トピック
AI搭載「スマートバイク」の時代が到来!? サイクルモードで見つけた最新e-bikeは
2023年5月26日 11:30
近年はすっかりe-bikeの祭典のようになりつつあるサイクルモード。東京では4月15~16日に東京ビッグサイトで開催されました。初日はあいにくの雨天でしたが、それでも屋内コースでの試乗も可能とあって、多くの人が来場していました。会場で見つけたe-bike関連のトピックをお伝えしましょう。
今回の最大のトピックはBESVが新たにAI機能を搭載したe-bikeシリーズ「SMALO(スマーロ)」を発表したことでしょう。同シリーズは700Cホイールの「LX2(エルエックスツー)」と20インチの小径ホイールを履くミニベロ「PX2(ピーエックスツー)」をラインナップ。どちらもバッテリーやライトをフレームに内蔵し、スマートなシルエットを実現しています。
車体には自車位置を正確に把握するためのGPSや4G、Bluetoothの通信機能も搭載され、自転車の振動や移動を感知する盗難防止アラームも内蔵。専用のスマホアプリから遠隔操作できるE-ロック機構も備えています。
AIでコントロールされるのは、BESV独自の速度や踏力、路面状況などに応じてアシストを切り替える「スマートモード」と、「LX2」に搭載されるE-シフト機能。ライダーはペダルを回しているだけで、e-bikeが自動でアシスト出力や変速を行ってくれるシステムです。
専用のスマホアプリでは、E-ロックの遠隔操作のほかに、e-bikeの位置や充電状態などの確認、目的地の設定などが可能。ナビ機能では、バッテリーの残量や過去の走行パターンからルートを設定してくれます。また、スマートモードのアシスト出力の調整や、長期間使用しない際には待機電力を低減するスリープモードの設定なども可能です。
発表会には多くの来場者が耳を傾け、その後のブースでの展示も注目度が高かった「SMALO」。これまでのe-bikeはアシスト走行ができるのがメリットでしたが、スマホ連携や自動変速などスマートバイクと呼ぶにふさわしい電動ならではの機能を数多く採用していて、新しい時代の到来を予感させるに十分な完成度でした。試乗の人気も高く、e-bike Watchとしても早くレビューしたいところです。
ホンダの参入でも話題の「SmaChari(スマチャリ)」
もう1つの大きなトピックは、ホンダがe-bike業界に参入したことでも話題となった「SmaChari(スマチャリ)」です。といっても、ホンダがe-bikeの製造を手がけるわけではなく、通常の自転車にアシスト機能を追加できるキットを組み込む際の制御ソフトウェアやアプリなどを提供しているもの。こうした後付けでe-bike化できるキットは、海外では販売されていますが、日本国内で市販するには国内の法規に適合させることが課題でした。
「RAIL ACTIVE-e」はKhodaaBloomの人気クロスバイク「RAIL ACTIVE」に電動化のキットを組み込んだものですが、国内法規に適合していることを証明する型式認証を取得しています。これは「SmaChari」によってアシスト出力などを最適に制御することで実現したもの。スポーツ自転車専門店「ワイズロード」を展開するワイ・インターナショナルが販売します。
「SmaChari」は取り付け車両のタイプに合わせて法規に準拠するアシスト出力を算出し、出力を制御できるのでさまざまな自転車に適用できるのもメリット。ただ、個人向けの販売はせず、車体メーカーにシステムを提供するかたちとなります。
ホンダの担当者によると、e-bikeの新しい交通手段としての可能性に注目していたものの、価格が高くなってしまうことが課題だと感じていたとか。より安価に多くの人に使ってもらうため、後付けのキットを制御する技術を提供することを選んだとのことです。アプリのオンラインアカウントを介して所有権を管理し、NFCタグを利用してスマホをワンタッチキーとして使えるとのこと。まだモデルは限られますが、今後広がっていってほしいサービスです。
注目の新しいe-bikeも続々登場
会場では、多くの新型e-bikeもお披露目されていました。その中から、注目のモデルをピックアップして紹介しましょう。まず、自転車ファンの注目を集めていたのが、ORBEA(オルベア)ブースに展示されていたロードバイクタイプの「GAIN M 10iLTD」というモデル。一見すると、少しフレームの太いロードバイクのようで、e-bikeとは気付かないようなシルエットです。
本国のスペインでは、販売の約半数がe-bikeになっているというほど力を入れているオルベア。ドライブユニットはマーレ製で、リアハブと一体となったタイプを採用していてロードバイクらしいスタイルに仕上がっています。重量は11kg台ということですから、かなり走りそう。e-bikeでも通常のロードバイクと同様の乗り味を実現しているとのことですから、かなり期待できそうです。価格については未定とのことですが、現地での価格を円換算すると160~180万円くらいになるとか。
近年は、モーターサイクルを思わせるデザインのe-bikeも増えていますが、今回気になったのはオーストラリア生まれのマイケル・ブラストというブランド。モーターサイクルの歴史的モデルをオマージュしたようなデザインを採用し、国内での型式認定も取得しているので安心して乗れるのもポイントです。
e-MTBに力を入れているFANTICのブースには、新たに導入される「XXF2.0 FACTORY」が展示されていました。剛性の高いダブルクラウンタイプのフロントフォークを採用したフルサスモデルで、ダウンヒルモデルにカテゴライズされています。アシストも上りのためではなく、下りのタイトコーナーなどで脱出速度を得るためという斬新なコンセプト。海外仕様なので公道を走ることはできませんが、トレイルを走ってみたいモデルです。