トピック

「家電で焼きいも」食べ比べ! 編集部とライター陣でいろいろ試しました

焼きいも専用機+電気圧力鍋の3機種でサツマイモを食べ比べた

冬の寒さが厳しい。外では焼きいも屋さんが軽トラで「やきいもぉ~……やきいもっ!」などとアナウンスしながら街を巡り、スーパーなどの店先でも焼きいもコーナーが設置。テレビ番組でも「オーブンレンジで美味しい焼きいもを作る方法」などの特集が組まれるようになった。

家で作る焼きいもといえば、オーブンレンジやトースターなどをイメージするかもしれないが、それ以外にも、ここ最近は特に“お家でおいしい焼きいも”を作れる家電が続々登場している。

そこで家電 Watchでも「いろいろある中で、美味しい焼きいもが簡単に作れる家電製品は何なのか」探ってみた。レビュアーは編集部員5人と、これまで多くの調理家電も使ってきて、焼きいもも大好きという家電ライターのコヤマタカヒロさんと安蔵靖志さんの計7人。

使ったのは、焼きいも専用のドウシシャ「焼き芋メーカー WFX-102T」と、いかに焼きいもを美味しく焼き上げるかを考え抜いたというライソンの「超蜜やきいもトースター」。さらに「サツマイモは焼くよりも蒸(ふか)した方が好き!」という人のために、ティファールの電気圧力鍋「クックフォーミー CY8711JP」も加えた。

ドウシシャ「焼き芋メーカー WFX-102T」とライソンの「超蜜やきいもトースター」の2機種は、特に“しっとり(ねっとり)系”のサツマイモ品種を、より甘く美味しく焼くために開発された2台といっていいだろう。

使用したサツマイモは、しっとり系とホクホク系の2種類、4品種。具体的には、しっとり系の「紅はるか」と「シルクスイート」、ホクホク系の「五郎島金時」と「里むすめ」。この4品種を3機種でそれぞれ調理した。

なお、各モデルに付属するレシピ等に準じて設定して調理。いずれの機種が、より美味しさを引き出してくれるのか、さっそく食べ比べてみた!

ホクホク系としっとり系の各2品種を用意して試食した
家電ライター2人+編集部員5人

焼きいもを作るために開発された「焼き芋メーカー WFX-102T」

ドウシシャ「焼き芋メーカー WFX-102T」

サツマイモの形をした、くぼみのある焼きいも用プレートが付属。サツマイモをセットして、フタを閉めたら電源プラグをコンセントに差し込む。プレートの温度は自動で調節されるため、あとは約40分待ったら焼きいもが完成する。

焼きいもプレートは、直径約6cm×長さ約22cmまでのサツマイモに最適な大きさとなっている。また、サツマイモに熱が均等に伝わるように、表面に凹凸をつけ、フッ素コーティング処理が施されている。本体上下のヒーターでじっくり包み込むように焼き、熱がサツマイモの芯まで伝わる構造になっているという。

本体サイズは約350×250×150mm(幅×奥行き×高さ)。焼きいもプレート使用時の重さは、約2.6kg(WFX-102Tは約2.8kg)。消費電力は1,000W。コード長は約1.4m(WFX-102Tは約1.4m)。焼きいもプレート/平面プレート/さつまいもアンバサダー協会監修の専用レシピが付属する。

焼きいもプレートをセットしたところ
焼きいもプレートを外したところ。食材を包み込んで上下から加熱する構造

簡単でありつつ本格的な焼きいも調理ができる

焼きいも専用とあって、使い方は簡単だった。本体のフタを開けて、水で濡らしたサツマイモを置いたら、またフタを閉めてロックをかける。あとはタイマーを設定すると、加熱が始まりじっくりと焼き上げていく。

ドウシシャの「焼き芋メーカー」には、タイマー付きとタイマー非搭載の2モデルが用意されている。どうせ焼き上がるのを待つのだからタイマー非搭載でも良いのだが、寒い冬にコタツで数十分も待っていたら、うとうとしかねない。その点、タイマー付きであれば、設定時間で確実に加熱が止まるので、いくぶん安心だろう。

焼きいもプレートに、サツマイモをセットするだけなので、準備が簡単。サツマイモのサイズや形によって、入れ方は工夫したい
サツマイモを乗せたら、タイマーで調理時間を設定するだけで、加熱スタート

しっとり系の2品種に関しては、タイマーを40分に設定して調理スタート。時間になるとチーン! と鳴って、調理完了だ。フタを開けると同時に、モワッと一瞬だけ水蒸気が立ち上り、それを見ただけで「美味しい!」と言ってしまいそうになる。さらにフタを開けてサツマイモを取り出そうとすると、もう待ちきれないというように、蜜がサツマイモから溢れ出てしまっていた。食べる前の演出としては、最高だったといえる。

蜜がプレートに溢れて美味しそう
2つに折ると、蒸気がフワッと立ち上る
とにかく蜜蜜しい

さっそく試食を開始。家電ライターのコヤマさんは「かなりねっとりした食感ですね。甘みも引き出されています」と感想を述べている。同じくライターの安蔵さんは「ホクホクしっとりで、いもようかんのよう」と感じたという。また編集部員のなかには、「かなりねっとり感が増して、おいしく仕上がっている。かなり好み」や、「ホクホク系のサツマイモをしっとりねっとりと焼き上げたい人にはピッタリ」といった感想も聞かれた。しっとり系が好きなのに、スーパーにはホクホク系のサツマイモしか売っていない……そんな時に、「焼き芋メーカー WFX-102T」は良さそうだ。

ねっとり系が好きな人には高評価だったのは当然ともいえるが、タイマーで焼き時間を指定よりも短くすれば、ホクホク感をほどよく残すこともできそうだ。サツマイモの品種、加熱時間、それに好みに近かったかどうかを記録していけば、いつでも気軽に好みの焼きいもが食べられるだろう。

甘い品種をさらに甘くするライソン「超蜜やきいもトースター」

ライソン「超蜜やきいもトースター」

焼きいもを美味しく焼くためのトースター。絶妙な温度管理でいもから蜜を引き出す「超蜜やきいもモード」を搭載。同モードは「やきいも専用ケース」に熟成された紅はるかと水を入れて焼くだけで簡単に作れる。遠赤外線ではなく近赤外線の効果でサツマイモの中までしっかり熱を加えるため、ねっとりと口の中でトロける食感と、スイーツのように甘い焼きいもに仕上がるという。

本体サイズは約340×175×210mm(幅×奥行き×高さ)。重さは約4.2kg。消費電力は1,300W。コード長は約1.2m。やきいも専用ケース/網/取り出し用取っ手/やきいも読本が付属する。

まさにサツマイモがスイーツに!

サツマイモの品種によって推奨する調理法が異なる。推奨の紅はるかの場合は、アルミホイルで包んで、付属の「やきいも専用ケース」に入れて、水を注ぐ。専用ケースをトースターに入れて「超蜜やきいもモード」ボタンを押して、約2時間待つ。

上記の「超蜜やきいもモード」のほか、2段階の温度と時間を、ユーザーが調整できるプリセット設定機能を備えている。最初は低温で焼き、最後に高温で焼き上げるなどが可能になる。

今回は、「超蜜やきいもモード」でしっとり系の紅はるかを焼いたほか、同じくしっとり系とホクホク系品種を約1時間半で調理してみた。

アルミホイルに包んだうえで専用ケースに入れて、水を注ぐ
「超蜜やきいもモード」で約2時間待つ

しっとり系の紅はるかは、約2時間待った後に完成。本体から専用ケースを取り出し、アルミホイルに包まれたサツマイモを見てみる。アルミホイルをはがそうとすると、サツマイモからにじみ出た蜜が糸を引く。この様子を見ただけで、甘いに違いないと誰もが確信。2つに折ろうとすると、ポキッとは折れず、グニュゥと曲がっていく柔らかさだ。そして折った後の断面にも、サツマイモの蜜がたっぷりとにじんでいる。

「甘すぎるくらいに甘さを引き出しています。味は最高ですね」と絶賛するのは、ライターの安蔵さん。編集部の多くも「甘い!」という感想は同様で香ばしさも感じた。そのうえで「適度に食感が残っているのもいいです」というのは、ライターのコヤマさん。好みにもよるだろうが、これ以上“ねっとり”してしまうと、いもっぽさがなくなってしまうが、同機では繊維感が程よく残っていた。

一方で、ホクホク系の品種の試食については、比較的、感想が少なかった。やはり甘さが前面に出てくるしっとり系の品種と比べると、印象が薄くなってしまったようだ。ただし、ホクホク系が好きな編集部員からは「しっとり系よりもホクホク感が楽しめて好き」という意見もあった。

約2時間後に取り出す
アルミホイルを取ろうとすると、溢れる蜜がすごい
とにかく蜜が溢れてきた

総じて美味しく焼き上げてくれるのだが、特に「超蜜やきいもモード」については、完成まで約2時間かかるため「味は美味しく満足できるが、2時間かかるのは待ちきれないかも」という声も散見された。しっとり系の焼きいもで話題になっている店へは行けないが、究極的に甘い焼きいもが食べたい、という人には間違いなくおすすめだ。

圧倒的に早く仕上がるティファール「クックフォーミー」

ティファール「クックフォーミー(6Lタイプ) CY8711JP」

自動で火加減や圧力を調節する電気圧力鍋。本体画面に表示されるレシピの分量通りに食材を入れ、画面通りに調理することで、「煮込む」「炒める」「蒸す」などの調理が可能。サツマイモは「材料モード」を利用して蒸して調理できる。

本体サイズは380×350×325mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは6.5kg。消費電力は1,200W。最大圧力は70kPa。蒸しかご、蒸しかご台、炊飯用カップが付属する。

昔懐かしいサツマイモが14分で作れる

圧力をかけながら蒸すことで、サツマイモを約14分で調理可能だ。作り方は、300mlの水を注いだ鍋の底に蒸しかご台と蒸しかごを設置。その上にサツマイモを置いてフタを閉める。あとは、本体前面のボタン操作で「材料」→「芋類」→「サツマイモ」→「半分に切る」と進んで、スタートさせる。

鍋の中に300mlの水を注ぎ、蒸しかご台と蒸しかごを設置する
ボタン操作で「サツマイモ」を選んで調理スタート

イメージでは、圧力調理鍋は「調理時間14分」といっても、減圧する時間が長くかかると思っていた。ただし同機に関しては、減圧を含めても15分前後で完成した。焼くと蒸すの違いがあるので当然だが、今回試した3機種の中では、圧倒的に素早く調理できる。

完成直後の様子は、これまで使ったドウシシャの「焼き芋メーカー」やライソンの「超蜜やきいもトースター」とは全く異なる。サツマイモの形状は、調理前とほとんど変わらず、変化といえば、切ったいもの断面の色が美味しそうな色に変わったくらいだ。

完成直後の鍋の中
まさにホクホクしたサツマイモが完成

ライターのコヤマさんは、特にホクホク系の品種を調理したものについては「あっさりとした食感」と表現し、味に関してもいわゆる「昔ながらの味」だという。そのほかの人の感想も、あっさりとした内容が多かったが、ホクホク系が好みの編集部員からは「栗っぽい食感と味で、これは究極のホクホクでは?」という声もあった。ホクホク系が好きな人には、これこそサツマイモでしょうと感じる人も、多いだろう。

それ故にだが、試食中に喉が渇いたのも事実。今回は味変としてバターやバニラアイスなども用意したが、それらを加えると、しっとりとして食べやすかった。

元々しっとり系が好きな編集部員も、実際に食べてみると印象が変わった例もあった。ホクホク系のサツマイモを使った場合は「パサパサ感がいなめない」としていたものの、しっとり系の品種に変えると「ほかの機種と比べると甘さなどが劣るけど、十分にしっとりしていて美味しい。圧倒的に短時間で出来ることを考えたら、満足感は高い」と評価している。

簡単に最高の焼きいもが作れる。暮らしに合わせて選ぼう

今回のレビューでは、ドウシシャの「焼き芋メーカー WFX-102T」とライソンの「超蜜やきいもトースター」は、蜜の多いしっとり系の品種の味を、より引き立てて焼き上げるのに適したモデルだと分かった。

2機種のどちらが美味しく焼けるのか? と順位をつけるのは難しかった。どちらも、熟成させたしっとり系のサツマイモ品種を使えば、有名な焼きいも店で出される、たっぷりと蜜の溢れ出た焼きいもと同じくらいに美味しかった。

そうした熟成されたしっとり系品種を使えば、一般的なオーブンレンジを使っても十分に美味しく焼ける。とはいえ、今回、参考として試した範囲では、両機で焼くほどには、甘さなどの素材の良さを引き出すまでには至らなかった。そういう意味では、両機とも 簡単に設定して誰もが有名店の味を再現できる といえる。

もし購入を考えた時に、どちらが良いかと問われたら、より簡単にサツマイモを調理できるドウシシャの「焼き芋メーカー WFX-102T」を選ぶか、それとも普段はトースターとしても使える、汎用性の高いライソンの「超蜜やきいもトースター」にするかで選んでほしいと答えるだろう。あとは購入後に、付属レシピをもとにして設定を少しずつ変えて、自分の「これだ!」という調理時間や調理方法を探ってほしい。

ティファール「クックフォーミー(6Lタイプ) CY8711JP」に関しては、サツマイモ調理に特化したモデルではなく、正確にいえば“焼きいも”ではない。それでも、一般的に安価で手に入れられるホクホク系の品種を、十分に美味しく、またここが重要だが 素早く作れる のが利点だ。もちろん他の料理にも使える汎用性も、最も高いといえる。

冬のQOLを高めてくれるのはどのモデルなのか? 自身の食生活に合わせて使いやすそうなものを選んでほしい。

河原塚 英信