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アイリスオーヤマ、働き方改革をテーマに内装にもこだわった東京オフィスを新設
2018年11月27日 19:26
アイリスオーヤマは、家電事業の拡大に伴いR&D機能を強化した新オフィス「アイリスグループ東京本部」(東京都港区浜松町2-3-1)の稼働を開始した。主にLED照明と家電製品の商品開発を強化し、オフィス内は働き方改革をテーマに内装にもこだわったという。
現在、同社の売上は家電事業が半分を占めており、今後さらなる拡大を目指しているという。2022年にはアイリスグループで売上1兆円の事業目標を掲げており、新商品開発に力を入れるため、今回R&D機能を強化した新オフィスを東京に開設した。宮城県仙台市の本社や、大阪のR&Dセンターとも連携していく。
東京本部の主な機能は、LED照明と家電製品の企画・設計・デザイン、人事、広報、品質管理など。首都圏における法人向けビジネスの営業拠点の役割も担う。席はすべてフリーアドレス制で、従業員数は250名(最大350名)。
オフィス内のLED照明や建築内装材、家電、オフィス家具はアイリスグループの製品を採用したという。特にオフィス家具はデザイン性の高いアイリスチトセの製品を用いており、魅力的なオフィス環境を作るとしている。
アイリスチトセ マーケティング本部・大山 紘平氏は、新オフィスの位置付けについて次のように説明した。
「東京本部の大きなポイントは家電開発です。国内のさまざまなオフィスにいる社員に東京に来てもらい、積極的に研究開発を行ないます。また、アイリスグループのハブ機能も持たせ、国内外にある25のグループ会社をつなぐ拠点とします」
働き方改革に注力、生産性を高めるオフィスレイアウト
また大山氏は、東京本部のオフィスレイアウトも担当。昨今社会的な問題となっている長時間労働を改善するため、働き方改革をテーマにレイアウトしたという。
「働き方改革の推進では労働時間の短縮が求められますが、単なる労働時間の短縮は活動量と生産性の低下につながるおそれがあります。また労働人口の減少も危惧されており、優秀な人材は取り合いになります。そこで私達は、優秀な人材を採用し、かつ辞めさせないためには、長時間労働をせずに生産性を高められるオフィス環境の整備が大事だと考えました」(大山氏)
オフィス環境を整備するために、同社がテーマにしたのは「ABW(Activity Based Working)」。その日の仕事内容によって働く場所を自由に選択でき、多様な働き方が可能になる空間作りにこだわった。
具体的には、自席を撤廃してその日によって仕事をする場所が変わる「フリーアドレス化」や、リラックスした状態で思考を柔軟にし、新しい発想を生み出すきっかけや本音の意見交換ができる「ソファ」ブースなどを用意。また集中して作業できるブースや、座りっぱなしを防ぐスタンディングデスクなども採用している。
「最近はフリーアドレス化しているオフィスも増えていますが、結局は荷物をワゴンに入れて席が固定化しているという話も聞きます。新オフィスには個人のロッカーはありますがワゴンは用意しておらず、完全なフリーアドレス化を目指します。東京本部には20の部署があり、席を設けないことで、さまざまな部署の社員が活発にコミュニケーションを取れるようになります。例えば開発者の隣にたまたま営業が座れば、営業目線のコメントをもらえるなど、コミュニケーションが活性化することで生産性の向上も望めます。
特に若い働き手であるミレニアル世代は、同じような机が並んだ旧式のオフィスと、フリーアドレスでデザイン性の高いオフィスでは、どちらで働きたいか直感的に理解していると思います。もう旧式のオフィスには優秀な人材は集まりません。最先端のオフィス作りをすることで、ここで働きたいと思ってもらえればと思います」(大山氏)
時間によって照明が変わり、長時間の残業ができない仕組み
自社製品で構成されたオフィス内のLED照明は、スマホで個別制御できるオフィス向け照明制御システム「LiCONEX(ライコネクス)」を採用し、無線で調光・調色を可能にした。ライコネクスでは、体のリズムに合わせた調色ができ、朝は朝日のような暖かみのある光で体を目覚めさせ、次第に青空の下のような明るい光で活発な活動を促進。夕方頃にはまた明るさを抑えた赤みがかった光で体をリラックスさせるといった使い方もできる。
「一般的なオフィスでは夜になっても青白い光が主流で、体は覚醒状態にあります。そうした照明が結果的に長時間労働につながりますので、夕方を過ぎたら暖かみのある光に切り替え、人間が本来求めている光を与えることで正しいリズムを促し、長時間の残業ができない仕組み作りができたらと思います」
さらにライコネクスによる明るさ制御は省エネ効果もあるとする。空間の使用状況やスケジュールに合わせてLED照明の明るさや点灯・消灯を個別に調節できるため、快適さを維持しながら最大77%の省エネを実現するという。
このほかにも、最新のトレンド内装を組み込んだ9つの商談室や、ブースによって色が異なる床材なども特徴としている。家電を開発するR&D・デザインセンターエリアはグリーン系やアースカラーの床材を使うことで、アイディアを練り、豊かな発想やリラックス効果を促す。フリーアドレスエリアは業務に集中できるよう、ブルーを基調とした床材としている。
なお同社は、東京に研究開発拠点を新設することで、関東圏における電気産業の経験豊富な技術者の中途採用も強化。技術交流・融合の促進により、開発のさらなるスピードアップと新規カテゴリーの商品開発を積極的に進めていくという。