのアクティビティを楽しみたいなら、電動アシスト自転車だとスペック不足になるかもしれません。目的に合わせて、欲しいタイプのe-bikeと電動アシスト自転車の両方を試乗体験できると理想でしょう。

 「そうやって比較試乗できたら苦労しねーよ!!」という言葉が聞こえてきそうですが、最近は少しずつ試乗できるスポットやショップも増えています。例えば、ヨドバシカメラマルチメディア梅田は、かなりの種類のe-bikeと電動アシスト自転車をラインナップしており、坂道のある試乗コースも用意されています。自転車専門店では、以前にご紹介したサイクルベースあさひ洛西口店(関連記事)もラインナップが豊富で試乗比較できます。一度体験してもらえば、「なるほど!!」と理解してもらえると思います。

サイクルベースあさひ洛西口店

 あとは主要ドライブユニットや完成車メーカーが話し合って、e-bikeの定義をビシッと決めてくれれば、こうした誤解もなくなると思いますので、ぜひお願いしたいところです!! もしe-bikeではない違う言葉で統一するなら、その際には「e-bike Watch」から「○○ Watch」に潔く変更したいと思います(笑)。

 ということで、来年もルールとマナーを守りながら、e-bikeの情報をたくさんお届けしたいと思います。

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