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AI搭載「スマートバイク」の時代が到来!? サイクルモードで見つけた最新e-bikeは

BESVのスマートバイク「SMALO(スマーロ)」がお披露目

近年はすっかりe-bikeの祭典のようになりつつあるサイクルモード。東京では4月15~16日に東京ビッグサイトで開催されました。初日はあいにくの雨天でしたが、それでも屋内コースでの試乗も可能とあって、多くの人が来場していました。会場で見つけたe-bike関連のトピックをお伝えしましょう。

2日目は晴天に恵まれ、さらに多くの来場者が試乗を楽しんでいました

今回の最大のトピックはBESVが新たにAI機能を搭載したe-bikeシリーズ「SMALO(スマーロ)」を発表したことでしょう。同シリーズは700Cホイールの「LX2(エルエックスツー)」と20インチの小径ホイールを履くミニベロ「PX2(ピーエックスツー)」をラインナップ。どちらもバッテリーやライトをフレームに内蔵し、スマートなシルエットを実現しています。

メインステージで行なわれた「SMALO」の発表では、BESV JAPANの澤山 俊明社長が登壇
バッテリーをはじめ、AI機能の要となるコントローラーやE-ロック、E-シフト機能などはフレームに集約
こちらが大径ホイールの「LX2」。BESVオリジナルの7速の自動変速(E-シフト)機能を搭載する
小径ホイールを採用する「PX2」は同ブランドの小径車「PS」シリーズのイメージを受け継いでいる

車体には自車位置を正確に把握するためのGPSや4G、Bluetoothの通信機能も搭載され、自転車の振動や移動を感知する盗難防止アラームも内蔵。専用のスマホアプリから遠隔操作できるE-ロック機構も備えています。

AIでコントロールされるのは、BESV独自の速度や踏力、路面状況などに応じてアシストを切り替える「スマートモード」と、「LX2」に搭載されるE-シフト機能。ライダーはペダルを回しているだけで、e-bikeが自動でアシスト出力や変速を行ってくれるシステムです。

「LX2」は近年のe-bikeでも非常にスマートなシルエット。このスタイルだけでも乗りたくなる人は多いはず
フレームには大容量504Whバッテリー(36V/14.0Ah)のほか、コントローラーやAI機能を司るVCUなどを内蔵
世界初の7速自動変速機構を採用しており、チェーンにもカバーが装備されていてスマートな見た目
フレームのフロント部分にライトを内蔵。もちろん、このライトは暗さを感知して自動で点灯します
ディスプレイはステム部分に内蔵されていて、スマートなシルエットに貢献。細かい情報はBluetooth接続したスマホに表示するしくみです

専用のスマホアプリでは、E-ロックの遠隔操作のほかに、e-bikeの位置や充電状態などの確認、目的地の設定などが可能。ナビ機能では、バッテリーの残量や過去の走行パターンからルートを設定してくれます。また、スマートモードのアシスト出力の調整や、長期間使用しない際には待機電力を低減するスリープモードの設定なども可能です。

チェーンステーの内側にはE-ロック機構を装備。ロックの解除操作はアプリ経由のほか、パスコードの入力でもできます
設定などはスマホアプリから行なうため、ボタンの数は最小限でシンプルです
「LX2」のモーターは前輪のハブ部分に搭載。小径の「PX2」は後輪のハブに装備されています
「PX2」のほうは、外装の7段変速を採用していて、E-シフトは搭載していません

発表会には多くの来場者が耳を傾け、その後のブースでの展示も注目度が高かった「SMALO」。これまでのe-bikeはアシスト走行ができるのがメリットでしたが、スマホ連携や自動変速などスマートバイクと呼ぶにふさわしい電動ならではの機能を数多く採用していて、新しい時代の到来を予感させるに十分な完成度でした。試乗の人気も高く、e-bike Watchとしても早くレビューしたいところです。

AI搭載のさまざまな機能が動画で確認できます

ホンダの参入でも話題の「SmaChari(スマチャリ)」

もう1つの大きなトピックは、ホンダがe-bike業界に参入したことでも話題となった「SmaChari(スマチャリ)」です。といっても、ホンダがe-bikeの製造を手がけるわけではなく、通常の自転車にアシスト機能を追加できるキットを組み込む際の制御ソフトウェアやアプリなどを提供しているもの。こうした後付けでe-bike化できるキットは、海外では販売されていますが、日本国内で市販するには国内の法規に適合させることが課題でした。

「SmaChari」の第1号モデルとして登場したKhodaaBloom(コーダーブルーム)の「RAIL ACTIVE-e(レイル アクティブ イー)」。価格は220,000円で5月から受注を開始し、発売は9月を予定しているとのこと

「RAIL ACTIVE-e」はKhodaaBloomの人気クロスバイク「RAIL ACTIVE」に電動化のキットを組み込んだものですが、国内法規に適合していることを証明する型式認証を取得しています。これは「SmaChari」によってアシスト出力などを最適に制御することで実現したもの。スポーツ自転車専門店「ワイズロード」を展開するワイ・インターナショナルが販売します。

ドライブユニットはBBの下に取り付けられます。後付け感はありますが、コストを抑えられるのがメリット
バッテリーはボトルケージの部分に取り付けられ、車体の重量は15kgと軽量に仕上がっているのも魅力です
ディスプレイはなく、メーター表示や操作などはスマホのアプリを介して行ないます

「SmaChari」は取り付け車両のタイプに合わせて法規に準拠するアシスト出力を算出し、出力を制御できるのでさまざまな自転車に適用できるのもメリット。ただ、個人向けの販売はせず、車体メーカーにシステムを提供するかたちとなります。

ホンダの担当者によると、e-bikeの新しい交通手段としての可能性に注目していたものの、価格が高くなってしまうことが課題だと感じていたとか。より安価に多くの人に使ってもらうため、後付けのキットを制御する技術を提供することを選んだとのことです。アプリのオンラインアカウントを介して所有権を管理し、NFCタグを利用してスマホをワンタッチキーとして使えるとのこと。まだモデルは限られますが、今後広がっていってほしいサービスです。

注目の新しいe-bikeも続々登場

会場では、多くの新型e-bikeもお披露目されていました。その中から、注目のモデルをピックアップして紹介しましょう。まず、自転車ファンの注目を集めていたのが、ORBEA(オルベア)ブースに展示されていたロードバイクタイプの「GAIN M 10iLTD」というモデル。一見すると、少しフレームの太いロードバイクのようで、e-bikeとは気付かないようなシルエットです。

フルカーボンでスマートなシルエットの「GAIN M 10iLTD」。2024年の日本導入を予定しているとのこと

本国のスペインでは、販売の約半数がe-bikeになっているというほど力を入れているオルベア。ドライブユニットはマーレ製で、リアハブと一体となったタイプを採用していてロードバイクらしいスタイルに仕上がっています。重量は11kg台ということですから、かなり走りそう。e-bikeでも通常のロードバイクと同様の乗り味を実現しているとのことですから、かなり期待できそうです。価格については未定とのことですが、現地での価格を円換算すると160~180万円くらいになるとか。

マーレ製のハブモーターはコンパクトで軽そう。ロードバイク専用のユニットというのも期待が高まります
フロントのライトはサイクルコンピューターの取り付け部に一体化されたユニークなデザイン
アシストの切り替えなどを行なうボタンは左右のグリップ部に装備されていますが、見た目がスマート
バッテリーはフレームに内蔵。マーレのロゴの入った充電口があるのがe-bikeであることを見分けるポイントになりそう

近年は、モーターサイクルを思わせるデザインのe-bikeも増えていますが、今回気になったのはオーストラリア生まれのマイケル・ブラストというブランド。モーターサイクルの歴史的モデルをオマージュしたようなデザインを採用し、国内での型式認定も取得しているので安心して乗れるのもポイントです。

こちらは1920年代のモーターサイクルをオマージュした「Greaser Classic」というモデルで価格は396,000円
ドライブユニットはバーファン製のハブモータータイプ
長めのフレームを採用し、ハンドル形状もユニーク
こちらは1970年代のダートトラックマシンにインスピレーションを受けた「Outsider」で価格は385,000円

e-MTBに力を入れているFANTICのブースには、新たに導入される「XXF2.0 FACTORY」が展示されていました。剛性の高いダブルクラウンタイプのフロントフォークを採用したフルサスモデルで、ダウンヒルモデルにカテゴライズされています。アシストも上りのためではなく、下りのタイトコーナーなどで脱出速度を得るためという斬新なコンセプト。海外仕様なので公道を走ることはできませんが、トレイルを走ってみたいモデルです。

90Nmという高トルクを発揮するBrose製ドライブユニットに、720Whのバッテリーを搭載する「XXF2.0 FACTORY」
オーリンズ製のダブルクラウンフォーク(200mmトラベル)などの豪華装備で、価格は1,446,500円
リアショックもオーリンズ製。モーターサイクルを思わせるリンク機構もFANTICらしい
新モデルではありませんが、さまざまなカスタムが施され目を引く存在だったのがブルーノ「e-tool」
リアに釣り用のクーラーボックスを装着したり
e-bikeでは数少ないチャイルドシートを付けたり
活用の幅が広いので見ていても楽しい
今回、試乗車にはこのように型式認定を取得していることがわかるプレートが装着されていました。安全意識を高める意味でも、継続してもらいたい取り組みです
増谷茂樹

乗り物ライター 1975年生まれ。自転車・オートバイ・クルマなどタイヤが付いている乗り物なら何でも好きだが、自転車はどちらかというと土の上を走るのが好み。e-bikeという言葉が一般的になる前から電動アシスト自転車を取材してきたほか、電気自動車や電動オートバイについても追いかけている。