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たこ焼き器を変えるとおいしさは違うの? 編集部で食べ比べしました
2022年12月7日 08:05
編集部のある関東エリアも、寒さが厳しくなってきた。冬になると食べたくなるのが「たこ焼き」。友達で集まって“たこパ”も楽しい。そこで編集部で複数のたこ焼き器を借りて、どれだけ簡単に、おいしいたこ焼きが作れるか? 機器によって違いはでるのか? を検証した。
用意したのは、たこ焼き器の定番ともいえる、岩谷産業「カセットガスたこ焼器 炎たこII」と、デザインのよさと幅広い使い道がうれしいBRUNO「コンパクトホットプレート」。カセットガスと電気の違い、そのほかの仕様が大きく異なる2モデルに、どんな違いがあるのか? 比較してみた。
なお、今回の食べ比べでは象印マホービン「デイリーコンパクトプレート EX-AJ30」も使ってみたが、既報の通り、試用した後に自主回収が発表されたため、その部分は割愛する。
ガスと電気では、そもそもどう違うの?
製品の基本的な仕様を確認して、たこ焼きを作り始めると、それぞれのクセのようなものが見えてくる。例えば、「カセットガスたこ焼器 炎たこII」は火力が強いため、高い火力で作る時には、かなり手際の良さが求められた。また、熱源(ヒーターやバーナー)の配置方法によっては焼きムラも出てくるため、焼く際の工夫も必要になる。
なお、たこ焼きプレートの一つ一つの穴の容量は、いずれも20ml前後で、大きな差はなかった。
岩谷産業「カセットガスたこ焼器 炎たこII」
今回試した機種のうち、カセットガス式なのが岩谷産業の「カセットガスたこ焼器 炎たこ(えんたこ)II」(以下:炎たこII)。約1.7kWの高火力U字バーナーが、プレートの隅々まで熱を伝える。プレートはフッ素加工のアルミダイカストを採用。ひっくり返す時にこびりついて失敗することも少ないという。
本体サイズは約348×231×133mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約2.2kg。最大発熱量は1.74kW。直販価格は9,878円。
BRUNO「コンパクトホットプレート」
BRUNOの「コンパクトホットプレート」(以下:BRUNO)は、ホーロー鍋をイメージしたデザインで、A4スペースに置けるコンパクトなサイズ。火力は最大250℃まで無段階で調節でき、たこ焼きプレートのほか、平面プレートを付属し、様々な料理に利用できるのが特徴。
本体サイズは約375×235×140mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約2.3kg。消費電力は1,200W。電源コード長は約1.8m。直販価格は10,450円。
市販の小麦粉と無ブランドの卵などを使用
たこ焼きというと、「これじゃなきゃダメ!」という、こだわりを持っている人もいるだろう。今回のレビュー(たこ焼きパーティ)に参集した編集部やほかのメンバーの中には、たこ焼きを自宅で作るという人も何人かいた。また、出身エリアは関西~関東などで様々。
味を左右すると思われる粉については、なるべく誰が作っても同じように再現できることを目的に、市販の「日清 だし醤油仕立てのたこ焼粉」を採用した。
そのほか水は、水道水(東京水)と、当日にスーパーで買ってきた無ブランドの卵を使っている。
材料が揃ったところで、たこ焼粉のパッケージ記載のレシピ通りに、小麦粉(たこ焼粉)や水、卵を混ぜていった。同様に、あらかじめ茹でてあるタコや、天かす、サラダ油なども、スーパーで手に入れられるものを使っている。
いよいよ、たこ焼きスタート!
今回のレビューでは、たこ焼粉や機器の説明書に記された調理方法をもとに、なるべくオーソドックスな作り方で試した。まずは各機の予熱を行ない、たこ焼きプレートを十分に温めたうえで、サラダ油を引いて、水と卵を混ぜたたこ焼粉ミックスをプレートにたっぷりと流し込んだ。その後に、タコや天かすなどをパラパラとのせていく。
今回のたこ焼き器に付属する「たこ焼きの作り方」を見ると、いずれも火力は「強」で行なうとあり、調理中の火力調整については言及されていなかった。
ここまでは各機種で大きく異なる点はなかった。ただし、その後は各機の火力に依存するので、たこ焼きをくるくるとひっくり返していくタイミングは、差が出てくるポイントだ。以下に、各機種の消費電力/発熱量や、編集部内で作った際の、ひっくり返すまでの時間と完成までの焼き時間を参考値として記しておく。
炎たこII | BRUNO | |
---|---|---|
熱源 | ガス火 | 電気 |
熱源の仕様 | 最大発熱量 1.74kW | 消費電力 1,200W |
ひっくり返すまでの焼き時間(実測) | 3.5分 | 7分 |
完成までの焼き時間(実測) | 10分 | 14分 |
上記の焼き時間は、あくまでも焼く人の感覚にも左右されるので、参考程度に確認してほしい。ただし、はたから見ていても「炎たこII」→「BRUNO」の順に焼けるのが早いのは間違いなさそうだ。
焼き上がりの早さがダントツの炎たこII
今回試した限りでは予想通り焼き上がるのが早かった、岩谷産業の炎たこII。当然、ひっくり返していくタイミングも早くなるので、作る人は、たこ焼きから目が離さないのが重要。
焼き比べた1人によれば「炎たこIIは、どんどん焼けていくので、休む暇がないほどでした」と語るほど、ひっくり返す手際の良さが求められたという。
出来上がりはいかに!?
今回のレビューでは、前半は家電 Watch編集部を中心に7名が参加。全機種で1回目のレビューと試食が終わった後、2巡目では、普段お世話になっているライター陣の皆さん4名が試食に駆けつけてくれた。焼き加減や食感などを、各メンバーがどう感じたのかをまとめて紹介していく。
岩谷産業「カセットガスたこ焼器 炎たこII」
高評価が多かったのが炎たこII。
「周囲がパリパリでおいしく、一番『たこ焼き』という感じがした」や「周りがパリッとしていてキレイに仕上がっていた」、「皮が薄くてパリパリ、中はふわふわでおいしい」などの意見が多数見られた。
どうやら外側がカリッとかパリッと焼けると、おいしいたこ焼き、と感じる人が多いようだ。実際に炎たこIIで作ったたこ焼きを、プレートから皿に移した直後などは、フニャッとなることなくピシッと置けて、コロッと転がるものもあった。
一方、前項で記した通り、火力が強いため焼く人にとっては、慌ただしく焼く必要があったようだ。また、時にはひっくり返すのが間に合わず、外側が焦げてしまっているものもいくつかあった。そうした「(香ばしいレベルを超えてしまった)焦げている」点を指摘する人が多かったのも炎たこIIだった。
食感については、「外パリ中ふわ」で状態が良いものがあったものの、焼けたと思って皿に出すのが早すぎると「外がカリッとしつつ、中まできちんと火が通っていないのでは? 」という、汁気の多いケースも一部であった。外側の見た目だけに惑わされないよう、串を刺して確認するなどして作るのが大切なようだ。
「火力」重視? 「多用途」が欲しい?
前項までで記している通り、「たこ焼きで大事なのは火力の強さだ!」または「短時間でカリッと焼き上げたい」という人は、炎たこIIで決まりだろう。「いやいやじっくりと作ろうよ」という人は、BRUNOも選択肢に挙がってくる。
また、カセットガス式か電気式かも重要。アウトドアでたこ焼きパーティをするかも……なんて人は、炎たこIIを選ぶと良さそうだ。一方で電気のプレートを使いたい場合は、流行りの高出力なポータブル電源を使う手もあるが、電源コードなどの取り回しには注意したい。
そのほかレビューして気づいた点を、まとめていく。
火力に大満足の炎たこIIは、手際が肝心
炎たこIIは、カセットガス式ということもあり、火力の強さに満足できるとともに、場所を選ばずに使える点などの利点もある。
火力を最大にして作った際は、焼きの担当者は休む間もないくらいに、ひっくり返したりする必要がある。焦げに注意して手際よくさばければ、ふっくらとした外側カリッと中がドロっとしたたこ焼きを作りやすい。
一度に作れるたこ焼きの個数は20だが、手際よく焼けるようになれば次々と焼いていけるので、たこ焼きパーティなどでも活躍するだろう。ゆっくり作りたい場合は、火加減を調整しながら焼くとよさそうだ。
なお、忘れてはいけないのは炎たこIIが“たこ焼き専用”ということ。付属するプレートはたこ焼き用のみなので、くぼみを利用した調理(アヒージョなど)も可能だが、焼肉やすき焼きなど、鉄板/鍋のような使い方はできない。
みんなでワイワイ作るのにぴったりのBRUNO
BRUNOの火力に関しては、強いとは言い難いので、火力を「強」のままにしていても、急がずに作っていけるはず。「パパッと手際よく」よりは「のんびりじっくり」を楽しみたい」人には、悪くない選択だ。
特に友達や家族とワイワイしゃべりながら作るのに良さそうだし、ほかにメインディッシュがあり、たこ焼きをプラスしたい時などにもちょうどいいモデルといえる。
BRUNOは本体のホーローのようなデザインが人気なうえ、多彩な本体カラーから選べるのもポイント。また、外観がツルツルしているので、調理後の汚れを拭き取りやすかった。
火力や作れる料理によって選びたい
普通は、複数の機種で同時にたこ焼きをすることはあまりなさそうだが、実際にレビューしてみて改めて感じたのは「たこ焼きって、素晴らしい料理だな」ということ。作ったたこ焼きについて、外がパリッとして中がトロッ……などと記したが、明確に「これはおいしくない」というのはなかった。素人が作っても、たいていおいしくできてしまうのが、たこ焼きの良さ。ひっくり返すのに慣れていない人が、だんだん上手になっていくのも面白いところで、作る過程を含めて楽しめる。
製品による違いは、値段はもちろん、調理できる料理の種類(付属プレートの違い)や、火力の違い、それに本体のデザインなどがある。たこ焼きがおいしく作れることも含め、どれが自分にフィットするたこ焼き器なのかを見極めてみるのも楽しそうだ。