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シャープの冷蔵庫、太陽光発電と連携して電気代を抑える

545Lの「SJ-MF55M」

シャープは、太陽光発電システムと連携して家の電気代を抑えるという業界初の冷蔵庫「Fit63シリーズ」を2月22日より順次発売する。大容量ながら奥行き63cmの薄型を実現した、フレンチドアの「MFシリーズ」とどっちもドア「MWシリーズ」計5機種をラインナップ。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は34万円~41万円前後。定格内容積は429~545L。

太陽光パネルで発電した電気の売電価格が下落したことで、効率的な自家消費が求められている。そうした中でシャープは2023年11月より、太陽光発電システムと家電が連携して、家電の消費電力が高い運転を、発電が余りやすい時間帯にシフトさせ、電力会社から購入する電力量を抑えられるサービス「Life Eee コネクト」を展開している。

このサービスに、エアコンや給湯器に加え、新たに冷蔵庫が対応。冷却性能を維持しながら冷蔵庫の電気代を削減する機能を備えている。

太陽光発電システムと連携して電気代を削減

消費電力が高い運転を日中にして電気を効率活用

シャープは、クラウドHEMSサービス「COCORO ENERGY」において、利用者の生活パターンや発電実績を学習して、AIが太陽光発電の余剰電力量を1時間単位で予測する機能に対応。蓄電池の充放電や給湯器の沸き上げ、エアコンの運転などを制御することで、発電した電気を有効活用するLife Eee コネクトのソーラー家電連携サービスを提供している。

この仕組みを、冷蔵庫の新モデルMF/MWシリーズにも応用。太陽光発電の余剰電力に応じて冷蔵庫の除霜運転のタイミングを最適化する機能を業界で初めて搭載した。蓄電池やエアコン、給湯器だけでなく、冷蔵庫でも余剰電力を有効活用して電気代を抑制する制御を行なう。

冷蔵庫の冷却性能を維持するために必要な除霜運転は、ヒーターの熱で霜を溶かすため、多くの電力を消費する。そのため、この除霜運転を余剰電力量が多い日中の時間帯にシフト。太陽光発電の電気を効率的に活用し、冷却能力を維持しながら省エネを実現するという。

除霜運転の消費電力量を、気象予測に応じてシフト

ソーラー家電連携のほかにも、MF/MWシリーズでは、冷蔵庫本体の節電機能として、AIがドアの開閉を学習して節電する「おまかせ設定」や、節電時間をスマホアプリで指定できる「こだわり設定」なども備える。

蓄電池との連携にも対応。自然災害などで停電した場合は、太陽光発電と蓄電池システムの電力で冷蔵庫を動かす「省電力モード」で運転。庫内温度を通常より高めに設定することで、消費電力を抑えて冷蔵庫の運転時間を延ばす。この機能には自立運転時の定格出力が1.5kVA以上の蓄電池システムが必要。

505Lの「SJ-MF51M」

奥まで手が届きやすい63cm。豊富な節電機能

SJ-MF51Mの冷蔵室

新製品は5機種いずれも薄型設計を採用。従来は70cm前後の奥行きがあった500Lクラスを含め、63cmの薄型とした。標準的な奥行きが65cmのシステムキッチンに並べてもすっきり設置できるという。

本体が薄いため、奥に置いた食品や小鉢などの食器にも手が届きやすく、庫内の奥まで見渡しやすいことから、庫内のスペースを有効活用でき、食品の使い忘れなどムダの抑制にも役立つとしている。

奥行き63cmで手が届きやすい

節電機能については、製氷コントロールや外気温を感知するセンサーなど25項目の省エネ技術で、最大約25%の節電効果を得られる「節電25」を搭載。これと無線LAN(Wi-Fi)接続を組み合わせることで、通常運転に比べて最大約30%の節電を可能にする「つないでもっと節電」機能を新たに備えている。

この機能は、冷蔵庫の開閉時間帯などの使用状況をクラウド上のAIが学習、各家庭の生活パターンに応じた省エネ運転を行なうもの。庫内のボタンで「節電25」を有効にしてWi-Fi接続することで利用できる。

「つないでもっと節電」は、生活パターンを学習し、冷蔵庫を使用しない時間帯などに食品に影響のない範囲で、庫内の温度を自動で上げて省エネ運転する「おまかせ設定」と、ユーザーが指定した時間帯に省エネ運転を行なう「こだわり設定」の2つから選べる。節電効果はスマートフォンアプリCOCORO HOMEの「省エネレポート」から確認でき、CO2削減の達成率に応じて画面上の木が緑色になるため、節電を実感しやすくなっている。

SJ-MF55MとSJ-MF51Mの冷凍室には、冷凍食品を縦置きで効率よく収納しやすくするケースの「タテ置き名人」を採用。サイズの異なる冷凍食品や使いかけの冷凍食品も効率よく縦置きですっきり収納できるという。SJ-MF46M、SJ-MF43M、SJ-MW46Mの3機種には、可動式の仕切りでケースを4つに仕切れる「4切り名人」を備える。

フレンチドアタイプの冷蔵室ドアには、独自の「センターピラーレス」構造を採用。密閉性を高めて冷気漏れを防ぐほか、一般的なフレンチドアタイプの冷蔵庫に搭載されているヒーター内蔵のセンターピラーをなくすことで、省エネ性を高めた。ドアポケットの容量も増え、SJ-MF55Mの場合は左右に計9本の2Lペットボトルを収められる。

下段冷凍室には、「フレキシブルトレー」に置いた食品の栄養素をキープしたまま素早く冷凍する「快速冷凍」を装備。通常の冷凍より低温の約-23℃で保存し、庫内温度が上昇しやすい除霜運転前にはあらかじめ庫内を冷却。ドア開閉後に急冷することで、庫内の温度上昇を防いで食品への霜付きを抑える「新鮮冷凍」にも対応する。

節電や庫内整理などの特徴

掃除の手間を減らし、清潔を守る細かな工夫も

冷蔵室上部には、「パッキンの汚れガード」を搭載。キッチンのホコリや油汚れを防ぎ、パッキンを汚れから防ぐ。冷蔵室内部の棚だけでなく、チルドルーム上部の棚も脱着可能な構造となっている。

野菜室底面の手前側には、SIAAマーク取得の「抗菌お手入れトレー」を備え、野菜くずを簡単に捨てられるようにした。

SJ-MF55MとSJ-MF51Mの野菜室と冷凍室のケース底面には、拭き取りやすくゴミを集めやすいように、イネの葉脈を応用した凹凸を施した。これはシャープが得意とする「ネイチャーテクノロジー」の一つ。

庫内を清潔に保つ「プラズマクラスター」を搭載するほか、冷蔵室のハンドルにはSIAAマークを取得した抗菌加工を施した。フレンチドアタイプ4機種の冷蔵室ドア開閉部には、ホタテ貝の凹凸を模した形状をドアパッキンの手前に採用。空気抵抗を大きくし、ヒーターの消費電力量を低減する。

本体サイズは、5モデルのうち最大容量でフレンチドア(6ドア)の「SJ-MF55M」が730×630×1,838mm(幅×奥行き×高さ)、年間消費電力量は283kWh/年。左右どちらにも開ける「どっちもドア」(5ドア)で457Lの「SJ-MW46M」は、本体サイズ650×630×1,838mm(幅×奥行き×高さ)、年間消費電力量は263kWh/年。ドア材は5機種ともメタルドア。

カラーは、ラスティックダークメタルとラスティックホワイトの2色を用意。545LのSJ-MF55Mはラスティックダークメタルの1色のみ。

左から「SJ-MF43M」、「SJ-MW46M」、「SJ-MF46M」

【ラインナップと発売日、店頭予想価格】
「SJ-MF55M」フレンチドア 545L 4月11日 41万円前後
「SJ-MF51M」フレンチドア 505L 3月14日 39万円前後
「SJ-MF46M」フレンチドア 457L 2月22日 35万円前後
「SJ-MF43M」フレンチドア 429L 2月22日 34万円前後
「SJ-MW46M」どっちもドア 457L 2月22日 35万円前後

大容量&薄型でまとめ買いのニーズに応える

シャープは、巣ごもり需要の反動で2023年度まで落ち込んでいた冷蔵庫市場が、2024年度からは需要が回復基調にあると見ている。冷蔵庫は常に通電していることから省エネ性が重要であるとし、今回の新製品はLife Eee コネクトサービス拡大や、豊富な節電機能を訴求。大容量ながら奥行きを63cmに抑えた使いやすさなどで、コロナ以降に増えたまとめ買いの需要に対応し、「大容量かつ薄型」のニーズに応えて売上の拡大を目指す。