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光・風・音・香りで「屋久島の自然」も再現、五感を刺激するパナソニックの空間提案「Reboot Space」を一足先に体験
2019年8月7日 14:14
デパートなどが照明や内装で「高級感」「非日常感」を演出するように、商業施設やマンションのエントランスなど非住宅空間の多くもターゲットユーザーにあわせた空間演出をしている。そんななか、とくに「空気質・水質」にこだわった空間演出の提案しているのが、パナソニック エコシステムズだ。
同社8月5日、愛知県春日井市のパナソニック敷地内に、五感を刺激するような空間演出を体験できる価値提案スペース「Reboot Space(リブート・スペース)」を開設。オフィスや商業施設などのオーナー、設計担当者といった非住宅分野向けに展開する。オープンに先立って、プレス向けの体験会が開催された。
Reboot Spaceではパナソニックのさまざまな技術を駆使して、空気や光や音、映像などをコントロール。「臨場感を感じられる空間」「清潔・安心感のある空間」など4つのコンセプトで空間演出を体験できる。
気流と香りを組み合わせて「臨場感」を演出
最初に体験したのは「臨場感」がテーマの体感スペースだ。ここでは、大きな液晶画面で映像を再生しつつ、画面から映像にあわせた香りが風にのって流れてくる。たとえば、花の映像には画面から花の香りが漂い、森の映像に切り替わるとヒノキのような香りが感じられる。
ここで使われている技術は大きく2つ。ひとつはディスプレイの中央から風が吹いているように感じる技術。もうひとつがピンポイントに香りを届ける技術だ。
映像の中央から風を起こす技術は、画面の上下から中央にむかって気流を発生させることで実現。ディスプレイ上下のベゼルから排気された気流が画面中央でぶつかり、衝突した気流が画面前方に向かうことで、あたかもディスプレイ中心から風が発生しているようような風が作り出せるという。
「ピンポイントに香りを届ける技術」とは、気流をコントロールすることで香りの持続性をコントロールする技術のこと。パナソニックによると、アロマなどを拡散させる一般的なディフューザーは、一度強く香ると1分以上香りが空間にとどまるという。
しかし、今回体験した「臨場感」のスペースでは、空間にしっかりと香りを広げながらも20秒ほどで香りが拡散して消えた。映像と香りが切り替わったときには、前の香りが消えているので、複数の香りが混じることがないというメリットがあるという。
「屋久島の自然」を再現。木の葉の影、床に落ちる水音、そよ風などで五感を刺激
ビルのエントランスや休憩スペースなどでは、室内に「自然感」を演出するために植栽を配置することがある。Reboot Space2つ目の空間演出は、この「自然感」の演出の進化系だ。
植栽後方からは風が吹いて葉をそよそよと揺らし、後方両脇からは雨のような水が落ちてくる。天井に映る水の反射や、風に吹かれてユラユラと揺れる木の葉の影、床に落ちる水音、肌に感じるそよ風の心地よさなど、さまざまな要素で五感を刺激。屋内にいながら「自然」を感じさせてくれるのがこのスペースの特徴だ。
ここで使われている技術は「自然界のような風」を作る気流技術。扇風機を使用した従来の風は、どうしても身体の一部にピンポイントで風が当たる。
一方、今回のスペースで発生する風はパナソニック独自の「誘引気流」を採用することで広い面に均一に風が当てることができる。さらに、今回は「屋久島の自然」を再現するため、屋久島に吹く風を実際に計測し、自然な風の「ゆらぎ」まで再現している。
このほか、時間の経過とともに光や音、香りなどが変化するのも特徴だ。朝は寒色系の照明を使いつつ鳥の声を再現。さらに柑橘系の香りや強めの送風をすることで、よりリフレッシュし、活動的になりやすい環境を演出。
一方、夕方からは暖色系の照明に変化させ、虫の声を再現。ウッド系の香りに優しい風を送り、より落ち着いてリラックスしやすい環境にできるという。視覚だけではなく、聴覚、嗅覚、触覚にも訴えかけてくるのが面白い。
座るだけで作業がはかどりやすくなる「集中サポート」空間
3つ目の空間は座るだけで作業がはかどりやすくなる「集中サポート」がテーマ。具体的には、椅子に座ることで卓上にスポットライトが点灯。手元の狭いエリアだけを照らすことで、周りのノイズを知覚しにくくして没入感をアップさせる仕組みだ。
また、人が座った瞬間を狙って、集中に適したローズマリーとユーカリの香りの気流を発生。その後も、集中力が切れやすいタイミングで間欠的に送風。風と香りの刺激を与えることで、集中力が途切れたり、眠くならないようにサポートする。
気流のカーテンを使って「清潔安心」の空間を作り出す
最後の展示は、風の力で空気をゾーニングし「清潔安心」できる空間を作り出すスペース。ここでは円形のソファの上にドーム状の傘天井が配置されており、この傘の下のみ除菌力のある次亜塩素酸が放出されている。
ここでの特徴的な技術は、なんといっても空気のゾーニング。風をドームに向かって送風して循環させることで、ドームの下とソファーの周りにだけ独立した空調空間を作り出せる。
今回の展示では、この独立した空間内に殺菌作用のある次亜塩素酸を放出。次亜塩素酸の濃度は傘の下だと約10ppbあり、これは約5分で浮遊ウィルスを99%除去できるレベルの濃度だという。
Reboot Spaceのオープニングにあたっては、パナソニック エコシステムズ 代表取締役社長・小笠原 卓氏が登壇。
小笠原氏は「これまで我々は業務用や家庭用の空気温度をコントロールするエアコンや、空気を清浄化する空気清浄機などで『不快ではない空気』を作ってきた。これらは家電や換気システムなどの『モノの提供』だが、今後はこれらの技術に心に訴えかける体験や空間価値をグレードアップさせる価値を付加することで『コト(体験)の提供』を目指していきたい」とコメントした。