私の2020

好奇心を満たしてくれてお買い得な4Kテレビ「BRAVIA KJ-43X8000H」

家電 Watchの筆者や編集部員が、2020年を振り返りながら、使ってみてよかったものや、注目した話題、動向などについて自由に語るコーナーです。
ソニーの「BRAVIA KJ-43X8000H」

今年を振り返ると、生活家電製品を、ほとんど購入していなかった。実は、そもそも物欲がないし、購入したモノは、かなり満足して使ってしまうので、愛着が湧いて長く使い続けてしまう。

ということで、今年購入した最大のモノとして4Kの液晶テレビを紹介したいと思う。

秋に、約10年前に購入した40インチの液晶テレビが壊れた。朝、テレビをつけた息子が「テレビに変な線がでてきたぁ〜!」と叫んだのを聞いて見にいくと、たしかにテレビ画面の4/5くらいに白線が細かく走り、映像が見にくくなっていた。本当なら直して使いたいが、調べてみると修理するのは難しそうだ。

ということで、久しぶりにテレビ選びを始めた。

条件は「40〜45インチ」で「4K」で「ダブルチューナー搭載」で、「Android TV」であること。「価格は8〜10万円以内」に抑えること。

これだけ条件があると、絞り込むのも簡単だ。なによりAndroid TVを搭載しているメーカーは、それほど多くないからだ。

なぜAndroid TVが条件かといえば、筆者がGoogleやYouTubeのサービスをよく使っているから。特にYouTubeには、プライベートで撮影した動画を、何年もアップしている。さらにAndroid TVであれば、スマートフォンの対応アプリも多い。それらをスマートフォンではなく、テレビの大画面で見たい。するとAndroid TVが適している。

もちろんスマートフォンの画面を、テレビ画面に映し出す、いわゆるキャストやミラーリングする方法は他にもある。ネット接続できないテレビでも、Apple TVやChromecastやFire TVなどを取り付ければ可能だ。

実際に筆者もこれまで、そうした外部機器を、テレビに取り付けて使ってきた。だが、それらを便利に感じる一方で、もっと便利に使いたいと思っていた。すると次に買うべきテレビは、Android TVに帰結した。

筆者が購入したのはソニーの「BRAVIA KJ-43X8000H」。最初に設定した条件をすべてクリアしていることはいうまでもない。

テレビはIoT家電の先駆的製品

IoT(Internet of Things)が提唱されるようになって久しい。今では電球をはじめ、エアコン、オーブンレンジ、冷蔵庫、洗濯機など、インターネットに接続する家電製品が着々と増えている。

そうした、パソコンやスマートフォン以外の家電製品がインターネットにつながるIoTの走りともいえるのが、テレビやレコーダーだ。

テレビがインターネットにつながることでの恩恵は多い。恩恵とは、楽しめる幅が広がるということ。今回のBRAVIAでいえば、主に下記の点だ。

・テレビ番組の録画予約を外出先からでも可能
・スマートフォンのYouTubeやAmazonプライム・ビデオなどのネット動画を、テレビで簡単に視聴(ミラーリングやキャスティング)
・スマートフォンで撮影した写真や動画を、テレビ画面で見られる
・スマートスピーカーを使って音声操作できる

これまでテレビといえば、放送局が放送するためのものだったのが、ネット動画をはじめ、スマートフォン内の写真や動画なども楽しめる。タッチ操作こそできないが、テレビというよりも、大きなタブレット端末ともいえるだろう。

専用スマートフォンアプリが使いやすい

テレビ番組関連の機能で、利便性が向上したのは「外出先からでもテレビ番組の予約ができること」。10年前に購入したテレビでも、外付けHDDを接続することでテレビ番組を録画できた。ただ、録画予約する際には、テレビの前に座ってリモコン操作する必要があった。

これが、スマートフォンの専用アプリで可能になった。

使うのは、ブラビアやソニーのレコーダーなどに対応するアプリ「Video & TV SideView」。

アプリを起動すると「予約ランキング(新着)」のリストが開く。これは、この1週間で、BRAVIAユーザーが録画予約している番組のランキング。地上デジタル放送やBS放送で話題となっている番組が一覧できるのだ。

アプリでは、いま「放送中」の番組のほか、「ドラマ」「バラエティ」「アニメ」などのカテゴリー別に人気の番組もササッと把握できる。

もちろんアプリの番組表から、録画予約したい番組があれば、数タップで設定できる。

さらに筆者が気に入っているのは「おすすめ」。これまでの録画予約履歴から、ユーザーにおすすめの番組をピックアップしてくれる。筆者の場合は、ドキュメンタリーや歴史番組を予約することが多いので、それらに沿った番組をピックアップしてれるのだ。

さらに筆者の場合は「歴史」が好きなので、歴史関連の番組表もアプリ内に作っている。アプリの左上の「横三本線」マークから「お気に入り番組表」を開き、「キーワード登録」を行なえば、簡単に自分が好きな番組リストを作れるのだ。これを1周間に1回の頻度でチェックしておけば「あぁ……この番組を録っておきたかったのになぁ」ということがなくなる。

筆者はほとんど使わないが、もちろん一般的な「ラテ欄」表示も行なえる。

アプリを起動すると左写真のような「人気」ランキングのページが開く。「放送中」や「ドラマ」「バラエティ」などのカテゴリー別の人気録画予約ランキングも見られる
「お気に入り番組表」を開くと、あらかじめ設定しておいたキーワードに沿った番組一覧表を作れる
一般的な「ラテ欄」表示。横向きに表示させたところ

筆者宅は以前の液晶テレビもソニーのBRAVIAだった。だが、この10年の間にリモコンのレイアウトがガラリと変わってしまった。正直にいうと、新しいリモコンは使いづらい。

特に不満なのは、「録画」ボタンがリモコンに配置されていないこと。テレビ番組の視聴時に「あっ、この番組を録っておきたい!」と思った時に、以前のリモコンではサッと録画ボタンを押すだけで良かった。

それが、新BRAVIAでは「テレビ」ボタン→「カーソル下」→「カーソル左」→「カーソル上」→「録画開始」を「決定」という、なんとも煩雑なリモコン操作が必要になる。そもそも慣れるまでは『録画するには「テレビ」ボタンを最初に押す』というのが覚えにくく、間違えて他のボタンを押してしまう。

これがアプリを開けば迷うことがない(もちろん、アプリを開くというのが面倒ではあるが……)。アプリのリモコンを表示させると、以前と同じようなボタン配列なのだ。ということで筆者の場合は、とにかくすぐに録画をスタートさせたい時には、アプリのリモコン画面を開くようにしている。

観ている番組を録画したいと思っても、リモコンに「録画」ボタンが無い!!
かつてと同様にシンプルなボタン配列。録画ボタンもしっかりと配置されているので、一発で録画をスタートできる

スマートフォンとの相性がバツグン

多彩なネット動画サービスに対応しているのも魅力の一つだ。

筆者宅では、筆者と息子(6歳)が「YouTube」と「Amazonプライム・ビデオ」をよく観る。また妻は見逃したテレビ番組を「TVer」で視聴している。そのほか、ニュース番組が少ない19時〜20時台には、「Abema TV」でニュースを観ることも少なくない。

これまで使っていた液晶テレビでも、GoogleのChromecastやAmazonのFire TV Stickを付けていたので、視聴は可能だった。ただし、テレビのリモコンで、上記したネット動画サービスを観るのは、テレビの入力切り換えを行なうなど、慣れない息子や妻には、かなり煩雑な操作だった。

これが新BRAVIAでは、録画したテレビ番組を観るような感覚で観始められる。

一例として「Amazonプライム・ビデオ」を挙げたが、そのほか「hulu」や「Netflix」「U-NEXT」など、メジャーなネット動画サービスに対応している。

YouTubeなどメジャーなネット動画サービスが簡単に視聴できる

ちなみに筆者のパソコンはMacBook Aiで、Chromeブラウザを常用している。同ブラウザを使うと、ブラウザで表示したWebのページを、そのままテレビに表示できる。これは「BRAVIA KJ-43X8000H」がChromecast built-in テレビだからできること(そのほかChromecastやChromecast Ultraでも同様)。

筆者の体験例でいえば、最近では家電メーカーがYouTubeなどのネット動画サービスを使って、製品発表会やセミナーを行なうことがある。その時に、パソコンではなく、目の前の大画面テレビに映すと、ほかの作業をしながら動画が観られて便利だ。

スマホ内の写真や動画が即効でテレビに表示できる

実は筆者が、もっともテレビで楽しんで欲しいとおすすめしたいのが、スマートフォンで撮影した写真や動画だ。

最近は、写真や動画を撮影しても、それを楽しむ方法として、SNSなどでシェアするだけということが多いのではないだろうか。いずれにしろ、スマートフォンやタブレット以外で観る機会が少ない気がする。

だが、せっかく撮った、特に家族や仲間との写真や動画は、写っているみんなで共有したいもの。

最近のテレビ、特に「BRAVIA KJ-43X8000H」であれば簡単だ。

iOSでもAndroid OS端末でも「Google Cast」機能で可能になる。「Amazonプライム・ビデオ」や「YouTube」なども同じ機能で、テレビで映すことができる。撮影した写真や動画については、スマートフォン用の「Googleフォト」アプリを使えば良い。

スマートフォンで「Googleフォト」アプリを起ち上げると、撮影した写真や動画が表示される。同時にアプリ画面に「Cast」マークが表示される。同マークをタップすると、テレビの「Googleフォト」アプリが起動する。あとは、テレビに映し出したい写真などをタップするだけで、BRAVIAに表示される。

「Googleフォト」アプリから「Google Cast」機能を使えば、撮影した写真や動画を簡単にテレビに映し出せる
iPhoneであれば「AirPlay」でのミラーリングにも対応

もしiPhoneなどのiOS端末を使っているのなら、「AirPlay」機能を使って、テレビに映し出すことも可能だ。

これは「Google Cast」機能と同様に、iOS端末やMacBookなどの画面を、対応テレビに表示させる機能。AirPlay対応テレビのほか、AppleTVをつなげたテレビでも使える機能だ。

例えばiPhoneの「写真」アプリで写真や動画を表示させ、コントロールセンターを表示し、「画面ミラーリング」をタップすれば、テレビに映像が映し出される

今までは、スマートフォンの小さな画面で見ていた写真や動画を、こうしてテレビで気軽に観られるようになったのは嬉しい。最近では「さっき撮った動画をテレビで魅せてよ」と、家族からリクエストされる。

子どものいる家庭では「消画」機能がありがたい!

まだ6歳の息子は、当然ながら欲望に正直に生きている。テレビから、なかなか離れないのだ。まだ昼間であれば、外へ行って遊ぼうなどと、別の誘惑があったりするのだが、夜はテレビに打ち勝つコンテンツを提示するのは難しい。

特に頭が痛いのが、夕飯時だ。夕飯の準備ができても、彼はテレビ画面から視線を離さない。食べ始めても、すぐにテレビ画面に釘付けになるので、食が進まない。

当然、親としては「テレビを消しなさい!」ということになるのだが、いきなり消すと、ショックが大きいのか泣き出す。いうことをきかせるべきかとも思うが、毎回、このルーティンをこなすのは、骨が折れる。こちらも特にメンタルが疲れるのだ……。

そこでBRAVIAの「消画」機能を使うと、聞き分けてくれるようになった。

これはテレビの画面だけを消す機能(画面が真っ黒になる)。

リモコンの「クイック設定」から簡単に設定できる。YouTubeやAmazonプライム・ビデオなどのネット動画サービスでも、通常のテレビ番組でも使える機能だ。

食事になっても息子が、どうしてもテレビを消そうとしない場合は、この「消画」機能にする。すると不満そうではあるが、テレビから目を離す。また、これを続けた結果、「聞いててもいいから画面を消そう」というと、聞くだけだとつまらないからなのか、テレビを観ること自体を諦める。

この「消画」機能だが、同じく食事の時に、大人がニュースを聞くのにも良い。ニュースや対談番組などは、音声だけでも良い……そんな時には「消画」機能を使うと、ニュースを把握しつつ、食事もとれる。

そのほか、YouTubeで音楽を聴きたいときにも多用している。在宅ワーク中に、音楽などを聴きたいことは多いだろう。YouTubeに作った音楽の再生リストを、そのまま再生させると、映像がちらちらと気になってしまう。「消画」機能を使えば、BGMとして音楽を流せる。

「radiko」がない!

音楽といえば、BRAVIAというかAndroid TVでは「Spotify」アプリも備わっている。そのため同じく在宅ワーク中などには、Spotifyの利用頻度が激増している。

ただ、「radiko」アプリがないのが残念で仕方ない。新型コロナ禍で、自宅で仕事するようになってから、radikoでラジオを聴くことも増えた。し〜んと静まりかえった部屋で仕事するよりも、ラジオをつけていると心地よい。

また、ラジオは時事ニュースなどが話題になることもあるので、情報を収集するのにも適している。

いつもは「Google Home mini」で聴いている。こちらも音質についてはまずまずなのだが、我が家で置いている場所の問題で、仕事している場所からは若干聴きにくい。これがテレビのステレオスピーカーから聴ければ、なお良いのになぁと思っている。

ただ「radiko」のアプリはないけれど、どうしてもBRAVIAのスピーカーで「radiko」を聴く方法はある。というのも「BRAVIA KJ-43X8000H」は、「AirPlay」に対応している。

説明が重複するが「AirPlay」は、iPhoneやiPad、MacBookなどの画面を、テレビなどに映し出す機能。BRAVIAの設定画面で「AirPlayをオン」にすることで、使えるようになる。

ただ……これをiPhoneから行なうと、電話がかかってきた時に困るのだ。AirPlay中に電話がかかってくると、テレビのスピーカーから呼び出し音が鳴り出し、驚いてしまうのだ。

また、あくまでもiPhoneでアプリを起動しているため、iPhoneのバッテリーを消耗してしまう。できれば、テレビに「radiko」アプリが欲しいものだ。

(またパソコンのChromeブラウザからradikoのホームページを開き、それをAirPlayでテレビから出力する方法もあるが……なんとなくだが、パソコンでradikoを開く習慣が、いまのところないのだ……)

画質も悪くない

筆者は正直、それほど画質にこだわりがない。全くないわけではないが、画質を追求したいとは思っていない。それでも「BRAVIA KJ-43X8000H」の画質を最初に観たときは、キレイだと思った。

購入前に妻に言われたのが「4Kって必要なの?」というものだった。たしかに地上デジタルのテレビ番組はフルハイビジョン画質(1,920×1,080ドット)なので、4K解像度の必要性を感じない。

かといってBS番組をよく観るかといわれれば、それほどでもない。「Amazonプライム・ビデオ」や「Netflix」などの契約を変えれば、4K解像度で観られるコンテンツも増えるが、まだアップグレードしていない。そんな我が家に「4K解像度が必要か?」と妻に詰め寄られると、説明が難しい……というかできなかった。

ただし、我が家ではYouTubeをよく観る。その「YouTube」では、4Kコンテンツが意外と充実している。個人の方が撮った4K解像度の動画は、それほどキレイだとも思えないのだが、NHKやNASAなどが配信している4Kコンテンツは、本当にキレイだ。

大自然や宇宙の映像を観ると、これはフルハイビジョンでは観られないだろうなぁというほどに、精細な映像が観られる。

まぁそもそも解像度でいえば、40インチ以上のテレビで、4K解像度ではないモデルを選ぶ方が難しくなっている。だから、おとなしく4Kの液晶テレビを買おうよ、ということで妻を説得して良かった。

かなりお買い得な買い物だった

最初に設定した条件を、すべてクリアしているテレビを購入できたので、購入後もかなり満足している。

「YouTube」を観まくっている息子を、妻などは不満そうだが、筆者は悪くないと思っている。なぜなら6歳の息子でも、なにか興味があることを気軽にYouTubeで調べられるからだ。例えばリモコンのマイク部分に「YouTubeで、はやぶさ2を見せて」と声をかければ、関連動画が次々に再生される。

これまで以上に「テレビはテレビ番組だけを楽しむものではない」という使い方がしやすくなった。また、これまで以上に、アクティブに好奇心を満たしてくれるようになった。

今まで使っていたテレビが、壊れたことがきっかけだったが、テレビを買い替えて本当に良かったと思う。

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河原塚 英信