私の2020

家事が楽しくなる「エンタメ家電」。滑る掃除機にコスパ最強洗濯機

家電 Watchの筆者や編集部員が、2020年を振り返りながら、使ってみてよかったものや、注目した話題、動向などについて自由に語るコーナーです。
BALMUDA The Cleanerなど、今年は「エンタメ家電」が多く登場

2020年に発売された家電は「エンタメ家電」に尽きる。「エンタメ」とはもちろん「エンターテインメント」だ。これまで、何の楽しみもない家事を淡々とこなし、時には苦痛に思いながら行なってきた。でもそんな家事に、ひとつまみの「楽しさ」を加えてくれる家電が多く登場した。

掃除機「BALMUDA The Cleaner」

2020年ベストエンターテインメント賞を送りたいのは、バルミューダ。本体は3.1kgと重いが、それを感じるのは充電器から取り外しする累計4秒だけ。床において滑らせると、まるでスケートリンクを滑るように、自由自在にヘッドが回って滑る。この感覚は触ってみないとわからないかもしれないが、とにかくこの掃除機にまたがったり、片手で持って踊りたくなる。掃除機でありながら、モップと同じ「棒」(スティック掃除機のようなグリップはない)で操作するという面白さ、滑る感覚、壁に密着してスルスル、トリプルアクセルが成功しそうなほどクルクル回るヘッド!

またバルミューダのそのデザイン性が継承され、部屋に置いてあってもインテリアを壊さないデザイン。どう見ても掃除機に見えず、おフランスで購入した前衛的なオブジェにしか見えない。掃除をエンターテインメントに変えた革新的掃除機である!

洗濯機「AQUA Prette」

洗濯機業界のキング、元「サンヨー」で現「AQUA」が創った洗濯機。日本初の14kgモデルをリリースしたのもさることながら、Pretteの素晴らしさは、予洗いをエンターテインメントにしてくれた点。これまでの予洗いは、洗剤をつけては揉み洗いしたり、ときにブラシで擦ったり、冬場でお湯が出ないところでは、指がちぎれるんじゃないか? と思うほど、時間をかけて洗うしかなかった。でもPretteなら、ボタンを押すだけでちょうどいい濃さの洗剤がトレイにたまり、超音波ブラシ(実際には幅3cmのアルミ棒)にシミや襟の皮脂汚れを当てて30秒もすれば、プロのシミ落としに頼んだほど真っ白に!

とくに、おしゃれなマスクについてしまった口紅やファンデーションを落としたときには感動の白さに! イマまで30分かかっていた予洗いが30秒で終わっちゃって笑えるほどエンターテインメント。簡易乾燥機能しか持たないものの、他社の洗剤自動投入機能付き洗濯機のお値段と比べると2/3程度で買えてしまうので、笑っちゃうほどコスパの高いエンターテインメント洗濯機である!

超音波ブラシでシミや襟の皮脂汚れを落とす

オーブンレンジ「パナソニック スチームオーブンレンジ ビストロ」

多機能オーブンレンジを購入してもいちばん使うのは、やはり電子レンジを使った再加熱。冷凍食品やコンビニ弁当など、再加熱時間が「500W 2分30秒」とバッチリ書いてあればいい。でもほとんどの食品は、自宅で作って冷蔵庫に入っている昨夜の残り物。これらをフツーのレンジで適確に再加熱するのは至難の業。

でもパナソニックのビストロなら、温度を指定して再加熱できるので、フライはバリッ! としたまま、ステーキはミディアムのまま、再加熱できる。フライ系ならフライの具材から水蒸気が出ない60℃で再加熱! ミディアムのステーキならたんぱく質が固まらない65℃で再加熱! 熱々ごはんなら70℃で再加熱!

一般的なレンジの自動温めモードは、なんでもかんでも70~80℃に仕上げるので、フライの衣はべとべと、ステーキは火が入りすぎてカチカチになってしまう。でもビストロなら最終的な仕上がり温度が指定できるので、加熱しすぎや時間が足りないなんてこともなし! とくに設定温度に近くなると、自動的にW数を落して目標温度に近づけるという賢さ。ラップやお弁当のプラケースが絶対に溶けない、笑っちゃうほど美味しく再加熱できるオーブンレンジなのである!

温度を指定して作り置きのおかずを再加熱できる

IoTリモコン「Nature Remo」

エアコンやテレビ、ロボット掃除機はIoT家電で、Google HomeやAmazon Echoから音声操作できるけど、リビングの照明や扇風機、加湿器やアンプは「リモコンでピッ!」……。そんな家庭が多いはず。でもNature Remoは、IoTに対応していない赤外線リモコンで操作する家電を、カンタンにしかも安くIoT家電にできる魔法のリモコン。

まずはIoT非対応家電をRemoで操作できるようにセットアップ。プリセットされているメーカーや家電も多数あり設定は簡単。もし選択肢から見つからなければ、Remoにリモコンを向けて信号を覚えさせることも可能。こうしてスマホからあらゆるIoT非対応家電を操作できるようになったら、あとはRemoとGoogle Homeのようなスマートスピーカーを連携させるだけ。これであらゆる家電をスマートスピーカーから声で操作できるようになる。

声で操作する便利さも一度使ってみないと分からないが、少なくともウチでは、家族全員が「OK Google! 照明をつけて(消して)」するようになった。音声操作は、一度使うと止められない楽しさと便利さ。しかもNature Remoは、高機能でいろんな装置に対応できるのに、miniタイプであれば約5,800円と格安。家電のIoT化の立役者となる、エンターテインメントIoTリモコンなのである!

赤外線リモコンで操作する家電をIoT家電にできる「Nature Remo」

2020年はエンターテインメント家電の年。来年は?

ここまで筆者の独断と偏見と、趣味で選んだ2020年のエンターテインメント家電をご紹介してきた。さて2021年は、どんな家電が出てくるだろう?

ひとつ言えるのは、家電の低価格化に拍車がかかるはず。国内メーカーの海外生産へのシフトに加え、いまやグローバル企業に成長した中国資本の家電メーカーの安くて質の高い製品がどんどん発売される。またニッチな分野に特化した、日本のスタートアップ企業の家電にも注目。極端に小さい、軽い、薄いモノから、コンピューターを内蔵しスマホと連動し、「あなただけの“何か”」をしてくれるカスタムメイド家電が登場するだろう。

そして筆者の希望としては、「リモコンの統合化」が切なる願いだ。最近はBluetoothを使った家電のリモコンも登場してきているので、スマートフォンに赤外線送受信をつけた「これさえあれば何でもできるリモコン」が欲しい! 絶対に欲しい! とにかく欲しい!

まずそのためには「世界リモコンアソシエーション」を設立しなければならない。どうせなら筆者がクラウドファンディングで未来のリモコンを牛耳るという手も! リモコン王に!!! おれはなる!!!!

藤山 哲人

家電の紹介やしくみ、選び方や便利な使い方などを紹介するプロの家電ライター。独自の測定器やプログラムを開発して、家電の性能を数値化(見える化)し、徹底的に使ってレビューするのをモットーとしているため「体当たり家電ライター」との異名も。 「マツコの知らない世界」(番組史上最多の5回出演)「ゴゴスマ」(生放送2回)「華大の知りたいサタデー」(生番組4回)「アッコにおまかせ」「NHKごごナマ」(生放送2回)「カンテレ ワンダー」(5回)「HBC 今ドキ!(生中継4回)」はじめ、朝や昼の情報番組に多数出演し、現在インプレスの「家電Watch」「PC Watch」やサイゾー「ビジネスジャーナル」などのWeb媒体をはじめ、毎月ABCラジオなどで連載やコーナーを持っている。 趣味は、鉄道、飛行機、バス、車の旅行や写真とシステム&構造。電子工作、プログラム。あと神社めぐり。

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